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「閉塞隅角緑内障の治療」は何をする?治療後の注意点も解説!【医師監修】

 公開日:2026/02/02
「閉塞隅角緑内障の治療」は何をする?治療後の注意点も解説!【医師監修】

閉塞隅角緑内障は、目の隅角と呼ばれる部分が物理的に閉じてしまい、眼圧が急激に上がる緑内障です。急性の発作(急性閉塞隅角緑内障)が起こると、突然の目の激痛や視力低下、頭痛や吐き気などの症状が現れ、放置すると短期間で失明する可能性があります。しかし、適切に治療すれば視力を守ることが可能です。本記事では閉塞隅角緑内障の治療について、基本的な治療方針から急性緑内障発作時の対処、レーザーや手術による治療法、治療後の経過観察や日常生活の注意点まで解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

【閉塞隅角緑内障の治療】基本編

【閉塞隅角緑内障の治療】基本編

閉塞隅角緑内障の治療の目的を教えてください

緑内障治療の最終目標は、眼圧を下げて視神経へのダメージを防ぎ、視力や視野を維持することです。一度障害された視神経はもとに戻らないため、治療によって眼圧をコントロールし進行を抑えることで、患者さんの視機能と生活の質(QOL)を生涯にわたり守ることが目的です。特に、閉塞隅角緑内障では発作時に眼圧が急上昇し、放置すれば短期間で視力が失われる可能性があるため、迅速に眼圧を下げて視神経を保護することが重要です。

発作時と発作がないときで治療は変わりますか?

はい、閉塞隅角緑内障では急性緑内障発作が起きているか否かで治療方針が大きく異なります。急性緑内障発作時には緊急措置として、まず眼圧を下げる薬物治療を行います。眼圧が落ち着いたら、レーザー虹彩切開術や白内障手術などの治療を速やかに行います。一方、発作が起きていない段階では、あらかじめ予防的にレーザー治療や手術を検討します。

【閉塞隅角緑内障の治療】急性緑内障発作編

【閉塞隅角緑内障の治療】急性緑内障発作編

急性緑内障発作が起きたときはまず何をしますか?

急性緑内障発作は眼科の救急疾患です。激しい目の痛みや頭痛、吐き気、視力低下などの症状に気付いたら、まず速やかに眼科を受診してください。眼科では応急処置として眼圧を下げる点眼や点滴治療を行います。

これらの処置により眼圧を低下させ痛みを和らげますが、その後、再発防止のためにレーザー虹彩切開術や白内障手術などの手術治療を行うのが一般的です。急性緑内障発作は放置すれば症状出現後1日で失明に至ることもある怖い病気のため、とにかく一刻も早く眼科医による治療を開始する必要があります。

眼圧を下げるためにどのような治療が行われますか?

急性発作時には複数の点眼薬や内服や点滴薬を併用して、眼圧を下げる治療を行います。具体的には次のような薬物が用いられます。

治療薬の分類 主な薬剤 作用・使用ポイント
縮瞳薬
  • ピロカルピン点眼(1〜2%)
  • 瞳孔を縮小し虹彩位置を下げる
  • 隅角を開放し房水排出を促進
  • 急性緑内障発作時は数分おきに頻回点眼
  • 閉塞した隅角を少しでも開く目的で使用
緑内障点眼薬
  • PG製剤
  • β遮断薬
  • ROCK阻害薬
  • など
  • 房水産生を抑制
  • 房水排出を促進
  • 複数薬剤を短間隔で反復点眼
  • 急速な眼圧低下を目指す
炭酸脱水酵素阻害薬
  • アセタゾラミド
  • 房水産生を直接抑制
  • 内服で併用することが多い
高浸透圧薬
  • マンニトール
  • グリセオール
  • 血中へ水分を引き出し眼圧を下げる
  • 即効性が高い
  • 眼圧急上昇時の緊急対応に有効
鎮痛薬・抗嘔吐薬
  • 鎮痛剤
  • 制吐剤
  • 頭痛、眼痛の緩和
  • 吐き気、嘔吐の軽減

このように点眼薬と内服、点滴を併用し、可能な限り早く眼圧を下降させることが、急性緑内障発作の治療として始めに行われます。そして、その後にレーザー虹彩切開術や白内障手術などを行い、根本的な治療を行います。

治療までの時間が重要だといわれる理由を教えてください

急性閉塞隅角緑内障では眼圧上昇による視神経障害がとても速く進行するため、治療までの時間が重要です。眼圧が40~80mmHgと通常の数倍に達すると、血流障害で視神経が傷つき始め、数時間~数日以内の失明も起こりえます。そのため、急性緑内障発作時には一刻も早い治療開始が必要だとされています。治療開始が遅れるほど視力や視野へのダメージが大きくなり、その障害はもとに戻りません。一方で、早期に眼圧を下げて視神経を守れば失明を防げる可能性が高くなります。急な目の痛みや視力低下を感じたら自己判断で様子を見ず、すぐに眼科を受診することが大切です。

【閉塞隅角緑内障の治療】手術・レーザー治療編

【閉塞隅角緑内障の治療】手術・レーザー治療編

レーザー虹彩切開術(LPI)とはどのような治療ですか?

