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「糖尿病を予防」する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/08/26
「糖尿病を予防」する可能性の高い「食べ物」はご存知ですか?【医師監修】

糖尿病は食生活や運動習慣と深く関わる病気です。なかでも毎日の食べ方や、選ぶ食べ物は、2型糖尿病の発症を防ぐうえで大切なポイントであり、適切な食習慣を身につけることは、糖尿病の予防につながります。 この記事では、糖尿病を予防するために知っておきたい食品や食事について、わかりやすく解説します。

上田 莉子

監修医師
上田 莉子(医師)

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関西医科大学卒業。滋賀医科大学医学部付属病院研修医修了。滋賀医科大学医学部付属病院糖尿病内分泌内科専修医、 京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科医員、関西医科大学付属病院糖尿病科病院助教などを経て現職。日本糖尿病学会専門医、 日本内分泌学会内分泌代謝科専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医、日本専門医機構認定内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医、内科臨床研修指導医

糖尿病と食べ物、食事の関係

なぜ糖尿病になるのですか?

2型糖尿病は、膵臓から分泌されるホルモンであるインスリンの作用が不足するために、血液中のブドウ糖(血糖)濃度が通常よりも高くなる病気です。 インスリンはブドウ糖を筋肉や脂肪に取り込ませ、血糖値を適切な範囲に保ちます。インスリンの作用が不足する原因は、膵臓の機能低下によるインスリン分泌低下と、インスリンの効果が低下するインスリン抵抗性の2つに分けられますが、多くの糖尿病の方では程度に差はあれど、その両方の異常が認められます。

糖尿病になりやすい人の特徴を教えてください

糖尿病には、1型と2型の2つのタイプがあります。1型糖尿病の発症原因はまだはっきりとわかってはいませんが、2型糖尿病の発症は、遺伝要因と、食生活や運動習慣などの環境要因が、どちらも関わっているといわれています。 血のつながった家族に2型糖尿病の方がいる方や、内臓脂肪の多い肥満、運動不足、過食、早食い、夜遅い食事、不規則で栄養の偏った食生活をしている方は、糖尿病を発症するリスクが高まります。また、喫煙飲酒も糖尿病リスクを高めます。

糖尿病は食べ物や食事方法に気を付けることで予防できますか?

はい。特に2型糖尿病は、食べ物の選び方や食事のとり方に注意することで、発症リスクを下げることが可能です。2型糖尿病は、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性を中心に、インスリンの分泌低下が徐々に進行することによって血糖値が高くなる病気で、遺伝的な要因に加え、過食や運動不足、肥満といった生活習慣が大きく関わっています。そのため、食事や運動を見直し、肥満の方は原料を行うことで、予防につながります。

一方、 1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が自己免疫によって破壊され、インスリンを自分で作ることができなくなる病気であり、食生活を含む生活習慣とは直接関係なく発症するとされています。

糖尿病を予防できる食習慣と控えた方がよい食べ物

糖尿病を予防する効果が期待できる食べ物や飲み物はありますか?

糖尿病を予防するために意識したいのは、野菜や果物、全粒穀物、魚、豆類を中心としたバランスのよい食事です。これらの食品は、血糖コントロールに効果的で、生活習慣病の予防にも役立ちます。なかでも、野菜や海藻、きのこ、いも類に多く含まれる食物繊維は、糖質の吸収をゆるやかにし、食後の血糖値の急激な上昇を防いでくれます。

主食を選ぶ際は、白米よりも玄米や大麦、全粒粉パン、ライ麦パンなど、食物繊維を多く含むものを適度に取り入れてみるのもおすすめです。また、魚や大豆製品、卵、赤身の肉など、良質なたんぱく質を含む食品も積極的に取り入れることで、インスリンの働きを助ける効果が期待できます。 

糖尿病を予防するためには、日々の食生活に気を配ることがとても大切です。特定の食品に偏るのではなく、さまざまな栄養素をバランスよく摂取することが、血糖値の安定やインスリンの働きを助け、糖尿病のリスクを下げることにつながります。

糖尿病の予防効果が見込まれる食事の方法を教えてください

生活習慣が大きく影響する2型糖尿病の予防には、食事の摂り方やタイミングの工夫が重要です。以下に、糖尿病を予防するために有効とされる食品や食事方法についてご紹介します。

