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「眼精疲労」は市販の「目薬」でも効果はあるの?眼精疲労に効く成分も解説!

 公開日:2025/12/23
「眼精疲労」は市販の「目薬」でも効果はあるの?眼精疲労に効く成分も解説!

パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けた後、目が重だるくピントが合いにくい、さらには頭痛や肩こりまで感じることはありませんか?それは眼精疲労のサインかもしれません。眼精疲労とは、目の使い過ぎによって生じる深刻な疲れ目で、休息をとってもなかなか改善しないのが特徴です。近年は特にパソコンやスマートフォンの普及により、こうした眼精疲労に悩む方が増えています。放置すれば視界のかすみや痛みが慢性化し、日常生活に支障をきたすこともあります。本記事では眼精疲労の基礎知識や代表的な症状、発生する原因、市販の疲れ目に効く目薬の成分と効果、使用時の注意点、さらに眼科で受けられる治療や処方目薬の特徴、市販薬との違いを解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

眼精疲労の症状と原因

眼精疲労の症状と原因

眼精疲労とはどのような病気ですか?

眼精疲労は、長時間の読書やパソコン作業など目を酷使する作業を続けることで生じます。単なる一時的な疲れ目と異なり、眼精疲労では目の痛みやかすみ、まぶしさ、充血といった目そのものの症状に加え、頭痛や肩こり、吐き気など全身の不調まで引き起こされます。さらに、休息や睡眠をとっても十分に回復しないのが大きな特徴です。つまり、目を休めれば治るという状態ではなく、根本的な原因への対処が必要な目の不調です。

眼精疲労の主な症状を教えてください

眼精疲労にはさまざまな症状がありますが、主に目の症状全身の症状に分けることができます。代表的な目の症状は下記のとおりです。

  • 目の痛みや目の奥の痛み
  • かすみ目やぼやけ
  • 充血
  • 乾燥感
  • 光がまぶしい

一方、全身の症状としては下記の症状があります。

  • 頭痛
  • めまい
  • 肩こりや首のこり
  • 吐き気
  • 倦怠感
  • 食欲不振
  • 不眠
  • イライラや集中力の低下

これらのうちどの症状がでるか、また、程度には個人差があります。そして、これらの症状は目を休めてもすぐには消えず、日常生活に支障をきたすことさえあります。

なぜ眼精疲労になるのですか?

眼精疲労の原因は1つでなく、さまざまな要因が影響して発症します。主な原因は大きく4つに分けられます。

  • 度の合わないメガネやコンタクトを使っている
  • 長時間のパソコンやスマートフォンの画面を見ている
  • 夜更かしや夜勤、出張などで生活リズムが乱れている
  • ドライアイや白内障などの目の病気がある

以上のように、眼精疲労にはさまざまな原因があるとされています。特に、現代では特にパソコンやスマートフォンの長時間使用による目の酷使が影響しており、若い世代にも眼精疲労の症状がみられることがあります。

市販の眼精疲労に効くとされる目薬の成分と効果

市販の眼精疲労に効くとされる目薬の成分と効果

市販の眼精疲労治療の目薬は本当に効果がありますか?

ドラッグストアで購入できる、疲れ目に効くとされる市販の目薬は、一定の症状緩和効果はありますが即効性および完治できる治療薬ではありません。多くの市販されている目薬には、疲れ目や充血を和らげるために複数の有効成分が少しずつ低い濃度で配合されています。そのため、多少の症状改善は期待できますが、劇的に疲れ目が治るとは限りません。前述した理由を解決しない限りは、眼精疲労の症状が取れることは少ない印象があります。市販の目薬はあくまで一時的、対症療法的なアイテムと考えましょう。

市販の眼精疲労に効く目薬の成分を教えてください

市販の目薬には、疲れ目や充血を和らげるためにさまざまな種類の成分が組み合わされて配合されています。主な成分とその働きは次のとおりです。

成分分類 主な成分例 ポイント
ピント調節機能改善成分 ・ネオスチグミンメチル硫酸塩
・ビタミンB₁₂(シアノコバラミン)
・ビタミンB₆
・毛様体筋の働きを助け、ピント調節疲労を改善
角膜保護成分 ・コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
・ヒアルロン酸ナトリウム
・角膜表面を保護し、潤いを保つ・涙を補助し、乾きを緩和、ドライアイ型の疲れ目対策に有用
抗炎症成分 ・グリチルリチン酸二カリウム
・ε-アミノカプロン酸
・軽い結膜炎や充血の炎症を抑える
・抗アレルギー作用もあり、刺激や赤みを軽減
・かゆみや炎症を伴う疲れ目に適応
収れん(充血除去)成分 ・ナファゾリン塩酸塩・テトラヒドロゾリン塩酸塩 ・拡張した血管を収縮させ、白目の充血を改善
・即効性があるが一時的効果
清涼刺激成分 ・l-メントール
・dl-カンフル
・清涼感を与えてスッキリした感覚
・疲れ目用市販薬に多く含まれる
・治療効果はなく、使用感目的
・刺激が強すぎるとしみることもある

