「蕁麻疹」って「市販薬」を使用してもいいの?選び方や使用する際の注意点も解説!

蕁麻疹は、突然あらわれる赤みや強いかゆみで、日常生活にも支障をきたすことの多い症状です。
病院に行きたいけれど、時間がとれないときに頼りになるのが市販薬です。
本記事では、蕁麻疹の症状や蕁麻疹が出ているときの身体の変化、蕁麻疹の市販薬の選び方、蕁麻疹の市販薬を使用する際の注意点などについて解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
蕁麻疹の基礎知識

蕁麻疹の症状を教えてください
蕁麻疹は数十分から1時間程度でおさまることが多く、皮膚の盛り上がりが消失すると、通常、跡は残りません。
一度消失しても繰り返す場合も多く、次から次に皮疹が出て、長時間皮疹が出ているように見える場合もあります。
蕁麻疹は、1週間程度で出なくなる場合もあれば、数ヶ月以上繰り返し出続ける場合もあります。
発症から6週間以内のものは急性蕁麻疹、発症から6週間以上のものは慢性蕁麻疹に分類されます。
なぜ蕁麻疹が出るのですか?
皮膚の血管の周りのマスト細胞が、何らかの理由により顆粒を放出し、顆粒の中に含まれるヒスタミンが血管を広げて血漿を血管の外に漏れやすくします。
蕁麻疹は、原因の特定できない特発性蕁麻疹が大半を占めます。
特定の原因により発症する蕁麻疹もあり、下記のような食べ物や薬剤などが原因となることもあります。
- 魚介類
- 卵
- 牛乳
- 抗生物質
- 解熱鎮痛剤
また、上記以外にも感染症の罹患、植物や昆虫に触れることで発生することもあります。寒暖差や日光などの刺激、運動や発汗、ストレスが引き金で発生するケースもあります。
蕁麻疹の市販薬を選ぶ方法と効果

蕁麻疹をおさえるために市販薬を使用しても問題ありませんか?
ただし、市販薬の蕁麻疹の薬は軽症を想定しており、医療用医薬品の方が治療薬の選択肢が豊富です。痒みや膨疹が蕁麻疹によるものではないケースもありますし、市販薬にも副作用はありますので、医師の診察を受けておくことをおすすめします。
蕁麻疹の症状に効果がある市販薬の成分を教えてください
市販薬の抗ヒスタミン薬の成分名には、メキタジン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、アゼラスチン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩などがあります。
蕁麻疹の市販薬にはどのような種類がありますか?
内服薬は、全身に作用して広範囲に症状を抑えます。服用により眠気などの副作用が出る場合があります。
内服の抗ヒスタミン薬には、第一世代と第二世代があります。
第一世代の抗ヒスタミン薬は、効くのが早いメリットがある反面、眠気や口渇、尿閉の副作用が出やすいです。
第二世代の抗ヒスタミン薬は、眠気や口渇、尿閉などの副作用が第一世代の抗ヒスタミン薬に比べて少なく、効果が持続するのが特徴です。
外用薬は、薬を塗った部分に直接作用して、痒みを和らげます。抗ヒスタミン薬に加えて、痒みを抑える成分などが配合されていることがあります。
蕁麻疹の市販薬の選び方を教えてください
なるべく眠気を起こしたくない方は、第二世代の抗ヒスタミン薬を選ぶとよいでしょう。
第一世代の抗ヒスタミン薬は、効きはじめるのが早い特徴があります。
外用薬は、症状が局所的に出る場合に特に適しています。また、内服薬で眠気が出ると困る方、すでに抗ヒスタミン薬を含む総合感冒薬などを服用している方などは、外用薬を単独で使用する選択肢があります。
蕁麻疹の市販薬を使用する際の注意点の受診した方がよいケース

蕁麻疹の市販薬を使用する際の注意点を教えてください
抗ヒスタミン薬は眠気や口渇、尿閉などの副作用が出ることがあります。
蕁麻疹の市販の内服薬の添付文書には、服用で副作用のリスクが高い方に対して、服用前に医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう記載されています。下記に該当する方は、服用前に主治医に相談をしましょう。
- 医師の治療を受けている方
- 妊娠または妊娠していると思われる方
- 高齢の方
- 薬などによりアレルギーを起こしたことがある方
- むくみ、排尿困難がある方
- 心臓病、高血圧、腎臓病、緑内障の診断を受けた方
また、抗ヒスタミン薬は、蕁麻疹以外にも鼻炎、花粉症などにも使われ、総合感冒薬などにも含まれることがあります。
ほかに服用している薬がある場合は、重複していないことを確認しましょう。
蕁麻疹で受診をした方がよいのはどのようなケースですか?
蕁麻疹だと思っていたら、別の疾患であったということもありうるためです。
市販薬を1週間以上使って改善がみられない場合、症状が強い場合は医療機関での治療を検討するとよいでしょう。呼吸困難や下痢、腹痛など消化器症状を伴う場合などアナフィラキシーを疑う症状は、すぐに受診しましょう。
病院での蕁麻疹の治療法を教えてください
蕁麻疹が続いている場合は、抗ヒスタミンを止めると再び蕁麻疹が出てしまうことがあります。
このため、抗ヒスタミン薬を継続して、蕁麻疹が出ない期間をキープするようにします。
抗ヒスタミン薬の治療をしても、日常生活に支障をきたす蕁麻疹が続き、原因が特定できない場合には、抗IgE抗体のオマリズマブ皮下注が使われることがあります。
蕁麻疹にお悩みの方は、まず医療機関を受診し、治療薬に関する説明を受けて必要性を理解したうえで、再発を防ぐよう治療を続けることが大切です。
病院の処方薬と市販薬に違いはありますか?
ただし、市販薬は複数の成分を配合している場合が多く、蕁麻疹の市販外用薬のなかには、ステロイドを含むものもあります。
病院の治療でも、痒みが強い場合にステロイド外用薬を使う場合もありますが、自己判断で漫然と使用すると皮膚が薄くなるなどの副作用が出るおそれがあります。
また、市販薬には眠気を起こしやすい第一世代抗ヒスタミン薬が使われていることもあり、服用中は車の運転ができなくなることもあります。
また、処方薬と市販薬では、同じ成分でも適応が違うことがあります。一部の第二世代の抗ヒスタミン薬は、処方薬は蕁麻疹の適応になっているのに対し、市販薬は蕁麻疹が適応になっていません。
編集部まとめ

本記事では、蕁麻疹の基礎知識、蕁麻疹の市販薬を選ぶ方法、蕁麻疹の市販薬を使用する際の注意点と受診した方がよい場合を解説しました。
蕁麻疹の市販薬は、蕁麻疹の症状を抑える成分を含むものが販売されています。
痒みや辛い症状があるため、すぐに購入して飲むことができるのは大きなメリットです。
しかし、一部の蕁麻疹では、受診したほうがよいケースもあります。
蕁麻疹の症状を確認し、市販薬を上手に利用するとよいでしょう。




