「逆流性食道炎」を発症したら避けた方がいい「食べ物や飲み物」はご存知ですか?

胸やけや喉の違和感が続く逆流性食道炎は、胃酸が食道へ逆流して粘膜を刺激することで起こります。症状を軽くするには薬の治療だけでなく、日々の食事内容や食べ方の工夫が欠かせません。脂っこい食事やアルコール、コーヒーなどは胃酸の分泌を促したり、下部食道括約筋をゆるめたりして、症状を悪化させる要因となります。一方で、刺激の少ない調理法や食材を選ぶことで、食後の不快感を軽減できます。
本記事では、逆流性食道炎の方が避けた方がよい食べ物や飲み物、食習慣の注意点、さらに症状をやわらげるおすすめの食材や調理の工夫を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
逆流性食道炎で食べてはいけないものや避けたい食習慣

逆流性食道炎の人が食べない方がよい食べ物を教えてください
脂質の多い料理は胃の排出を遅らせ、胃酸が食道へ逆流しやすくなることが知られています。揚げ物、バター、ラード、ベーコン、クリームなどの高脂肪食品は、胸やけの原因になりやすいため注意が必要です。さらに、チョコレートはLES圧を下げ、酸の曝露時間を延長させることが報告されています。香辛料の強い料理や糖分を多く含む和菓子なども胸やけを誘発する場合があります。
参照:『胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン 2021(改訂第 3 版)』(日本消化器病学会)
逆流性食道炎の人が飲まない方がよい飲み物はありますか?
アルコールは食道の粘膜を刺激し、さらに食道の筋肉をゆるめてしまうため、症状を悪くする要因になります。ビールやワインなどのアルコール飲料は控えめにするとよいでしょう。
コーヒーや紅茶、緑茶のようにカフェインを含む飲み物も胃酸の分泌を促すとされており、量が多い場合は胸やけが出やすくなります。
炭酸飲料は胃のなかの圧力を高めるため、胃の内容物が食道側へ押し戻されやすくなります。これらの飲み物は症状があるときには量を減らすようにしましょう。
参照:『生活習慣と食道疾患』(日本消化器病学会雑誌)
逆流性食道炎の人が避けた方がよい食習慣を教えてください
さらに、一度に食べ過ぎる習慣もリスクです。食事量が多いと胃が大きく膨らみ、内圧が上がって胃酸が押し戻されやすくなります。早食いも同様に胃への負担を増やします。そのほか、食後に横になる・前かがみの姿勢をとる、腹部を強く締め付ける服装をするなども腹圧を高めて逆流を起こしやすいです。
参照:『生活習慣と食道疾患』(日本消化器病学会雑誌)
逆流性食道炎の人におすすめの食べ物と飲み物

逆流性食道炎の人におすすめの食べ物を教えてください
逆流性食道炎の人はどのような飲み物を飲むとよいですか?
温かい飲み物は胃の血流を保ち、消化を助ける作用があります。牛乳を飲む場合は、脂肪分の少ない低脂肪乳を少量ずつ摂ると、胃酸による刺激をやわらげることができます。水分は一度に多く飲むより、こまめに少量ずつとるとよいでしょう。
逆流性食道炎の人に向いている調理法はありますか?
逆流性食道炎の人に推奨される食習慣を教えてください
また、食後2~3時間以内に横になると逆流が増えることが報告されており、食後は上体を起こした姿勢を保つことが望ましいとされています。夕食から就寝までは少なくとも3時間あけるようにしましょう。
逆流性食道炎が食事に気を付けていても改善されない場合

食事内容や食習慣に気を付けているのに逆流性食道炎が治らない場合どうすればよいですか?
体重が増えて腹圧が高まると逆流も起こりやすいため、体重管理も大切です。さらに、睡眠中の逆流を防ぐために枕やベッドの上半身を10〜15cmほど高くして休む方法も効果的とされています。
それでも症状が続く場合は、消化管の運動障害や食道の過敏性など、ほかの要因が関与していることもあるため、消化器内科を受診しましょう。
病院での逆流性食道炎の治療法を教えてください
薬による治療で効果が得られない場合には、内視鏡検査で炎症の程度や食道裂孔ヘルニアの有無を確認し、必要に応じて外科的治療を検討することもあります。
編集部まとめ

逆流性食道炎は、薬の治療だけでなく、日々の食生活の工夫が症状の改善に欠かせません。脂っこい料理や刺激の強い食材、アルコール、カフェインなどは胃酸の逆流を助長しやすく、控えることがすすめられます。一方で、消化がよく刺激の少ない食材を選び、脂肪分を減らした調理法を意識することで、胸やけや喉の違和感を軽くできる場合があります。
また、食事の時間や姿勢も重要なポイントです。就寝前の飲食を避け、食後は背筋を伸ばしてゆっくり過ごすことが大切です。体重の増加を防ぎ、腹圧を減らすことも症状の予防につながります。
食事や生活を見直しても症状が続く場合は、医師による診察と薬の調整が必要です。早めに受診し、生活指導と薬の治療を併せて行うことで、より快適な毎日を取り戻すことができます。