レーザー虹彩切開術(LPI:Laser Peripheral Iridotomy)とは、茶目の部分(虹彩)にレーザーで小さな穴を開ける治療です。この穴が房水の抜け道となり、瞳孔のところで滞っていた房水が前房へ流れやすくなります。その結果、隅角が物理的に閉塞するのを防ぎ、眼圧の上昇を抑えられるようになります。

レーザー虹彩切開術は点眼麻酔下で行い、専用のレーザー光線を照射し短時間で終了します。角膜がクリアで眼内の様子が見えていれば外来で施行可能です。LPIによって一度虹彩に孔を開けておけば、その目ではしばらく急性の発作は起こらなくなるため、発作を経験した方や隅角が狭いと指摘された方には積極的に行われる治療です。

白内障手術が治療として選択されるのはなぜですか?

白内障手術が閉塞隅角緑内障の治療に選択されるのは、水晶体の厚みを取り除くことで隅角の閉塞原因を根本から解消できるためです。閉塞隅角の多くは加齢などで厚くなった水晶体が虹彩を前方へ押し上げることで起こります。白内障手術では濁った水晶体を取り出し、薄い人工の眼内レンズと置き換えますが、この人工レンズはもとの水晶体より薄いため術後には前房が深くなり、隅角に十分なスペースができます。結果として房水の流れが改善して眼圧が下がりやすくなるため、閉塞隅角緑内障の根本的治療あるいは予防法として有効です。特に、白内障を合併している患者さんでは白内障手術が推奨されます。まだ白内障が軽度の場合でも、将来的な発作リスクが高いと判断されれば予防目的で手術を行うケースもあります。

片眼が発作を起こした場合、もう片方の眼も予防治療が必要ですか?

もう片方の目も予防治療が必要です。閉塞隅角は左右両目に共通して起こる素因があるため、一方の眼で急性発作を起こした場合、反対の目も発作を起こしやすいと考えられます。そのため、片方の目が発作により治療を受けた場合は、もう一方の目に対しても同時に予防的なレーザー虹彩切開術または白内障手術を行うのが一般的です。

【閉塞隅角緑内障の治療】再発予防と経過観察編

【閉塞隅角緑内障の治療】再発予防と経過観察編

治療後も定期的な通院が必要なのはなぜですか?

緑内障は治療後も経過観察が欠かせない慢性疾患だからです。閉塞隅角緑内障ではレーザーや手術で隅角を開放すれば急性緑内障発作の再発は防げますが、それでも眼圧が高めに推移したり、視野障害が進行したりする可能性があります。また、視野障害があるために点眼治療の継続や追加処置が必要になることもあります。そのため、治療後も定期的に眼科で眼圧チェックや視野検査、眼底検査を受け、視神経の状態を確認することが大切です。

日常生活で注意することを教えてください

基本的に治療後は普段通りの生活を送って構いません。レーザー治療や手術で隅角が開放されていれば、日常生活で特別に気を付けるべき動作や制限はほとんどないといわれています。例えば、適度な運動や入浴、読書なども普段どおり行えますし、仕事や家事も続けて問題ありません。ただし、重い物を一気に持ち上げる、長時間にわたる逆立ちやヨガの頭低位姿勢などは一時的に眼圧を上昇させる可能性があります。これら日常的ではない極端な動作は控えた方がよいでしょう。そして、治療後に眼圧コントロールの点眼薬が処方されている場合、自己判断で中断せず決められた用法用量を守って継続しましょう。これらを心がければ、閉塞隅角緑内障と診断されても普段どおりの生活を送ることができます。

市販薬で避けるべきものはありますか?

はい、閉塞隅角緑内障の方は抗コリン作用の強い薬剤を避ける必要があります。具体的には、市販の風邪薬や鼻炎、アレルギー用の内服薬、睡眠導入剤などに注意が必要です。こうした薬には抗ヒスタミン成分や抗コリン成分が含まれていることが多く、服用すると瞳孔が開いて隅角が狭くなり、急性緑内障発作を誘発する可能性があります。実際、風邪薬や抗アレルギー薬以外にも、乗り物酔い止めや胃腸薬、鎮痛剤の一部、さらには抗うつ薬や排尿障害治療薬など、抗コリン作用を持つ薬剤はとても幅広く存在します。こうした市販薬には必ず「(閉塞隅角)緑内障の方は使用禁止(禁忌)」と注意書きが添付文書に記載されています。購入前に薬剤師に相談し、代替薬がないか確認するとよいでしょう。また、病院で他科を受診する際も、医師に閉塞隅角緑内障であることを伝えるようにしましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

閉塞隅角緑内障は、急性緑内障発作が起これば短時間で失明の危機に至りうるとても危険な目の病気です。しかし、適切な治療と予防策によって視力を守ることができます。急性緑内障発作は目の救急疾患ですので、症状に気付いたら迷わず眼科を受診し、可能な限り早く眼圧を下げる治療を受けてください。適切な治療で隅角の閉塞は解消でき、一度治療を受ければ同じ目で急性緑内障発作が再発するリスクは大幅に減ります。治療後は定期検診と点眼治療の継続によって良好な視力や視野を保てる場合がほとんどです。「緑内障=失明」と不安になりすぎず、正しい知識と適切な対処でいつまでも快適な視生活を送りましょう。

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