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【闘病】頭痛・肩こり・倦怠感が難病「IgG4関連疾患」によるものだったとは…

 更新日:2024/04/26
【闘病】頭痛・肩こり・倦怠感が難病「IgG4関連疾患」によるものだったとは…

IgG4関連疾患とは、免疫に関係する機能に異常が起こり、全身に様々な症状が現れる病気です。この病気を患ったマッカーシー 千秋さんに、実際にどのような症状が起こり、どのような治療行ってきたかなど、これまでの話を聞かせてもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年11月取材。

マッカーシー 千秋さん

体験者プロフィール
マッカーシー 千秋さん

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家族と3人で暮らす50代の女性。2021年に体のだるさを感じ、かかりつけの医師に相談したところ耳鼻科受診を勧められた。総合病院の耳鼻科でIgG4関連疾患と診断を受け、その後は内科で治療と経過観察となった。現在もステロイドを内服しながら、以前と変わりのない生活を過ごしている。

副島 裕太郎

記事監修医師
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

最初は倦怠感や頭痛がきっかけだった

最初は倦怠感や頭痛がきっかけだった

ステロイドの副作用で顔がむくんでいたときの写真

編集部編集部

最初に、マッカーシーさんが経験した「IgG4関連疾患」とはどのような病気なのか教えていただけますか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

IgG4関連疾患と言われても、聞いたことがない人のほうが多いかと思います。IgG4関連疾患は、IgG4という細菌やウイルスなどの病原体に抵抗する免疫に関係するたんぱく質の一種が異常をきたし、正常な細胞や臓器に攻撃を加える自己免疫疾患です。白血球が病原体を攻撃する際は、IgG4が目印となり、体に良くないものへ攻撃を行います。それが正常な箇所にも攻撃を始め、臓器や涙腺、唾液腺が腫れて様々な症状を引き起こします。

編集部編集部

マッカーシーさんの場合はどのような症状があったのですか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

私の場合は頭痛、肩こり、倦怠感を感じていたところ、首の辺りが膨らんでいることに気付きました。私はその10年ほど前に甲状腺機能亢進症を発症していましたので、再発の不安もあり、かかりつけの医師に体調の相談をしました。

編集部編集部

病院ですぐにIgG4関連疾患と判明したのですか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

かかりつけの医師に診てもらうと、耳鼻科に行くよう勧められ、次の日に耳鼻科へ行ったところ、今度は総合病院への紹介してもらうことになりました。耳鼻科でも「IgG4関連疾患のようだ」と聞かされていたのですが、総合病院の内科の血液検査でIgG4関連疾患と診断されました。

編集部編集部

医師からは病気についてどのような説明と治療が提案されたのですか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

IgG4関連疾患は難病であることの説明がありました。また、私は唾液腺がかなり膨らんでいたので、最初はステロイドを1日3回服用していきましょうとのことでした。治療内容については、2021年8月31日からプレドニン錠5ミリグラムを朝3錠・昼2錠・夕方1錠でスタートしました。

編集部編集部

ステロイドは現在も飲まれているそうですね。

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

血液検査もしながら、同年10月頃から朝3錠・昼2錠、12月頃から朝1錠・昼1錠、2021年の年末ごろからは朝1錠に減らし、現在は朝1錠のプレドニンで症状が抑えられています。

編集部編集部

ステロイドによる副作用で悩まされることはありますか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

飲み始めて最初の数カ月は夜中に何度も目が覚める日々が続きました。ほかにもステロイドの副作用のせいで顔がむくんでいると感じることはあります。

編集部編集部

現在はどのくらいのペースで病院に通っているのですか。

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

現在は内科の先生に3カ月に1度血液検査を行ったうえで、診察していただいています。

内服薬で仕事を続けられていることに感謝

内服薬で仕事を続けられていることに感謝

編集部編集部

現在の体調はどのような状態ですか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

治療のおかげもあって幸いなことに、発症してから今まで日常生活はほぼ変わりなく過ごせています。私は塾で英語講師をしているのですが、そちらも問題なく続けられているので感謝しかありません。ステロイドを飲み始めた頃は副作用もありましたが、用量を減らしてからはそれもなくなりました。ただ1点だけ、2023年の8月頃から免疫低下の影響で口の中の腫れに悩まされています。

編集部編集部

それもステロイドが影響しているのでしょうか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

原因ははっきりとはわからないのですが、内科の先生によると胃液が逆流し、口の中にも影響しているのではないかとおっしゃっています。現在は下の歯の端にマウスピースをはめて、腫れや痛みへの対策を取っています。

編集部編集部

マウスピースはいつ頃から付けているのですか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

11月頃からです。上顎や舌の痛みが良くならないため、口腔外科の先生に診ていただいたところ、内側に伸びた歯が舌にあたって痛みが出ているとのことでした。胃液の逆流による影響もあるのかもしれませんが、まずはマウスピースで痛みの軽減になるか試してみようとの説明でした。

編集部編集部

今までの日常生活とほぼ変わりないとのことでしたが、多少の変化が表れているのですね。

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

そうですね。マウスピースは食事の時以外はほとんど着用し、1カ月ほどで舌の腫れも少なくなってきたようです。腫れや痛みは軽減されているのですが、英語講師として話す仕事をしていますから、マウスピースが煩わしく感じる時もあります。

支えてくれている家族、治療に当たってくれている医師に感謝している

支えてくれている家族、治療に当たってくれている医師に感謝している

編集部編集部

マッカーシー千秋さんの経験を通して、医療従事者の方に伝えたいメッセージはありますか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

感謝の気持ちです。私を担当している内科の先生はもちろん、関わってくれたほかの先生方にも感謝しています。IgG4関連疾患はステロイドの内服を止めると50%が再発するそうですから、今後さらに良くなり、再発もないように治していただけるととても嬉しいです。

編集部編集部

治療を続けていくうえで、気持ちを支えてくれているものは何ですか?

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

やはり家族と仕事があることです。家族は何も言わず、いつも通りに見守ってくれています。おかげでIgG4関連疾患という難病と言われる病に罹っていても、それを大げさに考えずに済んでいるように思います。私自身、家族の世話ができることに感謝しています。

編集部編集部

最後にマッカーシー千秋さんから記事の読者へメッセージをお願いします。

マッカーシー 千秋さんマッカーシーさん

私は小さい頃から兄弟、家族の中でも体が弱く、様々な病気に罹ってきました。その度に「家族じゃなくて私で良かった」と思うようにしていました。そのおかげで、難病になっても諦めずに前向きになり、今も治していこうという気持ちを持って生活しています。思いがけない病気になってしまい、辛い時を過ごしている方もいるはずです。しかし、自分を助けてくれる人が必ずいるという気持ちで、勇気を出して行動することが大切だと思います。

編集部まとめ

IgG4関連疾患は国の指定難病にも入っており、2020年時点で国内の推定患者数は約8000~1万5000人とされています。平均発症年齢は60代とやや高く、病気を経験したことのない中高年の方も油断できない疾患です。生命予後は非常に良いとされますが、免疫異常によって様々な症状が現れるため、少しでも異変を感じたら早めに病院受診することが大切です。

なお、Medical DOCでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

この記事の監修医師