以上のように、市販の目薬にはさまざまな成分が含まれています。これらの成分をうまく組み合わせて、症状を緩和させるのが目的です。

市販の目薬を使用する際の注意点を教えてください

市販の目薬を使用する際にはいくつか注意点があります。

まず用法用量を守り、点眼のしすぎに注意することです。市販の目薬の多くには防腐剤が含まれており、開封後長期保存できるようになっています。健康な目で適切な回数の点眼であれば問題ありませんが、頻回にさしすぎると防腐剤自体が目の刺激となり、ドライアイの原因になることがあります。

また、市販の目薬をしても改善がなければ、あるいは症状が強くなるようであれば早めに眼科受診を検討してください。軽い目の疲れやドライアイであれば、市販の目薬で改善することがあります。しかし、目薬を使っても改善しない場合は、そのほかの目の病気が隠れている可能性があります。症状が強くなる場合はもちろんですが、目薬を使っても1週間で改善がなければ眼科を受診するとよいでしょう。

市販の目薬は便利ではありますが、使用方法を間違えると目の病気の原因になったり、目の病気の発見を遅らせてしまうことがあるので注意してください。

眼科で処方される眼精疲労の目薬の成分と効果

眼科で処方される眼精疲労の目薬の成分と効果

眼科では眼精疲労に対してどのような治療を行いますか?

眼科ではまず本当に眼精疲労かどうか、またその原因が何かを詳しく調べることから始まります。視力検査や屈折検査などを行い、例えば、メガネの度数が合っていない場合は適切な度数に作り直すなど根本原因を治します。

検査の結果、ドライアイや眼精疲労を起こす病気(緑内障・白内障など)が見つかればその治療を行います。特に異常がなく疲れ目自体が主症状であれば、目の使い方の指導や生活環境の改善アドバイスがなされます。そのうえで症状緩和のために目薬などの処方が行われることもあります。

眼精疲労そのものに即効で効く特効薬はありませんが、原因に応じた適切な治療を組み合わせることで症状の改善が期待できます。

眼科の眼精疲労の目薬に含まれる成分を教えてください

眼科で処方される目薬は、市販薬とは配合成分や濃度が異なります。症状や原因に合わせて必要な有効成分だけが適切な濃度で含まれているのが特徴です。具体的には、例えばドライアイが関与している場合はヒアルロン酸ナトリウム点眼などの目薬が処方されます。

市販のドライアイ目薬にもヒアルロン酸配合のものがありますが、処方薬ではより濃度が高まります。また、眼精疲労の緩和目的でビタミン剤の目薬が処方されることもあります。代表的なのがシアノコバラミン(ビタミンB₁₂)で、その作用によって目の疲労回復を図ります。

眼科で処方される眼精疲労の目薬は効果がありますか?

原因に合わせた目薬を使えば、眼精疲労の症状が緩和していくこともあります。しかし、眼精疲労にはさまざまな原因があるため、目薬だけでは効果が不十分であることも少なくありません。そのため、目薬での治療に併せて、目を酷使する生活習慣の改善なども重要です。どちらか一つでは思ったように改善するのは難しい場合もあり、原因を改善しつつ、目薬で現在の症状を落ち着かせることが重要です。

市販薬と処方薬の違いを教えてください

市販の目薬と眼科処方の目薬には、成分の種類や配合濃度、目的の違いなどさまざまな違いがあります。最大の違いは、処方薬は医師の診断に基づき、個々の症状に合わせて選ばれるのに対し、市販薬は不特定多数の方が自己判断で使えるよう設計されている点です。このため処方薬では症状に合った有効成分が十分な濃度で含まれていますが、市販薬では幅広いニーズに対応するため多種類の成分を組み合わせつつ、安全性を優先して濃度も低めに抑えられていることが多いです。それゆえ、市販の目薬は便利さがありますが、症状が改善しない場合は処方薬が必要となるでしょう。

編集部まとめ

編集部まとめ

眼精疲労は現代人にとても多い目の不調です。「ただの疲れ目だから」「年のせいだ」と放置しがちですが、その背景に目の病気や不適切な生活習慣が潜んでいることもあります。初期の軽い疲れ目の段階で意識して目を休ませたり、市販の人工涙液タイプの目薬で潤いを補ったりなど対策すれば悪化を防げることも多いです。もし休んでも治らない慢性的な眼精疲労があれば、早めに眼科で相談しましょう。市販薬と処方薬を上手に使い分け、生活習慣を見直すことが大切です。

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