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内視鏡検査でピロリ菌の感染が診断できる!

 更新日:2023/03/27

最近の研究でピロリ菌が胃がんなどのさまざまな疾病を引き起こす要因になっていることがわかってきました。ピロリ菌に感染してしまうと、ピロリ菌が作り出す酵素「ウレアーゼ」と胃の粘膜が反応して、アンモニアなどの有害物質を発生させます。この有害物質が胃粘膜を傷つけ、炎症が起こすことで、潰瘍や「がん」などの疾病を引き起こすと考えられています。ここでは、内視鏡によるピロリ菌の検査について、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修医師
川上 剛 (川上医院 院長)

ピロリ菌について

ピロリ菌は胃の粘膜に住みついている細菌

ピロリ菌は、螺旋形をした細菌で、胃の粘膜に定着して、人体にさまざまな悪影響をおよぼします。近年の研究で、ピロリ菌が胃がんなどの疾病を引き起こす要因になっていることがわかってきました。ピロリ菌は主に子供の頃に感染します。特に70歳以上の高齢者では約50%の人が感染しているといわれています。50歳代でも40%近い感染率です。

その原因は、不衛生な飲み水にありました。昔は水道が整備されていなかったため、不衛生な井戸水などを飲用していたことがピロリ菌の感染率を高めたと考えられています。このピロリ菌は一度感染してしまうと、ほとんどの場合で除菌しない限り胃粘膜にとどまり定着します。自覚症状のない人が多く、何らかの症状が出てからピロリ菌の感染が判明するという場合がほとんどです。

ピロリ菌の感染から疾病に至るまでの経過

ピロリ菌には、ほとんどの人が子供の頃に感染します。感染しても自覚症状などはありません。ところが長い年月を経て、加齢などにより抵抗力が弱くなってくると、ピロリ菌の活動が活発化して酵素「ウレアーゼ」を作り出し、胃の粘膜と反応して、アンモニアなどの有害物質になります。この有害物質が、慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)を引き起こします。慢性胃炎は、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などの原因になり、やがて萎縮性胃炎を引き起こします。この萎縮性胃炎が胃がんに進行して行きます。

ピロリ菌は除菌によって胃から追い出せる

内視鏡検査などでピロリ菌に感染していることが疑われ、精密検査などで陽性と判定された場合は、除菌治療が行われます。ピロリ菌の除菌は、胃酸の分泌を抑える薬とピロリ菌を殺菌させる薬を服用することで可能です。正しく用法を守って薬を服用した場合は75%(最近は90%という報告)の人が除菌に成功するといわれています。除菌治療が完了した後、胃炎や胃潰瘍などの治療を行います。

ピロリ菌が引き起こすさまざまな疾病

ピロリ菌が引き起こす病気「慢性胃炎」

ピロリ菌に感染して、長い時間が経過するとさまざまな疾病を引き起こします。最初は慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)という症状が現れます。この胃炎を引き起こすのは、ピロリ菌が出す酵素「ウレアーゼ」と胃酸が反応して発生する有害なアンモニアなどが原因です。慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)は、ピロリ菌を除菌すると改善されます。しかし、放置しておくと、胃潰瘍や萎縮性胃炎、胃がんなどへ進行して行く恐れがあります。ピロリ菌の不安がある方は内視鏡検査を受診してください。

ピロリ菌が引き起こす病気「十二指腸潰瘍」

ピロリ菌に感染すると、慢性胃炎や胃潰瘍などになりやすいことはわかっていました。しかし、近年の研究で、十二指腸潰瘍の原因にもなっていることがわかりました。十二指腸潰瘍は、なかなか改善しない難しい病気でしたが、ピロリ菌の除菌によって、すべての患者様というわけではありませんが、多くの患者様で再発しにくくなるなどの改善が見られるようになっています。

ピロリ菌が引き起こす病気「胃がん」

1994年に世界保健機関(WHO)が、ピロリ菌と胃がんの因果関係を認めました。胃がんとピロリ菌とは関連性があることが明らかになったわけです。ピロリ菌が長期間胃粘膜に住みつくと、胃粘膜に悪影響を与え続けます。やがて、胃の粘膜がただれ、薄くなり、胃の一部が委縮しはじめます。そこから腸上皮化生に進行し、胃がんになると考えられています。国内で胃がんになった人280人の内訳を調査したところ、ピロリ菌に感染していない人は、1人も含まれていませんでした。現在は、保険適用でピロリ菌の検査と除菌治療が行えるので、専門医へ相談する事をおすすめします。

内視鏡を使ったピロリ菌の診断から治療まで

胃カメラ検査などでピロリ菌の感染がわかる

胃カメラの検査で、おおよそピロリ菌に感染しているのかどうかが所見で診断できます。胃がんなどの検査を兼ねて、定期的にピロリ菌の検査も行うようにしましょう。ピロリ菌の所見の特徴として、びまん性発赤や、点状発赤、萎縮性変化、腸上皮化生、ひだの肥厚(皺襞肥大)、結節性変化(鳥肌状変化)、粘液の付着、胃液の混濁、黄色斑(キサントーマ)などがあります。これらの症状が目視で確認できたら、ピロリ菌に感染している可能性が高いので、ピロリ菌の検査を施行する事をおすすめします。

