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「ストレス」が原因で「蕁麻疹」を発症することはあるの?対処法や予防法も解説!

 公開日:2025/10/13
「ストレス」が原因で「蕁麻疹」を発症することはあるの?対処法や予防法も解説!

蕁麻疹に悩まされたことがある方は多いのではないでしょうか。決まった食べ物で出る方もいれば、疲れているときに出やすい方もいるでしょう。ストレスがあるときに連日蕁麻疹が出やすい方もいるのではないでしょうか。原因がわかれば、避けて生活することで予防できますが、はっきりと原因がわからない場合もあります。この記事では、ストレスと蕁麻疹の関係について、今までにわかっていることを解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医、禁煙サポーター
【診療科目】
総合診療科、老年科、感染症、緩和医療、消化器内科、呼吸器内科、皮膚科、整形外科、眼科、循環器内科、脳神経内科、精神科、膠原病内科

蕁麻疹とストレスの関係

蕁麻疹とストレスの関係

蕁麻疹とはどのような病気ですか?

蕁麻疹は、皮膚の肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることで、皮膚に膨疹(みみず腫れのようなふくらみ)が出現し、多くは数時間以内に消える病気です。強いかゆみを伴い、急性型と6週間以上続く慢性型に分けられます 。通常の蕁麻疹に合併して、あるいは単独におこる、皮膚や粘膜の深部を中心に狭い範囲に限局した浮腫のことは、血管性浮腫と呼びます。

蕁麻疹には、特定の刺激や負荷により皮疹を誘発できる刺激誘発型の蕁麻疹と、明らかな誘引なく自発的に膨疹が出現する特発性の蕁麻疹などがあります。

蕁麻疹とストレスの関係を教えてください

精神的ストレスは刺激誘発型の蕁麻疹の直接の原因ではありません。しかし、特発性の蕁麻疹の背景には、食べ物や薬、感染、体質などさまざまな因子が関わっています。疲労、ストレスも悪化因子のひとつとされています。ストレスがある方が発症しやすかったり、ストレスにより症状が増悪しやすかったりするということです。

特定の刺激や直接的な原因がなくおこる蕁麻疹のうち、6週間以上毎日のように持続する病態を慢性蕁麻疹と呼びます。慢性蕁麻疹とストレスは特に関連が深いといわれています。日常生活のなかでのストレスが症状を誘発、増悪させるケースが少なくありません。ただし、その詳しいメカニズムはまだ完全には解明されていません。

参照:『蕁麻疹診療ガイドライン 2018』(日本皮膚科学会)

なぜストレスを感じると蕁麻疹が出るのですか?

ストレスが直接の原因となり蕁麻疹を引き起こしているというより、ストレスが蕁麻疹の症状を悪化させる原因の一つと考えられます。

ストレスがあると、自律神経や免疫系に影響を与え、肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されやすくなると考えられています。具体的な機序として、ストレス刺激により副腎からストレスメディエーターが、続いて視床下部からコルチコトロピン放出ホルモンが放出されます。これにより、かゆみに関するメディエーターが産出され、これらが肥満細胞という細胞からヒスタミンなどかゆみに関する化学伝達物質を誘導します。

ほかにも知覚神経から放出されるサブスタンスPなどの神経ペプチドが肥満細胞に作用してヒスタミンを遊離させる機序も提唱されています。このように、機序は完全には解明されておらず、さらに研究が進められています。

参照:
『痒みのサイエンス 薬物療法以外の痒み治療』( 柳原茂人 (近畿大 医 皮膚科) , 柳原茂人 (かねとも皮フ科クリニック) , 大塚篤司 (近畿大 医 皮膚科))
『蕁麻疹患者のLifestyle Modification』(Pharma Medica 39巻11号 内田 秀昭 , 鎌田 昌洋 , 多田 弥生 メディカルレビュー社)

通常の蕁麻疹とストレスによる蕁麻疹の違いを教えてください

通常の蕁麻疹は食物、薬剤、感染や誘引となる行動など原因が明確なこともありますが、ストレスによる蕁麻疹の場合は明確な原因がありません。ストレスによる蕁麻疹は、誘引なく出現します。つづいて精神的な要因でかゆみが増強し、症状が悪化したり誘発されたりする点が特徴です。

ストレスによる蕁麻疹への対処法

ストレスによる蕁麻疹への対処法

ストレス性の蕁麻疹は自然治癒しますか?

