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「B型肝炎の給付金」を受け取れるのはどんな人?支給要件や請求手続きも解説!

 公開日:2026/02/27
「B型肝炎の給付金」を受け取れるのはどんな人?支給要件や請求手続きも解説!

B型肝炎給付金は、過去の集団予防接種等で注射器が連続使用されたことにより、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染し、体内にウイルスが残り続ける状態になった方などを救済する制度です。給付金は医療費助成というより、国に対する損害賠償請求の枠組みのなかで、法律に基づき支給されます。給付金を受け取るには、裁判所による和解手続等で支給対象者として認定されたうえで、社会保険診療報酬支払基金に請求します。
体調のことだけでなく、書類の準備や期限の確認が手続きの進み方に影響します。ご自身の状況が当てはまるか迷う場合は、厚生労働省や支払基金の相談窓口へ確認が必要ですが、まずはこの記事で基礎的な部分を整理しますので参考にしてください。

高宮 新之介

監修医師
高宮 新之介(医師)

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昭和大学卒業。大学病院で初期研修を終えた後、外科専攻医として勤務。静岡赤十字病院で消化器・一般外科手術を経験し、外科専門医を取得。昭和大学大学院 生理学講座 生体機能調節学部門を専攻し、脳MRIとQOL研究に従事し学位を取得。昭和大学横浜市北部病院の呼吸器センターで勤務しつつ、週1回地域のクリニックで訪問診療や一般内科診療を行っている。診療科目は一般外科、呼吸器外科、胸部外科、腫瘍外科、緩和ケア科、総合内科、呼吸器内科。日本外科学会専門医。医学博士。がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了。JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care)修了。ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support)。BLS(Basic Life Support)。

B型肝炎の基礎知識

B型肝炎の基礎知識

B型肝炎給付金とは何ですか?

B型肝炎給付金は、『特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法』に基づき、一定の要件を満たす方へ給付金等が支給される制度です。対象となるのは、満7歳になるまでに受けた集団予防接種等(昭和23年7月1日から昭和63年1月27日までの間に限る)で、注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した方と、その方から母子感染した方(これらの方々の相続人を含む)です。集団予防接種等には、集団予防接種や集団ツベルクリン反応検査が含まれます。

給付の対象者の認定は、裁判所による和解手続等で行われます。このため、給付金の支給を受けるには、国に対して損害賠償を求める訴訟の提起または調停の申立等を行い、支給対象者として認定される必要があります。

医療的には、B型肝炎ウイルスに感染しても、すぐに症状が出ない場合があります。血液検査で、体内にウイルスが残り続ける状態は持続感染と呼ばれ、症状がない状態は無症候性キャリアと呼ばれます。持続感染が続くと、慢性肝炎や肝硬変や肝がんへ進む場合があります。なお、現在の予防接種では、注射器の交換や事故防止が徹底して指導されており、同じ状況が繰り返されないよう制度整備が進んでいます。

B型肝炎給付金の金額を教えてください

給付金額は、B型肝炎ウイルスの持続感染に起因する病態により決まります。金額は50万円から3,600万円まで幅があり、病態によっては20年の除斥期間が経過しているかどうかで区分が分かれます。除斥期間とは、一定の期間が経過すると損害賠償請求が制限される考え方で、B型肝炎給付金では20年を境に給付金額が変わる区分があります。

主な給付金額の例は次のとおりです。
死亡や肝がんや肝硬変(重度)は3,600万円です。20年の除斥期間が経過した死亡や肝がんや肝硬変(重度)は900万円です。肝硬変(軽度)は2,500万円です。
慢性B型肝炎は1,250万円、無症候性キャリアは600万円です。
20年の除斥期間が経過した無症候性キャリア(特定無症候性持続感染者)は50万円といった違いがあります。

参照:
『B型肝炎訴訟について』(厚生労働省)
『給付金について』(厚生労働省)
『概要』(社会保険診療報酬支払基金)

B型肝炎給付金の対象者と要件

B型肝炎給付金の対象者と要件

B型肝炎給付金を受け取れるのはどのような人ですか?

給付金の対象となる方は、満7歳になるまでに集団予防接種等を受け、注射器の連続使用によりB型肝炎ウイルスに感染した方と、その方から母子感染した方(相続人を含む)です。救済対象となるかどうかは、持続感染であることや、感染経路が集団予防接種等に由来することなどを、証拠に基づいて確認します。

一次感染者の支給要件を教えてください

一次感染者は、集団予防接種等により直接B型肝炎ウイルスに持続感染した方です。手引きでは、一次感染者として救済要件を満たすために、持続感染であること、満7歳になるまでに集団予防接種等を受けたこと、母子感染ではないこと、ほかに明確な感染原因がないことなどを、資料で示す考え方が整理されています。
準備では、持続感染を示す検査結果や、接種の事実を示す資料や、母子感染ではないことを示す資料を組み合わせます。

二次感染者の支給要件はどのようなものがありますか?

