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重大な病気の可能性も!? 頭痛の種類を知って正しい対策を!

 更新日:2023/03/27

この記事の監修ドクター:
鷹取 央 医師(たかとり内科院長)

風邪やストレスが原因でも生じる頭痛ですが、軽いものなら生活習慣や姿勢を改善すれば治る場合があります。

しかし、くも膜下出血・脳出血・緑内障といった重大な病気のサインでもある可能性もあるため、症状がひどい場合はためらわずにすぐ病院へ相談しましょう。

 さまざまな原因について

頭痛は、頭部の血管・筋肉・神経などがなんらかの理由で刺激を受けたり炎症を起こすことによって生じます。また、原因には様々なものがありますが、代表的なものとしてはストレスや風邪などが挙げられます。

 ストレス

日常生活や仕事などでストレスがあまりにも溜まり過ぎてしまうと、自律神経の一つであり身体が活動している時や緊張している時にはたらく交換神経が活発になります。

交感神経がはたらくと血管を収縮させてしまいますので、体中の血液の流れが悪くなります。

その結果として、脳の血管の老廃物が流されずに溜まっていき痛みを引き起こします。

また、極度の緊張状態から解放されることで交感神経が静まり副交感神経がはたらきだすと、血管が拡がって滞っていた血液の流れが復活します。

こうして一気に脳へ血液が流れ込むと血管が膨れ上がり、周囲の神経を刺激したり血管自体の内部が損傷したりすると痛みが起こる可能性があります。

デスクワークのお仕事をされている方は、長い時間座ったまま同じ姿勢を保っていると首や肩の筋肉が凝って血行が悪くなり、頭痛につながってしまうことがあります。

ストレス解消のためにも、適宜休憩を取って体を動かすようにするとよいでしょう。

 風邪

風邪をひいて発熱が生じている時なども頭部の血管が膨張してしまいますので、症状が起こることがあります。

このケースの場合は、患部を温めないように気を付けてください。お風呂への入浴は控えるようにして氷枕などで頭だけ冷やすようにしましょう。

 ひどい症状にお悩みの方は病院へ行きましょう

誰もが経験したことのある頭痛。ひとたび発生すると痛みに気を取られてしまい、家事やお仕事が思うようにできなくなってしまう厄介なものです。

ところが症状が出ている時は辛いものの、特に珍しいものではないため、ほとんどの方が病院にかかることもなく市販のお薬などで対処してしまっているようです。

特に最近では、早くよく効く市販薬が多く販売されていますので、病院へ通院までするのは大げさに感じてしまう方も少なくはないでしょう。

しかし、「たかが頭痛くらい」と侮ってはいけません。命に関わる病気が隠れている可能性もありますので、症状が心配な場合は迷わずに通院することをおすすめします。

病院を訪ねる際には、お住まいの地域にある病院の中からまずは専門的に診てもらえる【頭痛外来】に対応している医院を訪ねると良いでしょう。

 専門の先生に診てもらえる【頭痛外来

ここでは、症状が何によるものなのかを検査し診断を行ってくれる窓口です。

原因は多様にあるため、頭痛外来では神経内科・脳神経外科・内科・精神科など様々な医学分野の専門医の方が診療を受け付けています。

また、痛みを専門的に診療している『ペインクリニック』でも相談が可能です。

対応している医院をお探しの場合は、上記の診療科目に対応している医院に問い合わせるか、インターネットで「頭痛外来」をキーワードに検索する方法がおすすめです。

まず患者さんの頭痛が慢性的なものなのか、他の病気によってもたらされているものなのかを診断してもらえます。

慢性的なものと判断される場合はその痛み自体を抑える対策を取ってもらえます。一方、他の病気によって引き起こされている場合にはその病気の治療を行ってもらうことになります。

このように、「頭痛」という症状からいずれの診療科目の治療が必要になるかを判断してもらえるほか、病状によってはより適切な病院を紹介してもらえます。

 ご自宅でできる対処法

辛い頭痛の症状をご自身で和らげる対処法としては、薬の服用と体のツボ押しが挙げられます。以下にそれぞれについてご紹介します。

 薬の服用

症状にお悩みの方の中には、対症療法として市販薬を利用している方も多いのではないでしょうか?

