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~実録・闘病体験~ 「SNSで相談したり、励まし合うことが心の支えになった」《混合性結合組織病》

 更新日:2023/03/27
~実録・闘病体験~ 「SNSで相談したり、励まし合うことが心の支えになった」《混合性結合組織病》

混合性結合組織病とは、抗U1-RNPという抗体が体内で作られて、自分の体を攻撃する疾患であると考えられています。しかしほかの膠原病と同様、なぜこのような自己抗体ができるのか、原因も治療法も未解明です。今回はこの指定難病である混合性結合組織病と現在も戦っているemi_kさん(仮名)に、闘病中の話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2021年11月取材。

emi_kさん

体験者プロフィール
emi_k(仮称)

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仙台市在住、1986年生まれ。2児の母。アルツハイマー型認知症の義母や高齢の義父と暮らしている。診断時の職業はドラッグストアの店員。2020年12月ごろから体に異変を感じ、2021年5月に混合性結合組織病(指定難病)と診断。その後2週間の高熱や急性肝炎で休職を繰り返し、2021年9月に15年勤めた会社を退社。現在は自宅で家事をしながら療養中。

村上 友太

記事監修医師
村上 友太
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

関節痛と指先が白くなるだけで、元気だと思っていた

関節痛と指先が白くなるだけで、元気だと思っていた

編集部編集部

病気に気づいたきっかけとなる症状・出来事を教えてください。

emi_kさんemi_kさん

義父が高齢のため、私達の目の届く範囲に引越しさせようと、義実家の処分などに忙しくしていた頃、指先が冷たく真っ白になるレイノー現象と、関節痛が現れ、近所の整形外科を受診しました。

編集部編集部

最初に受診した病院での説明を教えてください。

emi_kさんemi_kさん

指先が白くなるのは、外出した時や精神的に緊張した時だけでしたので、受診中に症状は現れませんでした。指先が白くなった時の写真をスマホで撮っていたので、それを先生に見てもらったところ「それはレイノー現象で、膠原病の患者に多い」と言われました。膠原病は遺伝も関係するらしく、父の家系に関節リウマチ患者がいることや、父がリウマチ予備軍と言われていることも伝えました。すると、関節痛がある部位のレントゲン撮影をしたり、エコーで血流を調べたり、炎症があるかどうかの検査を受けることになりました。

編集部編集部

ご家族にリウマチの方がおられるのですね。

emi_kさんemi_kさん

はい。ただ、私は全く症状が見られなかったのですが、念のため血液検査を受けました。その結果、関節リウマチ特有の反応は見られなかったものの、別の膠原病の可能性があるということで、総合病院を紹介されました。

編集部編集部

総合病院では、どのような検査を受けましたか?

emi_kさんemi_kさん

詳しくはわかりませんが、そこでも血液検査を受けました。検査当日は診断がつかず、改めて2週間後に来てくださいとだけ言われ、不安な2週間を過ごした後、検査結果説明で、混合性結合組織病(指定難病)と診断されました。

編集部編集部

混合性結合組織病が判明した時、どのような心境でしたか?

emi_kさんemi_kさん

先生は丁寧にゆっくり話をしてくれましたが、指定難病というパワーワードにただただ呆然とし、あまり説明が頭に入ってきませんでした。しかし、診断がついたことで少しホッとしたのも事実です。何かわからないけど症状がある状態というのは、とても不安でしたから。

編集部編集部

病気が判明した時、家族や周囲の反応はどうでしたか?

emi_kさんemi_kさん

実家の家族は皆、ビックリしてショックを受けていたのですが、親族に膠原病患者がいたため、何となく病気に対する理解はできているようにも見えました。問題は夫で、「指定難病」や「混合性結合組織病」といった聞き慣れない病名に戸惑いを隠せない感じでした。正直それは私も同じ気持ちでした。

治療開始後の生活や仕事

治療開始後の生活や仕事

編集部編集部

医師から、どのように混合性結合組織病の治療を進めると説明されましたか?

emi_kさんemi_kさん

まず、この病気は関節に炎症が起きたり、肺高血圧症という疾患が合併したりすることがあるため、定期的に関節と肺のレントゲンを撮って、経過観察をすると言われました。病気の程度が把握できるまでは毎回血液検査を受けました。幸い、数回の受診で私は軽症だと診断されたので、強い薬(ステロイド)は極力使わず、「このままの状態をキープしていくのがベストです」と言われました。

編集部編集部

では、どのようなお薬を使っているのですか?

emi_kさんemi_kさん

レイノー現象を緩和するための血流を良くする薬や、関節痛を和らげる薬を使っています。あと降圧剤、発熱があった時の頓服にロキソニン錠、ロキソニンテープを使っています。

編集部編集部

薬による副作用はありましたか?

emi_kさんemi_kさん

以前処方されていた薬は体に合わず、めまいやふらつきがありましたが、薬を変えてもらって今の薬になってからは落ち着いています。

編集部編集部

入院治療はされましたか?