二次感染者は、一次感染者である母親からの母子感染等により、B型肝炎ウイルスに持続感染した方です。二次感染者では、ご本人の持続感染の資料に加えて、母親が一次感染者であることを示す資料や、母子感染等であることを示す資料が重要になります。

手引きでは、母子感染であることの示し方として、出生直後からの感染を示す資料や、ウイルスの塩基配列を比較する検査結果など、医学的知見に基づく整理が示されています。必要資料が変わりやすい分野のため、まずは手引きの該当箇所を確認し、足りない資料を早めに見積もることが現実的です。父子感染の扱いも含め、判断が難しい場合は問い合わせ先へ確認してください。

三次感染者の支給要件を教えてください

手引きでは、一次感染者からの母子感染等だけでなく、家族内で次の世代へ感染が続いた場合についても、一定の条件のもとで救済対象となりえることが示されています。具体的には、一次感染者から母子感染等で持続感染者となった方から、さらに母子感染等で持続感染者となった方などが想定されます。また、一次感染者である父親からの父子感染により持続感染者となった方から、さらに母子感染した方については、要件は直接問い合わせるよう記載されています。

参照:
『B型肝炎訴訟の手引き』(厚生労働省)
『給付金について』(厚生労働省)
『B型肝炎訴訟について(救済対象の方に給付金をお支払いします)』(厚生労働省)

B型肝炎給付金の請求手続き

B型肝炎給付金の請求手続き

B型肝炎給付金はどのように請求しますか?

給付金を受け取るまでの流れは、資料収集、国に対する訴訟等、和解、支払基金への請求の順に進みます。厚生労働省の資料では、資料収集、訴訟の提起、給付金の請求の三段階で整理されています。

準備段階では、医療機関や市区町村から、検査結果や医療記録や予防接種関連の資料を集めます。次に、国を被告として国家賠償請求訴訟を提起し、裁判所の仲介の下で和解協議を行います。和解協議の過程では、必要に応じて国から追加資料の提出を求められることがあるため、追加で取り寄せる時間も見込んでおくとよいです。救済要件を満たしていることが証拠で確認できた場合は、国との間で和解調書を取り交わします。和解が成立した方は、支払基金に給付金等の支給の請求を行い、給付金等が支給されます。

B型肝炎給付金の請求に必要な書類を教えてください

必要書類は、和解前に準備する資料と、和解後に支払基金へ提出する資料に分けて考えると整理しやすくなります。

和解前は、持続感染や病態を示す検査結果や診断書、幼少期に集団予防接種等を受けたことを示す資料、母子感染の有無を整理する資料などが中心です。病態の認定では、肝疾患診療連携拠点病院や肝疾患専門医療機関などで作成された診断書が有効とされるなど、作成医療機関に条件が付く場合があります。

和解後は、支払基金へ給付金等支給請求書と、和解調書や調停調書や確定判決書の正本または謄本などを提出します。支払基金の案内では、和解調書等は、集団予防接種等における注射器の連続使用により感染したことによって生じた損害の賠償に係るもので、相手方に国が含まれているものに限るとされています。相続人の方が請求する場合は、戸籍関係書類が必要になる場合があるため、支払基金へ相談してください。

B型肝炎給付金を請求してから受給するまでにかかる期間の目安を教えてください

期間は一律ではありませんが、手続きは大きく資料収集、提訴から和解成立、和解後の支払基金への請求と支給に分かれます。
資料収集では、母子健康手帳や予防接種台帳など、要件を示す資料を集めます。持続感染の確認は、6ヶ月以上の間隔をあけた時点の検査結果などが必要になることがあり、追加で検査を行う場合はその分期間が延びます。提訴後、和解が成立するまでに要する時間は証拠状況などによって異なり、一概に示すことはできませんが数ヶ月以上かかることが多いです。
和解後は、支払基金が請求書などを受け付け、必要事項を確認した後に、指定口座へ振り込まれます。

参照:
『B型肝炎訴訟の手引き』(厚生労働省)
『よくある質問』(厚生労働省)
『給付金等請求について』(社会保険診療報酬支払基金)
『概要』(社会保険診療報酬支払基金)

B型肝炎給付金の請求手続きは自分でできますか?

制度上は、ご本人で手続きを進めることもできます。厚生労働省の資料でも、これらの一連の手続の一部または全部を弁護士に依頼できるとされており、必ずしも依頼が必須という扱いではありません。
一方で、救済要件を示す資料の集め方や、母子感染の整理や、病態の認定に必要な医療記録の読み取りなど、専門的な判断が必要になる場面があります。ご本人で進める場合は、厚生労働省が公開している『ご自身での提訴を考えている方へ』や手引きに沿って資料を集め、わからない点は相談窓口で確認すると、無駄な手戻りを減らせます。

参照:
『手続きの流れ』(厚生労働省)
『B型肝炎訴訟の手引き』(厚生労働省)
『B型肝炎訴訟の手引き ご自身での提訴を考えている方へ(説明編)』(厚生労働省)
『給付金等請求』(社会保険診療報酬支払基金)
『特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等支給関係業務』(社会保険診療報酬支払基金)

編集部まとめ

編集部まとめ

 B型肝炎給付金は、満7歳になるまでに受けた集団予防接種等で注射器が連続使用されたことにより、B型肝炎ウイルスに持続感染した方などを救済する制度です。対象者の認定は裁判所による和解手続等で行われ、和解後に支払基金へ請求します。
給付金額は病態により50万円から3,600万円まで幅があり、除斥期間の区分や、訴訟手当金や、追加給付金の仕組みもあります。請求期限もあるため、検査結果や予防接種関連の資料を早めに集め、迷う点は公的な相談窓口で確認してください。

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