内視鏡の検査費用はどのくらい?検査別にかかる費用をご紹介
内視鏡の検査が必要と聞いた時、検査費用が心配になる方も多いのではないでしょうか。
内視鏡の検査費用は、検査の種類ごとに異なります。ここでは皆様に安心して検査を受けていただけるよう、おおまかな検査費用を解説いたします!
野中 親哉(野中内科クリニック 院長)
目次 -INDEX-
内視鏡の検査は4種類あり費用が異なります
現在日本で行われている内視鏡の検査は、大きく分けて4種類あります。
1.上部消化管内視鏡検査
2.大腸内視鏡検査
3.小腸内視鏡検査(バルーン内視鏡)
4.カプセル内視鏡検査(小腸カプセル内視鏡検査、大腸カプセル内視鏡検査)
それぞれ検査の目的やその内容、及び検査費用は異なります。今回は上記の4つの検査費用について詳しくご紹介します。
1、上部消化管内視鏡検査
最初に上部消化管内視鏡検査について説明します。検査内容と検査費用はどのようになっているのでしょうか。
検査内容と検査時間
上部消化管内視鏡の検査は、食道や胃、十二指腸に病変がないかどうか確認するために行われます。
医師のすすめに応じて受ける検査の場合は、がん等の病変が疑われる場合にその場で組織を切り取り、検査をする場合もあります。
日本消化器内視鏡学会によると、上部消化管内視鏡検査について以下の説明があります。
上部消化管とは食道・胃・十二指腸を指し、口または鼻から内視鏡を挿入し、これらの部位を一連の検査で観察します。昔から「胃カメラ」と言われてきたものです。 一般検査〔経口内視鏡(口から入れる内視鏡)、経鼻内視鏡(鼻から入れる内視鏡)など〕と特殊検査・治療(内視鏡的切除術、超音波内視鏡など)に分かれます。
引用:日本消化器内視鏡学会
検査を受ける際はあらかじめ胃の中を空にする必要があります。そのため、前日の夕食を何時までに取るべきかが予め指定されますので、必ず守りましょう。
その後に飲食できるものは水だけとなります。検査後1時間経過したら、食事を取ることができます。
標準的な検査時間は経口内視鏡の場合は5~10分、経鼻内視鏡の場合は10~15分です。但し、病変を切り取る処置をした場合は時間が伸びることがあります。
上部消化管内視鏡検査の費用はどのくらい必要?
上部消化管内視鏡検査は、病気の診断をするために医師のすすめに応じて受ける場合と、人間ドック等で受ける場合では費用が異なります。
医師のすすめにより受ける場合
この場合は健康保険の適用となりますので、皆様の負担は3割から1割となります。そのため実際の負担額は3割負担の場合、診察料を含めて6,000~7,000円程度となります。
また、病変を切り取る処置を受けた場合は10,000~13,000円程度となります。
人間ドック等で受ける場合
上部消化管内視鏡検査は、希望により人間ドック等で受けることもできます。この場合は健康保険の適用外となるため、万単位の費用が必要です。
費用は医療機関によりまちまちですが、単独で検査する場合は15,000~35,000円前後です。
なお、人間ドックのオプションとして受ける場合の追加料金は7,000円から等、割引になる場合もあります。
・検査には5~15分程度です。病変を切り取る処置をした場合は多少伸びます
・費用は3割負担の場合、診療費を含めて6,000円~13,000円前後です。人間ドック等の場合は医療機関により異なり、15,000~35,000円となります。
2、大腸内視鏡検査
続いて、大腸内視鏡検査について説明します。検査内容と検査費用はどのようになっているのでしょうか。
大腸内視鏡検査内容と検査時間
大腸内視鏡検査は、大腸に病変がないかどうか確認するために行われます。盲腸の付近まで内視鏡を入れることができますので、小腸の出口付近を観察することもできます。
医師のすすめに応じて受ける検査の場合は、がん等の病変が疑われる場合にその場で組織を切り取り、検査をする場合もあります。
日本消化器内視鏡学会では、大腸内視鏡検査について以下の説明があります。
大腸内視鏡検査では、大腸(結腸と直腸)と小腸の一部を観察するために肛門から内視鏡を挿入し、これらの部位に発生したポリープやがん、炎症などを診断します。組織の一部をとって調べたり(生検)、ポリープや早期大腸がんを内視鏡的にポリープ切除術(ポリペクトミー)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)などで切除することもできます。
引用:日本消化器内視鏡学会
検査を受ける際はあらかじめ大腸の中を空にする必要があります。
このとき、食べたものを検査終了時まで胃や十二指腸等にとどめておければよいのですが、人の体はそのように都合よくはできていません。
そのため大腸の中を空にするということは、胃や小腸の中も空にしておかなければなりません。
従って、前日の夕食を何時までに取るべきかが予め指定されます。また検査食等、食べて良いものが指示される場合もあります。
検査を受ける際に大切ですので、必ず守りましょう。その後に飲食できるものは水だけとなります。検査後に食事を取れるタイミングは、医師から指示があります。
標準的な検査時間は数分から数十分で、医師の熟練度や病変の切除があるかどうかにより変わります。
大腸内視鏡検査費用は?
