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「糖尿病」発症のリスクが高まる「血糖値の基準値」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2026/02/25
「糖尿病」発症のリスクが高まる「血糖値の基準値」はご存知ですか?【医師監修】

糖尿病は、自覚症状が出にくいにも関わらず、放っておくと合併症を引き起こす問題がある病気です。早期に発見し、適切に対処するためには血糖値を知ることが大切です。しかし、血糖値にはさまざまな種類や測定の基準があり、「どの数値が高いのか」「どの段階で注意すべきか」がわかりにくいと感じる方も少なくないです。この記事は、血糖値の基準値や高い場合に行うべき対応を解説します。

伊藤 規絵

監修医師
伊藤 規絵(医師)

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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科(脳神経内科)、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。

血糖値と糖尿病の関係

血糖値と糖尿病の関係

血糖値は何を表した数値ですか?

血糖値は、血液のなかにどれくらいのブドウ糖(グルコース)が含まれているかを示す数値です。

ブドウ糖は、主にごはんやパンなどの炭水化物が消化・吸収されることでつくられ、身体や脳を動かすための大切なエネルギー源として使われます。食事をすると血液中のブドウ糖が一時的に増え、逆に時間がたつとエネルギーとして利用されるため減っていきますが、健康な場合はインスリンなどの働きによって血糖値は一定の範囲に保たれています。

この血糖値が慢性的に高い状態になると糖尿病が疑われ、合併症のリスクが高まるため、血糖値は糖尿病の診断や治療方針を決めるうえで重要な指標です。

参照:『血糖値(けっとうち)』(厚生労働省)

糖尿病と血糖値の関係を教えてください

糖尿病は、血糖値が慢性的に高い状態が続く病気です。インスリンはホルモンであり、その分泌量が不足したり、効きが悪くなったりすることで、血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれにくくなり、血糖値が下がりにくくなります。その結果、血管のなかには常に多くのブドウ糖があふれた状態となり、時間とともに血管が傷つき、網膜症や腎症、神経障害などさまざまな合併症を起こす原因です。そのため、糖尿病の管理では血糖値をできるだけ正常に近い範囲に保つことが重要です。

参照:『糖尿病とは』(国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター)

血糖値が高い人は糖尿病以外の病気にかかりやすいですか?

血糖値が高い状態が続くと、糖尿病と診断されていなくても、さまざまな病気にかかりやすくなると考えられています。慢性的な高血糖は血管の内側を傷つけ、動脈硬化を進めるため、心筋梗塞狭心症などの心血管疾患、脳梗塞などの脳血管疾患のリスクが高まります。また、免疫の働きが低下し、肺炎や尿路感染症、皮膚感染症、歯周病などの感染症にかかりやすく、治りにくくなることも指摘されています。さらに、認知症や一部のがんのリスク上昇との関連も報告されており、高血糖は病気の前段階だからと放置せず、早めに生活習慣の見直しや医療機関への相談を行うことが大切です。

参照:『糖尿病の合併症』(厚生労働省) 

血糖値の種類と糖尿病リスク

血糖値の種類と糖尿病リスク

空腹時血糖値と食後血糖値の違いを教えてください

空腹時血糖値は、前の食事からおおよそ8〜10時間以上何も食べていない状態で測定した血糖値で、何も摂取していないときの基礎的な血糖コントロールを見る指標です。一方、食後血糖値は食事で糖質をとった後1〜2時間のタイミングで上昇した血糖値を指し、食事に対してインスリンがどれだけうまく働いているかを評価する指標です。空腹時血糖値が正常でも食後血糖値だけ高い食後高血糖の方もおり、早期の糖尿病や動脈硬化リスクのサインとして重要視されています。

参照:『健康管理センター便り』(兵庫医科大学)

HbA1cでは何がわかりますか?

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、過去1〜2ヶ月程度の平均的な血糖の状態を反映する指標です。血液中のヘモグロビンにどれだけブドウ糖が結合しているかを%で示しており、日々の血糖値の一時的な変動に左右されにくいのが特徴です。このため、糖尿病かどうかの診断や、治療によって血糖コントロールがうまくいっているかを評価する際に重要な検査として用いられます。 参照:『1 章 糖尿病診断の指針』(糖尿病診療ガイドライン2024)
『糖尿病とは』(国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター)

それぞれの血糖値の基準値を教えてください

空腹時血糖値は、一般に空腹時70〜99mg/dLが正常範囲とされ、その範囲内であれば糖代謝はおおむね良好と考えられます。一方、食後血糖値(食後2時間値)は140mg/dL未満が正常とされ、それ以上になると食後高血糖として糖尿病や動脈硬化のリスクが高まる可能性があります。また、空腹時血糖値が110〜125mg/dLの場合は境界型(糖尿病予備群)と呼ばれ、将来糖尿病を発症しやすい状態とみなされるため、生活習慣の見直しや追加検査(75gOGTTなど)が推奨されます。

参照:『1 章 糖尿病診断の指針』(糖尿病診療ガイドライン2024)

高い血糖値を下げ糖尿病リスクを低減する方法

高い血糖値を下げ糖尿病リスクを低減する方法

高くなった血糖値を自分で下げることはできますか?

