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「うつ状態とうつ病」は何が違うの?見分けるためのセルフチェック法も解説!

 公開日:2026/01/23
「うつ状態とうつ病」は何が違うの?見分けるためのセルフチェック法も解説!

なんとなく気分が沈む、やる気が出ない、眠れないなどの状態が続くと、うつ病かもしれないと不安になる一方で、疲れているだけ、あるいは一時的な落ち込みであるうつ状態かもしれないと迷う方も少なくありません。

本記事では、うつ病とうつ状態の違いを整理したうえで、セルフチェックの進め方と、状況に応じた具体的な対処法を解説します。

前田 佳宏

監修医師
前田 佳宏(医師)

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島根大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院、国立精神神経医療研究センター、都内クリニックにて薬物依存症、トラウマ、児童精神科の専門外来を経験。現在は和クリニック院長。愛着障害やトラウマケアを専門に講座や情報発信に努める。診療科目は精神神経科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経内科。 精神保健指定医、認定産業医の資格を有する。

うつ病とうつ状態の違い

うつ病とうつ状態の違い

うつ病とはどのような病気ですか?

うつ病は、気分の落ち込みや興味・意欲の低下などの症状が一定期間続き、思考や行動にも影響が及ぶことで、日常生活や社会生活の機能に支障をきたす疾患です。

気分の問題にみえても、睡眠や食欲、集中力などの変化を伴い、日常の機能に影響する場合があります。症状の程度や続く期間、生活への影響などを総合して医療者が評価します。
うつ病の生涯有病率(一生のうちに1度以上罹患する方の、全人口に対する割合)は、世界的には11〜15%、日本では5〜6%とされており、有病率は女性が男性の約2倍です。

参照:『うつ病診療ガイドライン 2025』(日本うつ病学会)

うつ状態の特徴と原因を教えてください

うつ状態は、落ち込みや意欲低下などの抑うつ症状がみられる状態を指す一般的な表現で、特定の診断名を示すものではありません。
うつ状態は、うつ病以外にも、適応障害や不安障害などの精神疾患でみられる場合があります。身体疾患や薬剤の影響などで、抑うつ症状が目立つこともあります。

参照:『うつ病診療ガイドライン 2025』(日本うつ病学会)

うつ病とうつ状態の明確な違いはありますか?

ポイントは、症状の呼び方か診断名かの違いです。

うつ状態とは落ち込みや意欲低下などの症状のまとまりを指す言葉です。原因はさまざまです。
うつ病は、症状の数や持続、重症度、生活への影響などを総合し、医療者が診断する疾患名です。

同じ落ち込みでも、生活への支障が大きい、一定期間以上続く、自責感が強い希死念慮がある場合は、医療的な評価と支援が必要になることがあります。

うつ状態を引き起こすうつ病以外の病気を教えてください

うつ状態は、うつ病以外でも起こりえます。例えば、適応障害や不安障害、統合失調症、パーソナリティ障害などの精神疾患の一部として抑うつ症状が前面に出ることがあります。また、うつ状態にみえても、背景に躁状態または軽躁状態がある双極性障害の可能性もあります。さらに、身体疾患や薬剤の影響などが抑うつ症状に関与する場合もあります。

背景の見極めは専門的な評価が必要になるため、つらさが続く場合は医療機関への相談を検討します。

うつ病とうつ状態を見分けるセルフチェック方法

うつ病とうつ状態を見分けるセルフチェック方法

うつ病とうつ状態を見分けるためのセルフチェック方法を教えてください

セルフチェックは診断ではなく、受診や相談の目安を考えるために、ここ数週間の状態を整理するのに役立ちます。うつ病の診断では、複数の症状が一定期間、ほぼ毎日持続しているかどうかが判断材料のひとつになります。一般的には、2週間以上続いているかが目安として用いられます。

ここで大切なのは、項目に挙がるような気分や体調の変化自体は、誰にでも起こりうる点です。ただし、それが一日中ほぼ絶え間なく続き、期間も長引いている場合は、うつ病のサインである可能性もあります。

