FOLLOW US

目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. MedicalDOC(医科)
  3. 「骨肉腫の末期症状」はご存知ですか?ステージ・検査・治療法も解説!【医師監修】

「骨肉腫の末期症状」はご存知ですか?ステージ・検査・治療法も解説!【医師監修】

 公開日:2023/12/02
「骨肉腫の末期症状」はご存知ですか?ステージ・検査・治療法も解説!【医師監修】

骨肉腫の末期の症状をご存じですか?Medical DOC監修医が骨肉腫の末期の症状や骨肉腫のステージや検査方法、治療などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。本記事では、骨肉腫の末期の症状について以下の点を中心にご紹介します!

  • ・骨肉腫とは
  • ・骨肉腫の症状
  • ・骨肉腫のステージ

骨肉腫の末期の症状について理解するためにもご参考いただけると幸いです。ぜひ最後までお読みください。

小倉 浩一

監修小倉 浩一

プロフィールをもっと見る
東京大学医学部卒業、現在は国立がん研究センター中央病院勤務 / 専門は整形外科、サブスペシャリティーは骨軟部腫瘍(骨肉腫などからがんの骨転移まで広く診療)

骨肉腫とは?

骨肉腫は、骨に発生する悪性の腫瘍で、全ての骨がんの中で最も一般的に見られるタイプです。
年間の発症者数は日本で約200人と、がん全体から見ると稀な疾患です。
特に10代の中学生や高校生の年齢層での発症が多い一方、40歳以上の成人でも3割程度の発症が確認されています。
膝の周辺や肩、股関節に近い部分など、骨が急速に成長するエリアでの発症が多いのが特徴です。
初期の症状としては痛みが挙げられるが、骨の変化がレントゲンで確認できるまで症状が現れないこともあります。
治療に関しては、抗がん剤治療や手術が主な方法として取り入れられており、放射線治療の効果は限定的とされています。
また、骨肉腫は転移しやすい性質を持っており、重症の症状として肺への転移が多いとされています。
しかし、早期の段階での治療や転移巣の手術的除去により、一定の治癒が期待される場合もあります。

骨肉腫の症状(初期〜重症まで)

骨肉腫は末期になるにつれどのような症状が出るのでしょうか?

痛み・腫れ・熱感

骨肉腫は、初期段階では特有の症状が現れないことがあるものの、多くのケースで痛み、腫れ、またはほてりを伴うことが知られています。
これらの症状は時間とともに増強する傾向があります。
病気の初期には、活動中に軽い痛みを感じることが多いですが、病状が進行すると休息時でも痛みが生じ、歩行に影響が出ることも考えられます。
痛みや腫れが数ヶ月から半年ほど続く場合、整形外科や骨腫瘍の専門家に相談することを推奨します。

骨折

骨肉腫が末期まで進行すると、骨の強度が低下し、些細な外傷での骨折のリスクが高まります。
このような骨折を原因として、医師の診察を受ける中で骨肉腫が検出されるケースも少なくありません。
ただし、骨肉腫に関連する骨折は、治療の複雑さを増す可能性があるため、骨肉腫を疑う兆候が見られた場合は、早期の医療機関の受診が推奨されます。
骨肉腫の診断が確定するまで、大腿骨や脛骨などの部位に過度なストレスをかけないよう、安静を保つことや、日常での松葉杖の使用などの対策が考慮されるべきです。

その他の症状

骨肉腫の患者の中で、診断の段階で既に肺への転移が確認されるケースが10~20%程度存在すると言われています。
多くの場合、肺転移は無症状で進行しますが、病状が進むと呼吸に関する問題が生じる可能性があるため、慎重な観察が求められます。
また、骨肉腫の診断や治療の過程で、血液検査においてアルカリフォスファターゼ(ALP)の数値が高くなることが確認されることがあります。
この酵素は、肝臓や骨の異常、さらにはがんの存在を示す指標として利用されることが多いです。
特に、骨にダメージがあると、この数値が上昇することが知られています。
骨肉腫の治療効果や再発、転移の確認の際にも、アルカリフォスファターゼの数値が参考にされることが一般的です。

骨肉腫の病期(ステージ)

骨肉腫のステージについて解説します。
骨肉腫は特定の悪性骨腫瘍のカテゴリーに属し、その病期やステージの分類は、原発性悪性骨腫瘍と同様の基準に基づいています。
この分類には、腫瘍のサイズ、リンパ節への影響、そして遠隔部位への転移を考慮した「TNM分類」と、手術時の原発腫瘍の評価に使用される「サージカル・シテージング・システム」の2つの方法が含まれています。
軽度から末期の症状まで解説します。

TNM分類

I A期: 腫瘍の大きさが 8cm以下で、悪性度が低く、転移がない。
I B期: 腫瘍の大きさが 8cmより大きく、悪性度が低く、転移がない。
II A期: 腫瘍の大きさが 8cm以下で、悪性度が高く、転移がない。
II B期: 腫瘍の大きさが 8cmより大きく、悪性度が高く、転移がない。
III期: 原発腫瘍と同じ骨の中に転移がある。
IV A期: リンパ節への転移はなく、肺へ転移している。
IV B期: リンパ節への転移がなく、遠隔転移している。または肺以外の場所に遠隔転移がある。