emi_kさんemi_kさん

幸いなことに入院はありません。ですが、疲れたりストレスが溜まったりすると免疫が落ち、40度の発熱が14日間も続いたことがあります。また、急性肝炎になった時は「高齢者なら即入院の数値です」と言われ、絶対安静を指示され、1か月間の休職を2回繰り返しました。

編集部編集部

治療開始後、生活や仕事それぞれにどのような変化がありましたか?

emi_kさんemi_kさん

2021年に入り長期の発熱による2回の休職、そしてその休職によるストレスも相当なものだったので、15年勤めた会社を退職しました。職場環境はとても良く、人間関係も良好で、短時間でも働きたかったのですが、主人と相談し、自分の体調、義母の介護、育児、家事を考え、泣く泣く退職を選びました(その後2022年4月より働く、新たな勤務先が決定)。

ネットは重症例が多く、Instagramでの交流が支えに

ネットは重症例が多く、Instagramでの交流が支えに

編集部編集部

現在の体調、生活の様子を教えてください。

emi_kさんemi_kさん

現在、関節痛はそこまではありません。体を休める事を意識すれば、大きく体調を崩すこともなく過ごせています。また仕事に復帰するなら、体に負担の少ない仕事であればできるかなと思いますが、どの程度の疲れで体調が悪くなるのか自分でもまだ把握できていない状況です。

編集部編集部

病気の情報収集はされましたか?

emi_kさんemi_kさん

ほとんどはネットで調べまくりました。現在もInstagramで同じ病気の方をフォローしていて、励まし合ったり相談させてもらったりしています。また、別の膠原病を患っている従姉妹や医療関係に従事する友達に色々相談しましたね。

編集部編集部

情報収集の際に困ったことはありますか? どのような情報が欲しいと思いましたか?

emi_kさんemi_kさん

見かけたほとんどの情報が重症例の話でした。重症になるとこうなるという説明や生存率やステロイド投与の記載が多かったですね。軽症者の普段の生活や気をつけていること、仕事のこと、軽症者でも受けられる社会福祉支援サービスや相談窓口のことなどはほとんど書いてありませんでした。

編集部編集部

Instagramでの交流が多いそうですね。

emi_kさんemi_kさん

Instagram上で同じ病気の方々にはとても励まされました。私より重症の方々ばかりなのにとても前向きに過ごされていたり、私も初期はこうだったよと体験談を交えながら病気について直接質問させてもらったりと、コミニュケーションを取る中で「1人じゃない」と思えてかなり心が楽になりました。

編集部編集部

Instagramのほかに心の支えとなったものは、何ですか?

emi_kさんemi_kさん

自分が好きな映像や音楽に触れている時は、病気の事を一瞬でも忘れ、笑っている自分に気がつきました。どんな状況でも頑張っている人たちの姿は素敵ですし、自分も頑張らなきゃなと前向きになれます。もちろん、主人や子供は私の1番の支えですよ。

優しく丁寧な説明で、話がしやすい雰囲気でした

優しく丁寧な説明で、話がしやすい雰囲気でした

編集部編集部

医師や看護師などの説明は十分でしたか?

emi_kさんemi_kさん

担当医や看護師さんはとても優しく、専門用語を使わずにかなり丁寧に説明してくれました。おかげでとても分かりやすく、ありがたいです。わからない事も気軽に相談できています。

編集部編集部

医療関係者に望むこと、伝えたいことはありますか?

emi_kさんemi_kさん

全ての会話において、専門用語をなるべく使わず、穏やかに話して頂けるとそれだけで患者はホッとし、信頼しやすくなると思います。診察の最後にさりげなく「質問はありますか?」と聞いて頂けると聞きたい事を聞けずにモヤモヤして帰る人も少なくなると思います。

編集部編集部

もし昔の自分に声をかけるとしたら、どんな助言をしますか?

emi_kさんemi_kさん

口癖の「大丈夫」は、本当は大丈夫じゃないときに出ている言葉だよ。もっと周りに甘えて助けを求めなさい。そして少し立ち止まって、休むことも大事だよ、と言いたいですね。

編集部編集部

あなたのこの病気を知らない方へ、一言お願いします。

emi_kさんemi_kさん

私の病気に限らず、一見元気そうに見えるけど病気をお持ちの方は沢山います。歩くのが遅い人にイライラする、若い人が優先席に座っているのはいかがなものか? と思う気持ちも分かりますが、目に見えることが全てと思わないで欲しいですね。想像力を膨らませて、全ての人に思いやりを持ってください。そういう人が一人でも増えたら素敵な社会になると思います。また、軽症であっても、難病と診断された人には障害者手帳のような証明書が使えるような社会福祉支援が増える事を切に望みます。

編集部まとめ

今回は、指定難病と闘っているemi_kさんにお話を伺いました。最近は「ヘルプマーク」をカバンにつけている方を見かけるようになりましたが、軽症でパッと見て元気そうだと、なかなか周囲の理解が得られにくいですね。そしてネットでの記事も重症例の情報が多く、軽症者についての情報や体験記が少ないことがわかりました。私たちのこの体験記がこのように情報の少ない方にとって参考になれば、と思いました。

この記事の監修医師