「高血圧の方が避けるべき飲み物」はご存知ですか?飲んだ方がよい飲み物も解説!
公開日:2025/09/30

高血圧とは、血管にかかる圧力である血圧が高い状態を指します。高血圧でも、特に自覚症状が現れない方もいます。しかし、脳卒中をはじめとしたさまざまな病気の危険を高めることが知られています。今回の記事では、高血圧と診断を受けている方が控えた方がよい飲み物や、アルコールとの上手な付き合い方を解説します。

監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
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北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。
高血圧の症状、原因とリスク
高血圧とはどのような状態のことを指しますか?
高血圧は、心臓から全身に血液が送り出される際に血管にかかる圧力が高すぎる状態を指します。
血圧には、高い値(収縮期血圧)と低い値(拡張期血圧)があります。
上の血圧を収縮期血圧、下の血圧を拡張期血圧、のように呼ぶこともあるでしょう。
収縮期血圧は、心臓が拍動(はくどう)するときの血管内の圧力を表します。一方、拡張期血圧は心臓が拍動と拍動の間に休み、血管が身体から戻ってくるときの圧力を示しています。
病院などの診察室での収縮期血圧が140mmHg以上、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。家庭で測る際の家庭血圧の基準値は、もう少し低く定められており、収縮期/拡張期血圧が135/85mmHg以上と定められています。
高血圧によって生じる症状を教えてください
高血圧の方の多くには何の症状も現れません。しかし、血圧が180 /120mmHgのようにかなり高くなってしまうと、以下のような症状が現れることがあります。
- ひどい頭痛
- 胸痛
- めまい
- 呼吸困難
- 吐き気
- 嘔吐
- 視界のぼやけ
- 不安
- 混乱
- 耳鳴り
- 鼻血
- 脈が乱れる
血圧が高い状態が続くと身体にどのような影響がありますか?
高血圧が適切に治療されないと、動脈硬化を引き起こし、心臓や脳、腎臓などの重要な臓器にダメージを与える可能性があります。
例えば、狭心症や心不全、重篤な不整脈などの原因となりえます。
また、脳に血液と酸素を運ぶ動脈を破裂させたり、詰まらせたりすることによって、脳出血や脳梗塞などの脳卒中のリスクを高めます。
さらに、高血圧による腎臓の障害が高度になると、腎不全にまで至る場合もみられます。
このように、血圧が高い状態が長く続くと、身体にはさまざまな影響が現れます。
参照:『高血圧-eヘルスネット』(厚生労働省)
高血圧の人が飲むとダメな飲み物
高血圧の人が飲まない方がよいソフトドリンクを教えてください
血圧が高い方は、砂糖が多く含まれるような清涼飲料水は避けるようにしましょう。
添加されている糖分、特に果糖の大量摂取は血管にダメージを与え、血圧上昇と関連する可能性があると考えられています。
また、グレープフルーツジュースを避けた方がよい方もいます。
高血圧の治療薬のなかには、フェロジピンなど、グレープフルーツジュースを飲むと効果が強まったり副作用が出やすくなったりするものがあるからです。
高血圧の人はアルコール飲料は飲まない方がよいですか?
少量のアルコール摂取は血圧を一時的には低下させるものの、長期間にわたる飲酒は血圧を上昇させ、高血圧の原因になりうるとされています。
高血圧とすでに診断されている方は、アルコール飲料との付き合い方には慎重になるべきと考えられます。実際に、日本での高血圧の発症リスクと飲酒量の関係を調べたデータによると、少しでも飲酒をすると高血圧になるリスクが高まるという結果が出ています。
もちろん、飲酒による病気への影響には個人差がある点には注意が必要です。
高血圧の人はラーメンのスープや味噌汁などの汁物は避けるべきですか?
高血圧の方の場合、減塩目標として、男女ともに食塩の摂取量は6g/日未満が推奨されています。
一方で、食塩の相当量は即席ラーメン1袋7.7g、味噌汁2.3gが目安です。
そのため、高血圧の方は、塩分が多く含まれている汁物は避けるか、あるいは少量に留めておきましょう。
具体的な対策としては、ラーメンのスープは残すようにします。また、味噌汁は野菜や豆腐などの具を多くすると1回で摂取する汁の量が減らせるでしょう。
参照:
『健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについて』(厚生労働省)
『減塩食について|栄養・食事について』(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター)
『食事療法について|栄養・食事について|循環器病について知る|患者の皆様へ』(国立研究開発法人 国立循環器病研究センター)
高血圧の人が摂りたい飲み物とアルコールとの付き合い方
高血圧の人が飲んだ方がよい飲み物を教えてください
飲み物のなかには、血圧を下げる効果が期待できるものがあります。
スキムミルクなどの低脂肪乳製品が、血圧低下に役立つ可能性を持つと示唆されている研究もあります。
また、成人の場合には、カリウムの摂取量を増やすことで血圧が低下するとされています。カリウムを多く含むジュースには、プルーンジュースやにんじんジュース、ざくろジュース、オレンジジュースなどが挙げられます。
ただし、砂糖が添加されているものは避けるようにしましょう。
腎機能が低下している場合、カリウムの摂取が制限されることもあります。
さらに、お茶のなかにも血圧を低くする効果が期待できるものがあります。
お茶を入れてゆっくり飲む行為そのものが、リラックスした状態を作り出してくれます。
加えて、お茶にはカテキンが多く含まれています。カテキンはフラボノイドというポリフェノールの一種であり、緑茶や紅茶などに含まれるフラボノイドが血圧を良好に保つために有効ではないかと考えられています。
ハイビスカスティーにも、軽い高血圧の方の血圧を低下させる効果があるとする報告もあります。
市販の血圧を下げる飲み物は本当に効果がありますか?
市販されている飲み物のなかには、血圧を下げる効果をうたっているものもあります。
いわゆる、特定保健用食品(トクホ)と呼ばれるようなものです。
こういったカテゴリの商品は、血圧が高めの方や、軽い高血圧の方を対象にした有効性試験の結果をもとにして生産されています。
トクホを効果的に利用するためには、塩分摂取を控える、太り過ぎない、アルコールを控える、適度に運動する、などの生活習慣を改善することも大切です。
ただし、こうした市販の飲み物による効果には個人差があり、薬の代替にはならないことを覚えておきましょう。
高血圧の人が飲んでも問題ないとされるアルコールの摂取量を教えてください
日本では、少しでもアルコールを摂取すると高血圧リスクが高まることが報告されています。
特に高血圧の治療を受けている方の場合、アルコール摂取に関しては主治医への相談が望ましいと考えられます。
とはいえ、お酒を飲まないことが難しい場合もあるかもしれません。そのような際の目安を知っておくことも大切です。なお、高血圧と診断された方のお酒の目標量は、エタノールの量で男性20-30ミリリットル/日以下、女性10-20ミリリットル以下です。
以下は、お酒の量の目安です。
- ビール 中瓶500ミリリットル 1本
- 日本酒 1合
- ワイングラス 2杯
- チューハイ(7%) 350ミリリットル
編集部まとめ
高血圧は自覚症状が乏しい一方で、脳卒中や心臓病の大きなリスク要因です。清涼飲料水や塩分の多い汁物、アルコールは血圧を悪化させる要因となります。日常的な飲み物は水やお茶、低脂肪乳製品、カリウムを含むジュースなどを選びましょう。市販の血圧を下げる飲料も生活習慣改善と併せて活用すると効果的な場合もあります。ただし、飲酒は少量でも血圧に影響する可能性があるため、主治医に相談しながら適切に管理していくことが大切です。
参考文献




