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「眼精疲労の症状」はご存知ですか?疲れ目との違いやなりやすい人の特徴も解説!

 公開日:2025/09/22
「眼精疲労の症状」はご存知ですか?疲れ目との違いやなりやすい人の特徴も解説!

眼精疲労とは、簡単にいえば目の疲れが慢性化した状態です。長時間のパソコン作業などで目を酷使すると、目が痛む、かすむ、まぶしく感じるといった症状が現れます。それだけでなく、頭痛や肩こり、吐き気など身体全体の不調まで起こり、少し休んだだけでは回復しないことも少なくありません。近年はデジタル機器の普及により誰でも起こりうる身近なトラブルであり、放置すると日常生活の質が下がってしまいます。本記事では眼精疲労の症状や原因、改善方法や治療を解説します。

栗原 大智

監修医師
栗原 大智(医師)

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2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。日本眼科学会専門医。

眼精疲労の症状

眼精疲労の症状

眼精疲労は病気ですか?

眼精疲労自体はウイルスや細菌による病気ではなく、目の使いすぎによる不調の総称です。ただし、単なる疲れ目とは異なり、目や身体にさまざまな症状が現れ、休息しても十分に回復しない明確な体調不良の状態です。きちんと対処しないと、症状は改善することなく、むしろ悪化していくことが少なくありません。見えにくさはもちろん、頭痛や肩こりなどの原因となり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。

眼精疲労の症状を教えてください

眼精疲労では、目に関する症状と全身の症状の両方が現れます。代表的な目の症状には、目の痛みや重だるさ、ピントが合わず物がかすんで見える、まぶしく感じる、目の充血、乾燥感(ドライアイ)などがあります。また、まぶたがピクピクけいれんしたり、瞬きが増えたりすることもあります。加えて全身の症状として、頭痛や、首や肩のこり、吐き気、ひどい場合はめまいや強い疲労感などを訴えることもあります。こうした症状が長引いている、あるいは目を休めてもよくならない場合は、眼精疲労の状態に陥っている可能性があります。

眼精疲労と似た症状の病気はありますか?

はい、いくつかあります。例えば、白内障では「なんとなく見えにくい」、目が疲れやすいといった症状が現れますし、ドライアイでも目の乾きや不快感から目の疲労感が強まります。

そのほかにも、斜位や斜視、上まぶたのたるみ(眼瞼下垂)など、多くの目の病気が眼精疲労に似た症状を引き起こします。「眼精疲労かな?」と思って放置するのは危険で、実は別の病気が隠れている可能性もあるのです。特に、視力低下などの異常、普段と違う症状を伴う場合は、早めに眼科で検査を受けるようにしましょう。

眼精疲労と疲れ目の違いを教えてください

疲れ目は、読書やパソコン作業などで一時的に目が疲れた状態を指し、休息や一晩の睡眠で回復する軽い症状です。一方、眼精疲労は休んでも回復しないほど深刻な状態で、目の痛みやかすみ、充血といった目の症状に加えて頭痛や肩こりなど全身の不調も伴う点が大きな違いです。言い換えると、疲れ目が慢性化あるいは悪化したものが眼精疲労ともいえます。ただ目が疲れているだけと思っていても、症状が翌日まで持ち越したり、身体にも不調が出たりしている場合は、眼精疲労になっている可能性があります。その際は早めに対策をとりましょう。

眼精疲労の原因

眼精疲労の原因

なぜ眼精疲労になるのですか?

長時間、細かい作業やパソコンやスマートフォンの画面を見ることで、目のピント調節機能やまばたきの働きに負担がかかり続けます。その結果、目の筋肉が疲れ切ってしまい、正常な休息では追いつかなくなるのです。また、度の合わないメガネ・コンタクトの使用や、老眼の始まりに気付かず無理に近くを見続けることも原因となります。さらに、空調による乾燥した環境や強い光、ストレスや睡眠不足など生活環境や習慣の乱れも目の負担を増やしてしまい、眼精疲労を引き起こしやすくなります。

