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「メニエール病」を発症しても性行為はしてもいいの?【医師監修】

 公開日:2026/01/06
「メニエール病」を発症しても性行為はしてもいいの?【医師監修】

メニエール病では、めまいや耳鳴り、難聴といった症状が繰り返し起こります。メニエール病の症状によって日常生活に支障が出るだけでなく、パートナーとの時間にも不安を感じている方もいらっしゃると思います。そこで本記事では、メニエール病の方が性行為を行う際の疑問に答え、症状があるときの注意点やパートナーと安心して過ごすためのポイントについて解説します。

小島 敬史

監修医師
小島 敬史(国立病院機構 栃木医療センター)

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【経歴】
経歴
2006年3月 慶應義塾大学医学部医学科卒
2008年3月 佐野厚生総合病院 初期臨床研修修了
2008年4月 慶應義塾大学耳鼻咽喉科学教室所属
2013年9月 慶應義塾大学病院 助教として勤務
2018年8月 米国 ノースウェスタン大学耳鼻咽喉科で遺伝性難聴の基礎研究に従事
2021年5月〜 国立病院機構 栃木医療センター 耳鼻咽喉科医長 (現職)
【資格等】
日本耳鼻咽喉科学会専門医・指導医、日本耳科学会認定医、補聴器相談医、補聴器適合判定医
所属学会:日本耳鼻咽喉科学会、日本耳科学会、日本聴覚医学会、耳鼻咽喉科臨床学会

メニエール病と性行為の関係

メニエール病と性行為の関係

メニエール病でも性行為はできますか?

はい、メニエール病だからといって必ずしも性行為ができなくなるわけではありません。基本的に性行為自体に特別な制限はなく、体調が安定しているときであれば行っても問題ありません。症状が軽い場合や落ち着いている時期には、普段どおり性行為をしても悪影響はないでしょう。ただし、めまいや吐き気などの症状が出ている最中に無理をするのは危険です。そういった状態で性行為を行うと転倒や事故につながるリスクが高まるため、症状が強いときには控えるようにしてください。

性行為でめまいが悪化することはありますか?

性行為自体がめまい発作を起こすということではなく、耳閉感や軽いめまいがあるとき、性行為によって症状が悪化する可能性はあります。性行為は身体的運動と精神的興奮を伴うため、心拍数や血圧が上がり、それに伴って内耳の状態に影響が及び、めまい発作を誘発してしまう可能性があります。また、メニエール病は疲労などによって症状が悪化することがありますから、性行為後の疲労感によって性行為中にめまい発作が起こる可能性はあります。そして、メニエール病によって激しい回転性めまいや吐き気があったり、平衡感覚を失って転倒したりする危険性もあります。

一度性行為とめまい発作が関連してしまうと、「性行為をしたらめまいが起きるのでは」と不安に感じること自体がストレスとなり、緊張で発作を起こしやすくなることもあります。以上のように、性行為はメニエール病のめまいを悪化させたり、誘発したりする一因となりえます。症状が安定していないときや体調に不安があるときは、無理せず控えることが大切です。

症状が不安定なときは性行為を控えたほうがよいですか?

はい。発作というほどでなくても耳閉感や軽いめまいがあるなど症状が不安定な時期には、性行為は無理に行わず控えたほうがよいでしょう。症状が落ち着いていないときに性交渉を試みると、性行為後に症状が悪化する可能性があります。発作の頻度が高い時期は治療と休養を優先し、体調が安定するまで一時的に性行為を控えるとよいでしょう。症状が治まり落ち着いてきたら、無理のない範囲で再開してください。メニエール病は発作と寛解を繰り返す病気なので、調子が悪いときには休み、調子がよいときにコミュニケーションを図るというように、柔軟に対応するとよいでしょう。

メニエール病の症状があるときに注意すべきポイント

メニエール病の症状があるときに注意すべきポイント

発作が起きそうなときに気を付けることを教えてください

メニエール病では、発作の前兆として耳が塞がった感じ(耳閉感)低音が聞こえにくくなるといった症状が現れることがあります。そうした発作が起きそうな兆候がある場合は、無理をせず身体を安静にしましょう。例えば、立ち上がって何か作業をしている最中であれば座る、可能であれば横になるなどして、めまいが起こっても安全な姿勢を確保します。性行為の途中であっても、耳鳴りの悪化や耳の詰まった感じなど、普段と違う症状に気付いた時点で一度動作を止めることをおすすめします。

めまい発作が起こりそうなときは焦らず深呼吸し、リラックスを心がけてください。ストレスや緊張も発作の誘因となりうるため、まずは落ち着いて症状の様子をみることが大切です。必要に応じて主治医から処方されている薬があれば服用し、安静にして過ごしましょう

強い耳鳴りや難聴があるときはどうするべきですか?

