「ぎっくり腰の予防法」はご存知ですか?なりやすい動作や効果的なストレッチも解説!
公開日:2025/09/08


監修医師:
林 良典(医師)
プロフィールをもっと見る
名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)
目次 -INDEX-
ぎっくり腰の症状と原因
ぎっくり腰の症状を教えてください
ぎっくり腰とは、突然強い腰の痛みが現れる症状のことです。動こうとした瞬間にピキッとした違和感とともに激痛が走り、その場から動けなくなる場合もあります。痛みが強いため、まっすぐ立つ、前かがみになるといった基本的な姿勢がとれなくなることも少なくありません。
多くの場合、腰の筋肉が強くこわばり、押さえると痛みを感じたり、少しでも身体を動かそうとすると痛みがさらに強まったりします。痛みの程度には個人差がありますが、通常は数日から2週間以内に症状が軽くなることが多いとされています。
なぜぎっくり腰になるのですか?
現在のところ、ぎっくり腰の原因をひとつに特定することは難しいとされています。主に、腰まわりの軟部組織(筋肉、腱、靭帯など)に生じた小さな損傷や炎症が複雑に関係していると考えられています。軟部組織が傷付くと、ブラジキニン、プロスタグランジン、サイトカインなどの発痛性化学物質が放出されます。これらの物質が痛みを感知するセンサー(侵害受容器)を刺激し、その信号が脳に伝わることで、強い痛みとして感じるのです。
また、運動不足や長時間の同じ姿勢でいること、睡眠不足、精神的ストレスなども筋肉の緊張を高める原因になります。このような状態が続くと、腰に負担がかかりやすくなり、ぎっくり腰を引き起こしやすくなります。
ぎっくり腰になりやすい動作を教えてください
ぎっくり腰は、次のような日常のちょっとした動きで突然起こることがよくあります。
- くしゃみをした
- 床のものを拾おうと前かがみになった
- 長時間座った後、急に立ち上がった
ぎっくり腰の予防法
ぎっくり腰にならないために日常生活で気を付けることを教えてください
ぎっくり腰を防ぐためには、腰に余計な負担をかけない生活習慣を意識することが大切です。日々の動作のひとつひとつを見直して、腰の筋肉や関節にかかる負担を軽減しましょう。
例えば、長時間座ったまま作業を続けると、腰まわりの筋肉が緊張して硬くなり、血流も滞りがちになります。こうした状態を防ぐには、定期的に席を立って軽く身体を伸ばしたり、歩いたりする習慣を取り入れることが効果的です。
重い物を持ち上げる場面では、腰を直接使うのではなく、膝をしっかり曲げて物を身体の近くに引き寄せたうえで持ち上げるようにしましょう。急なひねり動作や中腰での長時間作業は、腰の損傷につながる可能性があるため避けたい動作です。
それ以外にも、くしゃみや咳をするときは、壁や机に手を添えて身体を支えると、腰への負担を軽減できます。座る際は沈み込みすぎるソファよりも、背中をまっすぐ保てる硬めの椅子を選ぶことで、腰が安定しやすくなります。
ぎっくり腰の予防に効果的なストレッチや運動はありますか?
ぎっくり腰を予防するためには、腰の柔軟性を保ちつつ、体幹を支える筋力を高めましょう。特に腹横筋や多裂筋などの深部の筋肉(インナーマッスル)を強化することで、姿勢の安定や腰の負荷軽減が期待できます。
初心者でも取り組みやすい運動としては、仰向けで呼吸を意識しながらお腹をへこませるドローインや、四つ這い姿勢で手足を交互に伸ばすバードドッグなどがあります。これらは体幹を鍛えつつ、動作の安定性を高めることができます。
さらに、ハムストリングス(太ももの裏側)、大殿筋(お尻の筋肉)、脊柱起立筋(背中の筋肉)などを中心としたストレッチも重要です。これらの部位を柔軟に保つことで、腰への負担を軽減し、動きやすさを保つことができます。
ぎっくり腰になりにくい寝具の特徴を教えてください
腰の健康を守るためには、起きている時間だけでなく、寝ている間の姿勢や寝具にも気を配る必要があります。
特にマットレスの硬さや沈み込み具合は、腰への負担に大きく関わります。やわらかすぎるマットレスを使用すると、身体が深く沈み込み、背骨の自然なカーブが保てなくなるほか、寝返りが打ちにくくなります。その結果、同じ姿勢が長時間続き、筋肉や関節に負担がかかってしまいます。
このような負担を防ぐには、体重が均等に分散される高反発タイプのマットレスを選びましょう。腰をしっかり支えることで寝姿勢が安定し、寝返りもしやすくなります。
枕の高さも腰の状態に影響を与える要素です。仰向けで寝る場合は、首の自然なカーブに沿って支えられる高さが理想的なため、首とマットレスの間に隙間ができないように調整しましょう。一方、横向きで寝る方の場合は、肩幅に合わせて枕の高さを選ぶことで、頭から背中までが一直線になり、腰への負担が抑えられます。
ぎっくり腰の再発防止法
ぎっくり腰が再発することはありますか?
ぎっくり腰は、一度症状が改善しても再発する可能性が高いとされています。実際、急性腰痛を経験した方のうち、およそ70%が12ヶ月以内に再発を経験すると報告されており、油断はできません。
くり返しぎっくり腰を発症することで、腰まわりの筋肉や靭帯など軟部組織が弱くなってしまい、慢性腰痛や坐骨神経痛を引き起こす可能性も高まります。
ぎっくり腰の再発を防止するために気を付けることを教えてください
ぎっくり腰の再発予防には、「痛みがないから大丈夫」と油断しないことが大切です。むしろ、痛みがない時期こそ腰を守る生活習慣を見直しておきましょう。例えば、以下のような場面では、知らないうちに腰へ負担がかかっていることがあります。
- 急に重たい荷物を持ち上げる
- 冬場など、準備運動が不十分な状態で身体を動かす
- 長時間座ったままでパソコンやスマートフォンを操作する
ぎっくり腰が再発してしまったときはどうすればよいですか?
ぎっくり腰が再発した場合は、まずは無理に動かさず、できるだけ腰に負担をかけないよう安静に過ごすようにしましょう。痛みが強いときには、身体を横向きにして膝を軽く曲げるなど、腰への負担が少ない姿勢で休みましょう。
発症後48時間程度は炎症期にあたるため、冷却療法によって腫れや炎症の進行を防ぐことが可能です。保冷材や氷嚢などを使って患部を冷やし、痛みの軽減につなげましょう。炎症が落ち着いてきたら、入浴などで身体を温めて血流を促し、筋肉のこわばりをやわらげる温熱療法が有効です。
なお、ぎっくり腰を再発した際に、足のしびれ、筋力の低下、排尿障害などの症状がみられた場合は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの病気が疑われるため、自己判断せずにすぐに医療機関を受診しましょう。
編集部まとめ
ぎっくり腰は、日常のささいな動作をきっかけに突然発症し、強い痛みにより動けなくなることもあります。ほとんどは適切な対応で回復しますが、再発しやすく生活に支障をきたす場合もあります。
予防には、腰への負担を軽減する動作の見直しと、体幹の筋力や柔軟性を高める習慣が効果的です。寝具や姿勢にも注意し、腰を守る環境づくりを心がけましょう。
再発を防ぐには、痛みがない時期でも油断せず、日常生活での工夫を積み重ねていくことが大切です。




