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「低血圧で朝起きられない」のはどうして?原因や対処法も解説!【医師監修】

 公開日:2025/12/03
「低血圧で朝起きられない」のはどうして?原因や対処法も解説!【医師監修】
「朝、目覚まし時計が鳴っても身体が重く感じて布団から出られない」そんな経験はありませんか?特に低血圧の方は、朝のだるさやめまい、立ちくらみなどに悩まされ、「どうして自分はこんなに朝が弱いのだろう」と感じているかもしれません。

朝起きられない症状は単なる寝不足や怠けではなく、体内で起こる生理的な変化や健康上の問題が関係している場合があります。しかし、正しい知識と対策を知ることで、そのつらさを軽減し、朝を少しでも楽に迎えることが可能です。本記事では、低血圧で朝起きられない状態の原因や対処法、さらに医師に相談すべきタイミングを解説します。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

朝起きられない原因と低血圧の関係

朝起きられない原因と低血圧の関係

低血圧の定義を教えてください

低血圧とは、一般的に血圧の値が正常よりも低い状態を指します。明確な国際基準はありませんが、目安として収縮期血圧が100mmHg以下、拡張期血圧が60mmHg以下の場合を低血圧と呼びます。

低血圧には大きく分けて、特別な原因がなく体質的に血圧が低い本態性低血圧、起き上がったときに血圧が急激に下がる起立性低血圧、食後に血圧が下がる食後低血圧、そして病気や薬の影響で起こる二次性低血圧などの種類があります。

なお、血圧が低いだけで症状がなければ基本的に問題ありませんが、めまいや倦怠感など生活に支障が出る症状を伴う場合に治療や対策の対象となります。

「低血圧で朝起きられない」とはどのような状態ですか?

「低血圧で朝起きられない」とは、朝目覚めても血圧が十分に上がらず、身体が思うように動かなくて起き上がれない状態を指します。

睡眠中は副交感神経が優位となり血圧が下がりやすい傾向があります。そして、低血圧の方の場合、起床時に脳へ十分な血液が行き渡らないために、強いだるさや頭のぼんやり感が出て布団から出られなくなることがあります。この状態の方は朝起き抜けに立ちくらみやめまいが起きたり、起きてもすぐには活動できずにぼーっとしたりしてしまうことが特徴です。周囲からは朝に弱い方と思われがちですが、本人にとっては身体が思うように動かないつらい症状なのです。

なぜ低血圧の人は朝がつらいと感じるのですか?

低血圧の方が朝つらく感じる主な理由は、神経の切り替えと血圧調整機能の働きが十分に機能しないためです。健康な方であれば、朝目覚める頃に交感神経が優位になり血圧や心拍数が上昇してスムーズに起きられます。しかし低血圧の方では、血圧が低いことで交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、神経の切り替えがうまくいきません。その結果、朝になっても交感神経が十分働かず身体が目覚めないため、起きるのが特につらくなります。

また、長時間横になった後に急に身体を起こすと、重力で血液が下半身にたまり脳への血流が一時的に不足します。低血圧の方ではこの起立性の低血圧が顕著で、立ちくらみやめまいが生じやすく、起床時に強い不調を感じます。

朝のだるさや起きづらさを引き起こす低血圧以外の原因

朝のだるさや起きづらさを引き起こす低血圧以外の原因

低血圧以外でも起きられないと感じる病気や要因はありますか?

はい、低血圧以外にも朝起きられなくなる原因はいくつか考えられます。代表的なものを挙げると、以下のような生活習慣や疾患が関連します。

  • 睡眠不足・睡眠の質の低下
  • 睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群による睡眠障害
  • うつ病などメンタルヘルスの問題
  • 貧血や甲状腺機能低下症、更年期障害など、そのほかの身体の病気

このように、朝起きられない状態の背景にはさまざまな原因が隠れていることがあります。単なる怠けではなく身体や心の不調のサインであることもあるため、ほかの症状も含めて原因を調べることが大切です。

自分で朝起きられない病気や要因をみつける方法を教えてください

まずは生活習慣や体調の自己チェックから始めましょう。以下のポイントを確認すると、自分の朝起きられない原因の手がかりになります。

  • 睡眠時間・睡眠環境を見直す
  • 生活リズムを確認する
  • 血圧を測定する
  • めまいや動悸、息切れ、頭痛、倦怠感、気分の落ち込みなどほかの症状がないか確認する

