「緑内障の手術費用」はご存知ですか?通院治療や術後の費用も解説!【医師監修】

緑内障(りょくないしょう)は中高年以降に増える目の病気で、日本人の失明原因の第1位です。しかし、早期に発見して適切な治療を受ければ、多くの場合は一生涯にわたり視野と視力を維持できる病気でもあります。ただし、治療には長期的な通院や点眼薬の継続、場合によっては手術が必要です。「治療費はいくらかかるのだろう」「手術や薬にどれくらいお金が必要か」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。本記事では、緑内障の概要と治療法を解説するとともに、手術や手術前後の通院、点眼治療にかかる費用の目安を解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
目次 -INDEX-
緑内障の概要と手術の種類

緑内障とはどのような病気ですか?
残念ながら緑内障による視神経のダメージはもとに戻せず、今の医療では失った視野・視力を回復させることはできません。したがって、治療の目的は眼圧を下げてそれ以上視野が悪くならないよう、進行を抑えることです。
日本では40歳以上の約20人に1人、60歳以上では10人に1人以上が緑内障に罹患している、患者数の多い疾患です。しかし、早期発見や治療によって適切に眼圧管理すれば、生涯にわたり視野と視力を保つことも可能です。そのため、定期受診を欠かさず、主治医と協力しながら治療を継続することが大切です。
参照:『緑内障といわれた方へ―日常生活と心構え―』(日本眼科医会)
緑内障の主な治療法を教えてください
通常はまず眼圧を下げる点眼薬による治療から開始し、それで眼圧コントロールが不十分で病状が進行する場合にレーザー治療や手術を検討します。薬物療法では、房水の産生を抑えるタイプや流出を促すタイプなど複数の作用機序の目薬を使い分けて眼圧を下げます。
点眼薬を複数併用しても眼圧が十分に下がらない場合や、点眼薬を指示通りに使えない場合などにはレーザー治療や外科的な手術を選択します。
緑内障の手術にはどのような種類がありますか?
一方、メスを使う観血的手術には、線維柱帯切開術(トラベクロトミー)や線維柱帯切除術(トラベクレクトミー)などが挙げられます。
さらに、近年では低侵襲緑内障手術(MIGS)といって、極細のチューブやステントを挿入する方法(トラベクトームやアイステントなど)や、特殊なマイクロフックで線維柱帯を切開する方法なども普及してきました。
MIGSは切開創が小さく白内障手術と同時に行える場合もあり、術後の回復が早いメリットがあります。ただし、眼圧下降効果が従来手術よりマイルドな傾向があり、症例に応じて使い分けられます。
緑内障手術の内容を教えてください
レーザー治療の場合は切開を伴わないため準備含め数分〜15分程度で終了し、点眼麻酔のみで外来で治療が可能です。手術内容は患者さんの目の状態によって選択されますが、いずれの方法でも目的は眼圧を下げて視神経を守ることに変わりありません。緑内障手術を受ける際は不安も大きいかもしれませんが、わからない点は担当医に質問し、十分に納得してから治療を受けるようにしましょう。
緑内障の手術や手術前の通院治療などにかかる費用の概算

緑内障の手術にはどの程度の費用がかかりますか?
緑内障の手術前の通院にかかる費用の目安を教えてください
緑内障の点眼治療にはどの程度の費用が必要ですか?
緑内障手術の治療費の負担を軽減できる制度を教えてください
例えば、1ヶ月の自己負担医療費が規定の上限を超えた場合、超過分は後から高額療養費として健康保険から支給されます。緑内障手術で入院や手術費用が高額になっても、この制度により自己負担の実質的な軽減が図られます。制度を利用する際は、加入している健康保険組合などに申請が必要です。事前に限度額適用認定証を発行してもらえば、窓口での支払いを上限額までに抑えることもできます。
加えて、民間の医療保険に加入している場合には、緑内障の手術が保険の定める給付対象となることがあります。該当すれば保険会社から手術給付金が支給され、自己負担分の補填に充てられるでしょう。給付条件や金額は契約内容によりますので、事前に保険会社へ確認しておくとよいでしょう。
緑内障の手術後にかかる費用の目安

緑内障の手術を受けた後も通院する必要はありますか?
この間に眼圧や傷口の状態をこまめにチェックし、必要に応じて点眼治療の調整や合併症の対応を行います。術後早期を過ぎて経過が安定した後も、数週間おきから数ヶ月おきというように徐々に通院間隔を延ばしながら、定期検査と治療の継続が求められます。
緑内障手術の後に通院する場合の治療費の目安を教えてください
編集部まとめ

緑内障は決して珍しい病気ではなく、特に中高年以降では多くの方が発症しうる眼の疾患です。日本では失明原因の第1位とされていますが、早期に発見して適切な治療を続ければ、ほとんどの場合は失明を防ぐことができます。治療の基本は点眼薬による眼圧コントロールで、必要に応じてレーザー治療や手術が行われます。緑内障は完治しない慢性疾患ですが、医師の指導に従い根気強く治療を続けることで、視力や視野を一生保つことも可能です。経済的な負担を軽減する制度も整っているため、費用面で治療を諦める前に本記事が参考になれば幸いです。




