「高血圧の主な5つの原因」はご存知ですか?なりやすい人の特徴も解説!

血圧が高いといわれたことはありませんか?
高血圧は自覚症状が出にくいため、病院や健康診断などで指摘されても、そのままにしてしまう方も少なくありません。しかし、高血圧を放置すると、心筋梗塞や脳卒中など重大な合併症を引き起こす恐れがあり、早い段階から適切に対処することが大切です。
本記事では、高血圧の概要、原因、予防についてわかりやすく解説します。

監修医師:
上田 莉子(医師)
目次 -INDEX-
高血圧の概要

高血圧は病気ですか?
なお、診断基準としては診察室の値だけではなく、家庭での血圧の値も定められています。家庭で測定する血圧を家庭血圧とよび、これは収縮期血圧が135mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上を高血圧と定義しています。特にガイドラインでも、診察室での血圧を指標とした治療と比べて、家庭血圧を指標として治療することがすすめられており、病院で血圧を測るだけでなく、自宅で血圧を測定し、それをもとに治療方針を立てることが望まれます。
高血圧の種類を教えてください
本態性(ほんたいせい)高血圧は原因となる病気を明確に特定できないもので、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。日本人の多くは本態性高血圧だといわれています。
一方、二次性高血圧はある病気を原因として、高血圧が引き起こされている状態を指します。二次性高血圧は従来考えられていたよりも、もっと高い頻度で存在する可能性が指摘されています。二次性高血圧は、原因となる病気を適切に診断し治療することで、血圧がうまくコントロールでき、場合によっては治癒も期待できます。本態性血圧とはその病態も、治療の方法も大きく異なるため、区別することが大切です。高血圧の患者さんでたくさんの薬を内服していても十分に血圧がコントロールできていない方の場合は、原因を調べた方がよい可能性があります。また、本態性高血圧と比べて若い方に多いのも特徴です。
高血圧の原因

本態性高血圧の原因にはどのようなものがありますか?
- 食塩を過剰に摂取すること
- 肥満
- 運動不足
- ストレス
- 遺伝的素因(体質)
本態性高血圧になりやすい人の特徴を教えてください
生活習慣や食生活などの原因と血圧の関係がわかる統計はありますか?
さらに、DASH-Sodium試験では、野菜や果物、低脂肪乳製品を多く取り入れたDASH食と塩分制限を組み合わせることで、血圧を低下させる効果があると報告されています。
二次性高血圧の原因を教えてください。
- 腎実質性高血圧
- 腎血管性高血圧
- 内分泌腺の病気による高血圧
- 薬による高血圧
腎実質性(じんじっしつせい)高血圧は腎臓の働きが悪くなることで、塩分や水分が排出されにくくなり起こる高血圧です。
腎血管性高血圧は腎臓の動脈が細くなったり詰まったりすることで起こる高血圧です。
内分泌腺の病気による高血圧は、さまざまな種類のホルモンの分泌が異常となり引き起こされる高血圧です。代表的なものに原発性アルドステロン症があり、これはアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される病気です。アルドステロンは高血圧を引き起こすホルモンです。そのほかには甲状腺機能の異常も高血圧の原因となることがあります。
なかには、薬によって引き起こされる高血圧もあります。非ステロイド性抗炎症薬(痛み止めの一種)や甘草(かんぞう)という成分が入ったお薬などで、高血圧を誘発する可能性があります。
これら以外にも、睡眠時無呼吸症候群などで高血圧をきたすことがあります。
高血圧の予防法

本態性高血圧を予防するために推奨される生活習慣はありますか?
アルコールは継続して、一定の量以上を飲み続けると高血圧の原因になります。過剰な飲酒は高血圧以外にも脳卒中なども引き起こすとされており、節酒を心がけましょう。アルコールの適量としては、男性で1日のアルコール量20~30ミリリットル以下、女性で10~20ミリリットル以下です。
運動も重要な予防法の一つです。有酸素運動やレジスタンス運動(筋力を維持するための運動)などが推奨されています。時間は毎日30分以上、週180分以上が目安となっていますが、まずは短い時間できつくない程度の運動から始め、徐々に上げていきましょう。
禁煙も大切な対策の一つです。これらの健康的な生活習慣を身に着けることが、高血圧の予防につながります。
本態性高血圧の予防に効果がある食生活を教えてください
- 香辛料、香味野菜や果物の酸味を味付けに利用する
- 低塩の調味料を使う
- 外食や加工食品を減らす、控える
- 麺類の汁は残す
減塩とともに、野菜、果物を積極的に食べるようにしましょう。これは野菜や果物に含まれるカリウムが血圧を下げるように働くためです。ただし、腎臓病がある方は身体からのカリウム排泄の能力が落ちているため、野菜や果物を取り過ぎない方がよい場合があります。必ず主治医に確認して取り組むようにしましょう。
本態性高血圧はストレスを軽減することで予防できますか?
このように、慢性的な強いストレスは血圧上昇に影響すると考えられており、ストレスを軽減することは本態性高血圧の予防につながります。十分な睡眠の確保やリラクゼーションを取り入れ、可能な限りストレスを和らげるとよいでしょう。ただし、ストレスを軽減するだけで高血圧の予防になるわけではなく、減塩や運動などほかの生活習慣改善と組み合わせて取り組むことが大切です。
編集部まとめ

高血圧は脳梗塞、心筋梗塞などを引き起こすリスクが高い重要な病気です。本態性高血圧は遺伝的な要因に加え、塩分の摂取量が多いことや肥満、飲酒、運動不足、ストレスなどさまざまな要因が組み合わさって起こります。普段の生活習慣を見直すことが予防や改善につながります。一方、二次性高血圧は原因となる病気を見つけ、治療することが必要です。いずれの場合も、血圧に異常があれば早めに対応することが大切です。血圧が高いといわれたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
参考文献
- 高血圧治療ガイドライン2019(日本高血圧学会)
- 高血圧治療ガイドライン2019 解説冊子(日本高血圧学会)
- INTERSALT Cooperative Resarch Group. Inersalt; an international study of electrolyte excretion and blood pressure . BMJ. 1988;297(6644):319–328.
- DASH sodium Collaborative Research Group. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH) diet. N Engl J Med. 2001;344:3–10.




