脳血管疾患と介護|後遺症への対応やリハビリ、利用できる制度を解説!
公開日:2025/10/28

脳卒中などの病気を発症した後に介護が必要になった際、脳血管疾患に関連する症状や状態にどのように対応すべきか、困惑される方も少なくありません。また、その後の回復に関する知識が不足していると、ケアやサポートを提供するのが難しくなる場合もあります。
本記事では、脳血管疾患に伴う介護について以下の点を中心に紹介します。
- 脳血管疾患と介護について
- リハビリと自立支援の取り組みについて
- 利用できる制度や支援サービス
脳血管疾患に伴う介護について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
監修
目次 -INDEX-
脳血管疾患と介護
脳血管疾患の特徴を教えてください
脳血管疾患は、脳内の血管に異常が生じることによって発症する疾患で、血管の破裂や閉塞により脳に血液が供給されなくなることが原因です。代表的な疾患には脳卒中があり、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞の3種類があります。
脳出血は血管が破れ脳内に出血が広がる状態、くも膜下出血は脳を覆う膜が破れて出血が起こる状態、脳梗塞は血管が詰まり血流が止まり脳の一部が壊死する病気です。これらの疾患は急激に発症し、症状が現れた場合は早急な治療が必要です。
治療方法には薬物療法や開頭手術、カテーテルを使用した血管内治療があります。急性期の治療を行った後は、機能回復を目指したリハビリテーションを実施します。
脳血管疾患の後遺症で介護が必要になることはありますか?
脳卒中などの脳血管疾患の後遺症により、介護が必要となることがあります。脳卒中は脳の血管が破裂または閉塞することで発症し、脳の一部に障害を与えます。その結果、麻痺、言語障害、認知機能低下、視覚障害などが現れることがあります。
特に片麻痺や構音障害、嚥下障害は、食事や移動、入浴などの基本的な動作に支障をきたします。また、認知症や抑うつ症状などの精神的な後遺症も介護の負担を増大させます。これらの後遺症には早期のリハビリテーションが重要で、理学療法、作業療法、言語療法を通じて機能回復や機能維持を目指します。
また、介護保険制度を利用して、訪問介護やデイサービスなどの支援を受けられます。
脳血管疾患後にはどのような介護が必要になりますか?
脳血管疾患(脳卒中など)を発症した場合、患者さんの状態や回復過程に応じて、個別の介護が求められます。
急性期には、生命維持と安定が優先されるため、入院中は医療スタッフによる集中治療が行われます。回復期に入ると、リハビリテーションが中心となり、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などの専門職が連携して、身体機能や日常生活動作の回復を支援します。
自宅での生活を目指す場合、福祉用具の導入や住環境の整備、訪問リハビリテーションなどが検討されます。また、家族への介護技術の指導や精神的サポートも重要な要素です。
さらに、介護保険制度や障害者総合支援法などの公的制度を活用することで、経済的負担の軽減やサービスの充実が図れます。
脳血管疾患後の介護は、患者さんの意欲や生活の質を尊重しつつ、専門職と家族が協力して支援することが大切です。
日常生活動作(ADL)にはどのような支援が必要ですか?
日常生活動作(ADL)は、食事、排泄、更衣、入浴、移動など、日常生活を送るために必要な基本的な動作を指します。これらの動作が自立して行えない場合、介護や支援が必要です。特に、脳血管疾患や高齢による身体機能の低下が原因でADLが低下する可能性があります。
ADLの支援には、まず患者さんの状態を正確に把握することが重要です。医師や理学療法士、作業療法士などが連携し、個別に状態を確認します。そのうえで、リハビリテーションや生活支援を通じて、できる限り自立した生活を維持、向上させることを目指します。
具体的な支援方法としては、筋力や関節可動域の改善、福祉用具の活用、介護者による介助技術の習得が挙げられます。また、生活環境の整備や本人の意欲を引き出すコミュニケーションも大切です。
ADLの支援は、身体的なサポートにとどまらず、本人の尊厳を保ち、生活の質(QOL)を向上させる総合的な取り組みが求められます。
言語や認知機能の障害がある場合の介護の工夫を教えてください
言語や認知機能に障害がある方の介護では、本人の尊厳を守り、安心して生活できる環境を整えることが大切です。
まず、コミュニケーションを取る際は、落ち着いた環境でゆっくりと話し、相手の反応に注意を払いながら進めることが重要です。また、言葉に頼らず、ジェスチャーや表情を交えた非言語的な手段を使って意思疎通を図ることも効果的です。
日常生活のサポートでは、簡単な指示を出し、必要な場合には繰り返し説明することが大切です。さらに、定期的な生活リズムの維持や、安全な住環境を整えることが、安心感を提供します。
そして、介護者自身の負担を減らすためにも、専門的な支援を受けることや、地域の制度を活用することも重要です。
リハビリと自立支援の取り組み
脳血管疾患後のリハビリはどのような効果を期待できますか?
