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「自律神経失調症」を発症するとどんな「漢方薬」が用いられることがある?【医師監修】

 公開日:2026/02/19
「自律神経失調症」を発症するとどんな「漢方薬」が用いられることがある?【医師監修】

自律神経失調症は、疲れやすさや動悸、めまい、ほてり、眠りにくさ、気分の落ち込みなど、さまざまな不調が重なって現れる状態です。検査を受けてもはっきりした異常がみつからず、原因がわからないまま不安を抱える方も少なくありません。治療は西洋医学の薬が用いられることがありますが、症状が一定しない場合や、心と身体の両方に不調がおよぶ場合には、漢方薬が選択肢となることもあります。漢方薬は体質や症状の現れ方を踏まえて処方されるため、自律神経の乱れに伴う幅広い症状に対応しやすい特徴があります。一方で、種類が多く、選び方や飲み方がわかりにくいと感じる方もいらっしゃいます。

この記事では、自律神経失調症と漢方薬の関係を整理したうえで、症状別に用いられる漢方薬の考え方、選び方や飲み方のポイントを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

自律神経失調症と漢方薬の関係

自律神経失調症と漢方薬の関係

自律神経失調症は西洋医学ではどのように治療しますか?

自律神経失調症の治療は、まず現在のつらい症状を和らげることが基本です。動悸やめまい、胃腸の不調、不眠、頭痛などに対して、それぞれの症状に応じた薬が使われることがあります。胃の痛みや胃もたれ、吐き気、下痢などの胃腸症状に対しては、胃酸の分泌を抑える薬や腸の動きを整える薬が用いられます。頭痛や肩こりなどの痛みには、鎮痛薬が使われることもあります。不眠が続く場合には、睡眠薬が検討されます。不安感や気分の落ち込みが強い場合には、抗不安薬抗うつ薬が選択されることもあります。

自律神経失調症の治療に漢方薬が使われることはありますか?

西洋医学の治療と並行して、漢方薬が用いられることもあります。自律神経失調症は、症状が一定せず、身体とこころの不調が入り混じって現れることが少なくありません。このような状態では、単一の症状だけを抑える治療が合わない場合もあり、全身の状態を整える目的で漢方薬が選ばれることがあります。西洋薬で効果が不十分な場合や、副作用が気になる場合に、補助的な選択肢として検討されることもあります。

漢方薬が自律神経失調症の治療に役立つ理由を教えてください

漢方薬が役立つ理由の一つは、症状を個別に分けて考えるのではなく、身体全体のバランスからとらえる点にあります。自律神経失調症は、不眠や疲労感、ほてり、冷え、気分の不安定さなどが同時にみられることがあります。漢方は、これらを体力の程度や緊張の強さ、血流や水分の偏りなどの視点から整理し、その方の状態に合わせた処方を選びます。西洋医学の治療と組み合わせることで、治療の幅が広がる場合があります。

自律神経失調症の症状別|治療に用いられる漢方薬の種類

自律神経失調症の症状別|治療に用いられる漢方薬の種類

自律神経失調症全体を治療できる漢方薬はありますか?

自律神経失調症に対して、すべての方に共通して用いられる漢方薬はありません。漢方医学は、自律神経失調症という診断名だけで判断せず、どのような症状がどのように現れているかを踏まえて処方を考えます。疲れやすさや不安感が中心となる方もいれば、めまいや動悸など身体症状が前面に出る方もおり、同じ診断名でも状態は異なります。そのため、症状の特徴を整理したうえで、個々の状態に合った漢方薬が選ばれます。

身体のほてりの改善効果が期待できる漢方薬を教えてください

身体のほてりやのぼせ、顔が熱くなりやすいといった症状がみられる場合には、加味逍遥散が用いられることがあります。自律神経の乱れにより、冷えとほてりが混在したり、気分の揺れや疲れやすさを伴ったりする状態に選ばれる処方です。更年期や月経周期に関連して症状が出やすい方にも検討されます。

睡眠に関するトラブルやイライラを改善できる漢方薬はありますか?

寝つきが悪い、途中で目が覚める、些細なことで気持ちが高ぶりやすいといった症状がある場合には、酸棗仁湯抑肝散が検討されることがあります。酸棗仁湯は、心身の疲労が重なり、落ち着いて眠れない状態に用いられる処方です。一方、抑肝散は、神経の高ぶりやイライラが目立つ場合に選ばれ、気持ちを穏やかに整える目的で用いられます。

気分の落ち込みに効果がある漢方薬はありますか?

気分の落ち込みや不安感が続き、やる気が出にくい状態には、加味帰脾湯が用いられることがあります。疲れやすさや食欲の低下、不眠を伴う場合に選ばれることがあり、心身の消耗が重なった状態を内側から支える考え方の漢方薬です。

動悸やめまいがある場合はどのような漢方を選べばよいですか?

動悸やめまい、立ちくらみなどの身体症状には、苓桂朮甘湯が用いられることがあります。自律神経の乱れにより、身体の水分バランスが崩れたと考えられる状態に選ばれる処方です。また、動悸に加えて喉の詰まり感や息苦しさを伴う場合には、半夏厚朴湯が検討されることもあります。

自律神経失調症|漢方薬の選び方と飲み方のポイント

自律神経失調症|漢方薬の選び方と飲み方のポイント

自分の症状に合う漢方薬の選び方を教えてください

漢方薬を選ぶ際は、自律神経失調症という病名だけで判断せず、現在困っている症状の内容や出方を整理することが基本です。例えば、ほてりが中心なのか、不眠やイライラが目立つのか、気分の落ち込みや疲れやすさが続いているのかによって、考え方が変わります。また、同じ症状でも、冷えを伴うか、食欲や睡眠の状態はどうかといった点も重要です。漢方は、症状の組み合わせや身体全体の状態をもとに処方が選ばれます。市販薬を選ぶ場合でも、症状が一つに定まらないときや複数の不調が重なっているときは、医療機関や薬剤師へ相談しましょう。

漢方薬を飲む際の注意点はありますか?

漢方薬は、飲み始めてすぐに変化を感じる場合もありますが、多くは一定期間続けながら状態を確認します。数日で判断せず、しばらく服用を続けたうえで、症状の変化を振り返る視点が大切です。飲み方は、処方や製品ごとの指示に従い、決められた量と回数を守ります。体調の変化として、胃の不快感やむくみ、動悸の変化などがみられた場合は、自己判断で続けたり中止したりせず、医療機関や薬剤師へ相談します。また、ほかの薬を使用している場合や、持病がある方は、併用について事前に確認しておくとよいでしょう。漢方薬は体質に合うかどうかを見極めながら使うものであり、定期的に見直しを行うことが、無理なく続けるためのポイントです。

編集部まとめ

編集部まとめ
自律神経失調症は、疲れやすさや動悸、めまい、ほてり、不眠、気分の落ち込みなど、さまざまな不調が重なって現れます。漢方薬は病名だけで判断するのではなく、症状の組み合わせや身体全体の状態を踏まえて選ばれる点が特徴です。そのため、同じ自律神経失調症といわれても、用いられる漢方薬は方によって異なります。症状の背景を整理しながら考えることで、治療の選択肢を広げることにつながります。

漢方薬を取り入れる際は、症状に合った処方を選び、一定期間続けながら変化を確認していく姿勢が大切です。自己判断で切り替えたり中断したりせず、医療機関や薬剤師と相談しながら進めることで、無理のない使い方がしやすくなります。西洋医学の治療と組み合わせる方法も含め、自分の状態に合った向き合い方を見つけていきましょう。

この記事の監修医師