「梅毒」を発症すると「皮膚」にどんな症状が現れるかご存知ですか?【医師監修】

性的接触により感染する梅毒という病気があります。梅毒は特有の皮膚症状が現れることがある病気です。
本記事では、梅毒の皮膚症状や皮膚以外の症状を初期・中期・後期の感染経過別に説明します。
併せて、梅毒の診断や治療法・梅毒の注意点や予防法などについて解説します。梅毒に感染すると深刻な健康上の悪影響が生じることもあるため、適切な治療を受けて回復を目指しましょう。

監修医師:
水戸 陽貴(中通総合病院)
目次 -INDEX-
梅毒の感染経過別にみられる皮膚症状

感染初期にみられる皮膚症状を教えてください。
感染中期の皮膚症状を教えてください。
- バラ疹:手のひら・足の裏・体幹部に生じる淡い赤い色の発疹
- 丘疹性梅毒:小豆大からエンドウ大の赤褐色や赤銅色の丘疹・結節
- 梅毒性乾癬:赤褐色や赤銅色の班で鱗屑を伴い、乾癬に似ている
- 扁平コンジローマ:平たいいぼ状の皮膚症状
- 膿疱性梅毒:膿疱(のうほう)が多発する症状
- 梅毒性アンギーナ:びらんや潰瘍を伴った発赤・腫脹(しゅちょう)・浸軟
- 粘膜疹:乳白斑のような症状
- 梅毒性脱毛:まばらに毛が抜ける症状
梅毒中期にはさまざまな皮膚症状が生じますが、出現頻度が高いのは丘疹性梅毒・梅毒性乾癬などです。次に高いのはバラ疹・扁平コンジローマ・梅毒性アンギーナ・梅毒性脱毛となっています。膿疱性梅毒の出現頻度は低いです。
感染後期にはどのような皮膚症状がみられますか?
皮膚以外に症状が出ることはありますか?
- 初期:所属リンパ節腫脹・髄膜炎
- 中期:発熱・倦怠感・全身性リンパ節腫脹・消化器系/泌尿器系/筋骨格系の症状
- 後期:大動脈炎・大動脈瘤・大動脈弁逆流症・脊髄癆(せきずいろう)・進行麻痺
梅毒感染ではこれらの症状や皮膚症状を呈することもありますが、症状が現れない無症候性梅毒もあります。しかし、症状が現れなくても梅毒に感染していれば、その後脳や心臓に重大な合併症が起きることもあるためしっかり治療をしましょう。
梅毒の診断と治療方法

梅毒を診断する検査方法を教えてください。
梅毒にはどのような治療方法が適応されますか?
受診の目安を教えてください。
梅毒の注意点と予防法

妊娠中に梅毒に感染した場合のリスクを教えてください。
- 早期梅毒第1期:約70~100%
- 早期梅毒第2期:約70%
- 早期潜伏期:約40%
- 後期潜伏期:約10%
早期顕症梅毒(1期・2期)の時期はとても感染力が高いです。感染時期が妊娠の後期になるほど、赤ちゃんへの感染率も高くなります。先天性梅毒に感染した赤ちゃんには次のような症状が発症することもあります。まず胎児の場合です。
- 胎児発育遅延
- 肝脾腫
- 心奇形
- 紫斑
- 小頭症
- 水頭症
- 脳内石灰化
出生児では次のような症状を発症することがあります。
- 難聴
- 失明(網膜炎)
- 精神発達遅滞
- 白内障
- 骨軟骨炎
- 斑状発疹
- 水疱状発疹
- 角膜炎
- ハッチンソン歯
妊婦が梅毒の治療をしないで放置しておくと、死産や早産になったり赤ちゃんの神経や骨などに異常が生じたりすることもあります。出生児に症状がなくても、学童期に発症する場合があります。そのため、妊婦が梅毒に感染した場合は早期にしっかりと治療することが重要です。適切な時期に治療すれば、赤ちゃんへの影響を防げる可能性が高くなります。
治療が終わったらもう梅毒にかかりませんか?
梅毒の予防法はありますか?
編集部まとめ

今回の記事では梅毒の皮膚症状やほかの症状の解説をし、診断・治療方法・注意点・予防法などを紹介しました。梅毒は主に性的接触から感染する病気ですが、その他にも輸血による感染・母子感染というケースもあります。
梅毒には特有の症状があり、皮膚に現れることもあります。初期から後期別の皮膚症状は異なりますが、自然に治まってしまうこともあるため、油断する方もいるでしょう。しかし、油断は禁物です。
梅毒に感染して症状が治まっても、病原菌が体内で増殖している可能性があります。梅毒と思われる症状が現れたら、早期に医師の診断と検査を受けましょう。そのうえで陽性になったら、適切な治療を受けることが大事です。
残念ながら梅毒が完治しても再発することはありますが、完治後に適切な性行為で予防が可能です。梅毒に感染することを避けるために、日頃から予防法をしっかり学んで対処するようにしましょう。