急性のものは数日から数週間で自然に治まることもあります。誘因がはっきりしない蕁麻疹では、突発的にあらわれ、理由を自覚しないうちに消失する例もあるでしょう。背景因子や増悪因子が解消して症状が緩和することもあります。

一方で慢性化してしまい、毎日症状が続く例もあります。特に、かゆみで寝られず睡眠不足になっているためにストレスが増強し、より蕁麻疹を起こしやすい状況になることもあります。悪循環に陥らないよう、繰り返す蕁麻疹では自然治癒を待つより治療したほうがよいでしょう。

ストレスによる蕁麻疹の治療法を教えてください

基本は通常の蕁麻疹と同じで、第一選択は抗ヒスタミン薬と増悪因子や直接因子の除去です。改善が乏しい場合には抗ヒスタミン薬を増量します。さらに、H2ブロッカーや抗ロイコトリエン薬、副腎皮質ステロイドシクロスポリンの内服や抗IgEモノクローナル抗体製剤であるオマリズマブの皮下注射へ、と治療をすすめます。皮膚科の専門の医師に相談するのがよいでしょう。

薬物治療とあわせて、ストレス軽減のために睡眠、生活リズムの改善、リラクゼーション、アロマテラピーやマインドフルネスなど幅広い治療をすすめる研究もあります。治療に難渋する際には、精神の安定をはかれるような抗不安薬や漢方薬の使用を検討してよいとされています。

参照:
『蕁麻疹患者のLifestyle Modification』(Pharma Medica 39巻11号 内田 秀昭 , 鎌田 昌洋 , 多田 弥生 メディカルレビュー社)
『蕁麻疹診療ガイドライン 2018』(日本皮膚科学会)

通常の蕁麻疹とストレスによる蕁麻疹の治療法に差はありますか?

治療の基本は同じで抗ヒスタミン薬が主体ですが、ストレス要因が大きい場合は心理的サポートや生活習慣の調整を重視する点が異なります。薬物治療のみならず、日常生活や心理的なアプローチを含めた多面的な治療が求められます。

ストレスによる蕁麻疹の予防法

ストレスによる蕁麻疹の予防法

ストレスをゼロにすることはできませんが、蕁麻疹を予防できますか?

ストレスによる蕁麻疹を完全に防ぐことは難しいものの、予防のためにできる工夫はいくつかあります。まず大切なのは、規則正しい生活リズムを保ち、十分な睡眠と休養をとることです。睡眠不足や疲労はストレスを強め、蕁麻疹の悪化因子となりやすいため、日常生活で背景となる身体の調子を整えることが予防につながります。また、適度な運動や深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法を取り入れることも、心身の緊張を和らげて発症を抑える助けになります。

さらに、自分にとって蕁麻疹が出やすい状況を把握することも重要です。例えば、仕事の緊張や睡眠不足の後に症状が出やすいと気付いた場合は、その前後に特に休養を意識するなど、生活の調整が役立ちます。薬による予防としては、抗ヒスタミン薬を継続的に用いることで症状を抑えられることがありますが、ストレスそのものを減らす薬は標準的には用いられませんが、精神的な負担が大きい場合には、心療内科や精神科と連携して治療を行うこともあります。

このように、生活習慣の改善と心身のリラクゼーションを中心に、必要に応じて薬物療法を組み合わせることが、ストレスによる蕁麻疹の予防に有効です。

薬などでストレスを減らすことはできますか?

蕁麻疹診療ガイドラインではストレス軽減を目的とした薬物療法は標準的には推奨されていません。抗不安薬などが必要となる場合は、精神科や心療内科と連携して行うことが考慮されます。

編集部まとめ

編集部まとめ

蕁麻疹とストレスの関係について、理解を深められたでしょうか。蕁麻疹の原因がはっきりしない場合でも、蕁麻疹をおさえるためには身体の調子を整え、心のバランスを整えることが重要です。蕁麻疹の症状は睡眠を妨げたりかゆみが強かったりしてストレスの強いものです。本記事を参考に少しでもストレスを緩和して休養をとり、蕁麻疹を予防しましょう。

この記事の監修医師