近年市販薬のラインナップは充実してきており、速効性のあるものや胃への負担が軽いものなど様々なタイプの薬が販売されています。

手軽に手に入り効果も高いのが利点ですが、服用にあたっては気を付けなければならないことがいくつかあります。

以下に服用にあたっての注意点についてご説明しますので、服用の際に参考にしてみてください。

 眠気に注意

多くの頭痛薬は服用後に眠気を引き起こします。自動車や機械類の運転をされる方は服用を避けてください。

 中毒性と薬物乱用頭痛の危険

薬を飲むとそれまで苦しかった痛みが嘘のように引いていきます。それと同時に心地よい眠気に誘われ、さらにカフェインが含まれている薬の場合は興奮作用も相まって気分がよくなったように感じる方も多くいらっしゃいます。

こうした快楽性のある薬が癖になり軽い症状でもすぐに薬に頼るようになってしまうと、とても軽い症状でも痛みを感じやすくなる『薬物乱用頭痛』に陥ってしまう危険があります。

下記のような症状がある場合は薬の服用を中止してください。

・一カ月のうち15日以上痛みに悩まされている

・一カ月に10日以上頭痛薬を飲む日がある

・いつも飲んでいる薬の効き目が悪くなってきた

・頭痛の症状や痛む場所と痛みの質が変わる

日常的に服用していた薬をやめる時には、『離脱症状』という様々な弊害が現れることがあります。

常用していた薬を断薬した場合には激しい頭痛や吐き気などが起こる可能性がありますが、離脱症状への対処は必ず別の薬でおこなうようにしてください。

 頭痛に効くツボとは?

筋肉の凝りや血管の膨張が原因となぅて症状が起こることも多いので、それらをほぐすツボを押すことで症状を緩和させることができます。

体の凝りが原因で起こる頭痛を和らげるには、以下のツボ押しが効果的です。

・両耳と鼻の延長線が交わる『百会(頭頂部)』

・後頭部のくぼみと耳の後ろにある骨との中間にある『風池』

・首の骨の両外側にあるくぼみ『天柱』

・天柱の下にある『完骨』

・首と肩の中間にある筋肉の中心『肩井』

・こめかみにある『太陽』

・眉間にある『印堂』

血管の拡張によって起こるものには、以下のツボが効果的です。

・肘を曲げた時にできるシワから手首方向に指3本分のところにある『手三里』

・手の人差し指と親指の骨の分岐点から少し人差し指のほうにある『合谷』

・足先のくるぶしとアキレス腱の間にあるくぼみ『崑崙』

・足の小指と薬指の骨の分岐点にある『足臨泣』

後述する頭痛の種類と症状を参考に、適切な箇所のツボ押しをお試しください。

 頭痛にともない表れる症状

しばしば他の症状が伴われることがあります。

その代表的なものにはめまいと吐き気がありますが、これらの症状が併発している場合は危険な病気のサインである可能性があります。

ここからは、その他のめまいや吐き気がなぜともなって起こるのかについて、その原因をご紹介します。

 めまいと吐き気の原因

デスクワークなどで前傾姿勢や猫背の状態でいる時間が長い方は、本来ならばカーブしているはずの首の骨がまっすぐになってしまっている可能性があります。このように伸びてしまった首をストレートネックと呼びます。

ストレートネックになると頭の重さを首でうまく支えられなくなり、肩に負担が多くかかるようになって痛みを引き起こします。

さらにストレートネックによる首への負担が増大することにより脊髄にも負担がかかるようになってしまい、脊髄の中にある交感神経と副交感神経の切り替えが妨害されます。

こうした神経の圧迫によって、頭痛・めまい・吐き気などの症状が現れます。

また、多大な精神的なストレスも自律神経のはたらきを歪めてしまい、同様の症状を引き起こします。

 重大な病気の症状である可能性

経験したことがないほどの強い痛みとともにめまいや吐き気が伴われる場合は、下記のような重篤な病気が疑われますのですぐに病院で受診してください。

・くも膜下出血

・脳出血

・緑内障

突然激しい痛みのピークがすぐに来るような場合は、血管などが詰まったり破れたりしていることが疑われます。

このような症状が現れた場合は、救急車の要請もためらわないように普段から心がけておきましょう。

 部位別に見る頭痛

頭部のどこが痛いかによってタイプや推定される病気が異なります。

ここでは、頭痛の部位を後頭部・こめかみ・前頭部・目の奥にわけて、それぞれに疑われる病気などをご紹介します。

 後頭部

後頭部が締め付けられるように痛い場合は、筋肉の凝りからくる頭痛が考えられます。

一方、頭の頂部から後頭部にかけて頭皮付近がピリピリと痛む場合は、後頭神経痛の可能性があります。この場合、吐き気などの合併症はありません。普通は数日から1週間ほどで治ることが多いですが、長期間続く場合は医師へご相談ください。

