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「胃腸炎による発熱」の特徴はご存知ですか?何日程度発熱が続くかも解説!

 公開日:2025/11/14
「胃腸炎による発熱」の特徴はご存知ですか?何日程度発熱が続くかも解説!

胃腸炎は、ウイルスや細菌などの感染により胃や腸に炎症が起こる病気です。嘔吐や下痢といった症状が代表的ですが、発熱を伴うこともあり、風邪やほかの感染症と区別がつきにくいこともあります。特に発熱を伴う場合は、体力の消耗が早く脱水や食事がとれない状況に陥ることもあるため、注意が必要です。本記事では、胃腸炎による発熱の特徴や経過、対処法についてわかりやすく解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

胃腸炎の概要

胃腸炎の概要

胃腸炎とはどのような病気ですか?

胃腸炎とは、胃や腸に炎症が起こることで、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛などの消化器症状を中心に現れる疾患です。感染性のものが大半を占めており、原因となるウイルスや細菌が口から体内に侵入することで発症します。子どもから高齢者まで広く見られる病気であり、症状の程度には個人差があります。軽症であれば自然に治癒することもありますが、体力が落ちている方や高齢の方では重症化することもあります。ときに発熱や全身倦怠感などを伴うこともあり、体調の変化をよく観察することが重要です。

胃腸炎の原因を教えてください

胃腸炎の原因にはさまざまなものがありますが、大きく分けるとウイルス、細菌、寄生虫、薬剤、アレルギーなどが挙げられます。なかでもウイルス性胃腸炎が一般的で、冬季に流行するノロウイルスや乳幼児に多いロタウイルスなどが知られています。細菌性ではカンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオなどが原因となり、食中毒として発症することもあります。汚染された水や食物、または人との接触によって感染が広がることがあるため、日常的な手洗いや食品の加熱など、予防対策が大切です。

胃腸炎による発熱の特徴

胃腸炎による発熱の特徴

胃腸炎で熱が出ることはありますか?

はい、胃腸炎では発熱を伴うことがあります。身体がウイルスや細菌などの病原体と戦う反応として発熱が生じるため、感染性の胃腸炎ではよく見られる症状です。特にウイルス性の場合は38度前後の発熱が数日続くことがあり、細菌性の場合はより高熱が出たり、持続期間が長くなったりすることもあります。発熱に伴って悪寒や関節の痛み、全身の倦怠感などを訴える方も多く、胃腸症状と合わせて体力を消耗しやすい状態になります。

嘔吐を伴わない下痢と発熱のみの胃腸炎もありますか?

はい、嘔吐を伴わずに下痢と発熱のみで経過する胃腸炎もあります。胃腸炎と聞くと嘔吐を想像される方が多いかもしれませんが、必ずしもすべての症状が同時に出るわけではありません。特にカンピロバクターやサルモネラといった細菌性胃腸炎では、下痢と発熱が中心で、嘔吐は見られないことも少なくありません。また、体調や年齢によっても症状の出方に個人差があるため、嘔吐がないから胃腸炎ではない、とはいい切れません。下痢と発熱が続く場合は、胃腸炎の可能性も含めて医療機関で相談することをおすすめします。

胃腸炎による発熱の特徴を教えてください

胃腸炎による発熱は、急に始まることが多く、発症初日から体温が38度前後まで上がることがあります。ウイルス性では微熱〜38度程度のことが多く、1〜3日程度でおさまることが一般的です。一方、細菌性の場合はより高熱(39度以上)となることもあり、発熱の持続期間も長くなる傾向があります。また、熱の高さに関わらず、食欲不振や脱水、倦怠感などの全身症状が強く出ることもあるため、発熱の有無だけでなく全体的な体調を注意深く観察することが大切です。

胃腸炎の発熱は何日程度続きますか?

