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「食中毒の症状」はどれくらい続くかご存知ですか?セルフケア法も解説!【医師監修】

 公開日:2025/08/27
「食中毒の症状」はどれくらい続くかご存知ですか?セルフケア法も解説!【医師監修】

「食中毒の症状が出たときの治療方法は?」「食中毒の症状はどのくらい続くのかな?」 食中毒は日常生活のなかでも注意が必要な身近なリスクのひとつであり、症状を正しく理解することが大切です。しかし食中毒の症状がわからなかったり、どのくらい続くかわからなかったりする方も少なくないのではないでしょうか。 本記事では、食中毒の主な種類や症状の特徴、治療方法や家庭でできるセルフケアの方法を詳しく解説します。 この記事を読むことで食中毒の症状への理解が深まり、万が一の際にも冷静に対処できるでしょう。

居倉 宏樹

監修医師
居倉 宏樹(医師)

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浜松医科大学卒業。初期研修を終了後に呼吸器内科を専攻し関東の急性期病院で臨床経験を積み上げる。現在は地域の2次救急指定総合病院で呼吸器専門医、総合内科専門医・指導医として勤務。感染症や気管支喘息、COPD、睡眠時無呼吸症候群をはじめとする呼吸器疾患全般を専門としながら一般内科疾患の診療に取り組み、正しい医療に関する発信にも力を入れる。診療科目
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。

食中毒の種類や症状

ベッドの上でうずくまる男性

食中毒の種類や原因を教えてください。

食中毒は、ウイルスや菌、化学物質、自然毒などで汚染された飲食物などを摂取することが主な原因です。食中毒にはさまざまな種類があり、原因によって次のとおりに分類されます。
  • 細菌性食中毒
  • ウイルス性食中毒
  • 自然毒食中毒
  • 寄生虫食中毒
  • 化学性食中毒
特に細菌性食中毒は、加熱不十分な食品や調理後に常温で放置された料理などは発症のリスクが高くなります。ウイルス性食中毒は、ウイルスに汚染された食品の摂取や調理者からの二次感染が少なくありません。自然毒食中毒は、もともと自然界の毒を持つ生物(フグ、毒キノコ)を誤って摂取することで発症します。寄生虫食中毒は、寄生虫に汚染された食品の摂取で発症します。食中毒は食べ物の安全性の管理ができていないことで誰にでも起こりうる病気です。日常の衛生管理が有効とされているため、正しい食品の扱い方を心がけましょう。

食中毒の潜伏期間はどのくらいですか?

食中毒の潜伏期間は原因菌によって異なり、数時間で症状が発症するものから数日間かかるものまであります。身体内に入った細菌やウイルスが症状を引き起こすまでに時間差があるためです。主な食中毒の原因となる病原体の潜伏期間は次のとおりです。
  • ノロウイルス:24時間~48時間程度
  • カンピロバクター:2日間~5日間程度
  • サルモネラ属菌:8時間~48時間程度
  • 腸管出血性大腸菌:3日〜8日程度
  • アニサキス:1時間~10時間程度
※アニサキスは寄生虫による中毒ですが、主にアレルギーや物理的刺激による症状として出現し、厳密にはメカニズムが異なります。潜伏期間の違いを知っておくことで、食中毒の原因を特定できる可能性が高まります。症状に心当たりがある場合は、医師に診てもらいましょう。

どのような症状が出ますか?

食中毒の症状は主に激しい腹痛や下痢、嘔吐などが現れ発熱を伴う場合もあります。身体内に侵入した有害な細菌やウイルスが増殖したり、毒素が産生され作用したりすることにより症状を引き起こすからです。例えば、ノロウイルスでは突然の嘔吐がよく見られ、腸管出血性大腸菌では血便が出ることもあります。小さな子どもや高齢者は症状が悪化しやすいため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。食中毒の症状は原因となる病原体によって異なります。症状を正しく理解し、重症化する前に適切に対処することが大切です。

症状はどのくらい続きますか?

食中毒の症状が続く期間は、症状の重さや原因によって異なります。軽症の場合は通常1日~3日程度で治まりますが、重症の場合は1週間以上続くこともあります。細菌やウイルスの種類による症状の重さや、感染者の健康状態によって持続期間が変わるためです。例えば、ノロウイルスの場合は症状が1日〜2日ほど続き、カンピロバクターでは下痢が1日〜3日間続くとされています。軽症例では症状が数日で改善する場合がほとんどですが、長引くときや悪化した場合は早めに医師に診てもらうことが推奨されています。

食中毒の治療方法やセルフケア方法

診察

食中毒で医療機関にかかる目安を教えてください。

食中毒で医療機関を受診するべき目安は、症状が重い場合やなかなか改善が見られない場合です。場合には様子を見ることもできますが、症状が悪化している場合には適切な診察が必要になります。以下のような症状がある場合は重症化している可能性があるため、早めに医療機関の受診を検討しましょう。
  • 吐き気や嘔吐がひどくて水が飲めない場合
  • 意識が朦朧としている場合
  • 便に血液が混ざる場合
  • 吐血がある場合(※激しい嘔吐によって胃や食道の粘膜が傷つくマロリーワイス症候群)
症状が軽症でも急激に重症化することがあるため、少しでも体調に違和感があれば無理せず医療機関に相談しましょう。

医療機関ではどのような治療を行いますか?

