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「翼状片の手術費用」はご存知ですか?術後の注意点も解説!【医師監修】

 公開日:2025/05/10
「翼状片の手術費用」はご存知ですか?術後の注意点も解説!【医師監修】

目の表面に白い膜のようなものがかかり、視界が悪くなる翼状片。進行すると視力低下を引き起こす可能性もあるため、手術を検討する方もいるでしょう。しかし、手術費用や流れなど、わからないこともあるのではないでしょうか。

本記事では翼状片の手術費用について以下の点を中心にご紹介します。

  • 翼状片とは
  • 翼状片の治療と再発について
  • 翼状片の手術について

翼状片の手術費用について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

柳 靖雄

監修医師
柳 靖雄(医師)

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東京大学医学部卒業。その後、東京大学大学院修了、東京大学医学部眼科学教室講師、デューク・シンガポール国立大学医学部准教授、旭川医科大学眼科学教室教授を務める。現在は横浜市立大学視覚再生外科学教室客員教授、東京都葛飾区に位置する「お花茶屋眼科」院長、「DeepEyeVision株式会社」取締役。医学博士、日本眼科学会専門医。

翼状片とは

翼状片とは

翼状片はどのような病気ですか?

翼状片は、白目の結膜が異常に増殖して黒目(角膜)に入り込むことで生じる病気です。多くは目頭側から中央に向かって進行し、進むにつれて角膜が引っ張られ、乱視や視力の低下を引き起こすことがあります。

見た目には充血やこぶ状の盛り上がりが見られるのが特徴です。良性ですが、自然に治ることはなく、進行の程度に応じた治療が必要です。

翼状片が起こる原因は何ですか?

翼状片の主な原因は、紫外線による目への慢性的な刺激です。紫外線を長期間浴び続けることで角膜に炎症が起こり、その修復過程がうまく進まなくなると、結膜の細胞が異常増殖を始めて角膜へ侵入し、翼状片が形成されます。

なかでも、屋外での作業が多い傾向にある方や、紫外線量の多いとされる地域に住む方に多く見られます。
また、コンタクトレンズの長期使用、目の乾燥、風やほこりによる刺激なども影響する可能性があります。加齢に伴って発症する印象がありますが、実際には若い頃からの紫外線蓄積が関係していると考えられています。

翼状片と似ている病気はありますか?

翼状片と似ている病気にはいくつかありますが、見た目だけで区別が難しいこともあります。

●偽翼状片
外傷や化学物質による眼の損傷(洗剤やパーマ液など)が原因で、回復過程において翼状片と似た病変が見られることがあります。見た目は似ていますが、原因が異なります。治療法としては翼状片と同じく手術が行われることもあります。

●瞼裂斑(けんれつはん)
白目の部分にできる黄白色の隆起で、角膜(黒目)には達しません。症状が軽ければ点眼治療で対処できますが、初期の翼状片も白目にとどまるため、識別が難しいことがあります。

●その他の疾患
結膜炎やアレルギー性結膜炎なども充血を伴うため混同されがちです。また、稀に腫瘍性疾患(デルモイドなど)に似た所見を示す場合もあります。正確な診断には眼科での診断が必要です。

翼状片の治療と再発について

翼状片の治療と再発について

翼状片はどのように診断されますか?

翼状片の診断には、眼科で使用される細隙灯(さいげきとう)顕微鏡という専用の拡大機器が用いられます。この検査により、白目の結膜組織が黒目の角膜へ侵入している様子を詳細に観察できるとされています。

肉眼でも進行した翼状片は確認できますが、類似疾患である偽翼状片や結膜腫瘍などとの区別は専門的な判断が必要です。

翼状片は点眼治療だけで治せますか?

翼状片は、点眼治療だけで取り除けません。炎症による充血や異物感がある場合には、ステロイドを含む点眼薬で一時的に症状を和らげられますが、点眼で翼状片そのものが縮小したり消失したりすることはありません

無症状であれば経過観察となることもありますが、症状が進んで瞳孔に近づいてくると乱視や視力低下の原因になるため、手術による切除が必要になります。

なかでも、翼状片が角膜の1/3以上に達すると、視機能への影響が出やすく、手術の適応とされます。点眼薬はあくまで補助的なもので、根本的な治療ではないことを理解しておくことが大切です。

翼状片は再発しやすいですか?