眼精疲労になるメカニズムを教えてください

近くのものを見るとき、私たちの目の中では毛様体筋という筋肉が収縮し、水晶体を厚くしてピントを合わせています。パソコンや書類を長時間近距離で見続けると、この毛様体筋が緊張しっぱなしになり、筋肉が疲労してピント調節がうまくできなくなってしまうのです。また、凝視している間は瞬きの回数が減ります。涙の分泌も減って目が乾燥しやすくなるため、角膜表面が荒れてさらに視界のかすみや痛みを招きます。こうした目そのものの疲労に加え、長時間同じ姿勢で画面に向かっていると首や肩の筋肉もこわばり血行が悪くなります。その結果、首や肩こりや頭痛といった全身症状まで現れると考えられています。

眼精疲労になりやすい人の特徴を教えてください

現代では誰でも眼精疲労になる可能性がありますが、特に以下のような傾向のある方は注意が必要です。

  • 長時間の近距離作業をする方
  • 眼鏡やコンタクトレンズの度数が合っていない方
  • 目の病気やドライアイがある方
  • ストレスや体調不良がある方

以上のような要因に心当たりがある方は、普段から意識的に目を休める習慣を持つことが大切です。

眼精疲労を改善する方法と病院での治療

眼精疲労を改善する方法と病院での治療

眼精疲労を自分で改善する方法はありますか?

はい、日常生活で工夫できる方法がいくつかあります。代表的な改善策は下記のものです。

定期的に目を休ませる 近くを見る作業をする場合、20分に1回、20秒間、20フィート(6m)先を見る、20‐20‐20ルールが推奨されています。

作業環境を見直す 目に負担をかけない環境づくりも重要です。例えば、ディスプレイは目から40cm以上離し、画面の上端が目の高さより下になるよう調整します。部屋の照明は明るすぎず暗すぎずに設定します。

目の乾燥対策をする ドライアイ気味の方は、市販の人工涙液で潤いを補給するのも有効です。また、集中しているとまばたきが減るため、意識してまばたきをしたり、休めたりすることでドライアイの症状が軽くなります。

ホットアイマスクで目を温める まぶたを温めると血行がよくなり、眼精疲労の症状が和らぐことがあります。特に、市販のホットアイマスクを1回5分、1日2回ほど行うと、ドライアイや目の疲れが改善することがあります。

全身のリフレッシュ 目だけでなく身体全体の疲れを取ることも大切です。ときどき席を立って軽くストレッチをしたり、肩や首を回したりして凝りをほぐしましょう。

こうしたセルフケアで多くの場合症状が楽になります。ただし、改善しない場合は無理をせず眼科医に相談しましょう。

眼精疲労で眼科を受診してもよいですか?

はい、もちろんです。 むしろ、「ただの疲れ目だろう」と自己判断せず、症状がつらいときや長引くときは眼科を受診することをおすすめします。繰り返しになりますが、眼精疲労だと思っていたら白内障や緑内障などの病気が隠れている場合もあります。眼科では目の状態を詳しく検査し、ほかの病気がないか調べます。診察の結果、特に病気が見つからなくても、具体的な対策をお伝えすることができます。症状に応じて適切な目薬や治療法も提案してもらえますから、「疲れ目ごときで受診していいのかな?」と遠慮せず、気軽に眼科医に相談してください。

眼科での治療法を教えてください

眼科ではまず原因の特定と除去を行います。例えば、視力検査をして今の目に合ったメガネに作り直したり、老眼があれば適切な度数の老眼鏡を処方したりします。ドライアイが見つかれば潤いを補う目薬を使って治療します。こうした原因への対処と並行して、症状を和らげるための薬も用いられます。ピント調節の筋肉をリラックスさせる目薬や、神経の疲れに効くとされるビタミンB12配合の目薬などが代表的です。このように眼科で治療を受けながら、先述のようなセルフケアも取り入れていくことで、つらい眼精疲労は少しずつ改善していくはずです。

編集部まとめ

編集部まとめ

眼精疲労は単なる疲れ目ではなく、目と全身に現れる深刻な疲労状態です。長時間のデジタル機器使用や合わないメガネなど、誰もが陥りがちな原因で起こりうるため注意が必要です。幸い、適度な休憩や環境調整、目を労わるセルフケアによって多くの場合は改善が期待できます。まずは目を酷使しない工夫を日常に取り入れ、症状の悪化を防ぎましょう。また、十分な休息をとっても症状が続くときは無理せず専門の眼科医に相談することが大切です。この機会にぜひ目の健康管理を見直し、大切な目をケアしていきましょう。

この記事の監修医師