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焼肉を食べた翌日の「胃もたれ」を防ぐコツ・対処法を医師が解説! 食事中の○○に要注意!

 更新日:2023/08/30

ちょっと贅沢な食事をしたいと思っているとき、焼肉が選択肢に浮かぶ人もいるのではないでしょうか。しかし、美味しい焼肉を食べた後に待ち構える「胃もたれ」は、非常に厄介な問題です。特に脂っこい部位の肉を食べると、翌日の胃もたれは避けられないでしょう。この記事では、焼肉を食べた後に起こる胃もたれの原因と対処法について、医師の丸山先生に解説していただきます。紹介する内容を参考に、翌日の胃もたれを避けて心置きなく焼肉を楽しんでくださいね。

丸山 潤

監修医師
丸山 潤(医師)

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群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

焼肉などの脂っこいものを食べると胃もたれになる原因を医師が解説

焼肉などの脂っこいものを食べると胃もたれになる原因を医師が解説

編集部編集部

まず、胃もたれについて教えてください。

丸山先生丸山先生

胃の中の食べ物の消化が遅れることで起こる症状のことを胃もたれと言います。じつは、胃もたれという医学用語は存在せず、消化不良に伴う症状の1つを指す俗語です。胃もたれは、脂肪分の多い食べ物を摂取した後に顕著です。脂肪(脂質)を消化する酵素は胃の中では分泌されないため、糖質やタンパク質と比較して脂質は消化されにくく、胃の中で長時間留まりやすい性質があります。その結果、「胃が重だるく感じる」「お腹が張って不快に感じる」「吐き気がする」「胸やけがする」などの症状が出ることがあるのです。

編集部編集部

焼肉を食べた次の日は、胃もたれでしんどいです……。

丸山先生丸山先生

カルビやホルモンなどの脂肪分の多い部位は、胃もたれの原因となり得ます。また、焼肉と一緒に飲むアルコールも、胃腸の動きを鈍らせ胃もたれを悪化させる可能性があります。アルコールが肝臓で代謝されて発生する「アセトアルデヒド」は吐き気の原因となるため、胃もたれを悪化させる原因となります。そのため、「肉の部位をバランスよく選ぶ」「食べる量を適量に抑える」「焼肉と一緒に野菜も摂る」「飲酒を控えめにする」などの工夫が胃もたれを防ぐためのポイントです。

編集部編集部

あと、若い頃はなんともなかったのに、年を重ねるにつれて胃もたれがひどくなっている気がします。年齢も胃もたれと関係あるのでしょうか?

丸山先生丸山先生

はい。加齢によって胃酸の分泌量が減少し、胃の動きも悪くなります。若い頃は胃酸の分泌量が多く、食べ物をスムーズに消化することができたかもしれません。しかし、年齢とともに胃酸分泌の減少や腸管運動能力の低下によって消化能力が下がるのが一般的です。その結果、同じ量・同じ種類の食事をしても胃もたれを感じることが増える可能性があります。自分の年齢や体調に合わせて、食事の内容や量を適切にコントロールすることで、一定の改善が期待できるでしょう。

編集部編集部

脂っこい食事や加齢以外にも、胃もたれを起こしやすくなる原因はありますか?

丸山先生丸山先生

ストレスや生活習慣の乱れ、風邪や胃腸炎といった感染症なども胃もたれを引き起こす可能性があります。長時間の仕事やプレッシャーなどのストレスは、交感神経が強く働いてしまい胃腸の動きを抑えるため、胃もたれの原因となることがあります。また、食生活の乱れや運動不足も同様に胃の調子を崩す要因になることが多い傾向にあります。特に食べ過ぎや早食い、咀嚼の少ない食事は胃に負担をかけ、胃もたれを引き起こします。さらに、胃の機能を低下させるような病気も存在します。例えば、胃炎胃潰瘍などは胃の粘膜を傷つけることで胃もたれの症状を引き起こすことがありますし、単なる風邪であっても元気なときと比較すると消化機能が低下するため、胃もたれを起こしやすくなります。

焼肉での胃もたれを予防するためのポイントをご紹介 こんな食べ方は要注意!

焼肉での胃もたれを予防するためのポイントをご紹介 こんな食べ方は要注意!

編集部編集部

焼肉を食べても胃もたれしにくくなる食べ方のコツはありますか?

丸山先生丸山先生

焼肉を楽しむ際に胃もたれを防ぐための工夫はいくつかあります。まず、脂質が少ない部位を選ぶことが効果的です。具体的には、ロースや赤身肉などは比較的消化しやすいためおすすめです。また、肉だけでなくサラダやキムチなどの野菜類も一緒に取り入れることで、胃もたれしやすい肉を食べる量が減るだけでなく、大根や白菜などの消化を助けてくれる野菜を摂取することができます。

編集部編集部

どんな種類のお肉が胃もたれしやすいのでしょうか?