強い耳鳴りや一時的な聴力低下(難聴)の症状が出ているときは、内耳の状態が不安定になっているかもしれません。そのようなときに無理に性行為を行おうとしても、症状が気になって集中できないばかりか、めまいへの不安から性欲自体も減退してしまうことがあります。したがって、耳鳴りや難聴が強いときにはまず症状を落ち着かせることを優先してください。内服で治療中の場合は指示どおり薬を服用し、静かな場所で横になるなど安静に過ごしましょう。耳鳴りがひどいときには周囲の音で余計にストレスを感じることもありますので、可能であれば照明を落とし静かな環境で休むのもよい方法です。症状が和らいでから、あらためて体調を見て行動するようにしましょう。

性行為中にめまいが出たときの対処方法を教えてください

性行為の最中に急にめまい発作が起きてしまった場合は、何より安全確保が最優先です。すぐに動くのをやめ、まずは体勢を整えましょう。可能であればその場で横になり、頭をできるだけ動かさないようにして安静にします。無理に立ち上がろうとすると平衡感覚が保てず転倒する危険があるため、症状が落ち着くまでは安静が基本です。深呼吸をして落ち着くまでじっとしていましょう。

パートナーも驚くかもしれませんが、慌てずにあなたの身体を支え、安全に横になれるよう手伝ってもらってください。嘔気が強い場合は無理に動かず、身体を横向きにして吐いても喉を塞がない姿勢を取り、水分摂取は落ち着いてから行います。多くの場合、しばらく安静にしていれば症状は徐々に軽減していきます。めまいが治まるのを待って、落ち着いてからあらためて状況に応じて行動しましょう。症状が激しく治まらないときや嘔吐が続くときには、迷わず医療機関に連絡するか、医師から指示されている頓服薬があればそれを使用してください。

パートナーと安心して過ごすための工夫

パートナーと安心して過ごすための工夫

めまいが起きにくいような工夫はありますか?

日頃から発作を予防する生活習慣の工夫が大前提です。例えば、睡眠不足や過労は発作を誘発しやすいため、十分な休息をとり生活リズムを整えることが重要です。そのうえで、性行為においてめまいが起きにくくするには、タイミングを工夫するとよいでしょう。体調がよい時間帯や症状が落ち着いている日を選び、心身に余裕を持って臨むことが大切です。また、動作はできるだけゆっくりとし、急に頭を動かすような激しい体位や動きは避けるようにします。このように、自分のペースで無理のない工夫をすることで、発作のリスクを抑えつつパートナーとの親密な時間を楽しむことが可能です。

事前にパートナーへ伝えておくとよいことはありますか?

はい、パートナーにはあらかじめメニエール病について説明し、互いに理解を深めておくことが大切です。具体的には、自分の症状の特徴や発作時に起こりうる状況について率直に伝えておきましょう。「発作が起きると激しいめまいで立っていられなくなる」「耳鳴りや難聴がひどいときは無理ができない」など、起こりうる事態をパートナーが知っていれば、いざというときに慌てず対応してもらえます。また、症状が理由で性行為を中断あるいは延期する場合があること、その際は決して相手を拒んでいるわけではなく自分の体調の問題であることも前もって説明しておくとよいでしょう。そうすることで、発作が起きてしまった場合でも相手に不安や誤解が生じにくくなります。

さらに、発作が起きてしまったときにどのようにサポートしてほしいかについても事前に話し合っておくとよいでしょう。十分なコミュニケーションを通じて相互理解が深まれば、二人で対策を取りながら親密な関係を築いていくことができます。

編集部まとめ

編集部まとめ

 メニエール病でも、症状が安定しているときであれば基本的に性行為は可能であり、適切な工夫次第で問題なく楽しむことができます。一方で、発作の兆候があるときや体調が優れないときには無理をせず、まず自身の健康を最優先に考えましょう。パートナーには病気への理解を求め、互いに支え合いながら進めることで不安を減らし安心感を高めることができます。日頃から生活習慣に気を配りつつ、症状に応じて柔軟に対応すれば、メニエール病と付き合いながらでも二人の親密な時間を十分に持つことが可能です。必要に応じて主治医に相談し、アドバイスを受けながら無理のない範囲で性生活を営んでいきましょう。

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