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「うつ病の人が言ってほしい言葉」はご存知ですか?声掛けのポイントも解説!

 公開日:2026/01/09
「うつ病の人が言ってほしい言葉」はご存知ですか?声掛けのポイントも解説!

うつ病の方と接するとき、「どのような言葉をかければいいのだろう」と悩む方は多いでしょう。大切な方が苦しんでいると、「励ましたい」「力になりたい」と思うものの、何気ない一言が相手を傷つけてしまうのではないかと不安になることもあります。かける言葉次第で相手に安心感を与えることもできれば、逆に絶望感や孤独感を深めてしまうこともあります。本記事では、うつ病の方が本当に求めている言葉とは何か、具体的に安心させる声かけの例や、避けるべき言葉とその理由を解説します。

前田 佳宏

監修医師
前田 佳宏(医師)

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島根大学医学部卒業。東京大学医学部附属病院精神神経科に入局後、東京警察病院、国立精神神経医療研究センター、都内クリニックにて薬物依存症、トラウマ、児童精神科の専門外来を経験。現在は和クリニック院長。愛着障害やトラウマケアを専門に講座や情報発信に努める。診療科目は精神神経科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経内科。 精神保健指定医、認定産業医の資格を有する。

うつ病の人は“言ってほしい言葉”がある?言葉のかけ方の難しさ

うつ病の人は“言ってほしい言葉”がある?言葉のかけ方の難しさ

うつ病の方はどのような言葉を言ってほしいと思っているのでしょうか

うつ病の方が本当に求めているのは、一方的な励ましや安易なアドバイスではなく、自分のつらさを理解し受け止めてくれる言葉です。うつ病は本人の甘えや怠けではなく、脳内の機能障害によって起こる病気です。そのため、本人の意思や気力だけではどうにもならず、「こんなこともできない自分はダメだ」と強い自責の念に囚われがちです。そんな状態のとき、周囲からは「あなたの苦しみをわかっているよ」と伝わる言葉をかけてもらいたいと感じています。

励ましと寄り添う言葉はどちらがよいですか?

結論からいえば、直接的な励ましよりも寄り添う言葉の方がよいでしょう。例えば、「頑張って」「元気出して」といった励ましの言葉は、健康な方には応援になるかもしれません。しかし、うつ病で気力が低下している方には「もっと頑張れという意味だ」「今の自分では不十分だ」と否定的に受け止められてしまうことがあります。一方で、「つらいね」「無理しなくていいよ」といった相手の気持ちに寄り添う言葉は、安心感や心の支えになります。寄り添いの言葉によって「自分は一人じゃない」と感じられることが、回復への大切な一歩になるのです。

うつ病の人への言葉のかけ方のポイント

うつ病の人への言葉のかけ方のポイント

うつ病の方が言われて安心しやすい言葉の例を教えてください

相手に安心感を与え、自己否定感を和らげる言葉が効果的です。以下のようなフレーズが代表的な例です。

  • 「つらいね、大変だったね」
  • 「無理しなくていいよ」
  • 「ゆっくり休んでね」
  • 「ここにいてくれてうれしい」
  • 「そばにいるよ」

これら以外にも、「話してくれてありがとう」「あなたのことが大切だよ」「〇〇さんのいいところたくさん知ってるよ」など、相手の存在価値を認め感謝する言葉も効果的です。大事なのは、どの言葉も相手を否定せず受け入れる姿勢が根底にあることです。

「今日は起きられたね」など行動を受け止める言葉をかけるのは大切ですか?

はい、小さな行動や進歩を認める言葉がけはとても大切です。

うつ病の方にとって、朝ベッドから起きる、食事をとるといった当たり前の行動でさえ大きな努力を要する場合があります。そんななかで「起きられたんだね」と声をかけることは、あなたの努力に気付いているという気持ちが伝わります。

早くよくなってほしいと思うと、大きな変化を求めがちですが、回復には時間がかかるものです。焦らせず本人のペースを尊重しながら、小さな進歩を一緒に喜ぶことが、回復を支えるためには大切ですとなります。細やかな変化に気付いて伝えることで、本人の自己肯定感を高めることにつながります。

「気の持ちよう」は言ってはいけないと聞いたのですがなぜですか?

「気の持ちようだよ」といった言葉は、うつ病の方には禁句です。その理由は、これらの言葉が病気への理解が乏しいことを意味し、本人のつらさを否定してしまうからです。

うつ病は心の弱さや甘えではなく医学的な病気であり、根性や精神力だけで克服できるものではありません。それにも関わらず「気の持ちよう」と言われると、「自分の心の持ち方が悪いせいだ」と本人は自分をさらに責めてしまうのです。「甘えているだけじゃないの」という言葉も同様で、努力しても改善できず苦しんでいる当事者の気持ちを踏みにじり、自己肯定感を傷つけます。このように、「気の持ちよう」のような根性論は病気を個人の怠慢だと決めつける誤った対応であり、決して口にしてはいけません。

「頑張って」はなぜ負担になりやすいのですか?

