「蕁麻疹の薬」の副作用となる症状はご存知ですか?市販薬と処方薬の違いも解説!

皮膚の一部に突然かゆみを伴う赤い膨疹(ぼうしん:一時的に皮膚が盛りあがる状態)が出たことはないでしょうか。膨疹が24時間以内に跡形もなく消えてしまった場合、それは蕁麻疹だったかもしれません。本記事では、蕁麻疹の治療法を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
蕁麻疹の基礎知識

蕁麻疹はどのような病気ですか?
膨疹の形には円形、線状、花びら状などがあり、大きさも1~2mm程度から手足全体に及ぶほどのものまでさまざまです。そのほかに特殊な蕁麻疹としてまぶたや唇が腫れる場合もあり、血管性浮腫とよばれます。血管性浮腫は2、3日後にもとに戻ります。
蕁麻疹の原因は、特定できる場合とできない場合があります。引き金となりえる原因は以下のとおり多岐に渡り、いくつかの要因が複合的に関与する場合も多くあります。
- 細菌やウイルスへの感染
- 物理的刺激(皮膚の摩擦や接触、温熱、寒冷など)
- 運動
- 発汗
- 入浴
- 精神的緊張
- 体温上昇
- 食物(青魚、甲殻類、果物、そば、タケノコ、食品添加物など)
- 薬剤(非ステロイド性抗炎症薬など)
また、原因物質の特定可否に関わらず、ストレスや疲労、膠原病をはじめとする自己免疫疾患などの基礎疾患なども背景にあると考えられています。
なお、ほとんどの蕁麻疹は皮膚症状のみですが、まれにアナフィラキシーの一部として現れる場合があります。アナフィラキシーは、複数の臓器に同時かつ急速に強いアレルギー反応が起こる、生命の危機に関わる重篤な状態です。皮膚症状だけでなく、息苦しさ、めまい、意識の低下、激しい嘔吐、下痢、腹痛などが現れた場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、早急に病院を受診する必要があります。
参照:『蕁麻疹診療ガイドライン 2018』(日本皮膚科学会)
蕁麻疹ができるメカニズムを教えてください
通常の蕁麻疹では、皮膚の表層の血管が反応しますが、血管性浮腫では、皮膚の深部を通る血管が反応します。
病院での蕁麻疹の治療法

蕁麻疹は病院での治療で治る病気ですか?
早めに病院を受診することで、症状を緩和させることができます。皮膚症状のみ出ている場合は、皮膚科の受診を検討しましょう。そのほかに全身症状が出ている場合には、内科を受診するとよいでしょう。
病院で処方される蕁麻疹の治療薬の種類と効果を教えてください
抗ヒスタミン薬は、放出されたヒスタミンが神経に作用するのを防ぐことで、ヒスタミンのはたらきを抑え、症状を抑制します。
抗ヒスタミン薬の投与で改善しない場合、以下の治療を検討します。
- 同じ抗ヒスタミン薬のまま投与量を増量
- ほかの抗ヒスタミン薬に変更
さまざまな抗ヒスタミン薬の投与パターンを試しても改善しない場合は、補助的に以下の薬を併用することもあります。
- H2拮抗薬(※)
- 抗ロイコトリエン薬(※)
- ジアフェニルスルフォン
- グリチルリチン製剤
- トラネキサム酸
※蕁麻疹に適用の承認がおりていない薬もあります。適用外での使用は、医薬品副作用被害救済制度の対象とならない可能性があります。
抗ヒスタミン薬で改善しない重症の特発性慢性蕁麻疹に対しては、デュピルマブ製剤やオマリズマブ製剤などの生物学的製剤を使用することもあります。マスト細胞の活性化を抑えることで、ヒスタミンの分泌を抑制します。
また、全身の3割以上をかきむしるなどの強いかゆみがある場合には、副腎皮質ステロイドの内服または注射を抗ヒスタミン薬と併用することもあります。ステロイドは、ヒスタミンによる炎症反応を強力に抑制しますが、副作用が強いため、慎重に投与を検討します。
かゆみを鎮めるために、石炭酸亜鉛華リニメントや抗ヒスタミン薬含有軟膏、クロタミトン軟膏などの外用薬を用いることもあります。
蕁麻疹の処方薬に副作用はありますか?
蕁麻疹には薬以外の治療法がありますか?
です。
逆に原因となる刺激を意図的に負荷し続けて慣らしていくことで、過敏性を軽減できることもあります。ただし、条件を誤るとアナフィラキシーを誘発しかねないため、十分な経験のある医師の指導のもとで行う必要があります。
そのほかに対処療法として、特にかゆい部分を鎮めるために、局所的に冷やすことでも効果を期待できます。
蕁麻疹の市販薬と処方薬の違い

蕁麻疹は市販の痒み止めを塗ればよくなりますか?
蕁麻疹治療における市販薬と処方薬の違いを教えてください
市販薬でも処方薬と同様、抗ヒスタミン薬が蕁麻疹の一般的な薬として販売されています。
処方薬とまったく同じ成分が含まれている市販薬もありますが、一般的に市販薬の方が医師の判断なく使えるように、含まれている有効成分が少ない傾向があります。なお、処方薬と同じ成分が含まれていても、蕁麻疹への適用が承認されていない薬もあります。よって、薬の効果効能の欄に、蕁麻疹が記載されていることを確認したうえで服用する必要があります。
市販薬の服用にはどのようなリスクがありますか?
また、市販薬全般にいえることとして、処方薬に比べて効き目が弱いと思われがちですが、規定の量よりも多く服薬すると、効果が出すぎたり、副作用が強く出たりします。説明書をよく読み、決められた用法用量を守って使用することが大切です。
なお、ご自身で蕁麻疹と判断しても、実は別の疾患である場合もあるため、可能であれば、病院を受診して医師の診断を受けるとよいでしょう。
編集部まとめ

突然蕁麻疹が現れたときは、可能であれば病院を受診しましょう。特に皮膚症状に加えて息苦しさやめまいなどの症状もみとめられる場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、早急な受診が必要です。市販薬で様子をみることになった場合は、説明書をよく読み、決まった用法用量を守って服薬しましょう。塗り薬でも一時的にかゆみを抑えることはできますが、根本的に治療するためには、内服薬の服用が基本です。
参考文献


