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「悪性リンパ腫のステージ分類」はご存知ですか?症状や種類についても解説!

 公開日:2023/12/01
「悪性リンパ腫のステージ分類」はご存知ですか?症状や種類についても解説!

悪性リンパ腫のステージはいくつに分けられるのか知っていますか?Medical DOC監修医が悪性リンパ腫の分類などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

  • ・悪性リンパ腫とは
  • ・悪性リンパ腫の症状
  • ・悪性リンパ腫のステージ

悪性リンパ腫の分類について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

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1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

悪性リンパ腫とは?

悪性リンパ腫は、血液関連のがんの一種で、リンパ系の組織だけでなく、リンパ以外の部位からも生じることが知られています。年間の発症率は、10万人当たり約10人とされており、この数字は我々の健康にとって重要な意味を持っています。この病気の特徴は、適確な診断を受け、専門的な治療を受けることで、回復を目指せます。そのため、早期発見と適切な治療選択が患者さんの命を救う鍵となります。

悪性リンパ腫の症状

悪性リンパ腫は血液のがんの一つとして知られ、初期段階では特有の症状が現れにくいことが特徴です。しかし、進行するとリンパ節の腫れや疲労感、発熱などの症状が現れることがあります。

初期症状

悪性リンパ腫の初期症状として、リンパ節の腫れが挙げられます。リンパ節は、リンパ球が集結する部位で、首や脇の下、足の付け根に位置しています。これらの部位が腫れ上がることがあり、その腫れた部分は触れても痛みを伴わず、硬さを感じることが特徴的です。特に胸や腹部内部のリンパ節が腫れる場合、外からはその変化を直接感じることが難しく、症状の発見が遅れることがあります。早期の段階での発見が重要となるため、体の変化には常に注意を払うことが求められます。

B症状

悪性リンパ腫に関連する症状の中で、「B症状」として知られる特定の症状群があります。これには、持続的な発熱、無意識の体重減少、夜間に強い寝汗をかくといった症状が含まれます。これらの症状が現れる場合、悪性リンパ腫の進行を示唆する可能性が高く、迅速な診断と治療が求められます。B症状は、悪性リンパ腫の活動性や進行度を示す重要な指標となるため、これらの症状に気づいた場合は、医師の診察を受けることが強く推奨されます。早期の段階での適切な対応が、治療の成功に繋がる鍵となります。そしてB症状がない場合はAに分類されます。

悪性リンパ腫のステージ

悪性リンパ腫は、その進行度や広がりに応じていくつかのステージに分類されます。このステージ分類は、病気の状態を正確に理解し、最も適切な治療戦略を選択するための重要な指標となります。

I期

悪性リンパ腫の進行度を示すステージ分類の中で、ステージI期は最も初期の段階を指します。この段階では、リンパ腫は一つのリンパ節群やリンパ組織に限局しており、他の部位への広がりは見られません。ステージI期の悪性リンパ腫は、早期発見と適切な治療により、良好な治療成果が期待されるケースが多いです。しかし、その症状は非常に軽微であるため、自覚症状が少なく、診断が遅れることもあります。この初期段階での発見と治療が、患者さんの予後を大きく左右するため、体の変化には敏感になることが重要です。

Ⅱ期

悪性リンパ腫のステージ分類において、ステージⅡ期は病気の進行を示す重要な段階となります。このステージでは、横隔膜を境にして、上部または下部のどちらか一方に、二つ以上のリンパ節領域やリンパ組織に病変が認められます。つまり、病変は一つの場所に限定されているステージI期よりも広がりを見せていますが、全身に広がっているわけではありません。このステージⅡ期の悪性リンパ腫は、早期の治療介入により、治療の成功率が向上する可能性があります。しかし、病変の広がり具合によっては、治療戦略の選択や予後が変わることもあるため、正確な診断と適切な治療が不可欠です。

Ⅲ期

悪性リンパ腫の進行度を示すステージ分類の中で、ステージⅢ期はさらに進行した段階を示します。このステージでは、横隔膜を中心に、その両側、すなわち上部と下部の両方にリンパ節領域やリンパ組織に病変が確認される状態を指します。この段階での病変は、体内の広範囲にわたって広がっていることを示しており、治療のアプローチも複雑になる可能性があります。ステージⅢ期の悪性リンパ腫は、治療の選択や進行度による予後の違いが顕著になるため、専門的な医療チームの判断と対応が求められます。早期の診断と適切な治療戦略の選択が、患者さんの生存率や生活の質を向上させる鍵となります。