うつ病の方に「頑張って」と声をかけると、かえって心の負担になる場合が多いです。「頑張れ」という言葉の裏には、応援したいという意図があるでしょう。しかし、うつ病の方はすでに十分頑張っているのにそれでもできない自分を責めていることが多く、そこに「もっと頑張れ」と言われると追い詰められてしまいます。

また、「今のままではダメだ」と否定されたように感じ、自責の念や孤独感を深める原因にもなりえます。その代わりに、前述のような「無理しなくていいよ」「つらいね」といったプレッシャーをかけない言葉に置き換えるようにしましょう。

無理に話しかけない方がよい場面があれば教えてください

はい、相手の状態によっては無理に話しかけずそっと寄り添うことも大切です。うつ病の症状には、強い倦怠感や対人交流の負担感も含まれます。特に、相手が明らかに疲れていたり表情が暗く沈み込んでいるとき、話す気力すらない場合があります。そのような場面では、無理に励ましたり質問攻めにしたりせず、付き添いに徹するほうがよいこともあります。相手が話せる状態になったらゆっくり耳を傾け、相手が「一人にしてほしい」と感じている様子であれば、一人の時間を尊重しましょう。大切なのは、相手のペースに合わせることで、無理に話しかけないことも大切です。

うつ病の人への接し方で迷ったら

うつ病の人への接し方で迷ったら

専門家に相談を促すよい方法があれば教えてください

医師やカウンセラーへの受診をすすめる際は、本人の負担にならない伝え方を心がけましょう。うつ病は病院で適切な治療を受けることで改善が期待できる病気です。専門家の力を借りることは決して恥ずかしいことではなく、むしろ早期回復への近道になります。

ただし、デリケートな問題なので、「病院に行きなよ」と一方的に指示すると、相手は責められているように感じて抵抗するかもしれません。代わりに、言葉の選び方に配慮して、優しく提案することが大切です。例えば、「疲れがなかなか抜けない状態が続いているから心配だな。専門の先生に相談してみたら少し楽になるかもしれないね」というように、うつ病という言葉を直接使わず相手の不調を心配している気持ちを伝えるとよいでしょう。そして「もしよかったら、初めての受診には私も一緒に付き添うよ」と提案してみます。こうすることで、相手は「自分を気遣ってくれているんだ」と感じ、受診へのハードルが下がるはずです。専門家への相談は回復への大事な一歩なので、相手が拒否感を示さないタイミングや言い方を選びましょう。

距離感が難しいときはどうすればよいでしょうか

うつ病の方を支えるうえで、適切な心理的距離感を保つことはとても重要です。相手を思うあまり「自分が何とかしなきゃ」と過度に介入してしまうと、支える側も心が疲弊してしまいますし、それは長続きしません。一方で、距離を置きすぎると相手に孤独感を与えてしまいます。難しいバランスですが、基本的には相手のペースに合わせて寄り添うことを意識しましょう。

何でも手助けしすぎず、でも必要なときにはサポートできる距離を保つようにします。どうしても距離感に悩む場合は、医師に助言を求めたり、家族教室や支援者の集まりなどでほかの家族の話を聞くのも有効でしょう。支える側が孤立しないことも、持続的なサポートをするうえで欠かせません。

相手を責めずに自分の気持ちを伝える方法はありますか?

はい、相手を責めることなく自分の気持ちを伝えるには、穏やかな表現をするとよいでしょう。例えば、相手の状態が心配なときに「あなたがそんなだから心配なのよ!」と言ってしまうと、相手を責めるニュアンスになってしまいます。代わりに、「私はあなたのことがとても心配だよ。大切な人だから」というように、自分の気持ちを主語にして伝えるとよいでしょう。こうすれば、「心配だ」というこちらの感情を伝えつつも、相手を非難することなく思いを届けることができます。また、もし自分の言葉が結果的に相手を傷つけてしまったと気付いた場合は、決して「そんなつもりじゃなかった」と言い訳せず、「嫌な気持ちにさせてしまってごめんね」と素直に謝ることも大切です。お互いの本音を伝え合うことは大切ですが、言い方ひとつで伝わり方が大きく変わるので、相手の立場でどう聞こえるか想像しながら言葉を選びましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

うつ病の方への言葉かけでは、相手の気持ちに寄り添い、安心感を与えることが何より大切です。また、言葉以外のコミュニケーションも重要です。話したくないときは黙ってそばにいるだけでも、安心感につながります。家族や友人だけで支えきれないと感じたら、早めに専門家の力を借りることも検討しましょう。うつ病は適切な対応と治療によって必ず改善が期待できる病気です。焦らず、相手のペースに合わせた温かなコミュニケーションで支えていけば、少しずつでも前向きな変化が現れてくるでしょう。言葉の力で大切な人の心に寄り添い、回復への道をともに歩んでいきましょう。

この記事の監修医師