胃カメラ検査による診断後ピロリ菌の有無を検査

胃カメラによる健康診断の結果、慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)などの症状があった場合には、より詳しい感染診断が実施され、除菌治療へと移行して行きます。慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)などの病名が明らかになると、保険適用で精密検査やピロリ菌の除菌治療が行えるようになります。胃カメラ検査後のピロリ菌の精密検査には、内視鏡を使って胃の粘膜を採取して、試薬が入った試験管の中で反応させて検査する「迅速ウレアーゼ試験」などをはじめ、胃粘膜を染色して顕微鏡で観察してピロリ菌の有無を確かめる「組織鏡検法」、粘膜を採取して、培養させて、ピロリ菌の感染有無を調べる「培養法」などがあります。

ピロリ菌の除菌治療がスタート

慢性胃炎(ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎)、早期胃がん内視鏡治療後、胃十二指腸潰瘍などのピロリ菌が原因する病気の場合は、保険適用による除菌治療が行えます。除菌治療は薬の服用のみで実施されます。薬には3種類あり、胃酸の分泌を抑える薬と2種類の抗生物質を服用します。正しく服用していれば、約1週間程度で、1次除菌が終了します。1次除菌を終了しても除菌できていない場合は、2次除菌治療を行います。1次除菌で70~80%が除菌でき、2次除菌で90%以上が除菌可能です。

ピロリ菌はさまざまな疾病を引き起こす元凶

内視鏡検査でピロリ菌の有無がわかるという内容で、ピロリ菌が引き起こすさまざまな病気やピロリ菌の検査方法、除菌方法などについて解説してきました。ピロリ菌と胃がんの因果関係がはっきりしている現在、一刻も早くピロリ菌の検査をして、もし陽性だったら除菌したいと誰しもが思っているはずです。最近は、内視鏡検査の多くが経鼻内視鏡で実施されるようになり、以前のような嘔吐反応もありません。ストレスなく検査が受診できますので、食道や胃の検査を受けるついでに、ピロリ菌の有無も調べてもらうようにしましょう。内視鏡検査で、もしもピロリ菌の有無が疑われた場合は、それ以降の精密検査やピロリ菌の除菌治療が保険で行えますので経済的にもたすかります。

川上 剛 医師 川上医院 院長監修ドクターのコメント

ヘリコバクターピロリ菌の存在が胃癌の発生の大きな要因であると明らかになり、最近では特に胃内視鏡検査の必要性が認識されるようになってきました。多くの自治体でも胃癌による死亡率を減少させる施策として、胃内視鏡検査による胃癌検診が開始されるようになりました。
 しかしながら従来の経口内視鏡検査では検査を受ける方の苦痛が大きいために敬遠されがちで、その結果として胃癌の早期発見が遅れる原因となっていました。
 本邦では2002年頃から5mm大の細径内視鏡が開発され、経鼻から挿入する胃内視鏡検査が行われるようになってきました。その結果として苦痛の少ない胃内視鏡検査として、現在までに広く普及するようになりました。
 私達も2005年3月に本邦初となる経鼻内視鏡研究会を発足させ、その年の11月にはこれも本邦初となる経鼻内視鏡検査の手引書を発刊しました。細径内視鏡の開発や経鼻内視鏡の挿入法や麻酔法、観察法などの適切な普及に尽力して、現在では40%近くの医療機関で経鼻内視鏡検査が受けることが可能になりました。
 当院で経鼻内視鏡検査を受けた方のアンケートでは、94.2%で苦しくなく楽だったという評価を頂きました。
 今回は、初めて経鼻内視鏡検査を経験される方が少しでも安心して受けて頂けるように、簡単に説明しています。

 

監修ドクター:川上 剛 医師 川上医院 院長

ピロリ菌でおすすめの内科・消化器科 近畿編

川上医院

出典:http://osaka-1114.com/

電話番号 06-6912-1024
住所 大阪府大阪市鶴見区徳庵1-1-64
アクセス JR東西線・学研都市線 徳庵駅 徒歩10分
診療時間 【平日】9:00~12:30/17:30~20:00
【土曜】9:00~12:30
※木曜日の午後は予約検査のみ
※胃カメラ内視鏡検査は担当医がいる曜日は行うことが可能です。
ほぼ毎日大丈夫ですので一度ご相談ください。
基本的には胃カメラ内視鏡検査は予約検査ですが、受診日当日も行うことが可能ですので急にカメラを受けたい方も一度ご相談ください。
休診日 日曜日・祝日
対応検査項目 ・胃内視鏡検査
・経鼻内視鏡検査
・麻酔を用いた(静脈内鎮静法)内視鏡検査
URL http://osaka-1114.com/

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