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「生理前に便秘」になる原因とは?便秘になりやすい人の特徴や予防できる食べ物も解説!

 公開日:2025/08/24
「生理前に便秘」になる原因とは?便秘になりやすい人の特徴や予防できる食べ物も解説!

生理前に便秘に悩む方は少なくありません。生理の前の女性ホルモンの変化が便秘に関連すると考えられています。便秘になるとお腹が張ったり下腹部の痛みがでたりとても不快ですし、加えて便秘が続くと、腸内の悪玉菌が増え、肌荒れの原因にもつながります。この記事では、生理前に便秘になる原因や生活のなかでできる対策、そして便秘になったときの対処法を詳しく解説します。

高橋 孝幸

監修医師
高橋 孝幸(医師)

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国家公務員共済組合連合会 立川病院 産婦人科医長。大阪市立大学卒業後、慶應義塾大学大学院にて医学博士号を取得。足利赤十字病院、SUBARU健康保険組合 太田記念病院、慶應義塾大学病院の勤務を経て、現職。理化学研究所 革新知能統合研究センター 遺伝統計学チーム/病理解析チーム 客員研究員。診療科目は産婦人科、消化器内科、循環器内科。日本産科婦人科学会専門医・指導医。専門は婦人科腫瘍、がん治療認定医、日本産科婦人科学会内視鏡技術認定医(腹腔鏡)、ロボット支援下手術など。診療科目は産婦人科、消化器内科、循環器内科。

生理前に便秘になる原因と期間の目安

生理前に便秘になる原因と期間の目安

生理前に便秘になる原因を教えてください

生理前に便秘になりやすい主な原因は女性ホルモンの変動といわれています。排卵後から生理前にかけては、女性ホルモンの一つであるプロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれるホルモンの分泌が増えていきます。

プロゲステロンは、大腸の平滑筋を弛緩させて、蠕動運動を低下させる作用があります。また、体内の水分や栄養を保持する作用もあります。これらの作用によって、便が通過するのにかかる時間が通常より伸びてしまい、水分も過剰に吸収されてしまうために便秘を引き起こしてしまいます。 また、自律神経は消化管に作用します。ストレスなどが原因で交感神経が優位になり、交感神経が優位な時間が長くなると、腸管の動きがにぶくなり便秘を引き起こします。

生理前に便秘になりやすい人の特徴を教えてください

生理前に便秘になりやすい方にはいくつかの特徴があります。普段から便秘傾向の方は、生理前の女性ホルモンや自律神経の影響で便秘が悪化しやすくなります。 便秘傾向になりやすい原因には以下のようなものがあげられます。

  • 水分摂取が少ない
  • 食物繊維の摂取量が少ない
  • 運動習慣が少ない

また、PMS(月経前症候群)の症状として便秘を訴える方も多く、PMSの症状の程度には、自律神経の影響があると考えられています。自律神経は上述したとおり便秘の原因になるため、PMSの方は生理の前の便秘になりやすいと考えられます。

生理の何日前から便秘になりやすいですか?

一般的に、生理の7〜10日前から便秘の症状を訴える傾向が多くなります。この時期にプロゲステロンの分泌が急激に上昇するためです。 生理が始まりプロゲステロンが減少すると便秘が改善する方は多く、むしろ少し軟便になる方もいます。また、生理が始まるとプロスタグランジンという物質が分泌されます。このプロスタグランジンは、子宮の収縮を促す作用があり、子宮内膜を血液とともに排出し、これが生理の出血として排出されます。このプロスタグランジンは、腸管にも作用することが知られており、腸管の蠕動を促すことで、便秘が解消されます。 ただし、生理前に便秘になる方とならない方がいるように、個人差が大きく、また、生理不順がある方は上記の通りにはいかないことも多くなります。

生理前の便秘を予防するセルフケア

生理前の便秘を予防するセルフケア

生理前の便秘を予防できる食べ物や飲み物はありますか?

そもそも便秘の最も多い原因は、食物繊維不足といわれています。厚労省『日本人の食事摂取基準 2020 年版』では、18~64 歳の食物繊維目標量は男性 21 g以上、女性 18 g以上と定められています。

日本人の平均食物繊維摂取量は、年代により異なりますが、14g程度です。食物繊維25gというのは、キャベツで約1.5玉ブロッコリーで10カップです。想像よりも多く、25gを毎日摂取できている方は少ないと思います。ですので、まずは食物繊維を摂ることを心がけましょう。また、食物繊維には、不溶性(水に溶け憎く、便のかさを増したり腸の蠕動運動を促す)と水溶性(水に溶けやすく、便をやわらかくし、滑りをよくする)、また、不溶性と水溶性の両方を含む食物繊維があります。 代表的な食物繊維を多く含む食材を以下にあげます。

