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「花粉症になりやすい人の特徴」はご存知ですか?なる方とならない方の違いも解説!

 公開日:2026/03/05
「花粉症になりやすい人の特徴」はご存知ですか?なる方とならない方の違いも解説!

花粉症は年齢や性別、居住地域が同じでも、発症する方としない方がいる疾患です。鼻炎や充血などの症状はアレルギー反応の一種のため、発症の有無は個人差があります。

親にアレルギー鼻炎の既往歴がある場合、遺伝的な素因により発症リスクが高まると考えられています。

また、多量の花粉にさらされやすいスギやヒノキの多い地域に住んでいる方も症状に悩まされる可能性が高いでしょう。

本記事では、花粉症の原因やメカニズム・発症しやすい方の特徴・治療法を解説します。

五藤 良将

監修医師
五藤 良将(医師)

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防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

花粉症の原因とメカニズム

花粉症の若い女性

花粉症の原因について教えてください。

花粉症の原因は、鼻孔内に侵入した際に起こるスギやヒノキの花粉に対する免疫反応です。鼻の内部に付着した花粉に含まれるたんぱく質が、アレルギーの原因物質(アレルゲン)になります。
その後、異物を認識する樹状細胞(またはマクロファージ)が抗原の情報をT細胞に伝達して、免疫応答を引き起こします。B細胞が抗体を作成し、再び花粉が体内に侵入すると、異物を除去しようとアレルギー反応が生じるのです。
なお、日本で発症率が高いスギ花粉に対する抗体は、スギ特異的IgE抗体です。免疫反応は身体をウイルスや菌から保護するために必要な機能として存在します。しかし、異物を排除しようとする反応が過剰に働くと、アレルギー症状を引き起こします。

花粉症で鼻炎の症状が現れるのはなぜですか?

花粉症で鼻炎の症状が現れる理由は、抗原抗体反応によって放出されたヒスタミンやロイコトリエン、トロンボキサンが鼻の神経や血管を刺激するためです。空気中に舞う花粉が鼻孔から侵入すると、免疫反応が作用して化学伝達物質が放出されます。
これらの物質は知覚神経を刺激し、くしゃみ中枢に信号が伝わるとくしゃみが起こり、分泌腺が刺激されると鼻水が増加します。また、血管が拡張して鼻粘膜が腫れることで、鼻づまりを引き起こす場合も少なくありません。

眼がかゆくなるメカニズムを教えてください。

花粉症は鼻孔のほか、花粉が直接付着しやすい眼にも影響を及ぼし、かゆみや充血の症状を引き起こします。アレルギー反応が起こるのは、まぶたの裏側や眼球の表面を覆う結膜と呼ばれる部位です。
結膜の表面を覆う涙液に空気中の花粉が付着すると、免疫細胞が抗源を認識します。鼻と同様に、神経や血管が刺激されることで、眼のかゆみや充血・涙目などの症状を誘発するのです。

人によって症状の種類や程度に違いが生じるのはなぜですか?

症状や発現部位に個人差がある理由は、体質や生活習慣が関係しているためです。花粉症はアレルギーの一種のため、免疫機能のバランスが崩れると発症や症状の悪化のリスクが上がります。
アレルギー反応が強く出る方は、くしゃみや鼻水・眼のかゆみ・充血以外にも、全身症状が現れる場合があります。例えば、喉やお顔の荒れ・頭痛や微熱・倦怠感などです。症状が重い場合は、不眠による集中力の低下や慢性的なイライラが生じ、生活の質が低下することもあります。

花粉症になりやすい方の特徴

マスクをした若い女性

花粉症になりやすい方の特徴を教えてください。

花粉が多く飛散する環境で過ごす方や、免疫機能が低下している方は花粉症の発症リスクが高くなります。スギ花粉は年明けから春にかけて多く飛散する物質です。特に春に外出する機会が多い方や、長時間屋外で過ごす方は花粉を大量に吸い込む可能性が高く、発症リスクが上がると考えられます。
また、不規則な生活習慣や体調不良で免疫機能のバランスが崩れている方は、アレルギー反応が強く出る場合があります。鼻や眼の症状だけでなく、皮膚の荒れ・喘息・倦怠感などの全身に症状が現われることもあります。

花粉症になる方とならない方の違いを教えてください。

花粉を発症するか否かは、遺伝的な影響や免疫機能の反応の仕方が関わるためです。体内に花粉が侵入すると、まず感作(かんさ)と呼ばれる過程が起こります。この段階では症状は現れませんが、免疫が花粉を異物と認識し、抗体を作り始めます。
次に、再び花粉が侵入した際にアレルギー反応が引き起こされ、くしゃみや眼のかゆみといった症状が現れます。この免疫系が過剰に反応してしまう現象が感作です。一定量の花粉に繰り返しさらされることで、閾値(いきち=免疫が過剰に反応する境目)を超えたときに、花粉症の症状が現れます。
感作が成立しやすいかどうかや、どの程度の花粉量で症状が出るかには個人差があり、発症する時期や重症度に違いが生じるのです。少量の花粉量で花粉症を発症する方もいれば、長年スギやヒノキの多い環境で過ごしてもまったく症状が出ない方もいます。

花粉症は遺伝しますか?

