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「高血圧」が続くと「動脈硬化」を発症しやすくなるのはどうして?【医師監修】

 公開日:2026/03/16
「高血圧」が続くと「動脈硬化」を発症しやすくなるのはどうして?【医師監修】

高血圧は自覚症状が乏しく、健診で指摘されてもそのままにしてしまう方もいます。しかし血圧が高い状態が続くと、血管の壁に負担がかかり、動脈硬化が進みやすくなります。動脈硬化は、血管が硬くなったり狭くなったりする変化で、進行すると脳卒中や心筋梗塞、狭心症、腎機能の低下などの原因になります。血圧は一時的な上下よりも、日々の状態が積み重なって将来のリスクに影響します。そのため、早い段階から生活習慣を整え、必要に応じて病院で治療を受けることが大切です。

本記事では、高血圧が動脈硬化を進める仕組み、放置した場合に起こりうる影響、生活習慣での改善策、病院で行う治療の考え方を解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

高血圧と動脈硬化の関係とは

高血圧と動脈硬化の関係とは

高血圧の基準を教えてください

高血圧は、診察室で測った血圧が収縮期140mmHg以上、または拡張期90mmHg以上の場合に診断の基準に入ります。家庭で測る血圧は、診察室より低めに出ることがあるため、収縮期135mmHg以上、または拡張期85mmHg以上を基準に評価します。診断は1回の値だけで決めず、複数回の測定で高い値が続くかを確認します。

家庭血圧は、朝の起床後1時間以内で排尿後、服薬や朝食の前、夜は就寝前に、座って1〜2分安静にしてから測り、原則として同じ条件で記録します。腕帯は上腕に合うサイズを選び、腕を心臓の高さで支えて測ると誤差が減ります。

参照:
『高血圧』(厚生労働省)
『The new blood pressure target, a new era: individualized management and precision rooted in clinical decision in JSH2025』(Hypertension Research)

動脈硬化とは何ですか?

動脈硬化は、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして、血管のしなやかさが低下する変化の総称です。血管が硬くなると、血液が流れるときの負担が増え、血圧が上がりやすい状態につながります。代表的なのは、血管の内側に脂質や炎症細胞がたまり、盛り上がりができて血管が狭くなるタイプです。

狭くなった部分では血液が通りにくくなり、状況によっては血流不足が起こります。また盛り上がりの表面が破れると血栓ができ、血管が急に詰まるきっかけになることがあります。ほかにも、脳や腎臓などの細い血管の壁が厚くなって血流が保ちにくくなる変化や、血管の壁に石灰化が起こって硬さが目立つ変化があります。

高血圧と動脈硬化の関係を教えてください

血圧が高い状態が続くと、血管の内側にかかる力が強くなり、血管の内皮が傷つきやすくなります。内皮の働きが乱れると、血管を広げる働きが弱まり、炎症や酸化ストレスが生じやすくなって、脂質がたまりやすい状態になり、動脈硬化が進みます。さらに、高い圧に適応しようとして血管の壁が厚くなり、コラーゲンが増えて硬くなるなど、血管の作りそのものが変化します。

また、血管が硬くなると、心臓が血液を送り出したときの圧が伝わりやすくなり、収縮期血圧が上がりやすくなります。結果として血圧の変動幅も大きくなりやすく、血管壁への負担がさらに重なります。このように、高血圧は動脈硬化を進め、動脈硬化は血圧を上げやすい状態に関わるため、互いに影響を及ぼし合う関係にあります。

高血圧を放置することによる身体への影響とリスク

高血圧を放置することによる身体への影響とリスク

動脈硬化になると身体に何が起きますか?