大腸内視鏡検査は、病気の診断をするために医師のすすめに応じて受ける場合と、人間ドック等で受ける場合では費用が異なります。
医師のすすめにより受ける場合
この場合は健康保険の適用となりますので、皆様の負担は3割から1割となります。
そのため実際の負担額は3割負担の場合、診察料を含めて8,000~9,000円程度となります。
また、病変を切り取る処置を受けた場合は13,000~20,000円程度となります。
人間ドック等で受ける場合
大腸内視鏡検査は、希望により人間ドック等で受けることもできます。この場合は健康保険の適用外となるため、万単位の費用が必要です。
費用は医療機関によりまちまちですが、単独で検査する場合は30,000~40,000円が目安です。なお、人間ドックのオプションとして受ける場合多少割引になることもあります。
・検査には数分から数十分程度です。病変を切り取る処置をした場合は多少伸びます
・費用は3割負担の場合、診療費を含めて13,000円~20,000円前後です。人間ドック等の場合は30,000~40,000円が目安です。
3、小腸内視鏡検査
最近は小腸に届く内視鏡機器が登場し、検査ができるようになりました。それでは、小腸内視鏡検査の内容や検査費用はどうなっているのでしょうか。
検査内容と検査時間
小腸内視鏡検査では、バルーン内視鏡という機器を入れて検査します。
小腸は長い臓器のため、小腸をすべて検査するためには、バルーン内視鏡を口と肛門の両方向から入れる必要があります。
日本消化器内視鏡学会では、バルーン内視鏡検査について以下の説明があります。
バルーン内視鏡とは、長さ2mの長いスコープとバルーンの付いたオーバーチューブを組み合わせたものです。バルーンを膨らませたりへこましたりしながら、オーバーチューブとスコープを進めたり引いたりすることにより、長い小腸を折りたたむように縮めながら奥へ進んでいきます。経口的にも経肛門的にも挿入することが可能で、両方向からの挿入を組み合わせることにより小腸すべてを観察することもできます。
引用:日本消化器内視鏡学会
検査を受ける際はあらかじめ胃や大腸など、消化管の中をすべて空にする必要があります。
そのため、前日の夕食を何時までに取るべきかが予め指定されますので、必ず守りましょう。その後に飲食できるものは水だけとなります。予め下剤の服用を指示される場合もあります。
標準的な検査時間は1~2時間程度となります。但し、組織を切り取る処置をした場合は時間が伸びることがあります。
また、病院によっては数日の入院期間が必要な場合があります。
小腸内視鏡検査の費用はどのくらい必要?
バルーン内視鏡検査は黒色便等何らかの異常があり、X線撮影やCT検査、上部消化管や大腸の内視鏡検査でも原因がわからない方に対して行われる検査です。
従って医師のすすめにより行われる検査であり、人間ドック等での検査は行われていません。従って、バルーン内視鏡検査には健康保険が適用されます。
医療機関によって多少異なりますが、3割負担の場合、シングルバルーン内視鏡で約15,000円、ダブルバルーン内視鏡で約27,000円となっています。
この他、入院が必要な場合は日数分の入院費や食事療養費が別に必要となります。
検査費用が比較的高額となる理由は、内視鏡検査に使う消耗品の費用が20,000円程度かかるためです。このため、検査費用を押し上げる原因となっています。
・検査には1~2時間程度必要で、入院が必要な場合もあります
・費用は3割負担で15,000円~27,000円前後。入院する場合は入院費等も必要
4、カプセル内視鏡検査
カプセル内視鏡検査は21世紀になってから登場した内視鏡検査で、飲みこむだけで小腸や大腸の中を観察することができる検査です。患者への負担が軽いことで注目されています。
但し、検査を受けるためには条件があります。その内容と検査費用について解説します。
検査内容と検査時間
カプセル内視鏡検査は、便が黒くなるなど消化管から出血があり、上部消化管や大腸の内視鏡検査でも原因がわからない方に対して行われる検査です。
従って、最初からカプセル内視鏡検査が行われるわけではありません。
日本消化器内視鏡学会では、小腸と大腸のカプセル内視鏡検査について、それぞれ以下の通り説明されています。
薬のカプセルよりも少し大きなカプセル内視鏡(長さ26mm、幅11mm)を飲んだのち、カプセルが消化管の動きによって徐々に進みながら、1秒間に2枚ずつ撮影していきます。7~8時間にわたり計5万~5万5000枚の画像を撮影し、腰に取り付けたレコーダーに記録します。これをあとでコンピューターで動画として解析します。
