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脳神経外科とは?対象となる疾患や治療内容について解説

 公開日:2023/12/15

脳神経外科とは神経や脳、脊髄の分野を専門とする外科です。
この記事では、脳神経外科について以下の点を中心にご紹介します。
・脳神経外科について
・診療体制や手術方法
・対象となる疾患
脳神経外科について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

甲斐沼 孟

監修医師
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

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大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

脳神経外科について

脳神経外科について
脳神経外科は、一般的に脳外科とも呼ばれ、脳、脊髄、および神経に関する専門的な診断と治療を提供する医療分野です。
主に手術を用いた治療を行い、脳卒中や脳血管障害、頭部の外傷、脳腫瘍などの病気に対処します。

脳神経外科とは

脳神経外科とは、脳・脊髄・末梢神経に関する疾患の診断・治療を行う外科学の一分野です。
脳神経外科医は、脳卒中や脳腫瘍、脊髄疾患、てんかん、パーキンソン病、顔面神経麻痺、脳外傷、脊椎疾患、先天性疾患などの治療を専門としています。
脳神経外科は、最新の医療機器を活用した手術や、画像診断、放射線治療、化学療法などを組み合わせた総合的な治療を行います。
また、脳神経外科は、手術技術の進歩に伴い、以前は手術が困難だった症例に対しても、治療法を提供することができるようになってきています。
脳神経外科は、患者の生活の質を高めるために、患者とその家族との信頼関係を築き、継続的なケアを提供することが重要な役割となっています。

脳神経外科医の資格

脳神経外科医になるためには、まず医師国家試験に合格し、医師免許を取得する必要があります。
その後、一定期間の臨床医としての経験を積み、日本脳神経外科学会認定医になることが目標となります。
日本脳神経外科学会は、脳神経外科領域における専門医の育成・認定を行う団体です。
認定医になるためには、専門医制度に基づく研修プログラムを修了し、学会の審査に合格する必要があります。
具体的には、脳神経外科領域の研修プログラムを修了した後、臨床経験を積んで学会の審査に合格することで認定が受けられます。
認定医になった後も、日本脳神経外科学会が認定する継続教育プログラムに参加することで、知識や技術のアップデートを図りながら専門性を維持することが求められます。

どんな自覚症状がある時に脳神経外科を受診するのか

頭痛:激しい頭痛、継続的な頭痛、偏頭痛、頭痛が起こる位置やタイミングの変化などがある場合。
錯乱・混乱・意識障害:突然の錯乱や混乱、意識が混濁している、記憶障害や思考力の低下がある場合。
視覚障害:目の視力が突然低下する、視界にブラインドスポットができる、視界に明るい閃光が見えるなどの症状がある場合。
聴覚障害:聴覚が突然低下する、耳鳴り、ずっと音が聞こえる、バランスがとれないなどの症状がある場合。
麻痺や感覚障害:手足の麻痺やしびれ、感覚が鈍い、肢体が痛むなどの症状がある場合。
発作:突然、手足がけいれんし、倒れたり、意識が失われるなどの症状がある場合。
言語障害:話し言葉が出なくなる、言葉が出にくい、理解力が低下するなどの症状がある場合。
これらの症状が現れた場合、早期に脳神経外科を受診し、専門医による適切な診断と治療が必要です。

脳神経外科の対象となる疾患は何か

脳神経外科の対象となる疾患には、以下のようなものがあります。
脳腫瘍:脳内にできる良性・悪性の腫瘍。
脳出血:脳内の血管が破れ出血することで、脳への栄養や酸素の供給が悪化し、脳機能障害を引き起こす。
脳梗塞:脳内の血管が詰まることで、脳への血流が途絶えて脳機能障害を引き起こす。
頭蓋内外傷:外傷によって頭蓋内の損傷や脳挫傷を引き起こす。
脳動脈瘤:脳内の血管が膨らんでいる異常状態で、破裂するとくも膜下出血を引き起こすことがある。
脳室周囲白質疾患:脳室周囲の白質に異常が生じる疾患で、多発性硬化症などが含まれる。
脊椎疾患:脊椎の異常が原因で、脊髄や神経根に影響を与える疾患。
先天性脳疾患:出生前から脳に異常がある疾患で、先天性脳奇形や脳性麻痺などが含まれる。
てんかん:脳の神経細胞が異常放電を起こし、けいれんや意識障害などを引き起こす。
脳神経疾患:脳神経に関する様々な疾患で、三叉神経痛や顔面けいれんなどが含まれる。
これらの疾患について、脳神経外科では手術や画像診断、症状改善のための治療法などを行います。

