「糖尿病による手のしびれ」の特徴はご存知ですか?しびれる原因も解説!【医師監修】

手のしびれは一時的な血行不良で起こることもありますが、長く続く場合は神経の障害が原因のことがあります。そのなかでも糖尿病は、末梢(まっしょう)神経の障害(糖尿病性神経障害)を引き起こす代表的な病気です。初期は指先のしびれや感覚の鈍さから始まり、進行すると痛みや感覚の喪失を伴うこともあります。この記事は、糖尿病による手のしびれの原因や症状の進行、治療法、そして日常生活で気を付けたいポイントを詳しく解説します。

監修医師:
伊藤 規絵(医師)
目次 -INDEX-
糖尿病で手がしびれるメカニズムと症状の特徴

糖尿病で手がしびれることはありますか?
手のしびれは、ピリピリ・ジンジンする異常な感覚や、手袋をはめているような違和感として自覚されることが多く、夜間や安静時に強くなる傾向があります。
参照:『糖尿病性ニューロパチー|(疾患・用語編) 代謝性?遺伝性ニューロパチーなど|神経内科の主な病気』(一般社団法人 日本神経学会)
糖尿病による手のしびれの特徴を教えてください
まず、血糖値の高い状態が長く続くことで末梢神経がじわじわと傷つき、ピリピリ・ジンジンするようなしびれや、手袋をしているような感覚の鈍さとして自覚されることが少なくありません。
症状は、はじめは足先から出ることが多く、進行してから手や指先にも広がる手袋靴下型と呼ばれる分布になりやすい点も特徴です。また、左右の手にほぼ対称に出現し、いつから始まったのかはっきりしないまま、少しずつ範囲が広がったり、夜間や安静時に強くなったりする傾向があります。
しびれだけでなく、痛みや灼熱感、逆に痛みや熱さ・冷たさを感じにくくなる感覚鈍麻を伴うことも多く、進行すると細かい動作がしにくい、物を落としやすいなど運動機能の低下につながる場合もあります。
ただし、片手だけのしびれや特定の指だけのしびれは、頸椎症や手根管症候群などほかの病気の可能性もあるため、糖尿病がある方でも一度医療機関で評価を受けることが大切です。
参照:『糖尿病性神経障害 』(健康長寿ネット)
なぜ糖尿病で手がしびれるのですか?
血糖値が高い状態が続くと、神経に栄養や酸素を送る細い血管が傷つき血流が悪くなり、神経細胞に十分な栄養が届かないです。
同時に、余分な糖はアルドース還元酵素の働きで代謝産物(ソルビトール、フルクトース)に変換され(ポリオール代謝)ます。このポリオール代謝の亢進により、最終糖化産物や活性酸素が産生され、神経細胞そのものにもダメージを与えると考えられています。こうした血流障害と代謝異常が重なることで、手や足の末梢神経から順に感覚が乱れ、「ピリピリする」「ジンジンする」「感覚が鈍い」しびれとして感じられます。
参照:『糖尿病性神経障害の病態に関与するアルドース還元酵素の遺伝子欠損シュワン細胞株を樹立』(公益財団法人 東京都医学総合研究所)
糖尿病以外にも手がしびれる病気はありますか?
首の骨の変形などで神経が圧迫される頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアでは、首から腕・手に伸びる神経が障害され、片側の腕や手のしびれ・痛み、脱力が出ることがあります。
手首のトンネルで正中神経が圧迫される手根管症候群も代表的で、親指〜中指のしびれや夜間の増悪、物を落としやすいなどの症状がみられます。ほかに、肘の内側で尺骨神経が圧迫される肘部管症候群、肩から腕にかけての神経や血管が圧迫される胸郭出口症候群、脳梗塞など脳の病気、ビタミンB12欠乏症や甲状腺機能低下症などの全身性疾患でも手のしびれが起こることがあります。
参照:『しびれ(上肢のしびれ)』(日本整形外科学会 症状・病気をしらべる)
糖尿病によるしびれ症状の経過

手のしびれは悪化しますか?
糖尿病による手のしびれを放置するとどうなりますか?
糖尿病による手のしびれの治療法と生活上の注意点

病院での手のしびれに対する治療法を教えてください
さらに、禁酒・禁煙も必要です。しびれや痛みがつらい場合には、神経障害性疼痛に用いられるプレガバリン、デュロキセチン、三環系抗うつ薬などの薬で症状を和らげます。必要に応じて、ビタミンB群製剤や血流を改善する薬の併用もあります。さらに、フットケアやリハビリテーションの指導を通して、感覚低下によるけが・やけどの予防や、手指の細かい動作を保つ訓練を行うこともあります。症状や全身状態は患者さんによって異なるため、担当医と相談しながら、自分に合った治療計画を立てていくことが大切です。
参照:『糖尿病性神経障害 』(健康長寿ネット)
手のしびれを自分で改善することはできますか?
糖尿病で手のしびれが生じている場合の注意点を教えてください
同時に、しびれの原因が本当に糖尿病性神経障害か、頸椎症や手根管症候群など別の病気ではないかを確認するため、自己判断せず早めの受診が重要です。感覚が鈍くなっていると、やけどやすり傷に気付きにくくなるため、熱い鍋や湯、包丁・ハサミの扱いには特に注意し、毎日手足の皮膚に傷・腫れ・色の変化がないかをチェックします。
一方で、しびれが急に強くなった、片手だけ、力が入りにくい、痛みが激しい、傷ややけどに気付きにくい場合は、糖尿病性神経障害以外の病気や進行した合併症の可能性もあるため、自分だけで様子を見ず、医療機関を受診して評価を受けることがすすめられます。
参照:『糖尿病合併症について』(一般社団法人 日本糖尿病学会)
編集部まとめ

手のしびれは一時的な血行不良でも起こりますが、長く続く場合は糖尿病による神経障害が原因のことがあります。糖尿病性神経障害は、高血糖で神経や血管が傷つき、感覚の異常や痛み、感覚の鈍さとして現れます。初期は足先から始まることが少なくないものの、進行すると手や指にも広がることがあります。治療の基本は血糖コントロールで、必要に応じて神経の痛みやしびれを抑える薬を併用します。日常生活では、けがややけどに注意し、毎日の皮膚観察と早めの受診が大切です。
参考文献




