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「食中毒の潜伏期間」はご存知ですか?感染してから発症までの期間も解説!

 公開日:2025/08/06
「食中毒の潜伏期間」はご存知ですか?感染してから発症までの期間も解説!
食中毒は、細菌やウイルス、自然毒などが混入した食べ物や飲み物を口にすることで発症する病気です。原因物質が体内に入ることで、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などの症状があらわれます。なかでも夏場は食品が傷みやすく、年末年始は調理や保存が不十分になりやすいため、注意が必要です。

食中毒の原因や発症までの時間(潜伏期間)、症状のあらわれ方は原因によって異なります。例えば、細菌やウイルスによるもの、フグや毒キノコに含まれる自然毒によるものなど、それぞれに特徴があります。

この記事では、食中毒の主な原因やリスクのある食材、潜伏期間、症状の特徴、受診の目安までをわかりやすく解説します。予防のためにも、正しい知識を身につけて日常生活に役立てましょう。
林 良典

監修医師
林 良典(医師)

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名古屋市立大学卒業。東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、 NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。医学博士。公認心理師。日本専門医機構総合診療特任指導医、日本内科学会総合内科専門医、日本老年医学会老年科専門医、日本認知症学会認知症専門医・指導医、禁煙サポーター。
消化器内科
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眼科(角膜外来)

食中毒の基礎知識

食中毒の基礎知識

食中毒は何が原因で発生しますか?

食中毒の原因は多岐にわたりますが、主なものとして細菌、ウイルス、寄生虫、自然毒、化学物質があります。特に細菌やウイルスは調理や保存の不備によって食品内で増殖しやすく、摂取すると体内で症状を引き起こします。

食中毒の原因になりやすい菌やウイルス、食材や物質を教えてください

代表的な原因菌には、サルモネラ菌や腸管出血性大腸菌(O157など)、カンピロバクター、黄色ブドウ球菌などがあります。これらは加熱が不十分な肉類や鶏卵、調理中の二次汚染などを介して食品に付着し、体内に取り込まれることで食中毒を引き起こします。

ウイルスでは、ノロウイルスやロタウイルスがよく知られており、汚染された水や食品、感染者の手指などを介して広がることがあります。特にノロウイルスは冬場に流行しやすく、わずかなウイルス量でも感染が成立する点が特徴です。

そのほか、フグ毒(テトロドトキシン)や毒キノコ(ツキヨタケ、ドクツルタケなど)といった自然毒、さらには農薬や重金属などの化学物質も食中毒の原因となることがあります。これらは自然界や人為的な管理ミスにより食品に混入し、摂取によって健康被害を生じる可能性があります。

食中毒のリスクが高い食べ物や調理方法、行為はありますか?

生肉や生魚、生卵などは加熱不足や取り扱いの不備により食中毒を起こしやすい食品です。例えば鶏肉に付着しやすいカンピロバクターは、中心温度が75度以上で1分以上加熱すれば死滅しますが、焼きが甘い部分があると感染の恐れがあります。加えて、冷凍や解凍の方法も重要です。一度解凍した食材を再冷凍すると、細菌が増殖したり食材の劣化を招くことがあります。流水解凍や電子レンジの解凍機能を使用し、常温放置を避けることでリスクを軽減できます。さらに、冷蔵庫は10度以下、冷凍庫は−15度以下を目安に保つよう温度管理を行うとよいでしょう。また、調理器具を肉用・野菜用で使い分けずに使用すると、まな板や包丁を介して細菌が広がることもあります。

食中毒の潜伏期間

食中毒の潜伏期間

細菌に感染した際の潜伏期間はどの程度ですか?

