「低血圧の人」は外見にどんな特徴がある？体質や行動の特徴も解説！【医師監修】
公開日:2025/10/09
低血圧は、日常生活でだるさやめまいを感じやすく、朝が苦手な方も少なくないようです。自分が低血圧かどうか気になる場合、ご自宅でも簡単に血圧の測定ができます。本記事では、低血圧の方にみられる主な特徴やご自身で血圧を測る方法、さらに日常ですぐに取り入れられる対処法をわかりやすく解説します。健康管理の参考にお役立てください。
監修医師：
伊藤 規絵（医師）
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旭川医科大学医学部卒業。その後、札幌医科大学附属病院、市立室蘭総合病院、市立釧路総合病院、市立芦別病院などで研鑽を積む。2007年札幌医科大学大学院医学研究科卒業。現在は札幌西円山病院神経内科総合医療センターに勤務。2023年Medica出版社から「ねころんで読める歩行障害」を上梓。2024年4月から、FMラジオ番組で「ドクター伊藤の健康百彩」のパーソナリティーを務める。またYou tube番組でも脳神経内科や医療・介護に関してわかりやすい発信を行っている。診療科目は神経内科（脳神経内科）、老年内科、皮膚科、一般内科。医学博士。日本神経学会認定専門医・指導医、日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医、日本老年医学会専門医・指導医・評議員、国際頭痛学会(Headache master)、A型ボツリヌス毒素製剤ユーザ、北海道難病指定医、身体障害者福祉法指定医。
目次 -INDEX-
低血圧の人に共通する特徴とは
低血圧の人に共通する体質の特徴を教えてください
まず血液の循環が全身に行き渡りにくくなることから、倦怠感や疲れやすさを感じやすい点が挙げられます。また、朝起きたときに頭がぼんやりしたり、立ちくらみやめまいを経験したりしやすいのも特徴です。体温が低く、手足の冷えを感じやすい場合も多くみられます。育ち盛りの女性ややせ型の方に少なくない傾向があります。さらに、ストレスや睡眠不足、食生活の乱れなども低血圧を悪化させる原因となるため、生活習慣の見直しも重要です。
低血圧の人は外見に特徴がありますか？
外見上のはっきりとした特徴が現れることは少ないようですが、いくつか傾向として見られることがあります。例えば、顔色が少し青白く見えたり、全体的に色白で血色が悪く感じられたりすることがあります。
また、手足が冷えやすいため、指先やつま先が冷たくなりやすいのも特徴です。やせ型の方や華奢な身体つきの方に少なくない傾向も指摘されていますが、必ずしもすべての低血圧の方に当てはまるわけではありません。外見からすぐに低血圧との判断は困難ですが、日常的な疲れやすさや朝の弱さなど、体調の特徴とあわせて観察すると気付きやすいです。
低血圧の人の行動の特徴を教えてください
まず朝が苦手で、なかなか布団から出られない、午前中はやる気や元気が出にくいなどの傾向がみられます。立ちくらみやめまいを防ぐため、急に立ち上がることを避けたり、起き上がる前に手足を軽く動かしてからゆっくりと身体を起こしたりする行動が特徴的です。また、疲労や倦怠感が強く、日中でも横になるなど休憩が必要です。長時間立ち続けるのが苦手で、足を動かしたり体勢をこまめに変えたりすることが多くなります。食欲不振になりやすく、食事の回数や内容も工夫する傾向があります。よって、低血圧の方は症状を和らげるために、身体への負担を減らすゆったりとした行動を心がけていることが少なくないようです。
低血圧かどうかを自分で確かめる方法
低血圧の基準値を教えてください
一般的には、収縮期血圧（上の血圧）が100mmHg以下、または拡張期血圧（下の血圧）が60mmHg以下の場合、低血圧とされています1)2)。これはWHO（世界保健機関；せかいほけんきかん）の基準をもとにしていますが、高血圧ほど厳密な判定基準はなく、医師によって多少の見解の違いがあります。また、症状がなければ特に治療の必要がない場合もあります。
家庭用の血圧計は正確ですか？
家庭用の血圧計は、医療機関でも採用される国際的な精度検定をクリアして販売されているため、基本的には正確に測定できる信頼性の高い機器です。特に新しいモデルや上腕式血圧計は精度が安定しており、家庭でも利用可能です。
ただし、正確な測定結果を求めるためには、腕帯（カフ）を心臓の高さに合わせて装着し、落ち着いた状態でリラックスして測定することが大切です。また、経年劣化やカフの消耗が進むと誤差が生じやすくなるため、数年ごとに点検や買い替えを検討します。測定時の姿勢や環境も影響するため、正しい使い方と定期的な機器のメンテナンスを心がけることが、より正確な血圧管理につながります。