医療機関での食中毒の治療は、原因そのものを除去するのではなく対症療法が中心となります。身体内の細菌やウイルスを自然に排出し、水分や電解質を補給しながら回復を促します。。脱水症状がある場合は、輸液による水分・電解質の補正が必要となることがあります。また、必要に応じて整腸薬や制吐薬などを使用することもあります。市販の下痢止め薬や抗生物質の安易な自己使用は避け、医師の指示に従うことが重要です。医療機関での適切な診察と医師の指導を守ることが回復につながりやすくなります。

食中毒になったときの家庭でのケア方法を教えてください。

食中毒時の家庭でのケア方法は、安静にしながら十分な水分補給を行うことが重要です。下痢や嘔吐により水分や電解質が大量に失われてしまうためです。嘔吐が続く間は無理に食事をせず、経口補水液を少量ずつ頻繁に飲むようにしましょう。吐き気が治まったらおかゆや煮込みうどんなど消化のよい食事を少しずつ摂り、腹部を温めて休息を取りましょう。基本的なケアで軽症であれば数日で改善することもありますが、症状が長引く・重い場合は医療機関への受診をすることが望ましいです。

食中毒の予防方法と感染対策

キッチンで手を洗う主婦

食中毒を予防するための調理のポイントを教えてください。

食中毒を防ぐためには、清潔・加熱・冷却の3原則を調理時に徹底することが欠かせません。なぜなら、有害な細菌やウイルスの付着や増殖を効果的に防ぐ基本だからです。具体的には、生肉と野菜は調理器具を分け、肉や魚を調理するときは中心部まで75度で1分以上加熱することが推奨されています。また、調理前の手洗いを徹底し、調理器具も使用後に洗浄や消毒することが重要です。こうした日々の衛生管理の積み重ねが家庭での食中毒予防につながります。

食中毒予防に効果的な手洗い方法を教えてください。

食中毒を予防する効果的な方法は正しい手洗いとされています。調理やトイレの使用を通じて手にはさまざまな菌やウイルスが付着しますが、適切な手洗いで大半は除去することができます。公益社団法人日本食品衛生協会で推奨されている手洗い方法は以下の手順です。
  • 流水で手を濡らす
  • 石鹸を十分に泡立てる
  • 手のひらと甲を洗う
  • 指先と爪の間を丁寧に洗う
  • 指の間を洗う
  • 手首まで洗い残しがないようにする
  • 十分な流水ですすぐ
  • 清潔なタオルやペーパータオルで拭く
特に念入りに洗いたい場合は、石鹸と流水による手洗いを2回繰り返すとさらに効果的になります。食中毒予防には、調理前後だけでなく食事前や帰宅時など日常生活のさまざまな場面で正しい手洗いを習慣にすることが重要です。

家族に感染させないための対策を教えてください。

発症者が出た場合、ほかの家族に感染させないためには、嘔吐物や下痢便の適切な処理と生活用品の分離が重要です。特にノロウイルスは感染力が強いため、発症者を隔離しても共用物があると二次感染が起こりやすくなります。患者さんには可能な限り専用のタオルや食器を用意し、トイレや洗面所など共用が必要な場所は使用後に消毒が推奨されています。嘔吐物の処理をする際は使い捨て手袋とマスクを着用し、処理後は手洗いをしっかり行うことが重要です。家族を守るためには、看病する方も手洗いやマスク着用を心がけて、自身が感染源にならないよう注意しましょう。

編集部まとめ

医師

食中毒は細菌性やウイルス性、自然毒などさまざまな原因で発生し、原因によって潜伏期間や症状の持続期間が異なります。主な症状は腹痛や下痢、嘔吐ですが血便や吐血、強い脱水症状がある場合は早急に医療機関を受診しましょう。 治療は対症療法が中心で、家庭では水分補給と安静が基本です。予防には清潔・加熱・冷却の3原則を守り、調理前の手洗いを徹底することが重要です。 また、万が一発症した場合は嘔吐物や下痢の適切な処理と生活用品の分離により、家族への二次感染を防ぐことができます。日常的な予防と早期対応で、食中毒のリスクを抑えましょう。

この記事の監修医師