「ワキガ」の人が避けた方がよい「食べ物や飲み物」はご存知ですか?その他の対策も解説!
公開日:2025/09/12

人と近づく場面や、暑い季節になると特に気になるわきのニオイ。デオドラントを使ってもなかなか改善されない場合、それはワキガ(腋臭症)が原因かもしれません。 ワキガは、体質的に出やすい汗の成分が、皮膚の常在菌によって分解されることで独特なニオイを生んでしまう状態です。自覚しにくいこともありますが、気になるときは適切な対策を知っておくことが大切です。 この記事では、ワキガの原因やセルフチェックの方法、日常生活でできるケアから病院で受けられる治療法まで、わかりやすく解説します。

監修医師:
江崎 聖美(医師)
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山梨大学卒業。昭和大学藤が丘病院 形成外科、群馬県立小児医療センター 形成外科、聖マリア病院 形成外科、山梨県立中央病院 形成外科などで経歴を積む。現在は昭和大学病院 形成外科に勤務。日本乳房オンコプラスティックサージェリー学会実施医師。
目次 -INDEX-
ワキガの原因とチェック方法
ワキガの場合、身体のどの部位がニオイますか?
ワキガは、主にわきの下から独特のニオイを発する症状です。ただし、わき以外にも耳の中、乳輪、陰部などの部位からもニオイを感じることがあります。
ワキガの原因を教えてください
汗を分泌する汗腺には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺という2種類があります。
エクリン汗腺は全身に広く分布しており、主に水分を含んだサラサラとした汗を分泌して、体温調節の役割を果たします。
一方、アポクリン汗腺はわきの下や耳、乳輪、陰部などに分布し、脂質やタンパク質を多く含む汗を分泌します。この汗が、皮脂腺からの皮脂と混ざり、皮膚表面の常在菌によって分解されることで、特有なニオイが発生します。
ワキガは、アポクリン汗腺の数や大きさが大きく関係し、これらは遺伝の影響を強く受けるため、家族にワキガ体質の方がいる場合、発症の可能性が高いとされています。
ワキガかどうかを自分で確かめる方法はありますか?
ワキガのチェックの方法には、ガーゼをわきの下に数分間挟み、取り出したガーゼのにおいを確認するガーゼテストがあります。ワキガの診断にも使われている方法で、簡単なセルフチェックにも有用です。ただし客観性に欠けるため、臭いに気付かない場合や、逆に過剰に気にしてしまう場合もあります。
また、耳あかの性質も一つの目安とされ、湿った耳あかの方はワキガ体質である可能性が高いといわれており、8割以上の相関が報告されています。
さらに、自分では気付きにくいこともあるため、他人からにおいを指摘された経験があるかどうかも判断材料になります。
自分でできるワキガ対策
ワキガのニオイを緩和するために自分でできるケア方法を教えてください
ワキガのニオイを抑えるためには、まずわきを清潔に保つことが大切です。毎日シャワーを浴び、薬用せっけんなどで汗や皮脂をしっかり洗い流しましょう。
汗をかいた際は、アルコール入りのシートなどでふき取ると効果的です。さらに、制汗剤を清潔な肌に使用することで、汗の分泌を抑え、ニオイを軽減できます。腋毛の処理や、通気性のよい天然素材や抗菌加工の素材の衣服を選ぶことも、雑菌の繁殖を防ぎ、ニオイ対策に役立ちます。
市販の制汗剤はワキガに効果がありますか?
市販の制汗剤やデオドラント製品には、汗やにおいを一時的に抑える効果があります。ただし、ワキガの根本的な原因であるアポクリン汗腺の働きを抑えるものではないため、あくまで対処法としての使用にとどまります。入浴後など、皮膚が清潔で乾いた状態のときに塗布することで、効果が発揮されます。汗をかいたまま使用しても、十分な効果は期待できません。
ワキガのにおいを抑えられる生活習慣を教えてください
ワキガのにおいを抑えるには、まず身体をこまめに洗い清潔を保つことが大切です。汗や皮脂をためないことは、においの原因となる細菌の繁殖を防ぎます。また、食生活においては動物性脂肪の摂りすぎを控え、バランスのよい食事を心がけましょう。さらに、規則正しい生活リズムを守り、十分な睡眠とストレス管理でホルモンバランスや自律神経を整えることも重要です。
ワキガの人が避けた方がよい食べ物や飲み物はありますか?
ワキガのにおいを抑えるためには、動物性脂肪や赤身肉の大量摂取を控えることがすすめられています。ただし、科学的根拠は限定的で、形成外科診療ガイドラインでは推奨度C1と評価されており、根拠は十分ではないものの実践が推奨されています。バランスのよい食事を心がけ、過剰な摂取を避けることが大切です。
セルフケアでもニオイが気になるときの対策
ワキガで病院を受診することはできますか?
はい。ワキガに関する悩みは、皮膚科や形成外科で相談できます。なかにはワキガ専門外来を設けている医療機関もあります。病院での診断は、主に患者さんの自覚症状と医師による客観的な評価を組み合わせて行われます。
病院でワキガのニオイを抑える治療法を教えてください
病院で行われるワキガのニオイを抑える治療法としては、消毒薬含有製剤の外用や塩化アルミニウム溶液の外用があります。どちらも汗や皮膚の細菌の量を減らすことを目的とした保存的治療であり、継続的に使用することで効果を維持します。これらの治療は手軽に始められ、副作用も少ないため、軽度から中等度の症状に適しています。しかし、効果が不十分な場合や症状が重い場合には、外科手術など、より積極的な治療法が検討されることもあります。
ワキガを根本的に治す方法はありますか?
ワキガを根本的に治すには外科手術が有効です。代表的な皮下剪除法(皮弁法)は、腋の下を切開してアポクリン汗腺を直接取り除く方法で、効果が高く健康保険が適用されます。
ただし、術後には傷跡や感染、血腫などのリスクがあり、治療に関して事前に十分に理解し、適切な術後管理と経過観察を行うことが重要です。また、有毛部皮膚切除術は腋毛の皮膚ごと切除する方法で効果は高いものの、傷跡が大きく残るため、適応は限定されます。
さらに、超音波吸引法やシェーバー法などの低侵襲手術は、手術後の生活制限の面では有利ですが、保険は適用されず自費診療となります。どの方法も合併症のリスクがあるため、医師と十分に相談し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
編集部まとめ
ワキガは、主に体質や遺伝によって起こるため、根本的に治すのは簡単ではありません。しかし、適切なケアを続けることで、ニオイを目立たなくしたり、日常生活での不快感を軽減したりすることは十分に可能です。まずは、毎日の清潔習慣や汗を抑える制汗剤の活用、衣類の選び方、食生活の見直しなど、生活習慣の改善からはじめてみましょう。
軽度のワキガであれば、こうしたセルフケアだけでもニオイを抑えられることがあります。
それでも気になる場合は、皮膚科や形成外科に相談してみるのもひとつの方法です。外用薬や注射、手術といった専門的な治療を、症状や希望に応じて選ぶことができます。無理せず自分に合った方法で、ケアを行うことが、快適な毎日につながっていきます。