細菌性食中毒の潜伏期間は数時間から数日程度と幅があります。例えば、黄色ブドウ球菌は毒素を生成するタイプで、摂取後1~6時間という短時間で嘔吐や腹痛などの症状が出ます。一方、カンピロバクターやサルモネラ菌は、体内で増殖してから発症するため、1~3日程度の潜伏期間が一般的です。腸管出血性大腸菌(O157など)は3~7日とやや長めで、発熱や激しい下痢、ときに血便を伴うことがあります。

ウイルスに感染した際の発症までの期間を教えてください

ウイルス性食中毒では、ノロウイルスがよく知られています。ノロウイルスの潜伏期間は1~2日で、突然の嘔吐や下痢、発熱を引き起こします。ロタウイルスの場合はやや長く、2~4日程度の潜伏期間ののち、主に乳幼児に激しい下痢や嘔吐が現れます。ウイルスは少量でも感染力が強いため、感染拡大を防ぐには早めの対策が重要です。

キノコやフグなどの自然毒がある食材を食べた際はどの程度で症状が現れますか?

自然毒による食中毒は、摂取後ごく短時間で発症するのが特徴です。例えばフグ毒(テトロドトキシン)では、20分〜数時間で手足のしびれやめまい、構音障害が現れ、重症例では呼吸麻痺に至ることもあります。また、毒キノコによる中毒も種類によって異なりますが、早いものでは30分以内、遅い場合でも数時間以内に症状が出る傾向があります。自然毒の場合は命に関わることもあるため、早期の医療機関受診が欠かせません。

食中毒の症状と受診の目安

食中毒の症状と受診の目安

細菌性食中毒の代表的な症状を教えてください

細菌による食中毒では、腹痛や下痢、発熱、嘔吐などが代表的な症状です。例えば、カンピロバクターでは発熱や血便を伴うことがあり、サルモネラ菌では数日間にわたる発熱と下痢が見られます。腸管出血性大腸菌(O157など)による感染では、水様便から血便に進行することがあり、重症化すると溶血性尿毒症症候群(HUS)を引き起こすこともあります。

ウイルス性食中毒の症状にはどのようなものがありますか?

ウイルス性食中毒では、嘔吐や下痢が急激に始まるのが特徴です。ノロウイルスでは突然の激しい嘔吐と水様性の下痢が主症状で、発熱は軽度にとどまる場合が多いです。ロタウイルスでは乳幼児に多く、嘔吐や下痢が長引く傾向があります。いずれも感染力が強く、家庭内や施設内での集団感染に注意が必要です。

自然毒がある食材を食べた際に生じる症状の特徴を教えてください

自然毒が原因の食中毒では、しびれや吐き気、呼吸困難、けいれんなどの重い症状が短時間であらわれることがあります。例えば、フグ毒(テトロドトキシン)では手足のしびれから始まり、全身麻痺、呼吸停止に至ることもあります。毒キノコによる中毒も、激しい嘔吐や下痢、幻覚、肝障害などを引き起こすことがあり、早急な医療対応が必要です。

食中毒が疑われる場合はどのような症状が現れたら受診すべきですか?

症状の程度や持続時間に応じて、早めの受診が必要です。嘔吐や下痢が12時間以上続く場合や、血便、発熱(38度以上)、激しい腹痛がある場合は医師の診察を受けましょう。特に乳幼児・高齢者・妊婦・持病のある方は、重症化リスクが高くなります。高齢者では体内の水分量が少なく脱水に陥りやすいため、こまめな経口補水や体温・尿量のチェックを行いましょう。乳児の場合は、ミルクの飲みが悪い、泣き声が弱い、肌が乾燥しているといったサインにも注意が必要です。

編集部まとめ

編集部まとめ  食中毒は、原因となる細菌やウイルス、自然毒などによって、症状や発症までの時間が異なります。短時間で急激に症状が出るものもあれば、数日たってからあらわれるものもあり、体調の変化には常に注意が必要です。

こうした違いを理解することで、感染源の特定や適切な対応につながります。また、調理や保存の際には加熱・冷却・手洗いの基本を徹底し、まな板や包丁の使い分けといった二次汚染の防止も心がけましょう。調理環境を清潔に保つことは、家庭内での予防にとってとても重要です。

体調に異常を感じたときは無理をせず、早めに医療機関を受診してください。特に、嘔吐や下痢、腹痛などの症状が長引く場合や、脱水の兆候があるときには注意が必要です。

日常生活のなかで、正しい知識に基づいた食品の取り扱いや衛生管理を実践することが、食中毒の予防につながります。家庭でも職場でも、基本を守りながら安全な食生活を心がけましょう。

この記事の監修医師