「食中毒予防の三原則」はご存知ですか?食材管理法も併せて解説!【医師監修】

食中毒は、レストランなど外食だけの問題ではありません。日々の家庭料理のなかにも目に見えないリスクが潜んでいます。この記事では、食中毒予防の基本であるつけない・増やさない・やっつけるという三原則を軸に、科学的根拠に基づいた具体的な予防策をQ&A形式でわかりやすく解説します。正しい知識を身につけ、ご家庭の食卓から食中毒のリスクをなくしましょう。

監修医師:
高宮 新之介(医師)
目次 -INDEX-
食中毒予防の三原則について

食中毒予防の三原則とは何ですか?
つけない(汚染防止)
細菌を食べ物に付着させないことです。調理前の手洗いや、調理器具の使い分けなどがこれにあたります。
増やさない(増殖抑制)
食べ物に付着してしまった細菌を増殖させないことです。食品を適切な温度で保存することが中心となります。
やっつける(殺菌・不活化)
食べ物や調理器具に付着した細菌を、加熱などによって死滅させることです。
一方で、ノロウイルスに代表されるウイルス性の食中毒は、食品の中で自ら増えることはありません。そのため、増やさないという考え方よりも、ウイルスを調理環境に持ち込まない、ひろげないという視点が加わることが特徴です。
それぞれの原則が重要な理由を教えてください
つけない(汚染防止)の重要性
生の肉や魚には、カンピロバクターやサルモネラ菌といった食中毒菌が付着している可能性があります。これらの菌は、たとえ少量でも食中毒を引き起こすことがあります。例えば、生肉を切った包丁やまな板を洗浄せずに、そのままサラダ用の野菜を切ってしまうと、菌が野菜に移ってしまいます。これを交差汚染と呼び、食中毒の主な原因の一つです。手指を介した汚染も多いため、調理中のこまめな手洗いが不可欠です。
増やさない(増殖抑制)の重要性
多くの食中毒菌は、10度から60度の危険温度帯で活発に増殖します。特に、人間の体温に近い35度前後で増殖のスピードはとても速くなります。例えば、条件がよければ、腸炎ビブリオはわずか9分で2倍に増えるといわれています。調理した料理を室温で長時間放置すると、わずかな時間で細菌が食中毒を引き起こすレベルまで増殖してしまうおそれがあるため、迅速な冷却と10度以下での冷蔵保存が大変重要になるのです。
やっつける(殺菌・不活化)の重要性
ほとんどの食中毒菌は加熱に弱く、食品の中心部を75度で1分間以上加熱することで死滅させることができます。しかし、加熱が不十分だと菌が生き残り、食中毒の原因となります。
特に、ハンバーグのような厚みのある肉料理や、鶏肉などは、中心部まで火が通りにくいので注意が必要です。また、ノロウイルスのように、より高い温度(85度~90度で90秒以上)での加熱が必要な病原体も存在します。正しい知識に基づいた十分な加熱は、食中毒予防の最後の砦として欠かせません。
食中毒の三原則を守ることによってどの程度食中毒のリスクを減らせますか?
家庭内の調理による食中毒を予防する方法

家庭内で食中毒を防ぐための食材管理法を教えてください
冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は−15度以下を温度計で確認し7割以下の詰め込みにとどめます。
生肉・魚介類は密閉袋に入れ、汁がほかの食品に触れないよう下段で保管しましょう。
消費期限を見える位置に向け、先入れ先出しで使い切ってください。
調理器具の衛生管理で気を付けることを教えてください
ふきんとスポンジは1日1回熱湯消毒し、週1回交換します。
冷蔵庫内は月1回アルコールで拭き上げ、取手やドアパッキンも忘れず清掃してください。
調理途中にスマートフォンやリモコンを触った場合は手を洗い直しましょう。
肉や魚はどの程度火を通せば食中毒のリスクを低減できますか?
牛ステーキなど塊肉は中心63度以上、表面を全面加熱することで内部菌数を抑えられます。
二枚貝は85〜90度で90秒加熱し、刺身用魚介は−20度で24時間以上冷凍処理された製品を選びましょう。
低温調理を行う場合は63度30分など業務基準を厳守し、家庭では温度保持が難しいことを理解してください。
夏場の作り置きやお弁当による食中毒を防ぐ方法を教えてください
調理するときのポイント(やっつける・つけない)
おかずはすべて、中心部まで十分に加熱します(75度1分以上)。卵焼きなども半熟は避けましょう。調理済みの加工品(ハム、ソーセージなど)も、お弁当に入れる際は再加熱するとよいです。おにぎりを握ったり、おかずを詰めたりするときは、素手で触らずにラップや清潔な箸を使いましょう。手指にいる黄色ブドウ球菌の付着を防ぎます。
詰めるときのポイント(増やさない)
完全に冷ます:これが最も重要なポイントです。温かいまま詰めると、お弁当箱の中に蒸気がこもり、細菌が増殖する絶好の環境(水分と温度)を作ってしまいます。必ず、すべてのおかずとご飯を完全に冷ましてから蓋をしましょう。煮物などは汁気をよく切り、おかずカップの底にかつお節などを敷いて余分な水分を吸わせる工夫も有効です。梅干し、しそ、酢、しょうがなどには抗菌効果が期待できます。ご飯に混ぜ込んだり、おかずに使ったりするとよいでしょう。
持ち運びと保管のポイント(増やさない)
必ず保冷剤と保冷バッグを利用し、10度以下の状態を保つように心がけます。直射日光の当たる場所や車内など、高温になる場所に放置するのは絶対に避けてください。作ったお弁当は、できるだけ早く(昼休みまでには)食べるようにし、食べ残しは処分しましょう。
食中毒予防に役立つ習慣

食中毒予防に効果的な習慣を教えてください
冷蔵庫の温度を週1回記録し5度以下を維持してください。
買い物バッグに保冷剤を常備し、生鮮品は最後に購入しましょう。
食卓に残った料理は2時間以内に冷却または廃棄をてっていします。
食品表示の保存方法・消費期限を家族全員で共有し、冷蔵庫管理表に記録するとよいでしょう。
外食する際に食中毒を防ぐ方法はありますか?
ビュッフェでは盛り替え専用トングが用意されているかを確認し、料理が冷えている・温かい状態を保てているかをチェックします。
生肉や生卵は信頼できる店舗のみで注文し、体調不良、妊娠中、小さなお子さんや高齢の方は控えるのがよいでしょう。
テーブルの調味料ノズルや共有タッチパネルを触った後は手指をアルコール消毒してください。
テイクアウトやデリバリーは2時間以内に喫食し、可能であれば75度以上で再加熱してから食べましょう。
編集部まとめ

食中毒は、少しの注意と日々の習慣で、その多くを防ぐことができます。この記事で解説した食中毒予防の三原則「つけない・増やさない・やっつける」は、家庭で実践できる対策です。
特に夏場のお弁当作りでは、おかずを完全に冷ましてから詰めることと、保冷剤で低温を保つことが重要です。また、外食の際にはお店の清潔さに気を配り、リスクの高い生ものは避けるなどの自衛策も有効です。
おいしい食事は、安全という土台の上に成り立っています。今日からキッチンの衛生管理を見直し、正しい知識に基づいた予防策を実践することで、あなたとあなたの大切な家族を食中毒から守りましょう。