後頭部から頭全体が激しく痛む場合は、くも膜下出血や脳腫瘍の疑いがあります。こうした症状が出た場合は、すぐに病院へ行ってください。

 こめかみ

頭の側頭部やこめかみが痛む場合は、血管の膨張による頭痛が考えられます。

また、左右片側だけが激しく痛む場合は緑内障の可能性もありますので、すぐに眼科を受診してください。

 前頭部

片側の前頭部が針で突かれたようにチクチクと痛む場合は、顔の神経である三叉神経痛の可能性があります。三叉神経痛では急に痛みが現れ、10秒ほど続きます。

三叉神経痛は神経の異常ですので、神経内科をご受診ください。

 目の奥

目の奥の方が痛い場合は、後述する片頭痛と群発頭痛の疑いがあります。こめかみと同様、片側のみ強い痛みが発生している場合は緑内障も考えられます。

 種類について

頭痛にはその原因によっていくつかあります。

原因が違えばその対策も違ってきますので、ご自身がどのタイプに当てはまるのかを知っておくことは、症状の解消のためにはとても重要なことです。

ここからは、下記の代表的な種類の特徴・考えられる原因・対策をひとつずつ見ていきましょう。

 緊張型頭痛

 特徴

痛む部位は後頭部中心で、締め付けられるような鈍痛が特徴です。

姿勢や生活習慣に起因するものですので、慢性的に起こります。

 原因

肩や首などの頭部付近の筋肉が緊張して血行が悪くなると、血管や筋肉に老廃物が溜まってしまい、神経に刺激を与えて症状が出てきます。緊張型頭痛は全体の要因の3割~7割ほどを占める、もっとも頻度の高いものです。

誘因因子は筋肉の凝りなどの身体的なストレスのほか、家庭や仕事での精神的なストレスによって神経や筋肉が緊張状態に置かれ続けることで発症します。

 対策

マッサージやストレッチなどで凝りをほぐし、温めて血行を良くすれば症状が緩和されますが、根本的に解決するためには「同じ姿勢で居続けないようにする」などといった生活習慣の見直しが必要です。

 片頭痛

 特徴

頭部の片側がズキズキと痛みます。また、前かがみの姿勢になるなどある動作をきっかけに痛みが強くなる特徴があります。

ギザギザとした形の光が見えてその内側が暗くなる・モザイク模様が2030分見えるなど、前兆として視界が悪くなることがあります。

片頭痛に悩まされる方の多くは光や音にとても敏感になってしまい、暗く物音のしない部屋でなければ落ち着けません。

 原因

原因ははっきりと解明されていませんが、片頭痛の特効薬や前兆現象の研究から下記のようなメカニズムが推定されています。

発作の際には、セロトニンと呼ばれる血管の収縮を調節する物質が減少することが分かっています。近年の研究では大脳の中にある片頭痛発生器がセロトニンの機能を低下させることで血管が膨張し、神経を圧迫して起こると考えられています。