Ⅳ期

悪性リンパ腫のステージ分類におけるⅣ期は、病気の最も進行した段階を示しています。このステージでは、リンパ節だけでなく、その他の主要な臓器への浸潤が確認されることが特徴です。具体的には、骨髄や肝臓といった生命維持に不可欠な臓器に病変が生じている状態を指します。ステージⅣ期の悪性リンパ腫は、病気の進行とともに体全体に影響を及ぼす可能性が高まり、治療のアプローチもより緻密で集中的なものが求められます。この段階での早期の診断と専門的な治療戦略の選択は、患者さんの生存や生活の質の向上に直結するため、非常に重要となります。

悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫は、その発生源や特性によって多くの種類に分類される血液がんの一つです。これらの種類ごとに病態や治療法が異なるため、正確な診断は治療の成功に不可欠です。

ホジキンリンパ腫

ホジキンリンパ腫は、ホジキン博士によって初めて特定された特異的な悪性リンパ腫の一種です。全体のリンパ腫の中で、このホジキンリンパ腫は約5-10%の割合を持っています。ホジキンリンパ腫はその特有の細胞や病態が特徴であり、治療や予後にも独自の特性があります。この記事では、ホジキンリンパ腫の特徴やその重要性について深く探ることを目指します。

非ホジキンリンパ腫

非ホジキンリンパ腫は、多様なタイプが存在する悪性リンパ腫の一群であり、50種類以上のサブタイプが確認されています。病気の進行速度に基づいて、主に三つのカテゴリーに分類されます。それは、低悪性度群(年単位で進行するタイプ)、中等度悪性群(月単位で進行するタイプ)、高悪性度群(週単位で急速に進行するタイプ)です。これらの分類は、治療の緊急性や戦略を決定する際の重要な指標となります。

非ホジキンリンパ腫の3つの分類

非ホジキンリンパ腫は、その進行速度や特性に基づき、三つの主要なカテゴリーに分類されます。これらの分類は、治療の方針や予後を理解する上で極めて重要です。

低悪性度リンパ腫

低悪性度リンパ腫は、多くの場合、年単位でゆったりとしたペースで進行する特徴があります。経過観察というアプローチを選択することも一般的です。

B細胞性

低悪性度リンパ腫B細胞性は、非ホジキンリンパ腫のサブタイプの一つで、Bリンパ球から発生するものとして知られています。このカテゴリには、いくつかの特定のタイプが含まれます。その中で、慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫やリンパ形質細胞性リンパ腫、脾辺縁帯リンパ腫、そしてMALTリンパ腫として知られる粘膜関連リンパ組織型節外性辺縁帯リンパ腫などが挙げられます。また、節性辺縁帯リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫もこのグループに分類されます。これらのリンパ腫は、進行が緩やかで、特有の臨床的特徴や治療戦略が存在します。

T細胞性

低悪性度リンパ腫T細胞性は、非ホジキンリンパ腫の中でもTリンパ球から発生する特定のサブタイプを指します。このカテゴリには、いくつかの独特なタイプが存在します。T細胞大型顆粒リンパ球性白血病や、成人T細胞白血病/リンパ腫の中でも特にくすぶり型や慢性型の一部がこれに該当します。さらに、皮膚に関連する疾患として、菌状息肉症やセザリー症候群、そして原発性皮膚未分化大細胞型リンパ腫もこのグループに分類されることが多いです。これらのリンパ腫は、T細胞性であることから独自の臨床的特徴や治療のアプローチが必要とされます。

中悪性度リンパ腫

非ホジキンリンパ腫の中で特に進行が週から月単位と速やかなタイプとして知られています。

B細胞性

中悪性度リンパ腫B細胞性の中で、特に注目されるのが「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」です。このリンパ腫は、Bリンパ球から発生する非ホジキンリンパ腫の一つとして知られ、その名の通り、細胞が大型でびまんに分布する特徴を持っています。進行が速やかで、一度診断されると迅速な治療が必要とされることが多いです。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、その特有の細胞形態や病態が特徴であり、治療のアプローチも独特となります。このリンパ腫の正確な診断と適切な治療戦略は、患者さんの生存率や生活の質の向上に直接関わるため、非常に重要です。

T細胞性

T細胞性中悪性度リンパ腫とは、T細胞と呼ばれる免疫細胞の一種ががん化したリンパ腫の一群です。T細胞は体内の異物や感染症などに対抗する役割を果たしますが、異常に増殖したり、正常な働きを失ったりすると、リンパ節や臓器などに腫瘍を形成します。
特に、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型、腸症関連T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、肝脾T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫、節外性NK/T細胞リンパ腫・鼻型、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫などが知られています。末梢性T細胞リンパ腫・非特定型は最も多いタイプで、全身のリンパ節や皮膚、肝臓、脾臓などに発生します。原因は不明ですが、遺伝的な変異やウイルス感染などが関係している可能性があります。

