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体位変換のコツを看護師が解説! 床ずれを防ぐために知っておくべきこととは?

 更新日:2023/03/27
体位変換のコツを看護師が解説! 床ずれを防ぐために知っておくべきこととは?

在宅介護をしている方は、「床ずれ予防に体位変換をしないといけない」と、耳にしたことがあると思います。しかし、やり方もいまいちピンとこないしやる理由もよく分からない、という方は多いようです。また、大人の体位変換を行うのは難しく、介助している側が腰を痛めることもよくあります。そこで体位変換の必要性とコツについて看護師の高久さんに解説していただきました。

高久 容子

監修看護師
高久 容子(看護師)

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新聞社で事務の仕事に従事したのちに、看護専門学校へ入学し、資格取得。現在は、育児の傍ら応援ナースとして、訪問入浴やデイサービスで働いている。「ご利用者が自分で選択できる」をモットーに看護師として啓蒙活動中。

床ずれを防ぐためには体位変換が必要

床ずれを防ぐためには体位変換が必要

編集部編集部

始めに床ずれが起こる原因について教えてください。

高久 容子さん高久さん

床ずれは、体の一部分に長時間圧力がかかることで起こります。長時間圧がかかると、血流が悪くなり、皮膚や筋肉に栄養が行き届かなくなることが床ずれの主な原因です。また、体の向きを変える時やおむつ交換時に生じる「ずれ」や「摩擦」も原因です。

編集部編集部

床ずれができると皮膚はどうなりますか?

高久 容子さん高久さん

皮膚が赤くなります。一時的に皮膚が赤くなることはよくありますが、床ずれによる赤みは長時間赤いままです。これは血管が破れ、血液が漏れ出してしまっていることが原因です。ほかには、水ぶくれができたり、皮むけができたりすることもあります。

編集部編集部

よくできる場所はどこですか? 体のどこを観察すればいいですか?

高久 容子さん高久さん

寝ている時に圧力のかかるところ、骨が出っ張っているところによくできます。仰向けだと、頭の後ろ、背中、おしり、かかとが好発部位です。寝ている体の向きによっては、くるぶしの外側、耳も要注意です。

編集部編集部

予防するためにはどうすればよいですか?

高久 容子さん高久さん

体位変換を正しく行うことが重要です。また、皮膚がふやけていたり汚れていたりすることも要因のため、おむつ交換を適宜行い、清潔に保つことも予防につながります。

体位変換は床ずれの防止に効果がある

体位変換は床ずれの防止に効果がある

編集部編集部

そもそも体位変換ってなんですか?

高久 容子さん高久さん

体位変換とは、簡単に言えば体の向きを変えることです。私たちは寝ている間でも、無意識のうちに寝返りをうち、体にかかる圧を分散しています。体位変換は、自分ではできない寝返りをその人の代わりに行います。

編集部編集部

体位変換は床ずれ防止以外に効果はありますか?

高久 容子さん高久さん

体位変換には、ほかにもいろいろな効果があります。例えば、長時間同一姿勢でいると痛みや感覚麻痺が生じます。また、同一姿勢によって血流が悪くなると、心臓や肺機能の低下も引き起こします。体位変換をすることで、それらのことを予防できます。

編集部編集部

どのタイミングで体位変換をすればいいのですか?

高久 容子さん高久さん

食事やテレビ鑑賞で体勢を変える時や、おむつ交換のタイミングで行うとよいでしょう。車いすに移動することも効果的です。体を起こしてテレビを見る、車いすに座る時間を作るなど、少しでも活動的な生活を送ることが床ずれの予防につながります。床ずれのガイドラインでは、2時間以内に行うことを推奨しています。しかし、実際に在宅でご家族を介護されている場合は、2時間以内というのは現実的ではありません。そのご家庭のライフスタイルに合わせてスケジュールを組み、無理なく行いましょう。

正しく体位変換をすると、自分も介護されている人も楽

正しく体位変換をすると、自分も介護されている人も楽

編集部編集部

正しい体位変換の手順を教えてください。

高久 容子さん高久さん

基本となる、仰向けから横向きにする方法をお伝えします。①ベッドを水平にする介護が必要なご家族様の両腕を胸の上で組む。両膝は立てる自分の片手で腰と膝、もう片手でご家族様の肩を支え、手前に倒す。膝→腰→肩の順番で倒すご家族様の体とベッドの隙間をクッションやまくらで埋めるように体を支える必要時、ベッドの足と頭を上げる自分の手をご本人様とベッドの隙間に差し入れ、肩から腰と太ももから足に向けてすべらせるようにして、衣類のしわをとる、この手順で行ってください。

編集部編集部

体位変換のコツを教えてください。

高久 容子さん高久さん

コツとして押さえて欲しいのは前述した、②の「両腕を胸の上で組む、両膝は立てる」と③の「腰と膝、肩を支える。膝→腰→肩の順番で動かす」です。この2つを意識して行えば、最小限の力で体位変換を行えます。また、介護されるご家族様にとっても負担が軽減されます。

編集部編集部

間違った体位変換はどういうものですか?

高久 容子さん高久さん

力任せに行ったり、ひきずったりすることは間違った方法です。その時に生じる「ずれ」や「摩擦」も床ずれの原因になります。また、皮膚を傷つけてしまうだけでなく、脱臼などのけがの要因となりかねません。

編集部編集部

しかし、体位変換は介護する側のほうも大変です……。

高久 容子さん高久さん

ベッドの高さを自分の太ももの高さにまで上げたりベッド柵を外したりするなど、作業しやすい環境を整えてから行いましょう。おむつ交換の時も同様です。それだけで腰痛はだいぶ解消されると思います。介護する側のほうが大変なのはもっともなことです。介護のためにご自身が倒れてしまっては元も子もありません。「しんどいな」「疲れたな」という時は、外部の力を借りたり、SOSを早めに出したりするようにしましょう。

編集部まとめ

床ずれ予防には、正しい体位変換が必要です。体位変換は一日に何度も行います。ご家族の生活に合わせて、体位変換のスケジュールを組みましょう。コツを意識して行うことで、介護する側もされる側も、負担を軽減することができます。床ずれ予防や処置の方法は日々進化しています。疑問に思ったことは、訪問看護師や医師に聞きましょう。

この記事の監修看護師