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「インフルエンザ」を疑う「関節痛の特徴」はご存知ですか?痛みのピークも解説!

 公開日:2025/12/02
「インフルエンザ」を疑う「関節痛の特徴」はご存知ですか?痛みのピークも解説!
インフルエンザにかかると、高熱や全身の倦怠感に加えて、関節の痛みを強く感じることがあります。この関節痛は、単なる筋肉のこわばりではなく、ウイルス感染に対して身体が免疫反応を起こすことで炎症物質が放出され、関節周囲の組織が刺激されるために生じます。特に発熱の初期から痛みが出ることが多く、膝や肘、肩、腰などの大きな関節に症状が現れやすいのが特徴です。多くは数日から1週間ほどで自然に軽快しますが、感染後の免疫反応が長引くと、痛みが持続することもあります。発熱や頭痛などの症状と重なるため軽視されがちですが、関節痛は身体の回復過程を示すサインでもあります。

本記事では、インフルエンザによる関節痛の特徴や起こる仕組み、痛みが続く期間、そして自宅や病院での適切な対処法を解説します。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

インフルエンザによる関節痛の特徴と痛むメカニズム

インフルエンザによる関節痛の特徴と痛むメカニズム

インフルエンザの関節痛とはどのような痛みですか?

インフルエンザの関節痛は、発熱や倦怠感とともに現れる全身症状のひとつです。ズキズキする鈍い痛みや関節の重だるさが特徴で、動かすと痛みが強くなることがあります。安静時でも違和感や軽い痛みを感じる場合もあり、全身の節々がこわばるように感じる方も少なくありません。関節そのものよりも、周囲の筋肉や腱、靭帯に炎症が広がることで痛みが増すと考えられています。関節が赤く腫れることは少なく、見た目には異常がみられないことが多いです。

インフルエンザで痛くなりやすい関節はどこですか?

痛みが出やすいのは、膝、腰、肩、肘といった大きな関節です。特に膝や腰は体重を支えるため負担が大きく、歩行や立ち上がりの動作で痛みを感じやすくなります。肩や肘も動かす頻度が高いため、痛みが強く出ることがあります。痛みは左右対称に出ることが多く、広範囲にわたるのが特徴です。手指や足指などの小さな関節は痛みが軽いか、ほとんど感じない場合もあります。関節に熱感や腫れを伴わない点で、関節リウマチや細菌感染による関節炎とは異なります。

インフルエンザで関節が痛くなるメカニズムを教えてください

関節痛の原因は、ウイルス自体が関節に侵入することではなく、感染に対する免疫反応です。体内に侵入したインフルエンザウイルスを排除しようとする過程で、炎症性サイトカイン(インターロイキン、インターフェロン、TNF-αなど)が分泌されます。これらの物質が全身の血流を介して関節周囲に作用し、神経を刺激して痛みを引き起こします。また、発熱による脱水や筋肉の硬直が関節周辺の血流を悪化させ、痛みを助長することもあります。これらの反応は一時的なもので、体温が下がり炎症が落ち着くにつれて関節痛も自然に軽くなります。

インフルエンザによる関節痛の持続期間

インフルエンザによる関節痛の持続期間

インフルエンザで関節が痛み始めるのはいつからですか?

関節痛は、発熱や倦怠感などの全身症状とほぼ同時に現れます。ウイルスが体内に入ると免疫反応が始まり、炎症性の物質が放出されることで関節や筋肉の神経が刺激され、痛みを感じるようになります。症状の出現は急速で、発症初期から関節痛を訴える方が多く、いわゆる節々の痛みとして感じられます。体温の上昇とともに炎症が進むため、初期の数日間は痛みが目立ちやすい時期です。

発熱のピークと関節痛のピークは関係がありますか?

インフルエンザの関節痛は、発熱や全身のだるさなどと同じ時期に強く現れる傾向があります。全身症状のピークは一般的に発症から1〜2日目とされ、関節痛もこの期間に最も感じやすくなります。その後、発熱が下がり始める3〜5日目頃から炎症反応が落ち着き、関節の痛みも次第に軽くなっていきます。関節だけに炎症が集中するわけではなく、全身の免疫反応の一環として痛みが起こるため、解熱とともに改善していくのが特徴です。

インフルエンザの関節痛が治る日数の目安を教えてください

関節痛の持続期間は、一般的に数日から1週間程度です。発熱が治まる頃には痛みも軽くなり、多くの場合は後遺症を残さず自然に回復します。関節の腫れや熱感を伴うことはまれで、痛みが長引くことも通常はありません。体力や免疫の回復により症状は順次改善していきます。

インフルエンザによる関節痛への対処法

インフルエンザによる関節痛への対処法

インフルエンザの関節痛は解熱剤でやわらぎますか?

インフルエンザで起こる関節痛は、発熱と炎症反応によって全身の神経が刺激されることで生じます。体温が高い状態では炎症性の物質が多く分泌されるため、解熱剤によって体温が下がると痛みもやわらぐことが多いです。アセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬は、発熱と関節痛の両方に効果があります。市販薬を使う場合は、添付文書を確認し、決められた量と間隔を守るようにします。

解熱剤を飲んでも痛みがおさまらないときの対処法を教えてください

薬を服用しても痛みが続くときは、まず身体を休ませ、十分な睡眠をとることが大切です。炎症が残っているあいだは、動かすことで関節に負担がかかり、痛みが強まることがあります。室温を一定に保ち、身体を冷やさないようにしながら、水分をこまめにとって脱水を防ぎます。薬を追加で飲んだり、ほかの種類を重ねて服用したりすると副作用の原因になるため避けましょう。痛みが強い場合や、数日たっても改善しない場合は、医療機関で薬の種類や用量を見直してもらいましょう。

インフルエンザによる関節痛で病院に行った方がよいのはどのようなときですか?

関節の痛みが1週間以上続く、特定の関節が腫れる、熱をもっているといった場合は、インフルエンザ以外の関節炎が関係している可能性があります。発熱が続く、身体を動かせないほど痛む、水分がとれない、息苦しさがある場合も、合併症のサインとなることがあります。そのようなときは、自己判断せず早めに医療機関を受診しましょう。特に高齢の方や持病のある方は、ウイルス感染をきっかけに別の病気を併発することがあります。気になる症状が続くときは、無理せず医療機関で相談しましょう。

病院ではインフルエンザによる関節痛に対してどのような治療を行いますか?

医療機関では、症状の程度や発症からの期間を確認し、必要に応じて抗インフルエンザ薬を使用します。発症初期に治療を始めると、ウイルスの増殖を抑えて症状の期間を短縮できることがあります。関節痛が強い場合は、アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を適切な量で処方し、痛みと炎症を抑えます。

編集部まとめ

編集部まとめ

インフルエンザの関節痛は、ウイルスに対する免疫反応で起こる一時的な症状です。多くは発熱と同じ時期に強く感じられ、数日から1週間ほどで自然に軽くなります。回復を早めるには、十分な睡眠と安静を保ち、水分をこまめにとって脱水を防ぐことが大切です。室温と湿度を適度に保ち、身体を冷やさないようにしましょう。痛みがつらいときはアセトアミノフェンなどの解熱鎮痛薬を使うと楽になります。症状が長引く、関節が腫れる、熱をもつなどの変化がある場合は、早めに医療機関で相談してください。

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