サージカル・ステージング・システム

I A期: 悪性度の低い腫瘍が骨の中だけにあり、転移がない。
I B期: 悪性度の低い腫瘍が骨の外へ広がっているが、転移はない。
II A期: 悪性度の高い腫瘍が骨の中だけにあり、転移がない。
II B期: 悪性度の高い腫瘍が骨の外まで広がっているが、転移はない。
III期: 遠隔転移がある。

骨肉腫の検査・診断

骨肉腫の検査方法や診断方法について紹介します。
末期の症状が出る前に検査しましょう。

画像診断

骨肉腫の診断には、いくつかの画像検査が主に用いられます。
最初のステップとして、単純X線検査が行われ、骨肉腫特有の変化を確認します。
この検査では、骨が破壊されたり、不規則な形の新しい骨が形成されたりする様子を捉えられます。
しかし、骨の外側に広がる腫瘍の部分はX線では詳細には確認できないため、MRIやCT検査が追加で行われます。
MRIは軟部組織の詳細な画像を提供し、腫瘍の広がりや性質をより詳しく調べるのに役立ちます。
全身の転移を調査するためには、全身CT検査や骨シンチグラフィ検査が実施されることが一般的です。
最近では、PET検査も転移の確認手段として選択されることが増えてきました。
最終的な確定診断は、組織を採取しての組織診断によって行われます。

血液検査

肉腫の診断において、血液検査は一部の情報提供に役立ちますが、特定の腫瘍マーカーが存在するわけではないため、血液検査だけでの診断は難しいです。
骨肉腫の場合、アルカリホスファターゼ(ALP)の数値が上昇することがあるものの、これは骨肉腫特有のものではなく、特異的な指標とは言えません。
特に、骨の成長が活発な小児では、ALPの数値は元々高い傾向があります。
血液検査の主な目的は、治療の副作用の監視や患者の全体的な健康状態の確認に用いられます。

病理検査

骨肉腫の確定診断は、病理組織検査によって行われます。
画像検査で肉腫の可能性が指摘された場合、迅速に組織検査が推奨されます。
この検査には、針生検と切開生検の二つの主要な方法が存在します。
針生検は、特別な針を使用して腫瘍から組織を採取する手法で、手軽に外来で実施できるものの、取得できる組織の量が限られるため、診断が難しい場合もあります。
一方、切開生検は、腫瘍部位を直接開いて組織を採取する方法で、より詳細な診断が可能ですが、麻酔や入院が必要となることが多いです。
腫瘍の特性や患者の状態に応じて、最適な方法が選択されます。
しかし、病理診断は複雑で、時には専門家間の意見交換が必要となることもあります。
当該診断は、患者の治療方針を決定する上で非常に重要なステップとなります。

骨肉腫の治療

骨肉腫の軽度から末期までの症状を改善するための治療法について解説します。

手術療法

骨肉腫の治療において、手術は主要な役割を果たします。
手術の基本的な目的は、腫瘍を健康な組織とともに完全に取り除くことです。
この方法を「広範切除」と称します。
腫瘍の位置や大きさによっては、手足の重要な血管や神経を保護しながら手術を行うことが可能で、その結果、切断を避けられる場合もあります。
骨肉腫は特に成長期の子供において、骨の成長部分に近接して発生することが多く、完全な切除が難しい場合があります。
特に身長がまだ伸びる子供の場合、手術後の成長の不均衡が問題となることがあります。
そのため、一部の患者には、義足の使用や特殊な手術法、例えば「回転形成術」が適用されることがあります。
近年の技術進歩により、成長する骨を模倣する人工関節や骨を伸ばす手術が開発され、若い患者にも手足を保持する選択肢が増えてきました。

薬物療法

1970年代前半まで、骨肉腫の治療は主に手術に頼っていましたが、その結果、多くの患者が再発していました。
現代の治療アプローチでは、手術の前後に化学療法を組み込むことで、再発のリスクを大幅に減少させ、治療の成功率を向上させています。
一般的な治療プロトコルとしては、2~3ヶ月の化学療法の期間を経て、広範切除手術と骨の再建を行います。
その後、さらに数ヶ月間の化学療法が続きます。
主に使用される抗がん剤は、メトトレキサート、シスプラチン、アドリアマイシンの3つで、場合によってはイホスファミドも追加されることがあります。
これらの薬の選択や組み合わせは、国際的にも共通しており、新しい薬の有効性についての研究が続けられています。
これらの薬物療法には副作用が伴います。
一般的なものとして、吐き気、嘔吐、疲労感、口内炎、白血球の減少などが挙げられます。
特定の薬には、シスプラチンには腎臓や聴覚への影響、アドリアマイシンには心臓への影響があるため、これらの健康状態を定期的にチェックすることが必要です。
また、シスプラチンやイホスファミドは生殖機能に影響を及ぼす可能性があり、特に男性の不妊リスクが高まることが知られています。
このため、治療を受ける思春期以降の男性患者には、精子の保存オプションについての情報提供が行われることが一般的です。