スギ花粉症は多発家系の存在が確認されており、遺伝的要因が関与している可能性が示唆されている疾患です。アレルギー鼻炎の母親や父親から生まれた子どもには、花粉症患者が多い傾向がみてとれます。
とはいえ、親に既往歴がある場合でも必ず発症するわけではなく、あくまで発症リスクが高まる程度です。
一部の調査では、両親ともにアレルギー疾患がある場合、片親だけの場合よりも子どもの発症リスクがさらに高まるとされています。そのため、スギ花粉症は単一因子の単純劣性遺伝ではなく、複数の遺伝要因が関与する可能性が指摘されています。

花粉症の方が増加している原因を教えてください。

花粉症の有病率は1998年の19.6%、2008年の29.8%、2019年の42.5%です。患者数は約10年ごとに10%刻みで増加しており、今後も同様の傾向が続くと考えられます。花粉症が増えた主な理由は、飛散量の増加や食生活の変化、生活習慣の悪化です。類似疾患の報告数が1970年代から急速に増えたことから、欧米の食習慣の浸透が影響を与えている可能性が指摘されています。
また、感作や発症までの期間が年々短縮される傾向があり、地球温暖化による影響が指摘されています。近年では、小さな子どもの花粉症発症率が増加しているとの報告も目立ち始めました。さらに睡眠不足や不規則な食生活・喫煙も自律神経の乱れを招き、花粉症の発症リスクを高めると指摘されています。

花粉症の治療法

人差し指を立てて案内する女性医療スタッフ

花粉症の対症療法とはどのような治療法ですか?

対症療法は点眼薬や点鼻薬を用いた局所療法、内服薬による全身療法、レーザーによる手術療法に分かれます。いずれも症状を抑えることを目的としており、根本的な治療ではない点が特徴です。内服薬や点眼薬によく使われるのは、抗ヒスタミンや抗ロイコトリエン、化学伝達物質遊離抑制薬です。
鼻づまりの症状がひどいときは、経口ステロイド薬や点鼻用血管収縮薬を処方するケースが少なくありません。花粉症の対症療法の目的は、アレルギー反応を引き起こす細胞の活性化や化学伝達物質の過剰分泌を抑えることです。
またヒスタミンやロイコトリエンが神経や血管に作用する過程で、影響を防ぐ効果もあります。

花粉症の根治治療について教えてください。

花粉症の根治治療は原因物質の回避とアレルゲン免疫療法に分かれます。花粉を避ける環境を意図的に作ることが悪化を防ぐ有効な治療方針です。天気予報で飛散情報を毎日チェックして、大量のばく露が予想されるときは極力外に出ないようにしましょう。
外出時はマスクや眼鏡でガードして、帰宅時は家の中に入る前に花粉を振り払う行動が大切です。免疫バランスを維持するためには、規則正しい生活習慣を心がけ、睡眠や過度な飲酒・喫煙を避けることや風邪をひかないなどの対策が重要です。
アレルゲン免疫療法の代表的な治療は減感作療法(皮下免疫療法)です。花粉の抽出液を注射して、少しずつ濃度を高めることで、抗原に対する免疫機能の向上を図る目的があります。体内に取り込まれた抗原が免疫システムを調整し、過剰なアレルギー反応を抑える効果が期待されます。
2000年代から経口投与による免疫療法(舌下免疫療法)の研究が進められ、日本では2014年にスギ花粉症に対して初めて保険適用されました。副作用のリスクが低いとされ自宅で治療を継続できる手軽さから、近年では、主たる治療法として実施されています。

編集部まとめ

医療スタッフ
花粉症の発症リスクが高い方の特徴は次のとおりです。

     
  • アレルギー鼻炎を持つ親から生まれた
  • 日常的に大量の花粉に晒される環境で暮らしている
  • 過労やストレス、生活習慣の影響で免疫機能のバランスが乱れている方

日本で多いスギ花粉症の発症には、遺伝的要因が関与すると考えられています。体内で抗体が作られるタイミングや花粉に対する許容度は個人の素因に影響を受けるため、被ばく量や免疫機能によって発症リスクは変わります。

花粉症の患者数は増加の一途をたどっており、今まで健康に暮らしていた方が新たにアレルギー症状に悩まされるケースも出てくるかもしれません。

長期的な症状の軽減が期待できる服薬療法もあるため、万一発症しても焦らず、まずは医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師