丸山先生丸山先生

カルビやホルモンなどの脂質が多く含まれている部位は、特に胃もたれしやすいです。これらの部位は美味しく、人気もありますが、脂質は胃の中では消化されず胃内に滞留するため、胃もたれの原因となります。高脂質な部位の肉を食べる際は、「食べる量をコントロールする」「ほかの消化しやすい食べ物と一緒に食べる」などの工夫が重要です。

編集部編集部

逆に胃もたれしにくいお肉も知りたいです。

丸山先生丸山先生

赤身肉や鶏肉などの脂質が少ない部位はおすすめです。赤身肉は脂肪分が少なくタンパク質が豊富であり消化がしやすいため、胃もたれを予防したい場合の選択肢となるでしょう。また、鶏肉は赤身肉以上にヘルシーです。特に鶏の胸肉は低脂質・高タンパクであるため、胃に優しいとされています。焼肉の際にこれらの部位を積極的に選ぶことで、美味しく食事を楽しみつつ胃もたれを予防しましょう。さらに、料理方法にも工夫を凝らし、過度な油や味付けを控えることも効果的な対策となります。

編集部編集部

食事中に気をつけたいことはありますか?

丸山先生丸山先生

食事のペースを落とし、よく噛んで食べることも大切です。食べ物をよく噛むことで食べ物のサイズが小さくなります。よく噛むことで、小さくなった食べ物が唾液と十分混ざり、消化酵素が働きやすくなります。また、噛むことで食べる速度をコントロールし、食べ過ぎを防ぐこともできます。あとは、アルコールの飲み過ぎも胃に負担をかけるため、適量に抑えるよう心がけましょう。特に高濃度のお酒は胃粘膜を刺激する可能性があるため、注意が必要です。

編集部編集部

そのほかにも、食事中の注意点や意識するべきことはありますか?

丸山先生丸山先生

薬味やキムチなど、刺激物を控え目にするのもいいでしょう。しかし、せっかくの焼肉ですので、これらを楽しみたいこともあるかと思います。そのような場合は旨み成分を意識した味付けにすることで、刺激を抑えながらも美味しさを楽しむことが可能です。また、焼肉に合う飲み物というと冷たいビールやマッコリなどがあるかと思います。しかし、冷たい飲み物は胃を収縮させることがあるので、胃のことを考えると温かい飲み物がおすすめです。胃に優しい飲み物としては、白湯や麦茶、乳酸菌飲料なども選択肢となるでしょう。

医師が薦める、焼肉を食べた翌日の胃もたれの対処法やリカバリー方法

医師が薦める「焼肉を食べた翌日、胃もたれになったときの対処法やリカバリー方法」

編集部編集部

焼肉を食べた次の日、胃もたれになってしまったときの対処法は?

丸山先生丸山先生

胃もたれになった際の対処法としては、まず胃を休めるための食事が重要です。消化しやすいお粥や蒸し野菜などの軽い食事を摂るようにしましょう。そして、脂っこい食べ物や刺激物はできる限り避けるようにしてください。

編集部編集部

それ以外の対処法や調整法があれば教えてください。

丸山先生丸山先生

適度な運動も効果的で、散歩など軽い運動は胃腸の働きを活発化させるためおすすめです。また、横になると胃酸が上がってきて胃の不快感が生じる人もいますので、横にならずに座った姿勢を保つ、重い物を持たない(お腹に力を入れない)など、胃に負担をかけないよう過ごすことも効果的です。加えて、ストレスも胃もたれの原因になることがあるので、リラックスできる時間を作ることも助けになるでしょう。

編集部編集部

胃薬を飲んだら、すぐに胃もたれの症状が和らぎますか?

丸山先生丸山先生

胃薬は胃の粘膜を保護したり、胃酸の分泌を抑えたりする作用があるため、一時的に胃もたれの症状を和らげることができます。しかし、胃もたれの根本的な原因は、前日の焼肉の食べ方を含め日頃の食生活や生活習慣にある場合が多いため、薬だけでは完全な解決にはなりません。「脂質の多い食べ物の摂取を控える」「食事のペースを落とす」「適度な運動をする」など、生活習慣の見直しも合わせておこなう必要があります。

編集部編集部

胃もたれで医療機関に相談する目安は?

丸山先生丸山先生

胃もたれの症状が市販薬を飲んでも何日も改善しない場合、または頻繁に胃もたれが起きる場合には、医療機関の受診をおすすめします。これらの症状は、胃もたれだけでなく胃炎や胃潰瘍など、より深刻な病気の兆候である可能性もあるからです。医師による診察では、食生活や生活習慣のアドバイスも受けられるので、根本的な改善にもつながります。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

丸山先生丸山先生

焼肉は友人や家族との素晴らしい時間を提供してくれますが、自分の身体のことも考えながら参加する必要があります。脂質が多い部位を過剰に摂取すると胃もたれが起こりやすくなるため、バランス良く食べることが重要です。赤身の部位や野菜なども取り入れるといいでしょう。また、食べ過ぎや飲み過ぎにも注意が必要です。胃もたれが起きた際には、胃を休める食事や適度な運動を心がけてください。焼肉を賢く美味しく楽しむことで、体調を崩すことなく素敵な時間を過ごせることでしょう。

編集部まとめ

今回は焼肉を楽しみながらも、胃もたれを予防する方法やなったときの対処法について、医学的に詳しく解説していただきました。胃もたれしないように肉の種類に気をつけること、羽目を外して食べ過ぎ飲み過ぎにならないようにすることが大切とのことです。美味しい食事は人々をつなぎ、心を豊かにするものです。今回の記事を参考にしていただき、健康的に楽しく焼肉を楽しみましょう。

この記事の監修医師