生活習慣を見直すことで、高くなった血糖値を自分で下げていくことは十分可能です。ただし、すでに糖尿病と診断されている場合や、血糖値が著しく高い場合には、自己判断だけで対応せず医師の指導を受けながら行うことが大切です。

自分でできる対策は、まず食事の工夫が重要です。糖質(ごはん・パン・甘い飲み物など)の摂り過ぎを避け、野菜やたんぱく質を先に食べて主食を控えることで、食後血糖値の急上昇を抑えます。

また、ウォーキングなどの有酸素運動やスクワットなどの筋トレを毎日続けると、筋肉がブドウ糖を取り込みやすくなり、血糖値が下がりやすいです。さらに、体重過多がある場合は、無理のない減量も血糖コントロール改善に有効です。

参照:糖尿病を防ぐ食生活 ~「ちょっと血糖値が高め」の方へ~|とうきょう健康ステーション(東京都保険医療局)

血糖値が下がれば糖尿病になる可能性は低くなりますか?

血糖値を適切な範囲まで下げ、安定させることができれば、糖尿病になる可能性の低下は期待できます。特に、糖尿病予備群や「少し高め」と指摘された段階で、食事と運動、体重管理などの生活習慣を改善し血糖値をコントロールすると、その後の糖尿病発症リスクが下がることが報告されています。ただし、低ければ低いほどよいわけではなく、血糖値が下がりすぎると低血糖となり、動悸・冷や汗・意識障害などの危険な症状を引き起こすことがあります。そのため、医師と相談しながら、低血糖を起こさない範囲で、空腹時・食後ともにできるだけ正常値に近づけて維持していくことが大切です。

参照:『みんなで知ろう! からだのこと』(厚生労働省)

病院で血糖値を下げるための治療を始める基準を教えてください

糖尿病の治療をいつ始めるかは、血糖値やHbA1cの数値だけでなく、年齢や合併症の有無なども含めて総合的に判断されます。

一般には、空腹時血糖値や食後血糖値、HbA1cが糖尿病の診断基準(空腹時126mg/dL以上、食後2時間値200mg/dL以上、HbA1c6.5%以上など)を満たし、生活習慣の改善だけでは十分な改善が見込めない場合に、薬による治療が検討されます。

また、随時血糖値が250〜300mg/dL程度以上の明らかな高血糖や、口渇・多尿・体重減少などの症状が強いとき、ケトン体陽性など急性代謝失調が疑われるときは、早期に薬物療法(場合によってはインスリン治療)の開始が推奨されます。

参照:『2 章 糖尿病治療の目標と指針』(糖尿病診療ガイドライン2024)

病院の治療ではどの程度血糖値が下がりますか?

治療を始める時点の血糖値やHbA1c、使う薬の種類・量、食事や運動など生活習慣の改善度合いによって大きく違います。そのため、「必然的に○mg/dL下がる」「必然的にHbA1cが○%下がる」と一律にはいえません。

一般的には、治療の目標としてHbA1cをおおむね7.0%未満に保つことが推奨され、これに対応する血糖値の目安として、空腹時130mg/dL未満、食後2時間180mg/dL未満がよく用いられます。実際の診療では、まず食事療法と運動療法を行い、それでも不十分な場合に薬物療法を追加し、定期的に検査をしながら数ヶ月〜1年程度かけて、この目標範囲に近づくよう治療内容を調整します。

参照:『糖尿病(HbA1c高値、空腹時血糖高値)』(東海病院 東海健康管理センター)

編集部まとめ

編集部まとめ

 糖尿病は、血糖値の異常から早期に発見できる病気です。血糖値が高い状態が続くと、血管や神経にダメージを与え、心臓病や腎症、視力低下などの合併症を引き起こすリスクです。空腹時血糖値100mg/dL以上やHbA1c6.0%以上は注意が必要です。食事や運動で血糖コントロールを整えることが大切で、改善が難しい場合は病院での治療を検討します。定期的な検査と生活習慣の見直しが、糖尿病予防と健康維持の第一歩です。

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