要介護認定の区分変更とは?申請の流れや区分変更のメリットとデメリットを詳しく解説
公開日:2025/10/28

要介護認定を受けている方やそのご家族のなかには、「介護の状態が変わったときに、どのように対応すればよいのだろう」と悩まれる方も少なくありません。
本記事では、要介護認定の区分変更について以下の点を中心にご紹介します。
- 要介護認定の仕組み
- 区分変更の流れと必要な手続き
- 区分変更のメリットとデメリット
介護認定の区分変更について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
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目次 -INDEX-
要介護認定とは
要介護認定とはどのような制度ですか?
要介護認定は、介護を必要とする高齢の方や障害のある方が、介護保険制度のサービスを利用する際の必要度を公的に判断するための制度です。申請を受けた市区町村が実施主体となり、客観的な調査と審査を経て判定されます。
結果は“非該当”と”要支援1・2”と“要介護1〜5”に分かれ、数字が大きいほど介護の必要度が高いことを意味します。また、非該当の場合は、介護保険サービスは利用できません。
この区分によって、介護サービスの利用範囲や支給限度額が変わるため、生活設計や介護計画の基盤となります。制度の目的は、必要な方に適切な介護を提供し、自立を支援することにあります。つまり、介護認定は単にサポートの有無を判断するものではなく、その方らしい生活を維持するために必要な支援の量と質を見極める重要な仕組みなのです。
要介護認定はどのようにして決められますか?
要介護認定は、まず本人または家族が市区町村に申請することから始まります。
申請後は訪問調査が行われ、専門の調査員が心身の状態や生活状況を確認します。併せて主治医意見書が提出され、心身機能や既往歴、医療的な管理状況などが確認されます。
これらの情報はコンピュータによる一次判定で分析され、その後、医師や看護師、社会福祉士などで構成される介護認定審査会によって二次判定が行われます。最終的な判定結果として“要支援”か“要介護”、そして区分の段階が決定され、通知書が送付されます。この結果に基づいて介護サービスの利用計画が立てられるため、認定は利用者にとって欠かせないプロセスです。
新規申請及び区分変更申請、更新申請で認定の原則の月数が異なります。特に変更申請の場合、原則は12ヶ月ですが、条件次第で48ヶ月までの延長が認められています。なお、状態が変化した場合には見直しが行われます。
要介護認定の区分変更の基本
要介護認定の区分変更の流れを教えてください
区分変更の流れは、基本的には新規申請や更新認定の手続きと同じです。
まず、介護状態に変化があったと感じたときに、市区町村の介護保険担当窓口へ申請を行います。その後、訪問調査員が自宅などを訪問し、心身の状態や生活動作の状況を確認します。並行して、主治医からの意見書が提出され、医療的な視点からの確認も行われます。これらの資料をもとに介護認定審査会が開催され、総合的な判断のもと、適切な区分が決定されます。
結果は通知書として送付され、変更後の介護度に応じて利用可能なサービスの範囲や支給限度額が見直される仕組みです。つまり、区分変更は現状に合った介護を受け続けるための重要な手続きといえます。
区分変更の申請に必要なものはなんですか?
区分変更を申請する際には、介護保険証と申請書類が必須です。申請書類は市区町村の窓口で受け取るか、ホームページからダウンロードできます。
また、状況に応じて印鑑や本人確認書類の提示が求められる場合があります。さらに、変更の根拠となる医師の診断書や意見書が必要となるため、主治医と連携して準備を進めることが大切です。申請時にはケアマネジャーがサポートに入ることもあり、必要な書類や手続きの流れを確認しながら進められます。
必要な書類を用意して提出した後は、市区町村があらためて調査や審査を行い、区分変更の可否を判断します。
区分変更はどのようなタイミングで行われますか?
区分変更の申請は、介護を受けている方の状態が明らかに変化したときに行われます。
例えば、病気やけがによって身体機能が低下し、これまでできていた日常動作が難しくなった場合や、逆にリハビリの効果で介助の負担が減った場合が該当します。また、認知症の進行や急な体調悪化なども区分見直しの契機となります。
区分変更は、更新時期を待たずに申請できるため、必要と感じた時点で速やかに手続きを開始することが推奨されます。特に介護サービスの利用枠が現状に合わないと、本人や家族に過度な負担がかかる可能性があるため、早めの申請が望ましいでしょう。
状況が変わったら、ケアマネジャーや医師に相談し、適切なタイミングで区分変更の手続きを進めることが大切です。
区分変更の申請は必ず認められますか?
区分変更の申請を行っても、必ずしも希望どおりに認められるわけではありません。審査は客観的な調査結果や主治医意見書に基づいて行われ、介護認定審査会が公正に判定します。そのため、状態の変化が軽微であったり、現行の介護度で十分と判断されたりした場合は、変更が認められないケースもあります。
また、申請時に提出する情報や医師の所見が不十分だと、実際の生活困難さが正しく伝わらず、希望する結果につながらない可能性もあります。
重要なのは、実際の介護状況を具体的に伝えることです。ケアマネジャーに協力を依頼し、介護の負担や変化を的確に書類に反映させることが、認定につながる大きなポイントです。認められなかった場合も、再度の申請は可能とされています。
要介護認定の区分変更をするメリットとデメリット
要介護認定の区分変更をするメリットを教えてください
区分変更のメリットは、実際の介護状態に応じたサービスを受けられる点にあります。
例えば、介護度が上がった場合には、利用できる介護保険サービスの上限額が増えるため、訪問介護やデイサービスなどをより充実させられます。これにより、介護を受ける本人の生活の質が維持されるだけでなく、家族や介護者の負担軽減にもつながります。
また、必要な支援を受けることで、心身の状態が安定し、在宅生活を継続しやすくなることも大きな利点です。
一方で、介護度が下がった場合でも、本人の自立を促し、残された機能を活かすケアへ移行できるため、長期的な健康維持につながる側面があります。
このように、区分変更は介護の実情に合った支援を受けやすくする重要な仕組みといえます。
要介護認定の区分変更をするデメリットを教えてください
要介護認定の区分変更には注意すべきデメリットも存在します。
まず、申請から判定結果が出るまで一定の期間がかかるため、その間は現行の区分に基づくサービスしか利用できません。そのため、必要な支援をすぐに受けられず、一時的に介護負担が増える可能性があります。
また、申請した結果が必ずしも希望どおりになるとは限らず、場合によっては介護度が下がり、利用できるサービス量が減少するリスクもあります。これにより、家族の介護負担が増えるなど、かえって不安定な状況を招く場合もあります。
さらに、申請に必要な書類準備や医師との連携、訪問調査への対応など、手続きに一定の労力が伴う点も負担になり得ます。そのため、区分変更は慎重に検討し、必要性を見極めたうえで進めることが大切です。
編集部まとめ
ここまで要介護認定の区分変更についてお伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。
- 要介護認定は、市区町村が実施する介護保険制度に基づく判定制度で、支援や介護の必要度に応じて区分が決められる
- 区分変更は、介護状態に変化があった際に申請でき、調査や医師意見書をもとに審査会で判定される
- 区分変更には、利用できるサービスが拡大し負担軽減につながるメリットがある一方、希望どおりにならなかったり、手続きに労力がかかったりするデメリットもある
介護を受ける方やご家族にとって、認定区分は生活の質や介護環境に大きく影響します。状況に応じた適切な区分で支援を受けるためにも、状態の変化を感じた際には、早めにケアマネジャーや市区町村に相談することをおすすめします。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。