引用:日本消化器内視鏡学会
小腸カプセルは画像を撮影するレンズが1か所ですが、大腸用のカプセル内視鏡は画像を撮影するレンズが両方向に2か所あり、大きさは長さ31mm、幅11mmです。カプセルが進むスピードに合わせて、ゆっくり進む場合には両方向のレンズで1秒間に4枚撮影し、速く進む場合には35枚撮影します。以前に大腸内視鏡検査の挿入が困難な患者さんやおなかの手術歴があり、挿入困難が予想される患者さんが適応となります。
引用:日本消化器内視鏡学会
検査を受ける際はあらかじめ胃や腸の中を空にする必要があります。そのため、前日の夕食を何時までに取るべきかが予め指定されますので、必ず守りましょう。
その後に飲食できるものは水だけとなります。大腸カプセル内視鏡検査の場合は、事前に下剤を飲む場合もあります。
小腸カプセル内視鏡検査の場合は、朝に病院でカプセルを飲みます。またカプセルが撮影した写真を記録するために、レコーダーを腰につけて夕方まで8時間つけたままにしておきます。
検査後2時間経過したら水を飲むことができ、4時間経過後からは食事を取ることができます。夕方、病院でレコーダーを回収し検査が完了します。
大腸カプセル内視鏡検査の場合は、朝下剤を飲んだ後、2時間後にカプセルを飲みます。
またカプセルが撮影した写真を記録するために、レコーダーを腰につけて2時間ほどつけたままにしておきます。排便時にカプセルが排出されたことを確認し、検査が完了します。
検査費用はどのくらい必要?
カプセル内視鏡検査は、X線撮影やCT検査、上部消化管や大腸の内視鏡検査でも原因が見つからない場合に選択される検査です。
従って医師のすすめにより行われる検査であり、人間ドック等での検査は行われていません。従って、カプセル内視鏡検査には健康保険が適用されます。
医療機関によって多少異なりますが、3割負担の場合は小腸検査で約30,000円、大腸検査では約35,000円の負担となります。
高いと思われる方もおられるかもしれません。これは、カプセル内視鏡そのものの費用が7~8万円と高価なためです。このため、検査費用を大きく押し上げる原因となっています。
・検査は病院でカプセルを飲みこみ、レコーダーを装着して行います
・カプセル内視鏡検査の費用は、3割負担の場合で小腸では約30,000円、大腸では約35,000円です
内視鏡検査の費用は保険適用かどうか異なります。医師から打診があったら積極的に検査を受けましょう
ここまで、4種類の内視鏡検査について、検査内容と検査費用を解説してきました。
内視鏡検査は健康保険適用でも数千円から数万円の負担となり、気軽に負担できる金額ではありません。
特にバルーン内視鏡やカプセル内視鏡は健康保険が適用される場合でも、3割負担の方の場合は数万円の出費が必要です。
病気の診断と治療に必要とはいえ高額ですので、予め費用の目安を知っておくことは大切なことです。
お金の心配ごとを減らすことにつながり、スムーズな検査と治療につなげることができるでしょう。
また、上部消化管や大腸の内視鏡検査は、健康保険の適用を受けると3割から1割負担となり、人間ドックで検査する場合に比べるとはるかに安価な金額で検査を受けることができます。
健康保険の適用を受けるためには医師のすすめが必要です。
そのため、もし医師から「診断のため、内視鏡検査を受けてみませんか?」という打診があった場合は、家計の負担を減らす上でも検査を受けることをおすすめします。
以前は麻酔で眠ってもらってる間に行なったりもしていていた内視鏡検査ですが、今では鎮静剤の利用や経鼻内視鏡によって、だいぶ楽に受けられる検査になっています。自治体によっては検診で、胃の検査代わりにバリウム検査から経鼻内視鏡検査にかえているところもあります。記事で触れている費用についても、人間ドッグでは2~3万かかってしまい、「高いからやめておこうか」と躊躇される方もいるかもしれませんが、1000円程度の検診代で済む場合もあるようですので、ぜひご自身がお住まいの地域について一度調べてみてもよいかもしれません。
病気の早期発見、早期治療の為にも、気楽に内視鏡検査を受けていただけたら、と思っています。
監修ドクター:野中 親哉 医師 野中内科クリニック 院長
内視鏡検査でおすすめの医院 近畿編
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