脳血管疾患後のリハビリテーションでは、以下の効果が期待できます。
- 運動機能の回復
- 認知機能の改善
- 社会復帰
在宅介護でできるリハビリを教えてください
在宅介護におけるリハビリは、専門施設に通わず自宅でできる重要な活動です。日常生活のなかで取り入れやすい運動として、座位や立位での体操、歩行訓練、筋力強化のための軽いエクササイズが挙げられます。
これらの運動は、関節の可動域を広げ筋力を保つ効果が期待でき、転倒予防や自立した生活動作の向上に役立ちます。
また、理学療法士や作業療法士による訪問リハビリも選択肢です。理学療法士や作業療法士の指導のもと、リハビリを行い、個々のニーズに合ったプログラムが提供されます。家族と協力しながら、無理なくリハビリを続けることが大切です。
リハビリの継続は、生活の質を向上させるだけでなく、健康維持にも大きく貢献します。
利用できる制度や支援サービス
脳血管疾患になったら介護保険は利用できますか?
介護保険の利用可否は年齢区分で異なります。65歳以上は原因を問わず要介護認定により利用可能です。40〜64歳は特定疾病が原因の場合に利用できます。これには、医師による診断が必要で、特定疾病として認定されると、介護サービスが提供されます。
脳血管疾患は特定疾病に該当するため、介護保険を利用する資格がありますが、外的要因(事故など)の場合は対象外となることがあります。
介護保険サービスを受けるためには、市区町村の窓口で要介護認定の申請を行い、認定調査を受ける必要があります。認定結果に基づきケアマネージャーがケアプランを作成することで、居宅サービスや施設サービスを利用できます。介護保険のサービスには自己負担が発生しますが、負担額は所得に応じて異なります。
脳血管疾患を発症した際に役立つ介護サービスがあれば教えてください
脳血管疾患を発症した際、訪問介護やデイサービス、訪問リハビリなどが利用できます。ただし、介護保険を利用するためには、要支援・要介護認定を受けることが必要です。
また、急性期では病院でのリハビリ、回復期には専門病院での集中的な治療が行われます。維持期には、訪問リハビリやデイサービスでの運動プログラムが効果的です。
また、身体障害者手帳の取得や障害年金を申請することで、医療費の軽減や税制優遇を受けられることがあります。
こうした介護サービスについては、地域の包括支援センターやケアマネジャーと連携し、患者さんに合ったサービスを取り入れることが大切です。
医療保険と介護保険は併用できますか?
医療保険と介護保険は、それぞれ異なる目的で保障されているため、併用できます。医療保険は病気やケガに対する医療費を補償するもので、入院や手術、通院費用をカバーします。
一方、介護保険は、要介護状態になった場合に介護サービス費用を支援します。これらは別々の制度で運用されており、同一の事由に対して両方から給付を受けることはありませんが、医療サービスと介護サービスをそれぞれ必要に応じて利用できます。
例えば、入院中に医療保険を利用し、退院後に介護が必要になれば介護保険を活用できます。併用する際は、各保険の内容を確認し、自身の状況に合わせた保障を選ぶことが重要です。
編集部まとめ
ここまで、脳血管疾患に伴う介護についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。
- 脳血管疾患による介護は、疾患の特徴や進行状況に合わせたケアが重要
- リハビリテーションは、日常生活動作(ADL)の向上や言語や認知機能の障害に関するサポートなどが行われており、自立支援は患者さんの状態に応じたサービスが提供されている
- 介護を支援するための制度やサービス(介護保険や福祉サービスなど)には、訪問介護やデイサービス、訪問リハビリ、身体障害者手帳の取得や障害年金を申請することで、医療費の軽減や税制優遇が受けられる
脳血管疾患による介護は、専門的な知識とサポートが必要です。介護の際には介護保険についての相談を行い、必要な支援を活用することが重要です。
今回の記事が、介護の計画やサポートに役立つ参考となれば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。




