「熱がないインフルエンザ」の症状はご存知ですか?風邪との見分け方も解説!

インフルエンザは高い熱が出る病気という印象が強いかもしれません。しかし実際には、熱が出ない場合でもインフルエンザに感染していることがあります。特に冬は園や学校での流行をきっかけに、お子さんの体調が急に崩れることが少なくありません。発熱がないと受診のタイミングを迷いやすい一方で、受診が遅れると家族内や園で感染が広がったり、別の病気を見逃したりする心配もあります。
本記事では小児の保護者の方が迷いにくいように、熱なしのインフルエンザの特徴、検査や受診の目安、家庭でできる感染対策を解説します。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
目次 -INDEX-
インフルエンザと発熱の関係

熱なしでもインフルエンザにかかっている可能性はありますか?
熱なしのインフルエンザの症状を教えてください
- 倦怠感(だるさ)や筋肉痛・関節痛
- 頭痛
- 呼吸器症状
そのほか、食欲低下や軽い悪寒(寒気)を感じる場合もあります。熱がない分、インフルエンザ特有の高熱による震えや大量の発汗は少ないものの、上記のような症状が急に出現したら注意しましょう。熱がなくてもいつもと違うつらさを感じたら、早めに対処することが大切です。
年配や子どもは熱が出にくいというのは本当ですか?
一方で、子どもは必ずしも熱が出にくいわけではありません。むしろ小さなお子さんはインフルエンザで高熱になることが多いです。幼児では体温調節中枢が未熟なこともあり、インフルエンザに感染するとしばしば39~40度近い高熱が出ます。
実際にインフルエンザなのに熱が出ないのは、小児よりも高齢の方や持病のある方に多いパターンといえます。一部、生後6ヶ月未満の赤ちゃんでは発熱が目立たず機嫌の悪さだけが目立つ場合もありますが、一般的には年配の方ほど発熱が鈍く、子どもは高熱になりやすいと考えてください。
参照:『Clinical Signs and Symptoms of Influenza』(CDC)
風邪とインフルエンザの違いを見分けるポイントはありますか?
インフルエンザはインフルエンザウイルスによる感染症で、38度以上の高熱、強い頭痛や関節痛・筋肉痛、全身の倦怠感が短期間で一気に現れるのが特徴です。加えて、風邪と同じような喉の痛みや鼻水、咳などの呼吸器症状も出ます。症状の急激な発症(朝は元気だったのに夕方には高熱になるなど)もインフルエンザの方が顕著です。また、インフルエンザは肺炎や急性脳症など重い合併症を起こすことがある点も風邪との大きな違いです。特に小児ではインフルエンザ脳症、高齢の方や免疫低下状態の方は細菌性肺炎を併発し重症化する例があるため注意が必要です。
参照:『インフルエンザ』(国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイト)
熱なしの症状でも受診すべきサイン

どのような症状があれば検査を受けた方がよいですか?
- 強い倦怠感や筋肉痛がある
- 呼吸が苦しい、胸に痛みがある
- 周囲でインフルエンザが流行している
また、小児や高齢の方、妊娠中の方などのハイリスクの方は、少しでもおかしいと思う症状があれば早めに医療機関で相談してください。例えばお子さんが普段より元気がなく水分もとれない場合や、高齢の方で食事が摂れずぼんやりしている場合なども受診のサインです。
感染初期は検査が陰性になることがありますか?
実際、ある研究では発症12時間未満での検査の感度は約38.9%にとどまり、多くの感染者が陰性判定になったと報告されています。つまり発症から半日以内では6割近くが見逃される可能性があるということです。検査が陰性だった場合でも症状が強い、周囲に流行があるといった場合はインフルエンザの可能性を捨てきれません。
医師は症状や接触歴から総合的に判断して、必要に応じて再検査や臨床診断で治療を開始することもあります。特に発熱前後1日はウイルスの排出が始まっている時期ですので、検査タイミングが早すぎた場合は数時間〜1日おいて再度検査すると陽性になるケースもあります。
参照:『発症から検査までの時間がインフルエンザ迅速抗原検査に与える影響:前向き観察研究』(筑波メディカルセンター病院感染症内科)
熱がない場合でもインフルエンザの治療薬は必要でしょうか?
抗インフルエンザ薬(オセルタミビルやバロキサビル)を発症から48時間以内に開始すると、発熱期間が通常より1~2日短縮され症状が早く改善するほか、鼻や喉からのウイルス排出量も減少することが確認されています。
これは本人の体調回復を早めるだけでなく、周囲への感染拡大防止にもつながります。特に小児やご高齢の方、持病がある方では重症化予防のためにも早期治療が重要です。医師がインフルエンザと判断した場合には、たとえ熱がなくても処方にしたがって治療薬を服用するのがよいでしょう。ただし、健康な成人でごく軽症の場合などは医師の判断で薬を使わず経過をみることもあります。その場合も自宅で安静にし、水分補給を十分に行うなどのケアは怠らないようにしてください。基本的にはインフルエンザなら薬を飲んだ方が早く治るし周りにうつしにくくなると覚えておきましょう。
参照:『一般社団法人日本感染症学会提言 抗インフルエンザ薬の使用について』(日本感染症学会)
インフルエンザの感染防止のためにできること

熱なしでもほかの人に移してしまう可能性はありますか?
実際、インフルエンザに感染しても軽症または無症状のまま回復する人が一定数おり、本人が気付かないうちに感染源となっているケースも報告されています。特に小さなお子さんや高齢の方がいる家庭では、たとえ本人に熱がなくても感染対策をしっかり行うことが大切です。インフルエンザと診断された場合は、熱の有無に関わらず学校や職場を休み、周囲へうつさない配慮をしてください。厚生労働省も「インフルエンザと診断されたら、発症後5日かつ解熱後2日(幼児は3日)経過するまでは自宅で療養する」よう呼びかけています(学校保健安全法の出席停止基準)。熱が下がっていても体内にウイルスが残っているうちは他者に感染させるおそれがありますので、完全に治るまでは油断せず自宅で静養しましょう。
インフルエンザの感染拡大を防ぐ方法を教えてください
- 流行前のワクチン接種
- 手洗い・消毒の徹底
- マスク着用・咳エチケット
- 適度な湿度の維持
- 十分な休養と栄養
- 人混みや繁華街への外出を控える
これらの対策を組み合わせることで、インフルエンザの感染を予防し、周囲への広がりも抑えることができます。特に家庭内で感染者が出た場合は、看病する方もマスクをつけ、部屋を分けたり定期的な換気をするなどの工夫をしてください。インフルエンザは患者さん本人が休むことも社会全体への感染拡大防止につながります。焦らずゆっくり休養し、完治するまで無理をしないようにしましょう。
編集部まとめ

熱が出ないインフルエンザは見逃しやすいため要注意です。高熱がないからといって油断すると、周囲に感染を広げてしまうおそれがあります。特にお子さんやご高齢の方がいる家庭では、熱がない風邪だと思ったら実はインフルエンザだったということも起こりえます。本記事で解説したように、熱以外の症状や周囲の流行状況に目を配り、必要に応じて検査を受けることが大切です。インフルエンザと診断された場合は、たとえ軽症でも適切な治療と十分な休養をとりましょう。
参考文献