放射線療法

術後放射線治療:腫瘍の切除後、病理検査が行われ、腫瘍細胞が切除縁近くに存在する場合や神経や血管を腫瘍から保護した場合に放射線治療が行われることがあります。
しかし、肉腫に対する放射線治療の効果には明確な根拠が少ないため、十分な切除が可能であると判断された場合は放射線治療は施行しない方針となります。
腫瘍細胞が切除端から1㎝以内に存在する場合に治療を検討します。
重粒子線治療:切除が困難な骨軟部肉腫の症例に対して、重粒子線治療の適応を検討することがある。
重粒子線治療は、副作用が少なく、高い線量を照射できるため、肉腫に対しても効果が期待される。
しかし、切除が可能な腫瘍に対しては、まず切除を推奨し、切除が困難な場合や大きな機能障害が生じる場合などに重粒子線治療を検討します。
骨肉腫の放射線治療の特性:骨肉腫は放射線治療が効きにくい腫瘍とされている。
しかし、腫瘍の位置や大きさによっては、手術前後の補助治療として放射線治療が行われることがあります。
特に、脊椎や骨盤などの切除が困難な部位に発生した場合、粒子線治療(陽子や炭素イオンなどの粒子放射線)が検討されることがあります。
これらの情報を基に、骨肉腫の放射線治療は症例や腫瘍の位置、大きさに応じて適切に選択されるべきであり、最新の治療法や技術を活用して最良の治療を目指すことが重要であると言えます。

骨肉腫の受診目安

骨肉腫の症状は、成長の痛みやスポーツによる筋肉や靱帯のダメージ、骨の変わった形状など、他の健康問題と混同しやすいとされています。
そのため、正確な診断を下すためには専門家の意見と適切な検査が必要です。
もし、数ヶ月以上持続する痛みや、特定の運動をしていないのに痛みが出る、または腫れるような症状がある場合、骨肉腫や他の疾患の可能性を考慮して、医師のアドバイスを求め、検査を受けることを推奨します。

骨肉腫についてよくある質問

ここまで骨肉腫の症状を紹介しました。ここでは「骨肉腫の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

骨肉腫が進行すると最も一般的に見られる症状は何ですか?

小倉 浩一小倉 浩一 医師

時間とともに骨や関節の痛みが悪化します。最初は運動後の痛み程度であっても、病気が進むと安定時でも痛いことがあります。また、腫瘍のある部位の腫れが現れることがあります。また、骨肉腫により骨の強度が弱くなることで、軽微な外傷であっても骨が折れることがあります。さらに、腫瘍が骨盤や脊椎に位置している場合、背中の痛みや排便や排尿のコントロールの喪失などの症状が非常にまれに発生することがあります。

骨肉腫の症状の進行に伴い、日常生活での制限や困難はどのようなものが考えられますか?

小倉 浩一小倉 浩一 医師

骨肉腫の進行に伴う骨や関節の痛みの悪化は、歩行や日常活動の困難、腫瘍の位置や大きさに起因する関節の動きの制限、痛みや腫れ、骨折による自己ケア活動(着替えや入浴)の困難、重度の痛みによる睡眠の質の低下、そして外出や社交活動の制限を引き起こす可能性があります。

編集部まとめ

ここまで骨肉腫の症状についてお伝えしてきました。骨肉腫の症状の要点をまとめると以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・骨肉腫は、骨に発生する悪性の腫瘍で、全ての骨のがんの中で最も一般的に見られるタイプである
  • ・骨肉腫の症状には痛み・腫れ・熱感や骨折などがあり、末期になると肺などへ転移する場合がある
  • ・骨肉腫のステージはTNM分類やサージカル・ステージング・システムを用いられる

「骨肉腫の症状」と関連する病気

「骨肉腫の症状」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

  • スポーツ障害
  • 関節炎
  • 変形性関節症

多くの疾患が骨肉腫と似た症状、例えば痛みや腫れを示すため、症状だけを頼りに自己診断するのは推奨されません。骨肉腫が進行すると、骨が脆くなり、結果として病的な骨折が生じる可能性が高まります。このような骨折が発生すると、治療の選択肢が限られることがあります。そのため、他のがん種と同じく、骨肉腫の早期診断と治療は非常に重要です。

「骨肉腫の症状」と関連する症状

「骨肉腫の症状」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 関節痛
  • 皮膚腫瘍
  • 病的骨折
  • 背痛
  • 排泄障害
  • 関節機能障害
  • 睡眠障害

骨肉腫の早期診断と治療は、他のがんと同じく非常に大切です。しかし、骨肉腫は稀な疾患であるため、痛みや腫れといった症状が必ずしも骨肉腫を意味するわけではありません。不安を感じる前に、他の病気の可能性も考え、整形外科の専門家に相談することを推奨します。