「翼状片の手術」はどのような流れで行われる?術後の合併症についても解説!

翼状片(よくじょうへん)とは、白目の組織(結膜)が黒目(角膜)に向かって膜のように伸びて視界を遮る病気です。見た目は充血した翼のような三角形の膜が黒目にかかっているのが特徴で、進行すると角膜を引っ張って乱視や視力低下の原因にもなります。良性の腫瘍に分類されますが自然に治ることはなく、症状や進行度に応じた適切な治療が必要です。放置して黒目の中央(瞳孔)まで達してしまうと、たとえ手術で取り除いても視力が十分に回復しないおそれがあります。本記事では、翼状片の治療法である翼状片手術について、その基礎知識や手術の流れ、費用、合併症、術後の経過までを解説します。

監修医師:
栗原 大智(医師)
目次 -INDEX-
翼状片手術の基礎知識

翼状片手術とはどのような手術ですか?
翼状片手術が行われるケースを教えてください
- 視力や乱視への影響が出始めた場合
- 見た目や不快症状が強い場合
- 整容的に気になる場合
以上のように、翼状片が小さいうち・症状が軽いうちは様子を見る選択肢もありますが、視機能への影響や整容面の問題が出てきたら眼科医と相談して手術を考えるよいでしょう。
特に、若年者ほど翼状片は再発しやすく進行も速い傾向があるため、違和感を覚えたら早めに受診し適切なタイミングを見極めることが大切です。
翼状片手術にはどの程度の費用がかかりますか?
例えば片目の手術費用は3割負担で約12,000〜15,000円、2割負担なら約8,000円、1割負担(高齢者など)では4,000〜5,000円前後が目安です。これはあくまで手術そのものの費用であり、別途初診料・検査料や術後の薬代がかかりますが、トータルでも数万円程度で収まることが一般的です。
翼状片手術の流れ

翼状片手術を受けるまでの流れを教えてください
翼状片手術ではどのようなことを行いますか?
翼状片手術の痛みの度合いを教えてください
翼状片の手術は入院が必要ですか?
翼状片手術の合併症

翼状片手術にはどのようなリスクがありますか?
以下に起こりうるリスクを列挙します。
感染症
眼の手術ではまれに傷口から細菌感染を起こす可能性があります。
出血・充血
術後しばらくは結膜下出血といって白目の下に出血が起こり、目が赤く染まります。
再発
翼状片は再発しやすい病気として知られ、手術で取り除いても再び同じように結膜組織が角膜に伸びてくるケースがあります。
瘢痕(はんこん)
手術による傷が治る過程で瘢痕組織(傷跡)が残ることがあります。
ドライアイ
翼状片の患者さんは目の乾きやゴロゴロする異物感などのドライアイ症状を伴うことが少なくありません。
乱視・視力への影響
翼状片手術により角膜表面は滑らかさを取り戻し、多くの場合は乱視が改善します。ただし、翼状片が高度に進行して角膜を永久的に歪めていた場合、除去後も多少の乱視が残存したり角膜の透明度低下による視力障害が残る可能性があります。
翼状片リスクで起きやすい合併症を教えてください
- 出血・充血
- ドライアイ
- 翼状片の再発
出血や充血、ドライアイに関しては手術後の点眼薬などで症状が緩和することがほとんどです。しかし、翼状片の再発に関しては再手術が必要になるだけでなく、進行が通常よりも速く、手術の難易度も上がる恐れがあります。これら合併症は起こりやすいことを把握したうえで、翼状片手術を行うことが重要です。
翼状片手術の術後経過

翼状片手術の術後はどのような経過をたどりますか?
抜糸以降は医師の指示にしたがって定期的に通院し経過観察を続けます。通常、術後数週間〜数ヶ月は経過を追い、再発の兆候がないかや視力の回復状況を確認します。特に、若い方や重症例では再発リスクがあるため、指示されたとおり通院を継続しましょう。
翼状片手術後の注意点を教えてください
点眼の継続
処方された点眼薬は指示どおりの回数・期間、きちんと使いましょう。
清潔の保持
目元を清潔に保つことも大切です。手術当日は顔や髪を濡らさないようにし、入浴や洗顔は控えて安静に過ごします。プールや温泉など不特定多数が利用する水場は感染リスクになるため医師の許可が出るまで避けてください。
アイメイク・コンタクトレンズ
アイメイクやコンタクトの使用は医師の許可が出てから行ってください。
激しい運動の制限
術後1週間程度は激しい運動や重労働は控えましょう。
UVカット・乾燥対策
翼状片の原因である紫外線や乾燥から目を守ることは再発予防にもつながります。外出時はサングラスやつばの広い帽子を着用し、直射日光やホコリ・風から目を保護してください。
翼状片の手術後に再発することはありますか?
また、日常生活でも上記のUV対策を継続し、目を乾燥や刺激から守る生活を心がけることが大切です。万一、白目の組織がまた黒目に伸びてきた感じなど、再発の徴候が見られた場合は早めに眼科を受診してください。再発が小さいうちに追加治療を検討することで、大きくなってから再手術するよりも負担を軽減できる可能性があります。
編集部まとめ

翼状片は放置すると乱視の悪化や視力低下につながる可能性がある病気ですが、早期発見・早期治療によって視機能への影響を最小限に抑えることができます。また、翼状片は再発する可能性があることも覚えておきましょう。若い方ほど再発しやすいため、手術後も油断せず定期的に経過観察を受け、紫外線対策などの予防策を続けることが大切です。本記事で解説したように、翼状片手術にはメリット・デメリットや注意点がありますので、不安な点は主治医に遠慮なく質問し十分に相談してから手術に臨むようにしましょう。