翼状片は再発しやすい病気であり、特に若い方や進行が進んだ重症例では再発率が高くなる傾向があります。これは、若年層では細胞の増殖が活発なため、手術で切除しても再び組織が角膜に入り込むことがあるためです。

また、単純な切除のみの場合、再発率が高くなるとされており、現在では再発を防ぐために、手術中にマイトマイシンCという薬剤を使用したり、自身の健康な結膜を移植する「自己結膜移植術」が併用されることがあります。再発を防ぐためには、術後の通院や紫外線対策などの生活習慣の見直しも重要です。

翼状片の手術について

翼状片の手術について

翼状片の手術費用はどのくらいですか?

翼状片の手術費用は、保険適用となるため自己負担割合によって異なります。
片眼の手術であれば、1割負担の方は4,000〜5,000円程度、2割負担では8,000円、3割負担の方はおおよそ12,000〜15,000円程度が目安です。

両眼を同じ月内に手術した場合でも、高額療養費制度の対象となるため、一定額を超える費用は後日払い戻しされることがあります。費用には手術に使用される薬剤費なども含まれており、実際の金額は医療機関や治療内容によって若干異なる場合があります。

加えて、診察料や検査費が別途必要になることもあるため、事前に医療機関で詳細を確認することをおすすめします。

翼状片手術の流れを教えてください

翼状片の手術は日帰りで行われ、以下のような流れで進みます。

手術当日
手術は点眼麻酔で行い、所要時間は20〜30分程度で、終了後は眼帯を装着し、体調に問題がなければそのまま帰宅できます。術後は炎症を抑えるための内服薬(5日分)が処方されます。車の運転は控え、公共交通機関や送迎の利用が必要です。

術後翌日
眼帯を外して診察を受け、経過を確認します。この日から点眼薬による治療が始まります。

術後1週間後
再診にて経過観察を行い、必要に応じて抜糸を行います。以後は医師の指示に従い、定期的に通院します。

術後は目に違和感や赤みが出ることがありますが、点眼薬により症状を和らげ、3ヶ月程度で落ち着くことが多いとされています。

翼状片の手術後の注意点を教えてください

翼状片の手術後には、いくつかの注意点があります。

まず、手術当日は眼帯を装着したまま過ごし、顔に水がかからないようにしてください。翌日の診察で眼帯は外され、以降の装着は不要となり、洗顔や洗髪は診察後からできますが、水が直接目に入らないよう注意が必要です。

術後1週間程は縫合糸が残っているため、異物感を覚えることがありますが、抜糸後に徐々に軽減します。また、コンタクトレンズの使用は抜糸が終わるまで控えましょう。見た目の充血が気になる場合は、サングラスでのカバーがおすすめです。

日常生活や運転に大きな制限はありませんが、目をこする行為は避けてください。再発予防のため、術後は点眼治療を継続し、医師の指示に従った経過観察が重要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

翼状片は良性の病気ですが、進行すると見た目の変化だけでなく、視力や見え方にも影響を及ぼすことがあります。点眼薬では根本的な治療はできませんが、早期の段階で管理を行えば、進行を抑えたり、手術によって視機能の維持が期待できます。
不快な症状や見た目が気になる場合も、ひとりで悩まずに、まずは眼科を受診し相談してみてください。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで翼状片の手術費用についてお伝えしてきました。翼状片の手術費用の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 翼状片とは白目の部分である結膜の組織が異常に増殖し、黒目にあたる角膜へと入り込むことで発生する病気で、進行すると角膜が引っ張られてゆがみ、乱視が生じる
  • 翼状片は、炎症による充血や異物感がある場合には、ステロイドを含む点眼薬で一時的に症状を和らげられるが点眼治療だけで取り除けないため、手術による切除が必要になる
  • 翼状片の手術費用は、保険適用となるため自己負担割合によって異なるが、片眼の手術であれば、1割負担の方は4,000〜5,000円程度、2割負担では8,000円、3割負担の方はおおよそ12,000〜15,000円程度が目安となる

翼状片の治療費用は保険適用により変動します。術後は経過観察と点眼治療を継続することが大切です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修医師