血圧の測り方を教えてください
血圧を正しく測るためには、いくつかのポイントを守ることが大切です3)。まず、測定前に1〜2分リラックスして座り、精神的・身体的に安静な状態にします。トイレもすませておきましょう。椅子の背もたれにもたれ、足を組まず床に両足をしっかりつけます。カフ（腕帯）は素肌または薄い衣服の上、腕にすき間ができないよう心臓の高さ（乳頭の位置）へピッタリ巻きます。測定時は机やクッションで高さを調整してください。朝と夜1日2回、毎日ほぼ同じ時刻に測ると記録の精度が高まります。
血圧計がない場合に低血圧かどうかを確かめる方法はありますか？
血圧計がない場合でも、低血圧の可能性を判断する目安はあります。ただし、正確な診断はできませんが、いくつかの代表的な症状の注意で自己チェックが可能です。例えば朝なかなか起きられない、立ちくらみやめまいがよく起こる、日中も倦怠感や身体のだるさを感じやすい、手足が冷えやすい、少し動いただけで疲れやすいなどの傾向を認めれば、低血圧を疑うサインとなります。また、急に立ち上がるとフラッとする、食欲不振や頭痛を感じやすいときも注意が必要です。こうした自覚症状が強い場合は、健康診断や医療機関を受診し、実際に血圧を測定してもらうことをおすすめします。
低血圧への対処法
低血圧は病気ですか？
低血圧は必ずしも病気とは限りません。多くの場合は体質的なもので、症状が軽い場合は治療が必要ないことがほとんどです。例えば、本人が倦怠感やめまいの自覚症状がなく、日常生活に支障がなければ、特に問題視されることはありません。しかし、低血圧によって慢性的な疲れや立ちくらみ、ふらつき、朝のだるさなどが繰り返し起こり、生活に支障をきたしている場合は注意が必要です。その場合は、ほかの病気が背景に潜んでいる可能性もあるため、医師の診察を受けます。つまり、低血圧自体は病気より状態として考えられますが、強い症状を認めれば医療機関を受診し、適切な対処やアドバイスを受けることが大切です。
低血圧を治す方法はありますか？
低血圧を根本的に治す特効薬や治療法はありませんが、生活習慣を見直すことで症状の改善や予防は十分可能です。まず、朝はゆっくりと起き上がり、急に立ち上がらないように注意しましょう。バランスのよい食事を三食しっかり摂り、水分や塩分も適度に取り入れることが大切です。適度な運動やストレッチを日常に取り入れることで血液循環が促進され、症状の緩和につながります。また、十分な睡眠と規則正しい生活リズムを意識し、ストレスを溜めないように心がけます。
低血圧の症状が辛いときの対処法を教えてください
低血圧の症状が辛いときは、いくつかの対処法の実践で症状の緩和が期待できます。まず、立ちくらみやめまいを感じたら、無理に立ち続けずに椅子や床に座って安静にします。水分をしっかりと補給し、軽く塩分を摂ることも有効です。朝の起床時は急に立ち上がらず、手足をゆっくり動かしてから徐々に身体を起こすようにしてください。バランスのよい食事を心がけ、特に朝食を抜かないことが大切です。また、適度な運動やストレッチを取り入れることで血流が改善し、不調の予防につながります。
低血圧を改善するために自分でできることはありますか？
低血圧を改善するためにご自身でできることはいくつかあります。まず、毎日三食をしっかりとバランスよく摂ることが大切です。特に朝食を抜かず、水分や塩分も適度に取り入れます。また、適度な運動やストレッチも有効です。ウォーキングや軽い体操で血液の循環を促してください。朝起きるときは急に立ち上がらず、手足を動かしてからゆっくりと起き上がることが立ちくらみ予防になります。さらに、十分な睡眠と規則正しい生活リズムを意識し、ストレスをためないよう心がけることも重要です。症状が急に悪化したり、強い倦怠感やめまいが続いたりする場合は、無理をせず、お近くの内科や循環器内科など医療機関に相談してください。
編集部まとめ
低血圧は、倦怠感や朝のだるさ、立ちくらみ、手足の冷えなどが特徴的ですが、必ずしも病気とは限らず、多くは体質です。血圧が低いことがそのまま病的な状態とはかぎらないので、低血圧の基準も高血圧の基準ほどは重要視されておらず、臨床医によって意見の違いもあります。現在、ＷＨＯでは世界共通の基準として、収縮期血圧100（mmHg）以下、拡張期血圧60（mmHg）以下を低血圧としています1)2)。よって、自分が低血圧かどうかは、家庭用血圧計で測定した結果が収縮期100mmHg以下または拡張期60mmHg以下を認めれば目安となりますが、自覚症状がない場合は特に心配はいりません。症状がつらいときは、水分・塩分の摂取やバランスのよい食事、適度な運動、起床時のゆっくりした動作などで改善が期待できます。毎日の生活習慣を見直し、必要に応じて医師へ相談することが大切です。