脳神経外科の手術方法

脳神経外科で手術を受ける場合の流れの一例を紹介します。
まずは手術に伴う承諾書への署名を行います。
ご家族(原則)の同席のもと手術内容の説明を聞き、署名を行います。また、麻酔担当の医師からの説明も受けます。
この後、血液製剤に伴う承諾書への署名を行い、手術当日をむかえます。
手術を受けたら手術後の説明を受け、その後の対応に移ります。

脳神経外科で行われる治療の一部をご紹介します。
開頭手術(Craniotomy)
脳にアクセスするために頭蓋骨を開いて、腫瘍や血腫、脳出血などを切除する手術です。
一般的には髪の生え際や耳の後ろなどの部位を切開し、頭蓋骨を削ることで行います。
内視鏡下手術(Endoscopic surgery)
内視鏡を用いて、小さな穴から脳内にアクセスして手術を行う方法です。
手術部位へのダメージが少なく、入院期間も短いため、近年注目されています。
Gamma Knife
放射線を集束して脳内の病変部位に照射し、治療する方法です。
手術とは異なり、頭蓋骨を開ける必要がないため、負担が少なく、入院期間も短くなります。
ロボット手術(Robotic surgery)
ロボットを操作して手術を行う方法です。
精密な手術が可能で、手術部位へのダメージが少なく、痛みや出血も少ないため、手術後の回復も早いとされています。

脳神経疾患の原因や治療

脳神経疾患の原因や治療
脳神経疾患の原因や治療方法について紹介していきます。

脳神経疾患の主な原因

脳神経疾患には様々な原因がありますが、以下に代表的な原因をいくつか挙げます。
脳卒中:脳の血管に問題が生じた場合に起こります。
血管が詰まったり、破裂したりすることで、脳への血流が滞り、脳細胞が死滅してしまいます。
脳腫瘍:脳内にできる腫瘍です。
良性のものもありますが、悪性のものもあり、脳の機能を圧迫したり、破壊したりすることで、神経症状を引き起こすことがあります。
外傷:脳に外傷を受けた場合に起こります。
転倒や事故などの外力によって、脳が揺れたり、損傷を受けたりすることで、神経症状が生じることがあります。
神経変性疾患:神経細胞が死滅することによって引き起こされる疾患で、アルツハイマー病やパーキンソン病、ALSなどが代表的です。
感染症:脳脊髄液が感染症の原因菌に感染することで、髄膜炎や脳炎が引き起こされることがあります。
また、HIV感染症などが脳症を引き起こすことがあります。
これら以外にも、脳血管奇形や水頭症、てんかんなどの疾患も脳神経疾患の一部です。

脳神経外科にはどのような治療があるか

薬物療法:薬剤を用いて病気の進行を遅らせたり、症状を軽減させることができます。
放射線療法:脳腫瘍などの腫瘍性疾患に対して、放射線を照射して治療する方法です。
神経内視鏡手術:脳動脈瘤や脳出血などの病気に対して、頭蓋骨を切開せずに神経内視鏡を用いて手術を行う方法です。
開頭手術:脳腫瘍や脳血管障害などの病気に対して、頭蓋骨を切開して手術を行う方法です。
ニューロモニタリング:手術中に神経や脳機能をモニタリングすることで、手術の安全性を高める方法です。
リハビリテーション:手術後に生じる運動機能障害や言語機能障害などの後遺症に対して、リハビリテーションを行い、機能回復を図る方法です。

