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ヒアルロン酸注射とは?副作用や効果の続く期間は?

 更新日:2023/03/27
ヒアルロン酸注射

ヒアルロン酸は、テレビや雑誌、ネット上などでよく見聞きする物質で、美容に興味がある方にはお馴染みの物質ではないでしょうか?美容目的の注射は気軽に受けることが可能ですが、自由診療であると、費用や効果、副作用が気になるために、検討段階である方も少なくないと思います。

そのような方のために、ヒアルロン酸注射の効果やメリット・デメリットなどをについて説明します。なお、ヒアルロン酸注射は、美容以外の保険診療あるいは保険外診療でも使われている治療ですので、本記事ではこちらの治療にも触れたいと思います。

この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

ヒアルロン酸注射とは

ヒアルロン酸は、すり減っていく軟骨などの摩擦を減少させる効果と衝撃への緩衝材として働き、保護する役割をしています。

プロテオグリカンと呼ばれる水分を引き寄せる物質がヒアルロン酸に結合し、塊を作ります。そのため、ヒアルロン酸は水分の維持に作用しています。

国内では、変形性膝関節症、肩関節周囲炎、関節リウマチにおける膝関節痛に対する関節内注射の3つが保険診療として認められています。

保険外診療になりますが、顎関節症への関節注射の有効性や、声門閉鎖不全症例に対する声帯内ヒアルロン酸注で発生障害への有効性、角膜穿孔で房水流出が認められる場合に、ヒアルロン酸製剤で前房を再形成する方法の有効性なども報告されています。

美容領域で注射される部位は多数あり、額や目の下、鼻、ほうれい線、胸などが知られています。しわを目立ちにくくする治療でよく使われています。

すぐに変化を実感できる方法であるため、人気はとても高く、施術を受ける患者数は増加しています。また、豊胸の施術内容として、ヒアルロン酸注入は最も採用されており5割程度を占めます。

このように、全身の多くの部位に注射薬として使われていいます。

ヒアルロン酸注射の目的と効果

ヒアルロン酸注射の効果の継続する期間は、部位によって異なります。変形性関節症での膝関節や肩関節への注射は、関節の滑りが良くなり、痛みが和らぐという作用が期待できます。週1回の投与を5週間続けて、その後は効果に応じて2−4週間ごとに行われることが一般的です。

変形性膝関節症が進行すると、ヒアルロン酸注射での痛みのコントロールはできなくなるため、手術治療を考慮することになります。

美容分野では、皮膚の奥に注入されたヒアルロン酸によって肌に弾力を与え、ボリュームアップし、しわやほうれい線を膨らませることで目立たなくなる効果が期待できます。ヒアルロン酸は元々体内にある成分ですので、徐々に体に吸収されていきます。

こうした効果は、個人差もありますが、3ヶ月から6ヶ月間、長くて1年間ほど続きます。そのため、効果を持続させるためには、注入を繰り返す必要があります。

ヒアルロン酸注射に関するよくある疑問

ヒアルロン酸注射は痛いの?

しわ取りを目的になされるヒアルロン酸注射の針は極細の専用針を用います。針の細さの単位をゲージ(G)で示し、大きいほど細いことを意味します。

医療機関で一般的に行われる採血や予防接種の針は、直径0.4-0.7mm(27G-22G)程度であるのに対して、顔へのヒアルロン酸注射の針は直径0.2-0.3mm(32G-30G)程度と極細であることが多いため、痛みも少なくなります。針の性能も向上し、内容物がつまりにくくなっています。

痛みを強く感じる場合には、麻酔薬の塗布や冷却することなどで対応することがあります。

ヒアルロン酸注射の副作用はある?

ヒアルロン酸は元々体内にある物質で、数ヶ月から数年で完全に体内に吸収されます。安全性は高いですが、副作用が出る可能性もあります。主な副作用は、じんましんなどの発疹やかゆみ、浮腫、顔面発赤、腫脹、内出血などが挙げられています。

また、用いるヒアルロン酸製剤の品質によって副作用が異なります。2000年以前までの初期のヒアルロン酸製剤はアレルギー反応を起こすことがありましたが、2000年以降の製品はアレルギー対策がなされており、副作用が起こることはまれです。

ヒアルロン酸注射の弊害・リスクはある?

しわ治療などのために、皮下や真皮、骨膜上、筋肉内、靭帯内などに注入する手技が行われます。適切な施術が行われれば問題ありませんが、ヒアルロン酸注射の過剰な注入や誤った部分への注入によってバランスが崩れてしまう可能性はあります。

また、美容医療では、ヒアルロン酸製剤のうち、厚生労働省の承認を受けている薬と受けていない薬のどちらも使われています。必ずしも「未承認製剤である=危険」というわけではありませんが、合併症が起こった際には承認薬でなければ補償されないということも考慮しなければなりません。

ヒアルロン酸注射を受ける際の注意点

ヒアルロン酸注射を受けた後に内出血が2-3日目立つことがあり、それが目立たなくなるまで1-2週間程度かかります。そのため、大事な予定がある場合には、計画的に治療を受けることがすすめられます。

ヒアルロン酸は3ヶ月後から体内に吸収されて約2年後に完全に吸収されます。しかし、注入される部位や注入方法、個人の体質などによって吸収速度は異なり、完全に吸収されずに残って、しこりになってしまうことがあります。

しこりができてもその後に吸収されることもあるため、様子をみることは可能ですが、気になることがあれば施術を受けた医療機関に相談することをおすすめします。

ヒアルロン酸注射はどのくらい費用がかかるの?

保険適応のある疾患は、変形性膝関節症、肩関節周囲炎、関節リウマチにおける膝関節痛の3つが認められています。

変形性膝関節症の場合、ヒアルロン酸の両膝へ注射は、初診料や検査料、処方料などで変動はありますが、3割負担で3,000円から5,000円程度だと思われます。保険診療範囲内で治療が可能な疾患では、医療費控除の対象になります。

上記以外の部位への注射は、全て自由診療になります。

美容目的のヒアルロン酸注射は、自由診療であるため医療機関ごとに料金設定が異なること、施注部位や使う薬剤量によって費用は変動します。費用としては、上下振れ幅はありますが、1万円〜15万円程度が大まかな目安になると思います。

まとめ

ヒアルロン酸について説明しましたが、理解が深まりましたでしょうか?

ヒアルロン酸は、保険診療でも保険外診療(自由診療)でも幅広く使われる薬で、体の広い範囲で治療に使われています。美容目的のヒアルロン酸注射は人気があって気軽に受けられますが、注意点もあることから、事前に医師と十分に相談して治療を受けることをおすすめします。

この記事の監修ドクター

この記事の監修医師