よく噛んでゆっくり食べる 早食いは血糖値の急上昇や肥満につながり、糖尿病リスクを高めます。しっかり噛むことで満腹感が得られやすく、過食の防止にもなります。

食べる順番を工夫する 野菜(特に食物繊維を含むもの)を最初に食べ、次にたんぱく質のおかず、最後に炭水化物(ご飯やパンなど)という順番で食べると、食後の血糖値の上昇を抑える効果が期待できます。

規則正しい食事をとる 1日3食をできるだけ同じ時間に規則正しくとることで、体内の血糖調整リズムが整います。また、朝食を抜くと2型糖尿病の発症リスクが高まる可能性が示唆されています。  

間食の選び方に注意する 間食はナッツ、ヨーグルトなど、血糖値が上がりにくく栄養価の高いものを選びましょう。夜遅くの間食や空腹時に甘いお菓子を食べることは控えるのが理想的です。

糖質制限に糖尿病を予防する効果はありますか?

はい。適切な糖質制限には糖尿病の予防や血糖コントロールの改善に効果があります。 糖尿病の発症予防には、食生活の改善や運動療法など、生活習慣の見直しが重要であるとされ、食事においては、 バランスの取れた健康的な食習慣を続け、体重を管理することで、インスリンの分泌能力や効きが改善されます。 ただし、糖質を極端に制限する方法については、糖尿病予防の効果は明確ではなく、推奨されていません。むしろ、主食を減らしおかずを増やすと脂質や塩分の摂りすぎにつながることもあり注意が必要です。

糖尿病のリスクが高まる食べ物や食習慣を教えてください

糖尿病のリスクを高める食べ物には、糖分や脂質の多い菓子類、ジュース、揚げ物、バターやクリームを使った洋菓子が挙げられます。 また、白米や一般的なパンなど精製された炭水化物のとりすぎも、血糖値を上げやすいため注意が必要です。さらにアルコールの飲みすぎも中性脂肪の増加や体重管理の妨げとなり、糖尿病リスクを高めます。 過食、早食いや朝食抜き、夜遅い食事、就寝前の間食といった不規則な食習慣は、血糖コントロールが乱れる原因になります。 これらの行為は、体重増加や血糖値の急上昇を招くおそれがあり、インスリンの効きを悪くするインスリン抵抗性を引き起こし、2型糖尿病の大きな要因となります。

糖尿病を予防するために食べ物以外で気を付けたいこと

食習慣さえ気を付けたら糖尿病になりませんか?

いいえ、食習慣だけ気をつければ糖尿病にならないというわけではありません。糖尿病は、食習慣以外の要因も複雑に絡み合って発症する病気です。 1型糖尿病は、自己免疫性の疾患であり、食生活とは関係なく発症します。 2型糖尿病についても、食生活や運動不足といった環境因子だけでなく、インスリン分泌量が少ないなど、遺伝的因子が大きく関与しています。日本人は欧米人と比較してインスリン分泌能が低い方が多いため、肥満でなくても血糖値が高くなる場合があります。

糖尿病の予防や管理には、食習慣や運動習慣を総合的に見直すことが重要です。

糖尿病の予防効果が期待されている生活習慣を教えてください

糖尿病の予防には、食事療法と並んで運動療法を取り入れることが基本です。特に有酸素運動は、週150分以上を目安に継続することで、インスリンの働きを改善し、血糖コントロールや肥満の予防に効果があります。加えて、筋力トレーニング(レジスタンス運動)を組み合わせると効果的です。 体重管理も重要で、現在の体重から5〜10%の減量でも糖尿病の発症リスクを大きく下げることが報告されています。また、禁煙はインスリン抵抗性を軽減し、心血管疾患のリスクを下げる効果もあるため、積極的に取り組みたい習慣です。 そのほか、十分な睡眠時間の確保やストレスをためない生活も、血糖値の安定やホルモンバランスの維持に有効です。 糖尿病は初期には自覚症状が出にくいため、定期的に健康診断を受けてリスク因子を早期に把握し、必要に応じて生活を見直すことが大切です。

編集部まとめ

糖尿病の予防と管理には、食事以外の習慣も大切です。バランスのよい食事や適度な運動、体重の維持に加えて、喫煙や過度な飲酒を控えることが健康につながります。加えて、十分な睡眠やストレス管理、定期的な健康診断も欠かせません。食べ物の選び方や食べ方を見直し、日々の小さな習慣を積み重ねて、糖尿病を予防しましょう。

この記事の監修医師