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「便秘の解消」に効果的な「食べ物や飲み物」はご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/08/15
「便秘の解消」に効果的な「食べ物や飲み物」はご存知ですか?【医師監修】

便秘は多くの方が悩む身近な不調の一つです。排便の回数が少ない、便が硬い、排便時にいきまないと出ないなどの症状が続くと、日常生活にも支障が出てしまいます。本記事では、便秘の主な原因や症状を整理しつつ、食べ物やマッサージ、市販薬など、自宅ですぐにできる解消法を紹介します。さらに、病院を受診すべき目安や治療法、便秘体質を改善するための生活習慣も詳しく解説します。

林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
呼吸器内科
皮膚科
整形外科
眼科
循環器内科
脳神経内科
眼科(角膜外来)

便秘の症状と原因

便秘の症状と原因

どの程度の期間、排便がなければ便秘といえますか?

便秘の定義は、本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態です。そのため、毎日排便があるかどうかではなく、排便の回数・量・状態・排便後のスッキリ感などが重要です。一般的には、3日以上排便がない状態や毎日排便があっても残便感がある、排便が困難な場合などを便秘と呼びます。排便が週に2回以下、排便時に強くいきまないと出ない、便が硬いなどの状態が続く場合は、便秘と考えられます。

便秘の主な原因を教えてください

便秘の原因には、器質的な異常機能的な問題があります。器質的な原因には大腸がんや腸閉塞などがあり、まれですが注意が必要です。一方、一般的に多いのは機能性便秘で、主な要因は、腸の運動機能の低下や食物繊維・水分の不足、運動不足、ストレス、排便の我慢などです。ほかにも、加齢や女性ホルモンの変化により腸の働きが鈍くなることが影響します。

便秘になりやすい食習慣や生活習慣はありますか?

食事内容と生活習慣は便秘に深く関係します。まず、食物繊維が不足していると便の量が減り、腸の動きも鈍くなります。特に、野菜や海藻、果物をあまり摂らない食生活は便秘を招きやすいです。また、水分を十分に摂らないと便が硬くなり排出しづらくなります。生活面では運動不足が腸の蠕動運動を弱め、排便が滞りやすくなります。さらに、排便を我慢する習慣や、起床後すぐにトイレに行かない生活も便意を鈍らせる原因です。

便秘の解消に即効性がある対処法

便秘の解消に即効性がある対処法

便秘の解消に効果的な食べ物や飲み物はありますか?

便秘を解消するには、食物繊維が豊富な食べ物を積極的に摂ることが効果的です。特に水溶性食物繊維を含む海藻類や果物(キウイ、バナナ)、不溶性食物繊維を含む野菜(ごぼう、さつまいも)がおすすめです。また、ヨーグルトや味噌、納豆などの発酵食品は腸内環境を整え、腸の動きを促進します。水分補給も排便を促す作用があり、朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲むと腸のぜん動運動が活発になります。カフェインやアルコールは脱水の原因となるため、控えるとよいでしょう。

便秘を解消するためのエクササイズやマッサージを教えてください

便秘解消には腹部の血行を促進するエクササイズやマッサージが有効です。簡単にできるのはのの字マッサージで、おへその周囲を手のひらで時計回りに優しくなでて、腸の動きを刺激します。ほかにも左右の脇腹を上下に揉む、下腹部を上に押し上げるように圧迫するなどが効果的です。また、腹筋運動やウォーキングも腸のぜん動運動を促すので、日常的に取り入れると効果的です。運動は排便を促すだけでなく、ストレス解消にもつながり、自律神経の乱れによる便秘の改善にも寄与します。

便秘に効果がある市販薬の成分を教えてください

市販の便秘薬にはいくつかの種類があり、主成分によって作用が異なります。主な成分と作用は下記のとおりです。

成分名 作用
酸化マグネシウム 腸内に水分を引き込み、便をやわらかくします。
センノシド 腸を刺激してぜん動運動を促進する。
ピコスルファートナトリウム 大腸を直接刺激して排便を促します。
ジオクチルソジウムスルホサクシネート 便に水分を含ませてやわらかくします。
ラクツロース 腸内の浸透圧を上げて水分を集め、腸内環境を整えます。

便秘で受診を検討する目安と病院での治療法

便秘で受診を検討する目安と病院での治療法

便秘で受診をした方がよいのはどのようなケースですか?

数日程度の便秘であれば、生活習慣の改善や市販薬で対応できることもありますが、長期間便が出ない強い腹痛や吐き気がある便に血が混じるなどの症状がある場合は医療機関の受診がおすすめです。また、便秘と下痢を繰り返す、急激な体重減少がある、60歳以上で便秘が続いている場合も注意が必要です。上記の症状があると、腸閉塞や大腸がんなど重大な疾患が潜んでいる可能性があります。自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、早めに専門医に相談しましょう。

便秘で受診する場合の診療科目を教えてください

便秘の症状で受診する際は、消化器内科や胃腸科が適しています。前述の診療科では、便秘のタイプ(機能性か器質性か)を見極め、必要に応じて内視鏡検査や画像診断を行います。女性でホルモンの変化が関与していると考えられる場合は婦人科の受診が必要です。また、過敏性腸症候群やストレス性の便秘の場合は心療内科がおすすめの場合もあります。

病院での便秘治療を教えてください

病院での便秘治療は、原因や症状に応じて個別に行われます。まず生活習慣の改善や食事指導が基本となり、それでも効果がない場合は薬物療法を実施します。生活習慣では、水分や食物繊維の摂取、排便姿勢、運動の3点が重要です。食物繊維は不足しやすいため、1日20g以上の摂取が必要です。排便姿勢では、排便時に前傾姿勢をとることが大切です。処方薬には、腸を刺激するタイプや水分を保持して便をやわらかくする薬などがあり、患者さんの便秘のタイプに応じて選択されます。

便秘体質を解消するための生活習慣と食習慣

便秘体質を解消するための生活習慣と食習慣

便秘を予防するための生活習慣を教えてください

便秘予防には、食物繊維と水分の摂取、適度な運動、正しい排便姿勢の3つが重要です。食物繊維は腸内で水分を吸収し、便のかさを増やして腸の動きを活発にします。野菜や果物、海藻、穀物などから1日20g以上を目安に摂取しましょう。水分は腸内の便をやわらかく保つために欠かせません。朝の水分摂取は継続的な腸の働きを保つうえでも効果的です。運動は腸の動きを促進するため、ウォーキングなどの軽い有酸素運動が効果的です。排便時には前かがみの姿勢が直腸に圧をかけ、排便をスムーズにします。

便秘になりにくい食べ物や飲み物はありますか?

便秘予防には、腸内環境を整える食材が効果的です。野菜、果物、全粒穀物などの食物繊維が豊富な食品は、便のかさを増し排出を促します。食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。水溶性食物繊維は便をやわらかくし、不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸を刺激するため排便を促します。

水分摂取も重要で、一日に1.5~2リットルを目安にこまめに水や白湯を飲みましょう。カフェインやアルコールは脱水を招くため控えめにすることが望ましいです。バランスのよい食事と十分な水分補給を習慣化することが便秘予防につながります。

編集部まとめ

編集部まとめ

 便秘は排便回数や便の状態、残便感などから判断され、主な原因は食物繊維や水分不足、運動不足、ストレスなどによる機能性便秘です。解消には、海藻や果物、発酵食品などを摂取し、マッサージや運動も有効です。重症例では消化器内科での診断や処方治が必要です。生活習慣の改善で便秘を予防しましょう。

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