「片目だけ眼精疲労」になることはあるの?現れる症状も解説!【医師監修】

現代ではパソコンやスマートフォン作業で目を酷使する方が増え、目の疲れを感じる方も多くなりました。そして、長時間の作業後に目が重くだるい、ピントが合いにくいといった眼精疲労の症状に悩む方も少なくありません。そして、その目の疲れは両目に起こるはずですが、片目だけがやけに疲れるということはあるのでしょうか? 本記事ではまず眼精疲労という状態について解説し、続いて片目だけに症状が出る背景にはどのようなものがあるか、そして片目の不調を感じたときの対処法や受診のポイントを解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
片目だけ眼精疲労になることはある?

眼精疲労とはどのような病気ですか?
目の疲れは休めば改善しますが、眼精疲労の場合、休息や睡眠をとっても十分に回復できないため、病的な状態であるといえます。眼精疲労は特効薬がある疾患ではありませんが、背景にはさまざまな原因が潜んでいることがあるため、原因に応じた適切な対策や治療が必要です。
眼精疲労の症状を教えてください
- 目の痛みや目の奥の痛み
- かすみ目やぼやけ
- 充血
- 乾燥感
- 光がまぶしい
一方、全身の症状としては下記の症状があります。
- 頭痛
- めまい
- 肩こりや首のこり
- 吐き気
- 倦怠感
- 食欲不振
- 不眠
- イライラや集中力の低下
これらの症状は片目あるいは両目に現れます。物を見るときは両目で見ているので、症状は両目に出ると考えてしまいます。しかし、物の見え方は左右で異なることも少なくありません。その見え方の違いから、片目に強く眼精疲労の症状が出てしまうことがあります。
片目だけ眼精疲労になることはありますか?
例えば、メガネやコンタクトの度数が合っておらず左右のピントにズレがあると、一方の目だけ過剰にピント調整を強いられて疲労が蓄積します。また、人によっては右目と左目で涙の分泌量が異なり、片目だけドライアイ症状が強く出てしまうこともあります。
このように片目に負担がかかる状況では、その目だけ疲れやすくなるのです。
眼精疲労以外に片目だけ症状がでる病気

眼精疲労以外の片目だけ疲れを感じる病気を教えてください
- 屈折異常視力の左右差
- ドライアイ
- 目の位置(眼位)の異常:軽度の斜視・斜位など
- 白内障
以上のように、片目の疲れには視力や目の状態の左右差が関与していることがあります。根本原因が眼精疲労ではなく、これらの要因にある場合、適切な矯正や治療によって症状改善が期待できます。
眼精疲労以外で片目だけ痛くなる病気はありますか?
例えば、ドライアイが挙げられます。ドライアイは目の表面の涙の量あるいは質が低下してしまうことで、目のかわきや痛み、異物感などを感じることがあります。特に、コンタクトレンズを使用したり、目を長時間酷使していたりするとドライアイの症状を強く感じることがあります。
ほかにも、目の中にまつ毛やゴミなどが入ったり、目の炎症が強くなったりすることで目の痛みを感じることがあります。
このように、片目だけの痛みにはさまざまな原因があります。単なる疲れ目や眼精疲労と思っていたら、実は重大な病気の初期症状ということもありますので、痛みが強い、長引く場合は放置せず眼科で検査を受けましょう。
眼精疲労以外に片目だけ充血する病気を教えてください
- 細菌性あるいはウイルス性結膜炎
- 結膜下出血
- 角膜炎やぶどう膜炎
- 急性緑内障発作
眼精疲労による軽い充血であれば、休めば症状は改善していきます。しかし、上記の理由で片目だけ真っ赤になる場合、見えにくさや痛みにつながるおそれがあります。もし赤いだけでなく、見えにくさや痛みの症状があれば、できるだけ早めに眼科を受診してください。
眼精疲労以外に片目のまぶしさを感じる病気はありますか?
- 白内障
- ドライアイ
- 角膜炎
- ぶどう膜炎
- 急性緑内障発作
片目だけのまぶしさは見逃してはいけない症状です。特に、痛みや見えにくさもある場合は緊急性のある疾患が潜んでいることが多いため、眼科を早急に受診してください。
片目だけ眼精疲労を感じるときの対処法

片目の眼精疲労が疑われるときの受診サインを教えてください
- 休息をとっても症状が改善しないとき
- 痛みやかゆみ、視力低下などほかの症状を伴うとき
- 片目だけ明らかな充血や腫れがあるとき
- 症状が長引く、悪化傾向にあるとき
以上のようなサインがあれば、早期に眼科を受診して原因を調べることが重要です。眼精疲労の症状の背景に隠れた目の病気が見つかるケースもあります。「これは眼精疲労の症状だろう」と、自己判断せず眼科医の診察を受けてください。
片目だけ眼精疲労が疑われるときは、眼科でどのような検査を行いますか?
- 視力検査
- 屈折検査
- 眼位・両眼視機能検査
- 眼圧検査
- 細隙灯顕微鏡検査
- 眼底検査
- 光干渉断層計(OCT)
眼科ではこれらの検査を行い、本当に眼精疲労の症状なのか、症状の背景にほかの病気が隠れていないかを確認します。もし眼科の検査で特に異常が見当たらない場合、眼精疲労の診断となり、目薬や生活習慣の改善を図ります。
片目の眼精疲労に対する眼科での治療法を教えてください
視力低下や度数ズレが原因だった場合、適切な眼鏡やコンタクトレンズの処方が行われます。今使っている矯正器具が合っていない場合は、新しい度数に作り直すことで疲労が改善します。
また、片目だけでもドライアイが見られれば、その治療を行います。人工涙液タイプの目薬で涙を補ったり、ヒアルロン酸の目薬などで角膜の保護を図ります。
そのほかにも斜視があれば、プリズム眼鏡の処方や斜視手術などで対応することもあります。そして、白内障などの病気が見つかった場合は、それ自体の治療が優先されます。
このように、片目の眼精疲労の原因があればそれに対応することで、眼精疲労の症状は改善していくことが期待できます。
編集部まとめ

目の疲れや違和感があるときは、放置せず早めの対応が大切です。ピント調節を助ける成分や角膜を保護する成分など、市販の点眼薬にも目的に応じた種類がありますが、不適切な目薬の使用は目の病気の悪化につながります。もし片目だけ見え方が違う、痛みがあるなどの異常を感じたら、眼科を受診して適切な治療を受けるようにしてください。
参考文献