また、セロトニンは不規則な生活習慣やストレス、運動不足によって不足がちになる傾向があります。

 対策

片頭痛は緊張型頭痛と比較すると痛みが強く、光や音に敏感になることから日常生活に支障をきたします。

そのため片頭痛が発生してしまった時には、投薬による症状の改善が急務となります。服用する薬は、鎮痛薬・解熱鎮痛薬・トリプタン系の薬剤が効果的です。

上記は対症療法的な対策ですが、原因に対して気を付けられることとしては睡眠不足・睡眠過多の防止やアルコールを飲まないなどといったことが挙げられます。

また、何をした時に発作が出たかを記録しておき、それを避けるように生活することも効果的です。

 混合型頭痛

 特徴

緊張型頭痛と片頭痛の両方が起こることを混合型頭痛と呼びます。

 原因

片頭痛を誘因するものには肩こりを起こすものが多く、肩こりによって緊張型頭痛をきたすため両方の特徴が症状として発生します。

 対策

緊張型頭痛の症状が出ている場合はマッサージなどを行い、片頭痛の症状が出ている時は喉元などを冷やすようにしてください。

両方の特徴をよく理解し、出ている症状に対して適切な対処をしなければ症状がひどくなってしまいますのでご注意ください。

たとえば、体をほぐすために全身を温めると血管が膨張して片頭痛が強くなり、首全体を冷やしてしまうと凝りが取れず、緊張型頭痛が強くなってしまいます。

両方の症状が出ている時には、身体的・精神的ストレスを緩和することをお考えください。

根本的な解決のためには、肩が凝りにくく自律神経が安定する規則正しい生活を心がけることが大切です。

 群発頭痛

 特徴

群発頭痛は、片頭痛よりもさらに痛みが強いです。

半年~2年ごとにあるまとまった期間中に、毎日痛みが出ることが特徴です。1日に12回痛みが出ますが、特に夜間に症状が出やすい傾向があります。

季節の変わり目に現れることが多く、飲酒や喫煙がきっかけになることもあります。

症状は片側の目の奥をえぐられるような痛みが15分~3時間ほど続き、目の充血・鼻づまり・鼻水を伴います。

 原因

目の奥にある、脳に血液を送るための動脈を保護している静脈の網が腫れることによって強烈な痛みが発生すると言われていますが、なぜ腫れるのかはわかっていません。

ホルモン異常・体内時計の狂い・遺伝・水痘ウイルスとの関連などが指摘されていますが、様々な要因が絡み合って発症すると考えられています。

 対策

患者さん自身が群発頭痛の起こりやすい時期や時間帯をしっかりと把握し、医師から予防薬を処方してもらうことが重要です。

ご自身でできることとしては、体内時計が狂わないように規則正しい生活をすることや、誘因因子である飲酒と喫煙を避けることなどがあります。

 まとめ

いかがでしたでしょうか?頭痛の種類や原因についてご紹介してきました。

日本人は4人に1人が頭痛持ちだと言われています。こうした症状に度々悩まされている方でも、薬などでその場をしのいで済ませてしまっていることが少なくないでしょう。

ですが、生活習慣や姿勢などを見直すことで原因を解消できるものも多くありますので、この記事でご紹介した方法をぜひ一度お試しください。

一方で、別の病気の症状の一つとして頭痛が起こることもあります。また、命の危険が潜んでいることもありますので、症状がひどい場合などはためらうことなく病院を頼るようにしてください。

鷹取 央 医師 たかとり内科 院長監修ドクターのコメント

まったく頭痛を経験したことがない人は少ないと思います。風邪をひいて熱がでた時、お酒を飲みすぎた翌朝の二日酔いなどなんらかの原因で経験したことがある方がほとんどでしょう。繰り返しおこる場合や、急に激しくおこる場合など他にもいろいろあります。
・突然の頭痛
・今まで経験したことがない痛み
・いつもと様子の違う痛み
・おこってからすぐにピークに達するような頭痛
・50歳を過ぎてから初めて痛みを感じたとき
・力が入りにくい、しびれる、目が見えにくいなどという症状を伴うもの
・ガンなどの病気をもっている方
・熱がある、首が痛い、首が曲げられないなどの症状を伴うもの
これらのなかで一つでも当てはまるような場合には至急受診して正確な診断を受けるほうがよいでしょう。
以前から同じような頭痛を繰り返している場合は慢性頭痛で生命の危険はないことが大部分です。片頭痛や緊張型頭痛が代表的です。最近はよい治療法もありますので、脳神経内科、脳神経外科、頭痛外来などを受診されるとよいでしょう。慢性頭痛でも、痛みが経過とともに悪化してくるような場合には脳腫瘍や慢性硬膜下血腫などの可能性もあります。
慢性頭痛症の中には難治性のものもあります。必ずしもすべてに対して完全に痛みを取れるような治療法があるわけではありません。使用可能な治療薬、治療法を駆使して、日常生活・仕事・家事・学業などへの悪影響を最小限にする努力を主治医と患者さんご自身が共同作業で進めていく必要があります。

 

監修ドクター:鷹取 央 医師 たかとり内科 院長



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