まずは、以下のような症状があるかどうかを確認してみましょう。

  • 気分の落ち込みが続く(憂うつ、気分が重い)
  • 何をしても楽しくない、興味がわかない
  • 疲れているのに眠れない、または一日中眠い、いつもよりかなり早く目覚める
  • イライラして落ち着かない、何かにせき立てられている感じがある
  • 自分を責める気持ちが強い、価値がないと感じる
  • 集中しにくい、考えがまとまりにくい(思考力が落ちる)
  • 消えてしまいたいと思う、死にたくなることがある

これらの症状が、ほぼ毎日、2週間以上続くかどうかも振り返ります。

さらに仕事、学業、家事、対人関係に明らかな支障があるかどうかも確認してみましょう。

これらが重なるほど、早めの相談がすすめられます。特に、消えてしまいたい、死にたいと感じることがある場合は、緊急性が高い可能性があり、早めに専門家や医療機関につながることが重要です。

参照:『うつ病』(国立精神・神経医療研究センター NCNP病院)

セルフチェックの結果をどうとらえればよいですか?

当てはまる項目が多いことは、ただちにうつ病の確定を意味しません。
一方で、つらさが続くこと自体が重要なサインです。結果は白黒をつけるためではなく、今の状態を言語化し、相談や休養などの次の行動を考える材料として扱います。

うつ病とうつ状態の区別がつかないときはどうすればよいですか?

区別がつかないと感じる場合、無理に自己判断を続ける必要はありません。
症状が軽いように見えても、本人のつらさが強いことがあります。病名がつく前の段階でも、医療機関や専門職に相談することで状況の整理が進み、必要な支援につながることがあります。

うつ病、うつ状態への対処法

うつ病、うつ状態への対処法

うつ病が疑われるときの対処法を教えてください

うつ病が疑われる場合、抱え込まずに医療機関への相談が基本です。治療は、状態に応じて組み合わせて行われます。

まずは診察と評価を行います。診察では、症状の内容(気分の落ち込み、意欲低下、不眠、食欲変化など)や持続期間、生活への影響を確認し、必要に応じて身体疾患や薬剤の影響、双極性障害の可能性なども含めて整理します。

次に、状態に応じて心理療法を検討します。例えば認知行動療法では、つらさを強めている考え方や行動のパターンを一緒に整理し、負担の少ない対処法を増やしていきます。例えば、生活の整え方や考えの切り替え方、活動量の調整などです。

必要があれば薬物療法も選択肢になります。抗うつ薬などを、症状の強さや不眠・不安の程度、既往歴などを踏まえて検討し、効果と副作用、効き始めるまでの期間、通院頻度などを確認しながら調整します。

そして回復を支える土台として、環境調整も重要です。休養の取り方、業務量や勤務形態の調整、家族や職場の理解を得る工夫などを具体的に考え、無理が積み重ならない形に整えていきます。

治療内容は一人ひとりで異なります。薬を使うかどうかも含めて、医療者と相談しながら、今の状態に合った進め方を一緒に決めていきます。

参照:『うつ病診療ガイドライン 2025』(日本うつ病学会)

病気ではないのに抑うつ状態が続くときはどうすればよいですか?

明確な病気と診断されなくても、抑うつ状態が続くことがあります。その場合も軽視せず、整えられるところから対応します。

  • 生活リズムを整える:起床時刻を一定にし、日中は光を浴びるよう意識する
  • 休養を優先する:無理に頑張り続けず、休む時間を確保する
  • ストレス要因を整理する:仕事量や対人関係など、負担が集中していないか見直す
  • 信頼できる人に話す:一人で抱え込まず、家族や友人、職場の相談窓口などを活用する

改善しない場合やつらさが増す場合は、医療機関への相談がすすめられます。希死念慮がある場合は、早急に支援につながることが重要です。

編集部まとめ

編集部まとめ

うつ状態は抑うつ症状がみられる状態を指す言葉で、うつ病は医療者が診断する疾患名です。症状の強さや続く期間、生活への影響を総合して判断するため、本人だけで区別が難しいこともあります。
セルフチェックは診断の代わりではありませんが、相談を考える目安になります。つらさが続くときや迷うときは、無理をせず医療機関や相談先につながることが大切です。回復に向けた一歩になります。

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