以上のような自己チェックで、単なる生活習慣の問題か、それとも何らかの病気が隠れていそうかを確認することができます。原因を特定するのが難しい場合や、心当たりがある原因に対策しても改善しない場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。

低血圧で朝起きられないときの対処法と医師に相談するタイミング

低血圧で朝起きられないときの対処法と医師に相談するタイミング

低血圧で朝起きられないときに自分でできる対処法を教えてください

低血圧が原因で朝起きるのがつらい場合、日々の生活習慣を工夫することで症状を和らげることができます

  • 急に立ち上がらない
  • 規則正しい睡眠習慣を身に付ける
  • 朝の日光を浴びる
  • 水分・塩分をしっかり摂る
  • 朝食をきちんと摂る
  • 軽い運動習慣を取り入れる

こうした対策を続けることで、少しずつ朝のつらさが軽減していくことが期待できます。ポイントは、一度に完璧を目指さず、できそうなことから少しずつ習慣化することです。それでも症状が重い場合や、自分で対策しても改善しない場合は、無理をせず医療機関で相談しましょう。

朝起きられないというだけで病院に行ってもよいですか?

もちろん受診して問題ありません。朝起きられない症状は、本人にとっては日常生活に支障をきたす重大な問題です。朝起きられないだけでも、生活リズムの障害や何らかの体調不良のサインである可能性があります。

周囲からみると怠けているだけと思われるかもしれませんが、本人の努力だけでは解決できないこともあります。特に、毎日のように起床が困難で学校や仕事に遅刻あるいは欠勤してしまう場合や、朝以外の時間帯にも体調不良が及んでいる場合は、遠慮せず医療機関に相談してください。

医師に相談することで、低血圧なのかほかの原因があるのかを客観的に評価してもらえますし、適切な対処法のアドバイスや必要な治療を受けることができます。決して恥ずかしいことではないので、つらいと感じるなら受診して問題ありません。

朝起きられない以外にどのような症状がみられたら医師に相談すべきですか?

朝の起きづらさに加えて次のような症状がみられる場合は、できるだけ早めに医師に相談しましょう。

  • 立ちくらみ・めまい
  • 失神
  • 動悸・息切れ
  • 倦怠感が強い
  • 皮膚が蒼白い
  • 頭痛や腹痛を伴う
  • 抑うつ気分や無気力感

以上のような症状が併発している場合、単なる生活習慣の問題ではなく何らかの疾患が背景にある場合があります。早めに医師に相談し、必要な検査を受けて原因を明らかにすることが大切です。

朝起きられないという症状に対して病院ではどのような検査や治療を行いますか?

病院を受診すると、まず医師による問診が行われます。いつ頃から起きられないのか、睡眠時間や生活リズム、ほかにどのような症状があるか詳しく聞かれるでしょう。問診内容によって必要と判断されれば、次のような検査が行われます。

  • 身体診察
  • 血圧測定
  • 血液検査
  • 心電図・画像検査
  • 質問票など精神面の評価

こうした検査の結果、特定の疾患が見つかればその治療が優先されます。低血圧そのものが問題でほかに原因がないと判断された場合は、生活改善指導に加えて必要に応じ薬物療法が行われます。血圧を上げる薬(昇圧薬)としてはミドドリン塩酸塩(血管を収縮させる薬)やドロキシドパ(神経伝達物質ノルアドレナリンの前駆物質)などが使われることがあります。

治療内容は原因によってさまざまですが、医師と相談しながら、自分に合った治療や対策を進めていきましょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

低血圧そのものは高血圧に比べると軽視されがちですが、朝のつらさや日中の不調によって生活の質が低下してしまう重要な問題です。しかし、適切な対策を行えば、朝の状態は改善する可能性があります。本記事で紹介したように、生活リズムの改善や朝の起き方の工夫などは今日からでも始められる対策です。まずはできる範囲で試してみて、それでも改善しないときは早めに医療機関に相談してください。症状が軽いうちに対処すれば短期間でよくなることも多く、深刻な病気が隠れていないか早期発見することにもつながります。朝起きられないつらさを抱えているのはあなただけではありません。原因を正しく理解し、適切なケアとサポートを受ければ、今より楽に朝を迎えられるようになるはずです。

この記事の監修医師