ウイルス性胃腸炎であれば、発熱は1〜3日程度で自然に解熱することが多く、長くても4日以内には落ち着くのが一般的です。細菌性の場合は、発熱が4〜5日続くこともあり、適切な抗菌薬治療が必要になることもあります。解熱後も下痢が続くことはありますが、全身症状が改善し食事がとれるようになれば、快方に向かっていると判断できます。

胃腸炎で熱があるときの対処法

胃腸炎で熱があるときの対処法

胃腸炎の熱を下げるために市販薬を飲んでも問題はありませんか?

市販の解熱鎮痛薬(アセトアミノフェンなど)は、発熱や頭痛、関節の痛みなどの症状を一時的に和らげるのに役立ちます。胃腸炎による発熱でも使用は可能ですが、服用の際にはいくつか注意が必要です。まず、消化管が弱っている状態で薬を服用すると、まれに胃の負担や吐き気を悪化させることがあります。また、イブプロフェンやロキソプロフェンなどの一部の薬は胃を荒らすことがあるため、胃腸炎時には避けた方が無難です。体温が38.5度未満であれば、必ずしも解熱剤を使わなくても水分補給や安静で回復することもあります。服用する場合は用法・用量を守り、できれば医師または薬剤師に相談したうえで選ぶことが望ましいです。

胃腸炎で熱があるときの受診サインを教えてください

発熱を伴う胃腸炎では、症状が重くなると脱水や合併症のリスクが高まります。以下のような場合には、早めに医療機関を受診してください。

  • 38.5度以上の高熱が3日以上続く
  • 水分を摂取できず、尿量が減っている、口が渇く、皮膚が乾燥しているなどの脱水症状がある
  • 強い腹痛や血便がある
  • ぐったりして反応が鈍い、意識がぼんやりする
  • 嘔吐を繰り返して薬が飲めない、食事が一切とれない

特に乳幼児や高齢の方、持病のある方は症状が軽くても悪化しやすいため、早めの受診が推奨されます。

胃腸炎で食事を摂れないときでも処方された解熱剤を飲んでもよいですか?

基本的には、空腹時に薬を服用すると胃に負担がかかる可能性があるため、できれば何か口にしてから飲むのが望ましいです。ただし、アセトアミノフェン系の薬は胃への刺激が少ないとされており、軽度の空腹時でも使用できる場合があります。食事が摂れない場合でも、ゼリー飲料や経口補水液、プリン、りんごのすりおろしなど、少しでも胃に優しいものを摂ってから服用することとよいでしょう。処方薬であれば、医師の指示に従い、飲める範囲で確実に使用することが大切です。

嘔吐や下痢が激しく解熱剤を飲めない場合はどうすればよいですか?

内服が困難な場合には、無理に飲ませようとせず、まずは脱水予防を最優先としてください。経口補水液をスプーン1杯ずつゆっくり摂る、氷片をなめるなど、少量ずつ水分を与える工夫が必要です。また、嘔吐が落ち着くまでは、身体を冷やすことで熱を下げることも可能です。例えば、冷たいタオルや保冷剤を首元・わきの下・太ももの付け根などに当てることで体温を下げる補助になります。嘔吐がひどい場合は、医療機関で処方された座薬タイプの解熱剤があれば、そちらを使用するのが有効です。水分もまったく摂れない、意識が低下しているといった場合は、点滴治療が必要になることもあるため、早めの受診を検討してください。

編集部まとめ

編集部まとめ

胃腸炎はウイルスや細菌によって起こり、発熱を伴うことも少なくありません。特に感染性胃腸炎では、嘔吐や下痢だけでなく、38度以上の発熱がみられることも多く、全身症状に注意が必要です。発熱は通常1~3日で自然に下がることが多いですが、高熱が長引く場合や水分がとれない場合には早めに医療機関を受診しましょう。市販薬の使用は体調に応じて判断し、無理に飲まずに冷却や座薬の活用も選択肢となります。胃腸炎による発熱は体力を消耗しやすいため、こまめな水分補給と安静を心がけ、無理をせず慎重に対応することが大切です。

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