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「大人が溶連菌感染症」を発症するとどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2026/04/09
「大人が溶連菌感染症」を発症するとどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】

溶連菌感染症は子どもに多い病気という印象を持たれがちですが、大人でも感染することがあります。大人の場合、発熱やのどの痛みが軽く、風邪と区別しにくい形で経過することもあり、受診のタイミングに迷う方も少なくありません。一方で、症状が軽そうにみえても、のどの痛みが長引いたり、経過のなかで別の体調変化が現れたりすることがあります。また、子どもと比べて症状の出方やつらさの感じ方が異なる点も、大人の溶連菌感染症の特徴です。家庭内で子どもが感染したことをきっかけに、大人へうつるケースもみられます。

この記事では、大人の溶連菌感染症に注目し、子どもとの症状の違い、受診を考える目安、治療の考え方や家庭内で気を付けたいポイントを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

大人の溶連菌感染症とは

大人の溶連菌感染症とは

大人も溶連菌に感染しますか?

溶連菌感染症は子どもに多い病気として知られていますが、大人も感染します。特に、家庭内で子どもが溶連菌感染症にかかったことをきっかけに、大人へうつるケースが少なくありません。また、職場や公共交通機関など、人との接触が多い環境でも感染が成立することがあります。大人は症状が軽く出ることもあり、感染に気付かないまま経過する場合もありますが、溶連菌に対する免疫が完全にあるわけではなく、年齢に関係なく感染する可能性があります。

大人と子どもで溶連菌の症状は違いますか?

大人と子どもでは、溶連菌感染症の症状の現れ方に違いがあります。子どもは、急な発熱や強いのどの痛みに加え、腹痛や発疹などが目立ちやすい傾向があります。一方、大人は高い発熱がみられないことも多く、のどの違和感や痛み、だるさが中心となる場合があります。そのため、風邪や疲労と判断されやすく、受診が遅れることがあります。症状の強さだけでなく、経過やほかの症状との組み合わせを意識することが重要です。

大人のほうが重症化しやすいというのは本当ですか?

溶連菌感染症そのものが、大人で特別に重症化しやすいとは限りません。ただし、大人は症状が軽く見えることで医療機関を受診せず、治療が遅れる場合があります。その結果、喉の炎症が長引いたり、合併症につながったりすることがあります。重症化しやすいというよりも、気付かれにくいことが経過に影響する点が、大人の特徴といえます。

溶連菌感染症で喉がどのように痛くなりますか?

溶連菌感染症によるのどの痛みは、飲み込むときに強く感じられるのが特徴です。のどや扁桃が赤く腫れ、ヒリヒリするような痛みや、刺すような違和感を覚えることがあります。左右どちらか一方に強い痛みを感じる場合もあり、痛みのために食事や水分摂取がつらくなることもあります。咳や鼻水が目立ちにくい点が一般的な風邪との違いです。

溶連菌感染症で発疹が出ることはありますか?

大人でも、溶連菌感染症に伴って発疹が出ることはあります。ただし、子どもに比べると頻度は高くなく、発疹が軽いため気付かれない場合もあります。溶連菌感染症は、菌が作り出す毒素の影響によって猩紅熱と呼ばれる状態になることがあり、全身に細かい赤い発疹が広がったり、舌が赤くなる変化がみられたりします。

溶連菌感染症の合併症について教えてください

溶連菌感染症は、経過のなかで合併症が起こることがあります。急性期には、喉の炎症が強く続くことで、扁桃の周囲に炎症が広がり、扁桃周囲膿瘍などにつながる場合があります。この状態では、のどの痛みが強くなり、お口を開けにくい、飲み込みにくいといった症状が現れます。また、感染が落ち着いた後、しばらくしてから免疫反応によって急性糸球体腎炎リウマチ熱といった病気が起こることが知られています。発熱やのどの痛みが改善した後でも、尿の色の変化、むくみ、関節の痛みなどがみられる場合には、再度医療機関へ相談することが大切です。

大人が溶連菌感染症にかかったときの治療

大人が溶連菌感染症にかかったときの治療

受診すべき症状を教えてください

大人は、発熱が軽かったり、のどの痛みが中心であったりするため、様子をみてしまうことがあります。しかし、強いのどの痛みが続く場合や、飲み込むときの痛みが増している場合発熱が数日続く場合には受診を検討しましょう。また、のどの痛みに加えて全身のだるさが強い、首のリンパ節の腫れや痛みが目立つといった症状がある場合も、医療機関での診察がすすめられます。

大人の溶連菌感染症ではどのような薬が使われますか?

溶連菌感染症と診断された場合、原因となる細菌に対して抗菌薬が使用されます。主にペニシリン系の薬が選ばれることが多く、体質や既往歴によってほかの抗菌薬が用いられることもあります。あわせて、のどの痛みや発熱に対して解熱鎮痛薬が使われる場合があります。抗菌薬は症状を和らげるだけでなく、合併症のリスクを下げる目的でも重要な意味があります。

症状が改善したら薬の服用を中止してよいですか?

抗菌薬の服用中に症状が軽くなることはよくありますが、自己判断で中止することはすすめられません。途中で服用をやめると、症状がぶり返したり、治療後の経過に影響したりすることがあります。処方された日数と回数を守って服用を続けることが大切です。服用中に体調の変化や気になる症状が出た場合には、自己判断せず、医師や薬剤師に相談してください。

溶連菌の家庭内感染を防ぐための対策

溶連菌の家庭内感染を防ぐための対策

家族に溶連菌感染症患者がいる場合の注意点を教えてください

家族に溶連菌感染症の方がいる場合、同じ生活空間で過ごす時間が長くなるため、家庭内で感染が広がりやすくなります。特に、発症直後の急性期は感染性が高いとされており、この時期の過ごし方が大切です。咳やくしゃみ、会話による飛沫が周囲に広がらないようマスクを着用するなど感染対策をし、体調の変化がある場合には無理をせず、できる範囲で生活動線を分けるようにしましょう。

タオルや食器は分けた方がよいですか?

タオルや食器、コップなどは、唾液や分泌物が付着しやすいため、感染が疑われる期間は分けて使用することがすすめられます。共用を避けることで、間接的な接触による感染の機会を減らすことにつながります。使用後は十分に洗浄し、清潔な状態を保つことが大切です。

編集部まとめ

編集部まとめ

大人の溶連菌感染症は、子どもの病気という印象が強いものの、実際には年齢に関係なく感染します。大人は発熱やのどの痛みが軽く、風邪のように経過することもありますが、その一方で、気付きにくいまま周囲へ感染を広げてしまう可能性があります。症状の強さだけで判断せず、経過や周囲の流行状況を踏まえて受診を検討することが大切です。

また、適切な治療により多くは回復しますが、治療を中断したり放置したりすると、扁桃周囲膿瘍や、感染後に起こる免疫反応による合併症につながることがあります。家庭内では、急性期を中心に感染対策を意識し、タオルや食器の共有を避けるなどの工夫が役立ちます。

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