【不溶性】
  • キャベツ
  • レタス
  • ほうれん草
  • エリンギ
  • 大豆など

【水溶性】
  • わかめ
  • ひじき
  • 大麦など

【水溶性・不溶性の両方を含む】
  • ごぼう
  • にんじん
  • じゃがいも
  • キウイフルーツ
  • 納豆

これらが代表的な食物繊維を多く含む食材です。 また、便秘には十分量の水分摂取が必要であり、さらに便秘に対してよいとされている飲み物は、「乳酸菌飲料」「昆布茶」などを聞いたことがある方もいると思います。乳酸菌飲料は、何となく便秘によいイメージがある方も多いと思いますが、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えることで腸内環境を改善する効果があるといわれています。昆布茶や市販コンブチャ飲料は食物繊維量がごくわずかで、ガイドラインで推奨される便秘改善食品には含まれていません。水溶性・不溶性食物繊維を多く含む大麦・オートミール・海藻・果物などが推奨されます。

生理前の便秘を予防するための生活習慣を教えてください

便秘に限らずですが、規則正しい生活リズムは大切です。特に、便通をよくするためには、朝食をしっかり摂ることが重要です。食べ物は胃へと入ると、胃酸により消化され、その後十二指腸・小腸・結腸へと蠕動運動により送られていきます。胃に食べ物が入ると腸管の動きが誘発される一連の動きを、胃結腸反射といいます。空腹の時間が長いほど、胃結腸反射は強くなると考えられており、朝食後5分から30分程度で多くの場合は胃結腸反射が起こるといわれています。朝食を欠かさず食べ、その後にトイレの時間を確保するとよいです。

また、適度な運動も便秘予防に効果的です。運動により、腸の動きも活発になります。そのほかには、睡眠不足ストレスをコントロールすることも自律神経の調節に繋がり有効です。

生理前の便秘を予防する効果がある市販薬や漢方薬はありますか?

生理前の便秘に対して適切な利用により効果のある市販薬や漢方薬はあります。しかし、市販薬や漢方薬は個人個人の効果の差が大きく、一人ひとりにあった薬を選択することが大切ですので、以下も参考にし、症状に悩んでいる方は病院を受診し、医師に相談するようにしましょう。

便秘薬には、主な分類として非刺激性下剤刺激性下剤があります。非刺激性下剤は、直接腸管の動きを活発にさせるのではなく、便のかさを増やすことで便をやわらかくし出しやすくします。一方刺激性下剤は腸管を刺激することで蠕動運動を活発にして便を出しやすくします。非刺激性下剤の代表の酸化マグネシウムなどは〈浸透圧性下剤〉に分類され、慢性便秘症診療ガイドラインで第一選択薬の一つとされています。

一方で、マイルドな効果であり使いやすいですが、腎機能が悪い方では血中のマグネシウム濃度が上昇してしまうため、注意が必要です。また効果がマイルドなため、生理前の便秘に対して効果が不十分と感じる方もいるでしょう。

一方刺激性下剤は、効果が強く即効性がありますが、長期に使用してしまうと腸管が刺激に慣れてしまい、同じ量では効かなくなってしまいます。生理前の短期的な便秘に対して用法用量を守って使うことで効果が感じられる可能性はあります。

次に漢方薬では、桃核承気湯という漢方薬が生理前の便秘に対してよく使われます。この漢方薬は、元々は慢性的な下剤に応用される「大黄甘草湯」を基本とし、さらに下剤としての効能を持つ生薬と、気と血の巡りをコントロールする生薬で構成されており、月経痛や月経不順、月経前のあらゆる症状(便秘を含む)を改善する目的で主に使われます。

生理前の便秘への対処法

生理前の便秘への対処法

生理前に便秘になったときに自宅でできる対処法はありますか?

生理前に便秘になったときに、簡単にできる対処法は、まずはお腹のマッサージです。腸管の流れに沿って、時計回りにお腹を優しく撫でることで、腸の動きを促すことができます。また、お腹を温めることで、腸管への血流を増加させ、腸管を動かし、便秘の改善に寄与します。なお、入浴も同様に全身の血流を改善する効果が期待できるため、便秘にも効果があるといわれています。また、上述したように、運動や朝食を摂取することによる胃結腸反射も対処法として有効になります。

生理前の便秘が辛いときに受診する場合の診療科を教えてください

生理前の便秘が辛いときは、消化器内科もしくは婦人科が一般的ですが、生理前の便秘が辛い方は、便秘以外の生理前の不調も強い傾向にあります。また、子宮内膜症などの婦人科疾患を罹患している場合、便秘になりやすい傾向が考えられますので、最初は婦人科を受診してもよいと思います。そのうえで、婦人科疾患が否定的であると判断された場合は、消化器内科を受診するのが流れとしてよいでしょう。

病院では生理前の受診に対してどのような治療を受けられますか?

病院で行う治療に関しては、原因や症状によってアプローチが変わります。まずは上述したように生活習慣のなかで、便秘の原因になりえるものがないか、また、便秘を改善するためにできることはないかを検討します。改善の余地がある場合は生活習慣の改善をします。PMSがによる症状と考えられる場合は、低用量ピルなどの婦人科疾患としての治療を行います。 上記と並行して、整腸剤消化管運動改善薬などの薬物治療も行い、症状に合わせた治療を行います。

編集部まとめ

編集部まとめ

 生理前の便秘は女性ホルモンが関係していると考えられていますが、元々便秘があることも原因の一つになります。食物繊維や水分の摂取、運動の習慣化などすぐに始められることもあります。症状が強くお困りの場合は婦人科や消化器内科を受診するようにしましょう。

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