高悪性度リンパ腫

高悪性度リンパ腫は、日から週単位で急速に進行する特徴を持つ非ホジキンリンパ腫の一種です。このリンパ腫の進行は非常に速やかで、患者さんは入院と治療を必要とすることが多いです。

B細胞性

高悪性度リンパ腫B細胞性は、非ホジキンリンパ腫の中でも特に急速に進行するタイプの一つとして知られています。その中でも、バーキットリンパ腫/白血病は特筆すべき疾患として位置づけられます。バーキットリンパ腫は、B細胞由来の高悪性度リンパ腫であり、特にアフリカや他の地域での小児を中心とした発症が知られています。このリンパ腫は、特有の染色体変異を持ち、非常に急速に増殖する細胞から成るため、迅速な治療が求められます。また、白血病としての形態を取ることもあり、その場合は骨髄や血液に影響を及ぼすことが一般的です。

T細胞性

高悪性度リンパ腫T細胞性は、NK細胞白血病の一形態で、特に急速な進行性を示す種類です。この疾患は、自然殺傷細胞(NK細胞)が異常に増殖し、悪性化することに起因します。高悪性度リンパ腫T細胞性の治療は、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植など多岐にわたります。早期診断と治療が極めて重要です。しかし、この疾患は進行が速く、治療が難しいこともあり、予後は挑戦的です。研究と治療法の進展が待たれています。患者さんと家族へのサポートも不可欠で、医師のケアが必要です。

「悪性リンパ腫のステージ」についてよくある質問

ここまで悪性リンパ腫のステージを紹介しました。ここでは「悪性リンパ腫のステージ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

悪性リンパ腫Ⅳ期のステージになると完治は難しいですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

悪性リンパ腫が第Ⅳ期に進行すると、治療の難度は増加しますが、必ずしも完治が不可能ではありません。第Ⅳ期の悪性リンパ腫は、がん細胞がリンパ節以外の臓器や組織にも広がっている状態を指します。治療計画は個々の症例により異なり、多くの要因に左右されます。治療は通常、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植などの組み合わせで行われます。さらに、新たな治療法の開発も進行中であり、希望をもつことはできます。完治の可能性はケースバイケースで異なりますが、早期診断と適切な治療によって、一部の患者さんは長期間の寛解を達成できます。医師の指導の下で、個々の状況に応じた適切な治療計画を策定することが重要です。

ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の違いを教えてください。

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

ホジキンリンパ腫は、特定の異常な細胞である「スターンベルク・レーディ・ハージ細胞」を特徴とします。一方、非ホジキンリンパ腫は、さまざまなリンパ球型細胞やB細胞、T細胞、NK細胞など、多様な細胞型に由来することがあります。最近の進展により、ホジキンリンパ腫に対する免疫療法(PD-1阻害薬など)が期待できることが明らかになっています。非ホジキンリンパ腫にも免疫療法が一部で使用されていますが、ホジキンリンパ腫への応用が特に注目されています。
これらの違いにもかかわらず、どちらの疾患も早期発見と適切な治療が鍵となり、医師のケアが必要です。

編集部まとめ

ここまで悪性リンパ腫のステージについてお伝えしてきました。
悪性リンパ腫のステージの要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・悪性リンパ腫は、血液関連のがんの一種で、リンパ系の組織だけでなく、リンパ以外の部位からも生じる。
  • ・悪性リンパ腫の初期症状として、リンパ節の腫れが挙げられ、「B症状」では、持続的な発熱、無意識の体重減少、夜間に強い寝汗をかくといった症状が現れる。
  • ・悪性リンパ腫は、「I期」「Ⅱ期」「Ⅲ期」「Ⅳ期」に分けられ、進行していくとリンパ節だけでなく、その他の主要な臓器への浸潤が確認される。

「悪性リンパ腫の症状」と関連する病気

「悪性リンパ腫の症状」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

病気

悪性リンパ腫の症状と同じような症状をおこす病気もこれほどあります。なかなか自己判断は難しいので、症状が続く場合はぜひ一度医療機関を受診してください。

「悪性リンパ腫の症状」と関連する症状

「悪性リンパ腫の症状」と関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 疲労感
  • 体重減少
  • 免疫不全

これらの症状が当てはまる場合には、悪性リンパ腫などの異常の有無を確認するべく、早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師