脳神経系疾患にならないためにできること

・健康な生活習慣を維持すること
脳神経疾患の多くは、高血圧や高脂血症などの生活習慣病が原因の場合があります。適度な運動であったり、十分な睡眠やバランスの良い食生活を心がけることが大切です。
例えば野菜や果物、魚などの栄養素の摂取を意識し、適度な食事制限を行うことが大切です。
・脳卒中や外傷を予防すること
脳卒中や外傷は、脳神経疾患の原因の一つです。
運転中の飲酒や、危険なスポーツを行う際は、安全に配慮することが大切です。
・ストレスを適切にコントロールすること
ストレスは、脳神経疾患の原因の一つになることがあります。
ストレス解消法を見つけて、心身の健康を保つことが大切です。
・健康診断を受けること
定期的に健康診断を受け、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。特に、高齢者や家族に脳神経疾患の既往がある人は、定期的な検査を受けることをお勧めします。
・禁煙する
喫煙は脳卒中や認知症などのリスクを高めることが知られており、禁煙することが脳神経疾患の予防につながります。

脳ドックを受ける

脳ドックを受ける
脳神経疾患を早期発見したり予防するための脳ドックをご存知ですか?以下に脳ドックについて解説します。

脳ドックとは

脳ドックとは、脳に関する検査を行う健康診断のことを指します。
脳ドックには、MRIやCTなどの画像診断や、脳波検査、神経心理学的検査、生化学検査などが含まれます。
脳ドックを受けることで、脳の機能や状態を詳しく把握することができ、脳疾患の早期発見や予防につながる場合もあります。
脳ドックは、一般的な健康診断と同様に、健康保険が適用される場合がありますが、費用がかかる場合もあります。
また、脳ドックは一般的に、中高年以上の健康な人を対象としています。

脳ドックの流れ

脳ドックの流れについては、以下のようになります。
1.申し込み:脳ドックを受ける前に、事前に医療機関に申し込みを行います。
2.健康チェック:脳ドックの日に、事前に受けた血液検査や健康アンケートなどをもとに、医師が問診を行います。
3.脳検査:MRIやCTスキャンなどの画像検査を受けます。
これによって、脳内の異常などを確認することができます。
4.脳神経機能検査:脳の機能をチェックするために、運動や感覚、言語機能などを評価する検査を受けます。
5.医師による診断:検査結果をもとに、医師が診断を行います。
異常があった場合は、適切な治療方針が立てられます。
6.フォローアップ:異常が見つからなかった場合でも、定期的な検査を受けることが推奨されています。

脳ドックを受けたほうがいい人

脳ドックは、脳に関する疾患の早期発見・予防を目的とした健康診断です。中・高齢者や脂質異常症、脳卒中・認知症の家族歴がある方、肥満気味の方、高血圧の方、喫煙される方、糖尿病の方は、脳ドックを受けることをおすすめします。
中・高齢者は、脳の血管や神経の老化が進むため、定期的な検査が必要です。
脂質異常症の方は、動脈硬化や脳卒中のリスクが高かったり、脳卒中・認知症の家族歴がある方も、遺伝的な要因があるため、脳ドックで検査を受けることが重要です。
肥満気味の方、高血圧の方、喫煙される方、糖尿病の方は、これらの疾患が脳卒中や認知症のリスクを高めるため、定期的な検査が必要です。
脳ドックで検査を受けることで、早期に異常が発見され、早期治療につながります。

脳神経外科についてまとめ

脳神経外科についてまとめ
脳神経外科は脳、脊髄、末梢神経系の疾患に外科的治療を行う分野で、治療対象は時代によって変化しています。
MRIやMRAを使用した開頭術や脳血管内手術が手術方法で、多岐にわたる疾患に対応しています。
治療法には薬物療法、放射線治療、開頭術やカテーテル治療があり、手術が必要な場合は外来受診をおすすめします。

この記事の監修医師