動脈硬化が進むと、血管の内側が狭くなったり、血管の壁が硬くなったりして、血液が流れにくくなります。心臓へ血液を送る血管が狭いと、動いたときの胸の痛みや息切れが出やすく、狭心症心筋梗塞につながることがあります。脳へ血液を送る血管が狭い場合は、脳梗塞の原因となり、片側の手足の動かしにくさ、ろれつが回りにくい、見え方の異常などが急に起こることがあります。

足の血管の場合は、末梢動脈疾患として歩行時のふくらはぎの痛み、足先の冷え、傷の治りにくさなどがみられることがあります。さらに、血管の内側にできた盛り上がりが破れると血栓ができ、血管が急につまって症状が突然強く出る場合があります。

動脈硬化以外の高血圧がもたらす悪影響を教えてください

高血圧は、血管が狭くなる変化が目立たなくても、強い圧が臓器にかかり続けることで障害を起こします。心臓では負担が積み重なって心筋が厚くなり、心臓が広がりにくくなることで、息切れやむくみを伴う心不全につながることがあります。腎臓では細い血管が傷み、たんぱく尿腎機能低下の原因になります。目では網膜の血管が障害され、眼底出血見えにくさの要因となります。さらに、大動脈に負担がかかり続けることで、大動脈瘤大動脈解離につながることがあります。

高血圧を改善する生活習慣と病院での治療

高血圧を改善する生活習慣と病院での治療

高血圧は病院でどのように治療しますか?

まず血圧の測り方と記録を確認し、診察室血圧に加えて家庭血圧も参考にして方針を決めます。生活習慣の改善を基本にしつつ、血圧が高い状態が続く場合は降圧薬を組み合わせます。降圧薬には、カルシウム拮抗薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬アンジオテンシン変換酵素阻害薬利尿薬β受容体遮断薬などがあり、年齢や合併症、腎機能、脈拍などに応じて選びます。薬は少量から開始し、効果と副作用をみながら種類や量を調整します。採血や尿検査で腎機能や電解質なども確認します。

病院で治療を受ければ血圧は正常値になりますか?

治療を行う場合は診察室血圧130/80mmHg未満を目標にします。血圧が目標まで下がる方はいますが、必ず正常値まで下がるとは限りません。血圧は体質や年齢、生活習慣、合併症の影響を受けるため、薬や生活習慣の見直しを行っても、目標に届くまで時間がかかる場合があります。

参照:『The new blood pressure target, a new era: individualized management and precision rooted in clinical decision in JSH2025』(Hypertension Research)

すでに動脈硬化になっている場合でも血圧が下がれば血管はもとに戻りますか?

動脈硬化で起きた血管の硬さや狭さが、血圧を下げるだけでもとに戻るとは限りません。ただし、血圧が高い状態が続くほど血管への負担が積み重なるため、血圧を下げて管理することで動脈硬化の進行を抑え、脳卒中や心筋梗塞などの発症を減らすことが期待できます。すでに動脈硬化がある場合は、血圧管理に加えて、脂質や血糖などの危険因子も管理することで、血管のトラブルを起こしにくい状態に近づけていきます。

高血圧を改善する効果が期待できる生活習慣を教えてください

まず減塩を意識し、汁物や加工食品の量を見直します。次に、歩行などの有酸素運動を週のなかで継続し、座っている時間を区切って身体を動かすようにしましょう。体重が増えている場合は、食事量と活動量のバランスを整えて減量すると血圧が下がりやすくなります。飲酒は飲まない日を作り、飲む日は純アルコール20g程度を目安にし、喫煙がある方は禁煙に取り組みましょう。睡眠不足や強いストレスが続くと血圧が上がりやすいため、睡眠時間の確保休息も大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

高血圧は自覚症状が乏しいまま続きやすく、血管への負担が積み重なると、動脈硬化が進みやすくなります。その結果、脳卒中や心筋梗塞、腎機能低下などの発症リスクが上がります。高血圧の診断の目安は、診察室血圧で収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上です。家庭血圧も参考にし、普段の血圧を把握します。治療は生活習慣の見直しを基本に、必要に応じて降圧薬を組み合わせます。血管の変化が完全にもとに戻らない場合でも、血圧を下げて管理することで進行を抑え、将来の病気を減らすことができます。家庭血圧を記録し、続けられる方法で取り組みましょう。

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